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本屋さんのすべてがわかる本2『調べよう! 日本の本屋さん』(ミネルヴァ書房)

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本屋さんのすべてがわかる本2『調べよう! 日本の本屋さん』(ミネルヴァ書房)
稲葉茂勝/文

本屋さんのすべてがわかる本1 調べよう! 世界の本屋さん(ミネルヴァ書房)

第2巻目。

日本の本は、中国の仏教経典として入ってきたとか、初の翻訳書もキリスト教関連とか、宗教絡みが多かったんだな。

最初は、本の制作から、売るまで1つの会社でやってたのが、民衆にも知識が必要だと分かってから
どんどん広まる過程で、分業していったことも分かった。
これまで出版社や、編プロで、パソや紙ばかり見てきたから、こうゆう全体像を改めて知ることができたのは貴重。とくに「取次」とか

明治頃からずぅっと現代まで続いている本屋さんもあって、スゴイ!
そして、電子書籍が出てきたり、amazonで手軽に買えるようになったり、本屋の形態も随分と変化した。


【内容抜粋メモ】

書物の定義
・コミュニケーションツールとして役立つ
・文章、絵などで内容を伝える
・出版、流通する

******************日本に渡ってきた本

「暦本」中国→朝鮮から伝わったカレンダー。
「物の本」宗教、学問などが書かれた本(ハウツー本みたいな?
江戸時代、「物の本」を売る商いが始まる「本屋」のはじまり。印刷して出版する店を意味していた。


******************日本の出版はお寺から

「五山版」鎌倉~室町時代にかけて仏教書の出版が盛んだった。
「開版」版木を彫って印刷する。中国から職人さんが来日した。この頃は無料。
「応仁の乱」で京が戦乱に巻き込まれて衰退する。
江戸時代には商人が「開版」をし、営利目的になった。


******************日本最古の書物とは?

『法華義疏(ほっけぎしょ)』日本最古の書物。法華経の解説書。
『古事記』奈良時代の最古の歴史書。推古天皇について。
『日本書紀』奈良時代の歴史書。持統天皇について。「日本の最古の正史」と言われるが事実と異なる部分もある

『百万塔 陀羅尼(ひゃくまんとう だらに)』日本にある世界最古の印刷物。770年に制作。霊をなぐさめるお経。

「春日版」平安時代後期に興福寺で出版。
「高野版」平安時代後期に高野山で出版。
「五山版」につながる。


******************新たにもたらされた印刷技術

安土桃山時代に、イエズス会の宣教師が「金属活字」を持ち込んだ


活版印刷機(複製)

「キリシタン版」16~17C、イエズス会によって出版された本。
江戸幕府が出した「キリシタン禁教令」で宣教師は国外追放。「金属活字」も印刷機器も持ち出され、途絶えた。

豊臣秀吉が「朝鮮出兵(1592)」で金属活字を持ち帰った。
(『官兵衛』では朝鮮出兵でモメてるけど、文化の流通にもなったってことか。善悪って簡単に決められないものだね

「慶長勅版」後陽成天皇(ごようぜいてんのう)が命令して印刷した本。
「金属活字」は莫大な費用&時間が必要だから、実際は木版が主流だった。


******************日本の出版文化は京都から

 
「法藏館(ほうぞうかん)」で使われた版木/日本最古の本屋「永田文昌堂(ながたぶんしょうどう)」(江戸時代)

「本屋新七」商人として初めて出版を行い、「本屋」と名乗った。


「永楽屋」(名古屋)の復元

「駿河版」徳川家康は、武力でなく、学問や制度で統治しようとした。
「寺子屋」が広まり、庶民も読み書きができ、出版ブームが起きる。
元禄期には、400軒ほどある本屋の9割が京都にあった。
江戸時代中期以降は、出版文化は江戸に移る。

「須原屋茂兵衛(すはらやもへえ)」江戸最大の本屋として繁盛した。
「蔦屋重三郎(つたや じゅうざぶろう」浮世絵を大流行させた。現在のTSUTAYAの名前の由来にもなっている


蔦屋重三郎の本屋「耕書堂」の店先


******************庶民に読書を広めた貸本屋


貸本屋(1952)

19Cには、江戸に650軒もの貸本屋があった。
本屋から仕入れ、常連客を回って貸し出した。1軒の貸本屋に約100人以上の常連客がいたという。
借りる人は「見料」を払う。本の値段の約1/6。

「吉川弘文館(よしかわこうぶんかん)」現存する出版社の中でも長い歴史を誇る。
「寛政の改革」や「天保の改革」で倹約・風俗粛正が命じられ、本は贅沢品とされた

(水木サンの自伝にも貸本屋さんが出てきたよね? 気になる。

「仮名草子(かなぞうし)」平仮名で書かれた小説。
「浮世草子」へと発展。町人の日常生活を書いた。

「イソップ物語」西洋文学が初めて和訳された。1593年。「ウサギとカメ」「アリとキリギリス」「北風と太陽」など。
「解体新書」西洋の医学書で初めて和訳された。1774年。
「洒落本」「滑稽本」「人情本」江戸中期~後期、町人の生活を描いた。

