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『考えよう、わたしたちの体と生き方4 薬』(小峰書店)

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『考えよう、わたしたちの体と生き方4 薬』(小峰書店)
丸山敬/著

【ブログ内関連記事】
考えよう、わたしたちの体と生き方3『薬1』(小峰書店)

本書の冒頭に書かれているとおり、最近は子どものほうが、塾やゲーム、深夜まで起きてたりして、大人よりよっぽど疲れてるから、
小さい頃から栄養ドリンクを平気で飲ませている親が多いことが、私も心配だった。

私はドリンク剤を信用していないから、買って飲んだことはないけど、
自販機でドリンクを買う際は、「ビタミン入り」「海洋深層水」とかの宣伝文句にたしかにのっかってしまう。

『薬1』で書かれていたように、薬がもともとヒトの持っている免疫力で治す力をちょっと助けるだけのものだとしたら、
あとは、そのヒトが「何を信じるか」てメンタルな部分が大きな影響を与えるってことかもしれないな。

化学薬品、漢方、民間医療、それぞれヒトによって「合う」「合わない」があって、
自分の体に合ったものを選ぶとともに、正しい知識を知ることも必要だと分かった。

その他の、タバコや、飲酒に関しては、「こんなに体に悪いですよ」と今更言ってみたところで
止めるヒト、大きなお世話だと言うヒト、それも自己管理の自由。強制は出来ない。
適度ならコーヒーも、お酒も体にいいって説もあるし、何がほんとか分からない。これも選択の問題だ。
副流煙だけはカンベンだけど


【内容抜粋メモ】

●薬とは?
基本的に体に影響をあたえるものすべて。
病気を治すための薬もあれば、麻薬・覚せい剤も薬の一種だ。
麻薬も、正しく使えば痛みをとる薬になる。

体調を整えるには、健康的な食事をして、よく眠るのが一番
それだけではどうしようもない時に、医者は薬を使う。


****************ドリンク剤の謎



●「プラシボー効果」(偽薬効果)
人が薬を飲む場合、実は、飲む人の気持ちがとても影響する。
頭は人間的な思考だけではなく、体全体の調子も管理しているため。

その典型が「プラシボー効果」。
まったく作用のないものでも、信じて飲むといい効果が出て、病気が治ってしまうことがある。
「お祈り」「呪文」で治ったケースも、「プラシボー効果」の可能性が高い。
つまり、病んでいるのは肉体だけではなく心も、というわけだ。
肉体的な病気を強調する時は「疾患」という。


●「二重盲検法」
期待や不安という思い込みをなくして、薬をできるだけ正しくみるための方法。

 

心の問題は、薬を出す医者にも影響する。
「この薬は効くはずだ」と信じて使うと、患者もその自信を感じて、良好に向かう。逆もある/驚

この気持ちの問題は、薬の開発に深刻な影響を及ぼすため、新薬や改良版の効果を調べる時は、厳密に調べなくてはならない。
微妙な薬の効果を確実に検討するために、数十人~数百人の患者に「二重盲検法」で調べる。
すると、思わぬ副作用も調べられる。

薬の効き方は人それぞれ


****************民間療法



アスピリンなど、もとは薬草から見つかったものも多い。
「万病が治る」というと法律で処罰されるため「健康食品」とあいまいな言葉が使われて流行することがある。
これらは、いわゆる民間療法に含まれる。ハッキリとした学術的な裏づけなしに行われる治療手段。


「尿療法」
「尿」:血液中の不要物である尿素、塩分、水分が、腎臓から膀胱に漉し出されて体外に排出されるもの。

「尿療法」は、いまだ愛好者がいる、自分の尿を飲む治療/汗×5000
尿には、体の老廃物が捨てられていて、腎臓でつくられる。
せっかく一生懸命捨てたゴミを、また家に持ち込むことになり、意味がないばかりか、健康を害することにもなりかねない。

一部の人の尿には、特別な物質がたくさん分泌していることがある。
ホルモンの中には、飲むと効果を発揮するものもあるため、元気になる可能性もあるが、
ふつう尿療法は、自分の尿を飲むため、その効果が出る可能性は非常に低いだろう。
「信じる者は救われる」プラシボー効果で、精神力で治ってしまうことも考えられる。

