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『環境とリサイクル4 家電製品と粗大ごみ』(小峰書店)

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『環境とリサイクル4 家電製品と粗大ごみ』(小峰書店)
本間正樹/文

『環境とリサイクル7 衣類』(他3冊のリンクもあり)

「図書館用堅牢製本」=市販されてる本よりも丈夫な製本をされて、図書館用として売られる本。
へえ! 初めて知った。図書館専用に作られている本もあるのね/驚

2003年初版本のため、ブラウン管テレビやガラケーが取り上げられているところに時代を感じるけど、
どのみちヒトが使う電気ものは、ゆくゆくはゴミになるということと、
メーカーがどんどん新商品を出すたびに、買い換えるヒトがいるから、
まだ使えるモノが、まだ使えるうちに急スピードで捨てられているっていう現実が分かった。


【内容抜粋メモ】
いきなり秋葉の電気街の写真が大型本1ページ分ドーンて載せられているのにビックリ。

************************************主な家電製品


主な家電製品の普及率のうつりかわり

「テレビ」

外部は、モニターのブラウン管(ガラス)と外箱(プラスチック)。日本で一般放送が始まったのは、1953年から。

「洗濯機」

家庭に広まったのは1960年代。洗濯機の普及で、衣類を洗う回数が増え、
合成洗剤が多く使われ、排水が川や湖に流れ、水質悪化が問題となった。

「冷蔵庫」

冷蔵庫の「冷媒」は、大気中に出ると、オゾン層を破壊する「フロン」が使われていた。
今はフロンに代わるガスになっているが、古い冷蔵庫にはまだフロンがあるので回収する必要がある。

「エアコン」

主な材料は、金属、プラスチック


************************************家電製品の広まり

日本で家電製品が広まったのは1960年くらいから。
テレビは、1カ月分の給料以上でとても高価だった。

それでも買いたい人が増え、メーカーはどんどん製品をつくった。

すると、値段が下がって買いやすくなり、性能も新しくなる。
そのため、新しく買い換える人が増えて、まだ使える古い型がたくさん捨てられた。

同様に、家具の量も増えて、「粗大ゴミ」の量が増えていった。


************************************粗大ゴミの収集

 
東京都の粗大ゴミ処理施設/粗大ゴミを破砕する機械に送り込む

多くの市町村で「粗大ゴミ」とされるのは、家電製品、家具、マットレス、庭木の枝など。
それらは、金属、木材、皮革、布、プラスチックなど、いろいろな材料でつくられている。

粗大ゴミの処理施設は、23区で、5万4000トン/年(2001年)。


●処理のながれ
1.収集
2.「破砕処理」
3.選別

電気の力でアルミニウムをはじきとばして回収する

4.燃やすor資源回収「中間処理」
5.燃やしたあとの灰、燃やせないものは、埋め立てる「最終処分」


埋め立て処分場では、ブルドーザーでゴミを押しつけて体積を小さくしている


************************************粗大ゴミから出る有害物質

フロン
フロンは、回収しても非常に分解しにくい。
2002年「フロン回収破壊法」が施行されたが、義務付けられているのは業務用エアコン、カーエアコンのみ。

フロンとオゾン層
フロンガスがオゾン層を破壊するしくみは1970年代にわかっていたが、
実際に南極上空でオゾンホールが発見されたのは1985年。
1987年に生産量を半減する国際協定「モントリオール議定書」が成立、
1995年に使用をやめると決めた。

現在は「代替フロン」に切り換えているが、「影響が少ない」ので無害ではない。
フロンガスがオゾン層に達するのは約10年かかると言われる。
フロンの放出を止めても、その後10年間はオゾン層にたまる。


PCB
体内に入ると、がんになったり、奇形児が生まれやすい「有害物質」。
1972年に製造が禁止された フロン同様に分解しにくい。
長期間、土や水に残り、拡散するため、世界各地の魚、クジラの体内から検出されている。

フロンもPCBもヒトが人工的につくり、「安価で便利だ」と大量に使用してきたが、
環境への影響、処理方法まで考えなかったのが、環境破壊の原因となった。
(研究者もバカじゃないんだから、ある程度は分かっていたんでしょうよ


ゴミとなった家電製品の山

上のゴミの写真は、1993年の「産業廃棄物処理業者」の作業場のもの。
回収後に残った「シュレッダーダスト」には、もとの製品の材料が混ざり合っている。
その中には、健康に有害な「水銀」「鉛」「カドミウム」等が高濃度で含まれることもある。
有害物質が漏れ出し、汚水が染み出さない構造の処分場にする必要があるが、
そうでない処分場もたくさんあり、川や地下水に流れている可能性がある


*********************************「家電リサイクル法」(特定家庭用機器再商品化法)

粗大ゴミの中でも処理が難しいのが家電製品。
さまざまな素材が使われ、「合金」など特殊な素材も使われているため。
処理費用の多くは税金。有料で収集しても費用の一部にすぎない。

製品をつくる時から、資源を回収しやすく設計することが重要。
例:プラスチックの種類を減らす。部品を分解しやすくする工夫。

そのため、2001年「家電リサイクル法」で、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の4つは、
電気店やメーカーが処理することが義務付けられた。