「浮世絵」
世俗を主題にした絵。芝居、大相撲、美人画が人気。当時は芸術とは思われていなかったが、
1880年「ジャポニズム」が高まり、高く評価され、海外に流出した。
多くの本屋が浮世絵の版元となった。

「かわら版」
新聞のような情報誌。事件が起こると速報が街頭で売られる。
記事を面白おかしく読んで売り歩いたため「読売」と呼ばれた。


******************明治・大正時代

明治の本屋は、日本の「文明開化」に大きく貢献した。
「義務教育」がはじまり、国民の学習意欲が高まった


『武徳鎌倉旧記』の版木/『西洋雑誌』日本最初の本格的な雑誌(1867)

「本木昌造(もときしょうぞう」オランダから活字と活版印刷機を購入、出版した。
「横浜毎日新聞」(明治3年)に創刊した日本初の日刊新聞の印刷にも本木は協力した。

 
活版印刷による「横浜毎日新聞」第1号/福沢諭吉『学問のすすめ』の初版



[明治に創業した本屋さん]
丸善:初めて洋書の輸入販売を行った


三省堂書店:1881年、神保町で創業。『袖珍コンサイス英和辞典』(1922)を発売し、年間数十万部という驚異的な発行部数を記録。

岩波書店:1913年、神保町で古本屋から創業。「岩波文庫」「岩波新書」を創刊。


明治初期の日本橋店


夏目漱石『明暗』発売日の店頭

講談社:
「大日本雄弁会講談社」が創刊した雑誌『キング』は「一家に一冊」という宣伝文句で、広告に力を入れ、
豪華な付録もつけて、昭和3年には150万部を突破した。

有隣堂

大日本印刷

凸版印刷
・東京書籍(日本最大の教科書会社)
・フレーベル館
「印刷博物館」は行ったことある


******************古本屋のはじまり

神田神保町にある日本一の古本屋街(1960年代)。世界最大の「本のまち」

「本のまち」
大正~昭和初期、近辺に現在の東大、明治大学、中央大学、日本大学、専修大学が創立され、古本が安い値段で取引された。
都内には、本郷、早稲田大学のある早稲田にも古本屋街がある。
京都には百万遍、大阪は日本橋(今は梅田が古本街)、名古屋は鶴舞などにできたが、めっきり減った


******************取次のはじまり


トーハンの物流センター

明治には、印刷→製本→出版→卸売り→小売りという分業化がはじまった。

「取次」
卸売り専門の問屋。当時は「売捌所」と呼ばれた。博文館が「東京堂」を立ち上げたのがはじまり。1890年。
その後、「東海堂」「北隆館」「大東館」をくわえた4つが本格的な流通システムをつくった。
戦後「東京出版販売(トーハン)」、「日本出版販売(日販)」。


「取次」とは?
 

出版業界の流通を担当。書籍が発売予定日に並ぶのも「取次」のおかげ。
各々運べば運賃が高くなるが、「取次」を通せば全国どこでも同じ値段で買える。
「委託販売制度」「定価販売制度」の確立にも関係する。


******************戦後の本屋さん

 
空襲で焼け野原になった池袋駅(1945)/1947年に建て直した「紀伊国屋書店」

「紀伊国屋書店」昭和2年、新宿に創業。
「新栄堂書店」昭和21年、池袋に創業。
「旭屋書店」昭和21年、大阪で創業。


全国の本屋の件数(小さい本屋が減り、大きい本屋が増えている


本屋と学校のつながり
「外商活動」店から外に営業に出掛けること。本屋は地元の学校にも教科書や図書館の本を配達する。
県には1つ以上の教科書配給会社があり、出版社から本屋に届けている。


******************日本の本屋さんの2つの特徴

「委託販売制度」
明治後半からはじまった。取次が新刊本を出版社から預かり本屋に預けるシステム。
実業之日本社の雑誌『婦人世界』がきっかけ。
売れなかった本を返品できるが、返品率の増加につながる。

「定価販売制度」(再販売価格維持制度・再販制度)
新刊本は、全国どこの本屋でも同じ定価で売らなければならないというシステム。
明治に本の値引き競争で混乱したため、大正になってつくられたが、最近は崩れ始めている。
デメリットは、値下げセールができない。


「リアル書店」
町にある本屋さん。買おうとしていた他の本にも偶然出会える。
店員さんに質問したり、作家のサイン会などのイベントもある。

「ネット書店」
24時間いつでも買える。検索機能の充実。珍しい本が入手可能。
デメリット:レビューには、評価を故意に低めるものもある。


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