「コンフリー」
薬草ハーブ。肝臓を痛める成分が含まれていることが分かった


学問にも限界がある
民間療法は、あくまで自分の生活を脅かすほどのお金と時間は使わない範囲内で、
「ダメでもともと」という冷静な判断を忘れないように


国立健康・栄養研究所のHP「健康食品の安全性・有効性情報」


****************ビタミン

ビタミン不足は病気の原因
「脚気」
「ビタミンB1」の欠乏で起こる。健康な場合は、膝の下を軽く叩くと「反射」によって脚が跳ね上がるが、
反射がなくなるのが脚気の最初の症状。
「インスタント食品」ばかり食べている高校生の間で流行したことがある。

「ビタミンB2」
に多く含まれる。熱に強い。欠乏すると皮膚にオデキができたりする。
ひどいと目の調子が悪くなる、クラクラする、物忘れしやすくなる、など。

「ビタミンB12」
手術で胃をとった人は、「ビタミンB12」を含む食品をいくらとっても吸収できなくなる
「菜食主義者」にも欠乏が多い。欠乏すると、貧血になり、フラフラする神経症状が出る。

ふつうの食事をしていれば、今の日本でビタミン類が欠乏することはない。


ドリンク剤のビタミンの多くは捨てられる
 
ビタミンは脂に溶けるタイプ+水に溶けるタイプがある

ドリンク剤のビタミンB類は、水に溶けやすいため、たくさんとっても尿として出るだけ。
口から飲んだビタミンは、ほとんど捨てられてしまう。
脂に溶けるビタミンは、体内に蓄積されるため、とりすぎはよくない。


****************タウリン

「タウリン」
たんぱく質をつくるアミノ酸中の「メチオニン」「システイン」という種類が変化したもの。
血中のコレステロール値を下げる作用があるため注目された。

[タウリンを含む食材]
おもに魚に含まれる。イカ、ホタテ、エビ、貝類など。

「コレステロール」
脂の一種。ホルモン、細胞をつくる大切なもの。
ただし、一部は、血液の流れを悪くするため「動脈硬化」の原因になる。


****************漢方薬



「漢方」とは、いろいろな薬が混ざっていて、作用を科学的に説明しにくい。
うまく条件が合えば、すごくよく効く。
ただし、効くということは、誤って飲むと、副作用も強く出る可能性が高い。
だから、ドリンク剤の漢方成分は、昔から「体に良い」と言われている程度のものが入っている。


****************カフェイン

ドリンク剤の成分のうち、すぐに効果が出るのが「カフェイン」で、一種の覚せい剤と言える。
ドリンク剤を何本も飲んだり、毎日飲み続けると、カフェインの効きが悪くなったり、飲まない日は調子が悪く感じたりする。


結論を言うと、ドリンク剤は基本的には、あまり効果はない。値段による差もあまりない。
 「高いほうが効くはず」という気持ちが良い効果を生むことはあるかもしれない

少量の「アルコール」が入っているものは、緊張をやわらげるだろうし、
栄養素が多いものは、多少の体力回復に役立つだろうけれども、
ここぞという時に「効き目を信じて」飲めばいいかも。

注意:100%のオレンジジュースもたくさん飲めば糖分のとりすぎになる


****************アルコール~酒は万病に効く?


薬用アルコール

「アルコール」
ある性質を持つ化学物質をまとめた呼び方。いろいろな種類がある。
メチルアルコール=メタノール
(飲むと視神経に障害が起きて失明することもある。外国の安いお酒に混ざっていて事故になったケースがある。

エチルアルコール=エタノール
お酒のアルコールは、ほぼこれ

ブチルアルコール=ブタノール


●人とアルコールの歴史は8000年以上と言われる
理由は、生水を飲むよりも安全だったから(なるほど!
アルコールには、細菌を殺して消毒するはたらきもある。
日本でも、平安貴族は生水を飲まなかった(貴族だけ?
アルコールは、エネルギー源にもなるため、食糧事情や衛生面が悪かった頃は、大切な飲み物だった。

今のように当然のように食事をして、水を飲むようになってから、まだ100年もたっていない。
19Cにようやく水道が発達して、アルコールは楽しみのために飲むようになった。


●「酔う」という状況は?
アルコールを飲んだ時の反応は、人によって違う。
アルコールの作用は、神経の活動を低下させること。抑えつけがなくなるため、明るくなったりすると考えられる。
濃度が濃くなると、意識がなくなり眠くなる。最悪の場合は呼吸停止となる


