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『環境とリサイクル10 うめたて処分場』(小峰書店)

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『環境とリサイクル10 うめたて処分場』(小峰書店)
半谷高久/監修 江尻京子/指導 本間正樹、大角修/文 菊池東太/写真

私が先日、粗大ゴミとして捨てたCDプレイヤーも、今ごろは破砕されて埋め立てられたのかな・・・?
修理代のほうが高いし、1つずつの部品が何かに使えたらいいのにと思うけど、その術が分からない。

本書を読むと、毎日、無意識に買っては、捨てているモノが、最終処分場に埋められることで
森を壊し、海を壊し、汚水や、ダイオキシン、メタンガスなどをずぅっと永遠に監視していかなきゃならない現実が見えてくる。

一般ゴミもそうだけど、産業廃棄物の量もハンパじゃない。もう埋め立てる場所も見つけられなくなるし、
未来の製品は、捨てたら全部、土に還るものじゃなきゃダメなんだ。

全12巻あって、それぞれ日々気になっているゴミのことが取り上げられている。
2003年初版だから、その後の事情もまた変わっている可能性もある。


【内容抜粋メモ】

[前文]
ごみ問題の発生は、現代の大量生産&大量消費社会の構造と深い関係がある。
このシリーズでは、ものづくりとごみ問題の関係を解明することに努めた。


うめたて処分場とは?
・自治体がつくっているところ
・民間の産業廃棄物の処分場


日の出町二ツ塚廃棄物広域処分場@東京都西多摩郡日の出町

東京都西部の26の市と町の共同施設で、ごみ処理場から「焼却灰」が運ばれてくるほか、不燃物を埋め立てている
山の谷間にあり、250万m3もの廃棄物を埋め立て可能。


「焼却灰」

うめたて処分場=最終処分場とも呼ばれる。


昔は、可燃ごみの約20%をそのまま埋め立てていたため、臭いが酷く、鳥が集まり、
ハエなどの害虫を駆除するため、殺虫剤も大量にまいていた


************************ゴミを埋める方法

埋め立て場のつくり方

海との間にしきりをつくり、内側に土砂を埋めて道をつくり、またしきりをつくり、小さな区画から埋め立てていく

「サンドイッチ工法」
ゴミが3mの高さになると、その上に土を50cm重ねる繰り返し。
ゴミが風で飛ばされたり、悪臭やハエなどが発生するのを防ぐ、
また、ゴミだけでは地盤が安定しないので土で固めている。
建設工事現場などから出た土をためておいて、埋め立てに利用する。


「ごみ山」建設現場ででるコンクリート片などを利用して通路をつくり、ゴミ運搬車が通る。
護岸の強さには限度があるので、ごみ山は高さ30mまでと決められている。


************************海にひろがる処分場


東京湾のうめたて処分場「中央防波堤埋立処分場」(2001)

東京都には、東部23区と、西部の多摩地区の2つの地域がある。
多摩地区の武蔵野と呼ばれるところのゴミは「二ツ塚廃棄物広域処分場」に行く。
23区のゴミは、海底トンネルをくぐらないと行けない東京湾のうめたて処分場に行く。「中央防波堤埋立処分場」

23区が2001年に収集したゴミは約360万トン。燃やしたり、資源回収して、最終的には94万トンを埋め立てた。
それより多いのは、産業廃棄物(建設現場の廃材、プラスチックくず等)で、都内全体のうめたて処分344万トンの25%(1998)。

ごみ処理の流れ


埋め立てるモノの重さより、かさ(体積)がポイント。2001年は350万m3。

「中間処理」
体積を減らすため、リサイクルが重要。
埋め立てるには、建設工事で出る土、浚渫(しゅんせつ。海底・河床などの土砂を、水深を深くするために掘削すること)で出た土や、覆土材が必要。


もう一度燃やして埋める
東京湾のうめたて処分場の一部では、昔埋めたゴミを掘り返し、高温で燃やして、また埋めることで体積を減らし、処分場を長持ちさせている。


************************不燃ゴミ・粗大ゴミのゆくえ

 

23区の不燃ゴミ・粗大ゴミの「中間処理施設」は、東京湾のうめたて処分場のそばにある。
最終処分量を減らすため、「破砕」「資源回収」等の「中間処理」をしている。

不燃ゴミ(陶器、金属製品):細かく砕いて、鉄・アルミニウムを回収してから埋める。
粗大ゴミ(机・椅子など):同上。木材は燃やす(木は木にリサイクルしないとなあ・・・


腐りにくいプラスチックごみ

ポリ袋などは薄いため、機械を通り抜けてしまう

ポリ袋、ペットボトルなどは、焼却炉の壁にこびりついたり、ダイオキシン類などの化学物質を発生しやすい。
埋めても腐らず、いつまでも残るため、処分場をすぐいっぱいにしてしまう。
有害ガスが出ない焼却炉にする、熱を発電等に利用するなど工夫している。


************************安全に埋め立てる工夫

処分場の周辺には、人家、田畑、果樹園がある。
処分場をつくるには、まず、住民とよく話し合うことが重要
新たに処分場をつくる土地は簡単には見つからない。処分場の不足が深刻化している。

うめたて処分場のしくみ



汚水の処理と管理がもっとも重要

排水処理施設

処分場に降った雨が、ゴミ内の有害物質(水銀・鉛・亜鉛等の重金属類、ダイオキシン類などの化学物質)を溶かして川や地下水を汚す危険がある
水質調査、動植物等への影響をずっと検査し続けている。

