■『シャイニング』スティーヴン・キング著
(ノートから感想メモを記載しました
▼あらすじ(ネタバレ注意
ROXで上巻を買ってから、急ピッチに読んでしまった。
コロラド州の山奥にそびえ建つ、スティーヴン・キング建設の壮大にして、重い歴史を持つ『OVERLOOK HOTEL』。
何百年という長い年月を経るうちに、支配人が次々と移り変わり、何度も不況を乗り越えながら、
数えきれぬ人々(実在する人物も含めて)を魅了してきたホテル。
ある時は、217号室で、老いた女が若い愛人を待ち焦がれて浴室で自殺し、
ある時は、ギャング同士の撃ち合いで何人かが殺され、
ある時は、庭園で遊んでいた子どもが誤って事故死。
その他、永遠に“見えない泊り客”となった者は数知れない。
そして、冬。
永遠に続くと思われる、雪という鉄壁に閉ざされ、非人間的な場所に閉じ込められるひと冬の代理管理人。
グレイディは、その中でゆっくりと正気を削られ、遂には双子の娘と、妻の首を斧ではね、自らの命も絶った。
これら、姿なき客たちの夜ごとに繰り広げられる華麗で退廃的なパーティは、
「かがやき(shine)」を持つ、一人のまだ6歳にもならない少年ダニーが鍵を回し、
時計がきっかり12時を打ち、パーティに集まった連中一斉に仮面を脱ぎ捨て、
見るも恐ろしい醜い本性を現して、いよいよ勢力を奮う瞬間を今か今かと待っている。
トランス家は、傍目には愛情によって結ばれている素晴らしい家族だが、
その3人の内なる魂の奥には、それぞれ巨大な爆弾を抱えている。
妻ウェンディは、彼女の母のイメージを、ダニーは自分でもコントロールのきかない大きな未知の力を、
そして、父ジャックは、禁酒によって極限まで追い込まれた“癇癪”を
ホテルの本当の支配人は、まずジャックにそっと忍び寄る。。。
ダニーの5、6年後の存在?であるトニー(もう1つの人格)が何度も警告したにも関わらず、
このホテルに来なければならなかったのは、経済的にもう後戻りが出来なかったから。
男は家族を愛しながら、養い続けなければならないプレッシャーを背負っていた。
ジャックは、ホテルが用意したスクラップブックを見つけ、そのスキャンダラスな歴史の数々にすっかり取り憑かれてゆく。
次第に正気を失いはじめ、ダニーが心から愛している、そして心からダニーを愛している、
ウェンディが心から愛している、そして心からウェンディを愛している、ジャックは消え、
母を杖で殴りつけ、飲んだくれで暴力的だが、心から愛していた彼の父親と同様に、
ブキミなロークの杖を振りかざしてウェンディを襲い、ディックを襲い、
とうとうダニーを追い詰める。
だが、彼は忘れていたのだ。とても重要なことを
******************************
S.キングが嫌うことを敢えて言わせてもらうなら、映画の『シャイニング』は、原作とやはり違っていた。
スズメバチや、夫婦の両親についての、重要で恐ろしい思い出、その影響力などは描かれていない。
よって映画では、ジャックがあくまでも行き詰った小説家として狂人と化してしまう結末になっている。
細かな心理描写はムリにせよ、キングの世界を見事に映像化していて、心理ホラーとして映画にはまた別の素晴らしさがある。
そして、原作には、これらの細かい描写により、さらにスケールが大きく、奥が深い長編小説として見事に完成している。
作者が作品中でも言っている通り、作中人物それぞれに好感と共感が感じられ、
特にダニーと、人の良い黒人コック、ディックとの関係性は忘れ難い。
幼くしてその神秘な力のために、信じがたい恐怖の中で、
実に様々なことをいっぺんに悟らなければならなかった少年ダニー。
彼が成長したら、『デッド・ゾーン』のジョン・スミスみたいになるんじゃないかしら?
脆くて、純粋で、限りない未来を抱えていて、未熟で・・・世界中の子どもはみな天使なんだ。
そんなことを言ったのは誰だったろう?
『ミザリー』も、小説家のストーリーだし、キングって夫婦の危機の話も多いのは実話が基になってたりする?