●アルコールのゆくえ
薬を飲む・注射する血液で全身に運ばれる調子の悪いところを治す

その後・・・


肺でガスになる口から外へ
腎臓尿として外へ
肝臓で分解して胆汁へ便として外へ

「代謝」
体の中でものが変わること。物質をバラバラにすることを「分解」というが、代謝の一種。
薬を飲むと、代謝された物質のほうが作用が大きくなることがある。
飲み薬の場合は、体内に入ってから効果を発揮するよう工夫して、胃や小腸への影響を防いでいる。

アルコールは、飲むとすぐ腸から体に吸収される血中のアルコールは体中に送られ、脳にも浸透するため、神経活動を弱める。
体内に入ったアルコールの一部は、尿や吐き出す息から捨てられる。そして、90%は「肝臓」で代謝される/驚

「肝臓」
もっとも大きな内臓器官。消化を助ける胆汁をつくる。体内の有害な物質を無害に変えるなど。


●酒と肝臓の関係


アルコールは、肝臓で「アセトアルデヒド」に変わる酢酸二酸化炭素+水にまで分解される。
酢は無害だが、「アセトアルデヒド」は、吐き気、ほてり、ふらつき、頭痛など、不快な症状を引き起こす。
酒に弱い人は、この「アセトアルデヒド」を酢に変える力が弱いから。

「酵素」
「アセトアルデヒド」を酢に変えるのは「酵素」。
酒に弱い人は、この「酵素」が少ない人ともいえる。
この反応は、訓練である程度強くなる。たくさん飲むうち、この「酵素」の量が増える酒に強くなる。


「アルコール中毒」


「アセトアルデヒド」が出る理由は、不快な症状を起こして、アルコールの飲みすぎを防ぐため(
日本人は、欧米人よりこの酵素が少ないため、悪酔いしやすいが、アルコール中毒になりにくい。
「アルコール中毒」を治す薬には、アセトアルデヒドを酢に変える反応を止めるものもある。
→すぐ不快になって、飲む量が減る

中毒症状のしくみ
神経は抑えられることに反発して抵抗する。すると気持ちいい気分が弱まるため、ますますアルコールを飲む。
そして、アルコールがなくなると、今度は神経のはたらきが活発になりすぎて、ふさぎこんだり、手足が震えたりする。これが中毒症状。


●酒は肝臓を壊す
「アルコール性肝炎」
肝臓は必死に代謝するため、分解するたんぱく質だらけになる本来の機能が損なわれ、壊れはじめる。

「肝硬変」
酒を飲みすぎると「GOT」「GPT」「γGTP」という肝臓内の物質が血中に漏れ出す。
そして、肝臓の正常な細胞がなくなり、機能のない硬い細胞に置き換わる。

酒の飲みすぎは、他にも胃腸を痛める。

アルコールはストレスの解消になっても、害のほうがはるかに大きい。

「ストレス」
体の内外の刺激に対して、体が防ごうとする反応。さまざまな病気の原因にもなる(改めて意味を聞くとビックリ/驚


****************タバコ~百害あって一利なし



タバコの煙の成分
燃えると「二酸化炭素」「一酸化窒素」「窒素酸化物」+葉から発生する「ニコチン」。
「窒素酸化物」は、「光化学スモッグ」の原因物質。タバコを吸う=自動車の排気ガスを吸ってるのと同じ。

好奇心で吸い始める人が多い麻薬同様に止められなくなる。
体の具合を悪くし、味覚をおかしくするから食欲がなくなり、太りすぎを防いでくれるとも言える(逆の人もいるよね?

喫煙者は「アルツハイマー病」になりにくいという報告もあるが、
遺伝的要因+環境要因が一定でない研究が多いから、特定はできない。


「ニコチン中毒」
タバコが止められなくなる原因は、ニコチンの依存症になるから。
「ニコチン」は、少量だと神経細胞を活発化させるが、多いと逆に押さえ込んでしまう。
麻薬などと同様、最初は元気が出て気持ちが良いけど、それを維持するために使い続けて毒性レベルになる。
止めると、イライラしたり、不快になるため、止めるに止められなくなる。

「依存症」「中毒」
その薬がないと、いてもたってもいられなくなること。
心が欲するもの(麻薬など)と、体が欲するもの(飲み続けないと気持ちが悪くなる)の2種類ある。
飲み続けていると、体がその変な状態に慣れてしまうため、薬を止めると調子が悪くなる。