東京湾の処分場は、地下に「防水シート」を貼っていない。地下が粘土層だから必要ないとのこと(ほんとに大丈夫?
もとは海底で、土地に傾斜がないから、水は流れ出さないため、地下にパイプを入れて汚水を集め、下水処理場と同様のしくみで浄化している。

汚水処理のプロセス
1.調整池:埋め立て場の排水をためる
2.生物処理:微生物のはたらきで汚れを分解
3.物理化学処理:薬品をつかって汚れを取り除く
4.物理処理:砂、活性炭でろ過する
5.下水道に流す。一部は散水等に利用



ゴミ運搬用トラックのための道路整備も必要
 
空気のシャワーでトラックの汚れを落とす/タイヤのゴミを落とす橋

  
排水溝/ガス抜き用の鉄パイプ/監視カメラと気象観測機器。パトロールし、異常があれば消防車がくる

メタンガスの発生:木、紙くず、食べかす等の有機物を微生物が分解して発生する。地下にたまって火事になることがある

 
ホコリが飛ばないよう水をまく/ゴミが飛ばないよう処分場を高いフェンスで囲む

建設後も施設を公開するなどして、住民との話し合いが重要。


************************埋め立て処分場周囲の自然、リサイクル


処分場の地下から染み出した水をためておく池。ビオトープなどにも利用されている。池には野鳥、トンボ、魚などもいる


処分場は雑草で覆われる。東京湾は風が強いので、「風力発電施設」が建設される予定

埋立地から出るガスを発電施設に送るパイプ


ガスはゴミを埋めてから何十年間も出る。それを集めて、発電用燃料として利用している。
ガスは1日に約1万6400m3集まる→最大960kWの電気がおこせる
発電施設から出る排ガスは、大気汚染となる窒素酸化物を除いて、プラスチック減容施設に送り、その熱で溶かしている。


ゴミから土になるのに何年かかる? 例:紙、木材等の有機質のゴミ
浅いところにいる好気性の微生物が分解二酸化炭素、アンモニア、水等を出す分解されにくい「腐食質」が地中に残る。
深いところでは、嫌気性の微生物が分解メタン等を出す「腐食質」が地中に残る。

その速さは、ゴミの質、埋め立て方、気象条件によって変わるが、
大体、生ゴミで20年、紙は50~100年(!)、木や竹で200年かかると言われる。


************************埋め立て跡地の利用

若洲海浜公園
ガスに引火する可能性があるため、禁煙のルールがある

夢の島公園

一般的に、埋め立て跡地は、テニスコートやゴルフ場、公園等に利用される。
少しずつ地盤が沈むので、建物はたてにくい。定期的に地盤を調査しているが、30年前の処分場はまだ地盤沈下し続けている


人体への影響
NY州のラブ・キャナルという運河では、1947年から11年間、化学工場が2万トン以上の産業廃棄物を捨てて埋め立てた。
その跡地に、住宅、小学校を建てたところ、10年以上経ってから、流産、先天異常が増加した。
調査すると、土や、水、大気にダイオキシン、PCB等が発見された。


************************埋め立て処分場がなくなる

 
1977年と2000年の東京都の埋め立て処分場の比較

埋め立てることのできる海は少なくなった
全国には、自治体の処分場が約1900ヶ所ある。中には汚水管理が不十分、防水シートがない施設が538ヶ所ある(1997)。
産業廃棄物の処分場は2800ヶ所ある。基本的には、工場・建設会社が専門の「廃棄物処理業者」に依頼しているが、
「不法投棄」問題が絶えず、営業停止させられるところもある。


[まとめ]

ゴミ処理の流れ
1.回収
2.中間処理
3.最終処分:焼却後の不燃ゴミ、粗大ゴミの破砕くず(プラスチック片、陶器、ガラス片等)を埋め立てる。

産業廃棄物は、工場・建設現場・農場等から出るゴミを埋め立てる。


埋め立て処分場をつくる場所
1.山を切り開いたり、谷間を利用する。
2.平地を掘る。
3.海を埋め立てる
4.池、沼を埋め立てる。

このうち、もっとも多いのは、1と3。海は、干潟のような浅い海につくられる。
とくに東京は、東京湾沿岸を埋めて工場団地、住宅地を建てたため、埋め立てに適した海は、ほとんど残っていない。

大切な干潟の自然
名古屋市の藤前干潟は、自然保護のため住民の強い反対があり、とりやめになった。
「藤前干潟を守る会ホームページ」


埋め立て処分場の管理
産業廃棄物は、埋め立てるモノによって次のタイプがある。

遮断型:汚水が染み出さない構造
管理型:防水シートをしいた構造
安定型:防水シートをしいていない構造(どこが安定なんだ?

しかし、施設の整備等にお金がかかるため、空き地に不法投棄する問題が絶えない。


埋め立て処分場の不足
新しくつくろうとすると、候補地の住民から反対の声が出る(そりゃそうだ)。主な理由は、
収集車が来て、交通量が増える
悪臭、ハエが心配
土、地下水が汚れるのが心配
土地のイメージが悪くなる


埋め立て処分場を減らす対策
今の処分場を長く使う工夫をする。「中間処理」

エコセメント
焼却炉の灰をセメントに加工してコンクリートに利用する(コンクリート自体もうやめようよ・・・


●関連サイト
古紙再生促進センター
プラスチック循環利用協会
自動車リサイクル促進センター
紙製容器包装リサイクル推進協議会
グリーン購入ネットワーク事務所
クリーン・ジャパン・センター


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