構想の斬新さといい、スケールの大きさといい、リアルな情景描写といい、まさに「20世紀のモダンホラーの王さま」
映画など映像の世界とのつながりも多いし、世界のミリオンセラー作家と呼ばれるのもうなづけます。
「ああ、こんな時こそ一杯やれたら」
可哀想なジャック。
ホテルが生み出した数えきれないまやかしの中で、唯一の真実は、父は幼い息子を心から愛していたということだ。
「ああ、神さま、お願いです。この子が大人になってもまだ母親を愛してくれますように」
「ここから逃げるんだ。急いで。そして忘れるな。パパがどれだけお前を愛しているかを!」
「元気を出して、どこまでも前を見て進みつづけることだ。そうするのが、この辛い世の中で生きていくための人間の務めなんだ」
(ノートから感想メモを記載しました
▼あらすじ(ネタバレ注意
ROXで上巻を買ってから、急ピッチに読んでしまった。
コロラド州の山奥にそびえ建つ、スティーヴン・キング建設の壮大にして、重い歴史を持つ『OVERLOOK HOTEL』。
何百年という長い年月を経るうちに、支配人が次々と移り変わり、何度も不況を乗り越えながら、
数えきれぬ人々(実在する人物も含めて)を魅了してきたホテル。
ある時は、217号室で、老いた女が若い愛人を待ち焦がれて浴室で自殺し、
ある時は、ギャング同士の撃ち合いで何人かが殺され、
ある時は、庭園で遊んでいた子どもが誤って事故死。
その他、永遠に“見えない泊り客”となった者は数知れない。
そして、冬。
永遠に続くと思われる、雪という鉄壁に閉ざされ、非人間的な場所に閉じ込められるひと冬の代理管理人。
グレイディは、その中でゆっくりと正気を削られ、遂には双子の娘と、妻の首を斧ではね、自らの命も絶った。
これら、姿なき客たちの夜ごとに繰り広げられる華麗で退廃的なパーティは、
「かがやき(shine)」を持つ、一人のまだ6歳にもならない少年ダニーが鍵を回し、
時計がきっかり12時を打ち、パーティに集まった連中一斉に仮面を脱ぎ捨て、
見るも恐ろしい醜い本性を現して、いよいよ勢力を奮う瞬間を今か今かと待っている。
トランス家は、傍目には愛情によって結ばれている素晴らしい家族だが、
その3人の内なる魂の奥には、それぞれ巨大な爆弾を抱えている。
妻ウェンディは、彼女の母のイメージを、ダニーは自分でもコントロールのきかない大きな未知の力を、
そして、父ジャックは、禁酒によって極限まで追い込まれた“癇癪”を
ホテルの本当の支配人は、まずジャックにそっと忍び寄る。。。
ダニーの5、6年後の存在?であるトニー(もう1つの人格)が何度も警告したにも関わらず、
このホテルに来なければならなかったのは、経済的にもう後戻りが出来なかったから。
男は家族を愛しながら、養い続けなければならないプレッシャーを背負っていた。
ジャックは、ホテルが用意したスクラップブックを見つけ、そのスキャンダラスな歴史の数々にすっかり取り憑かれてゆく。
次第に正気を失いはじめ、ダニーが心から愛している、そして心からダニーを愛している、
ウェンディが心から愛している、そして心からウェンディを愛している、ジャックは消え、
母を杖で殴りつけ、飲んだくれで暴力的だが、心から愛していた彼の父親と同様に、
ブキミなロークの杖を振りかざしてウェンディを襲い、ディックを襲い、
とうとうダニーを追い詰める。
だが、彼は忘れていたのだ。とても重要なことを
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S.キングが嫌うことを敢えて言わせてもらうなら、映画の『シャイニング』は、原作とやはり違っていた。
スズメバチや、夫婦の両親についての、重要で恐ろしい思い出、その影響力などは描かれていない。
よって映画では、ジャックがあくまでも行き詰った小説家として狂人と化してしまう結末になっている。
細かな心理描写はムリにせよ、キングの世界を見事に映像化していて、心理ホラーとして映画にはまた別の素晴らしさがある。
そして、原作には、これらの細かい描写により、さらにスケールが大きく、奥が深い長編小説として見事に完成している。
作者が作品中でも言っている通り、作中人物それぞれに好感と共感が感じられ、
特にダニーと、人の良い黒人コック、ディックとの関係性は忘れ難い。
幼くしてその神秘な力のために、信じがたい恐怖の中で、
実に様々なことをいっぺんに悟らなければならなかった少年ダニー。
彼が成長したら、『デッド・ゾーン』のジョン・スミスみたいになるんじゃないかしら?
脆くて、純粋で、限りない未来を抱えていて、未熟で・・・世界中の子どもはみな天使なんだ。
そんなことを言ったのは誰だったろう?
『ミザリー』も、小説家のストーリーだし、キングって夫婦の危機の話も多いのは実話が基になってたりする?
構想の斬新さといい、スケールの大きさといい、リアルな情景描写といい、まさに「20世紀のモダンホラーの王さま」
映画など映像の世界とのつながりも多いし、世界のミリオンセラー作家と呼ばれるのもうなづけます。
「ああ、こんな時こそ一杯やれたら」
可哀想なジャック。
ホテルが生み出した数えきれないまやかしの中で、唯一の真実は、父は幼い息子を心から愛していたということだ。
「ああ、神さま、お願いです。この子が大人になってもまだ母親を愛してくれますように」
「ここから逃げるんだ。急いで。そして忘れるな。パパがどれだけお前を愛しているかを!」
「元気を出して、どこまでも前を見て進みつづけることだ。そうするのが、この辛い世の中で生きていくための人間の務めなんだ」