タバコのニコチンが溶けた水は猛毒

たとえタバコを食べてしまっても、胃液で吸収されず、大事にはならない。
「嘔吐」「下痢」は、体にとって有害なものを捨てることだから良い(絶対、ムリ

だが、タバコを水につけると、ニコチンはどんどん水に溶け出る。
これを飲んでしまったら、すぐに病院に行って治療しないと死んでしまう

麻薬は、凶悪な組織の資金源ともなっている


****************ホルモン

ホルモンのはたらき
・ある臓器から血中に分泌される
・血流にのって、別の臓器へ運ばれる
・そこで臓器のはたらきをコントロールする

体調が悪い時は、ホルモンのバランスが崩れていることも考えられる。

[薬として使われるホルモン]
インスリン→糖尿病
アドレナリン→ショック
ステロイド→炎症、痛み、発熱など
甲状腺ホルモン→甲状腺機能低下。多すぎると痩せるため、怪しい痩せ薬に混ぜられていることがある
男性ホルモン、女性ホルモン→性別を変える


「甲状腺ホルモン」

新陳代謝を調節している

重症だと眼球が飛び出す「バセドー病」は、「甲状腺ホルモン」が多すぎることが原因。
「甲状腺ホルモン」は少なすぎると、やる気がなくなるため「うつ病」と間違えられることがある。
補うと症状は治る。注射のほかに、ブタやウシの甲状腺を乾燥させたものを飲むこともある(そうなの?


●「性ホルモン」
体が男らしく、女らしくなるのは「性ホルモン」のはたらき。
最近は、栄養がよいため、人の成長が速くなっている。
ホルモンには、血流にのって、体中へ運ばれる性質があるのを利用して、
体外からホルモンを静脈注射すると、簡単に男性を女性にしたり、逆にもすることができる/驚


●「環境ホルモン」
ヒトの生活の過程で発生する、ホルモンのようなはたらきを持つ化学物質のこと。
体をこわす毒物ではなく、体の調節を狂わせる物質。
とくに、「女性ホルモン」と同じようなはたらきをする物質が問題となっている

ゴミを燃やすと出ることが多い。「ダイオキシン」もその1つ。
ホルモン作用のある物質が環境中に増えると体調が著しく変化することになる。

環境汚染は、みんなが加害者であり、被害者だから、すべてのヒトが取り組まなければならない。


犯罪傾向と環境ホルモンの影響!?
以前の犯罪は、自分が生き残るために、他人のお金をとるなど、目的がハッキリしていた。
最近は、何のためにその行動をとったのか不明な犯罪が増えている。
「天の声に命令された」とか、「とにかくやりたかった」など。
これらは、ひょっとすると環境に漏れ出した未知の化学物質が、感受性の高いヒトに影響を及ぼしたのかもしれない。


【ブログ内関連記事】
『廃棄物をへらす 地球環境をまもるアクション』(ほるぷ出版)
『アニマルアイズ1 動物の目で環境を見る ごちそう砦』(偕成社)
『ここまできた!環境破壊1 環境ホルモン汚染』(ポプラ社)
ここまできた!環境破壊2『ダイオキシンの恐怖』(ポプラ社)
『ローティーンのための食育1 心と体を育てる食育』(小峰書店)



●「副腎皮質ステロイドホルモン」
 
副腎は、、ホルモンを分泌し、血圧の調整、体温維持などのはたらきをしている

薬として馴染み深いのは「ステロイドホルモン」。
血圧維持に関係する「ステロイドホルモン」と、炎症をおさえる「副腎皮質ステロイドホルモン」がある。

「副腎皮質ステロイドホルモン」は、強力で、あっという間に炎症が治まる。
しかし、そもそも「炎症反応」は、敵と戦う防衛反応。
症状が治まっても、原因が残っていれば、防衛反応を抑えてしまって、悪化することもある。

「アレルギー」
敵がいないのに防衛反応だけが空回りして問題を起こす。
「副腎皮質ステロイドホルモン」が有効だが、「抵抗力」を弱めるため、別の外敵が侵入して、新たな病気になる危険がある

 
いろいろなホルモン剤/ステロイド剤


[おわりに]
最近は「分子生物学」という体のはたらきをより詳しく研究する学問が発展している。
それでも、新しい薬を飲んだ時に、どんなことが起こるかは、なかなか分からない。

医療の世界でも、しっかりとした学術的根拠に基づいた治療をしようという動きが進められている。
だが、まだその段階にはほど遠いため、医者の勘や、経験に基づく「さじ加減」がまだまだ大切。

薬を飲む時は、医者まかせではなく、ネットなどで調べてみよう。
疑問が湧いたら、担当の医者に相談するのもいい。



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