製造業者等
製造した特定家庭用機器がゴミになったら、引き取り、適切にリサイクルする。

消費者
特定家庭用機器を捨てる時は、決められた手順で、収集・運搬費・リサイクル料金を払う
例:エアコン(3500円)、テレビ(2700円)、冷蔵庫(2400円)、洗濯機(4600円)(2002年)

小売業者
過去に販売した特定家庭用機器を消費者が捨てた時、買い替えの時、古い機器の引き取りを求められたら、
引き取って製造業者等に引き渡す。


●処理のながれ
1.プレス機で押し潰す。


2.破砕機→シュレッダー
3.鉄とそれ以外に分けて回収
4.「シュレッダーダスト」を埋め立て処分する


************************************携帯電話のリサイクル

 
携帯電話は「都市の鉱山」と呼ばれる/モバイル・リサイクル・ネットワーク

2002年の契約数は、「PHS」(!)を含めて8700万台。
次々と新しいサービス・機能ができ、2001年度は約3700台が不用品になったと推定。
回収されたのは約1300台(35%)。
それでも、自然の鉱山から採掘&製錬するより、ずっと効率的で、自然環境への悪影響も減らせる。


●携帯電話から回収できる貴重な資源
1台につき、金28mg、銀189mg、パラジウム14mgといわれる。


●携帯電話のリサイクルのしくみ
1.プラスチック等に再生
2.破砕
3.燃やすor薬品などで処理
4.金属回収、燃えかすはセメント原料、道路舗装材に使う


************************************電池のリサイクル


電池は電池に再生or燃やす→金属回収


●電池は大きく分けて2種類
「一次電池」(充電不可能)
マンガン乾電池(中にはプラス極合剤を使用)、リチウム乾電池ゴミになる量が多い

「二次電池」(充電可能)
ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池など。
円筒形、ボタン型、スティック型など。
プラスチックのケースに密封されて外から見えない電池もあって回収に困る。


●有害な「水銀」
以前は「有害性ごみ」として収集していたが、今では国産の乾電池に水銀は使っていない。
同様に、水銀を含むゴミで量が多いのは「蛍光管(蛍光灯)」。


乾電池と蛍光管の再資源化工場

全国約3200市町村のうち、2500市町村が、北海道常呂郡留辺蘂町にある再資源化工場に送っている。
野村興産イトムカ鉱業所といって、以前は「水銀鉱山」だったが、その技術を利用して、再資源化している。
量は、乾電池が1万5428トン/年、蛍光管が6371トン/年。


●乾電池の再資源化
1.大きさ、種類別に選別。外かんはくず鉄として回収


2.中身は破砕機で砕いてから「ばい焼炉」で熱し、水銀を回収
回収したばかりの水銀は「粗水銀」といい、不純物を精錬する必要がある。

蛍光管もほぼ同じ。
管のガラスは「カレット」にして、新しいガラス製品の原料にする。

使い切ってない電池がたくさん捨てられている。
輸送中に錆びたり、壊れて、水銀が気化することもある。
乾電池の回収箱や袋に、ナイフの刃、スプレー缶、ガラスなどを入れる人がいて困っている。


●充電式乾電池の回収と再資源化

回収ボックス。買った店で引き取ってもらうのがよい

2001年「改正リサイクル法」が施行。メーカーに回収と再資源化が義務付けられた。

・充電式乾電池の識別マーク



ニカド電池以外は電池工業会が電気店等の協力を求めて、これから広めようとしている

・再資源化のしくみ
1.破砕
2.分別
3.焙焼
4.資源回収
5.再生

 
回収したカドミウム/カドミウムは再びニカド電池の原料になる


ニッケル合金はステンレス製品の原料になる


************************************家電製品と省エネ

家電製品は、リサイクルだけでなく、使用時のエネルギーを少なく抑えることも大切。
電気を使うと、発電所で燃やす燃料(石油・天然ガス等)も増え、廃ガスの量も増える。

省エネ技術が進み、「待機電力」を少なくできるようになった。

「クリーンエネルギー」

北海道苫前町の風力発電施設。風力、波力、地熱、太陽光などの利用も役立つ


************************************まとめ

●粗大ゴミで多いのは?
イス、机などの家具、マットレスなどの寝具、家電製品、大きめの調理器具など。

【23区で多い粗大ゴミランキング】
1.布団(45万枚)
2.自転車(21万台)
3.テレビ(20万台)
4.イス(18万)
5.石油ヒーター、石油ストーブ(14万台)


なぜ捨てる?
・性能やデザインのいい製品が欲しい
・故障した時、修理代のほうが高い
・中古品の販売ルートがない


●身近な再利用
家電製品や大きな家具は、引越し&買い替えの時、捨てられることが多い。

・修理する
・欲しい人に譲る
・市民団体のバザー、市町村のリサイクルセンターでは安く中古が売っている


●「家電リサイクル法」で義務付けられたこと
メーカー・輸入業者:再商品化
販売店:消費者から不要の家電製品を引き取り、再商品化するためにメーカー等が依頼した処理業者に引き渡す
消費者:収集・再商品化に必要な費用を支払う。

【2001年度に引き取られた数】
テレビ(308万台)
冷蔵庫(219万台)
洗濯機(193万台)
エアコン(133万台)


●「レアメタル」
家電製品には「レアメタル」という貴重な金属など、いろいろな資源が使われている。


【関連サイト】
廃棄物研究財団
家電製品協会
電池工業会


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