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Channel: メランコリア
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ロベール・クートラス展@渋谷区立松濤美術館

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「アートシーン」で紹介していた展覧会に行ってきた。

前回会った知り合いの方がパニック発作のようになった後、「自分は大丈夫だと信じきったら、それ以降ならない」
と言っていたのをちょっと試してみようと思って、久々2、3駅を飛ばす急行に乗って、
思い込んでみたが、ドアが閉まった瞬間に後悔。途端に息が出来ずにソラナックス1錠投入

その後も、1駅の2分間が耐えられず、いったんトイレで休憩。
発作が起こると、ホームに降りたところで、外に出られない閉塞感は変わらないから、
とにかく目的地に行くのが先決なんだけど、あと3駅がなかなかたどり着けない

ソラナックスをもう1錠飲んで、少し落ち着いてから、また乗ってやっと渋谷に到着。ふぅ。。。激疲

美術館に行く前に、前回もらった無料券でまたTSUTAYA渋谷店でDVDを借りて、
ポスト返却にしたら、今度は、返却代をとられた/苦笑

以前、公園巡りで訪ねた鍋島松濤公園でサンドイッチを食べてから美術館へ。


ロベール・クートラス展@渋谷区立松濤美術館
「1930-1985 没後30年 ロベール・クートラス展 夜を包む色彩 カルト、グワッシュ、テラコッタ」

 

[会期]
前期:2月8日(日)~22日(日)
後期:2月28日(土)~3月15日(日)
本展は会期中、展示替えは予定しておりません。
開館時間:午前9時~午後5時(最終入館は閉館30分前まで)


松濤美術館は、美術館巡りをしていた時から気になっていて、わりと渋めな展示が多いから、今回が初見v
もっと堅苦しい雰囲気なのかと勝手に想像してたけど、こういう展覧会を無料で解放しちゃうなんて素晴らしい

NHKで紹介したせいか、平日昼間でも楽しんでいる人が多かった。
混みすぎもせず、スペースも、展示点数もちょうどいい
どんなに素晴らしい作品展でも、上野みたく、行列をなして、1歩ごとに数分かかって、
説明文を読みながら、ただ通り過ぎるだけでは、とても鑑賞するどころじゃない(また大英博物館やってて気になるけど


ロベール・クートラス


1945年 15歳 アーティストになることを親に反対され電気コードで自殺を図る。

1961年 31歳 「現代のユトリロ」「第二のベルナール・ビュッフェ」という画廊の売り出し文句を嫌い、画廊の注文から自由になるために契約を解除する。
パリの安ホテルや屋根裏部屋を転々とする7年間にわたる極貧生活が始まる。



今回の展覧会では、《僕の夜》と題した、「カルト」(ボール紙をタロットカード大に切り抜いて描かれた作品)や、
アトリエにあったストーブで焼成した、手痕の残ったテラコッタ作品、
作者が“僕のご先祖さま”と呼んでいた、友人が持ってきた未使用のポスターをはじめとした様々な紙やキャンバスに描かれたグワッシュの作品を展示。

 

素晴らしいアーティストに出逢った
番組でパッと見、イイなと思ったていたら、「ユトリロ」も「ビュッフェ」も大好きだもんな。納得。
私は、自然、動物、謎の生きものが出てくる、素朴なタッチの作品が好みで、まさにピッタリ。


9歳で第二次大戦前後の荒廃した時代を過ごした体験が根強くあらわれているという。
画廊と契約したが、自分のスタイルと合わない絵を描き続けることに耐えられず、2年で辞める。

 



晩年を共に過ごしたという日本人女性、岸真理子・モリアさんの説明によると、「カルト」と呼ばれるカードのような絵は、

「貧しかったため、ボール紙を通りで拾って切り抜いて、赤チンや、クルミの汁などを使って色を塗り、
 傷つけて破壊し、再生するという繰り返しから生まれた作品」とのこと/驚

ちょうどスマホサイズで、そのまま貼っても可愛いんじゃないかって思うデザイン性が優れている。

でも、売るためじゃなく、自分の命を救うため、一瞬一瞬、無になって創ることで、
生き続けた結果、生まれた作品なのではないだろうか。

だからこそ、他人が観ても癒されるセラピー効果もあるのかもしれない(蓮もあった
すべて愛おしくて、手元に置いておきたくなる芸術作品に初めて出逢った気がする。

それにしても、少年時代に2度も自殺未遂をしたという生歴に驚いた。
でも、ユーモアもある一面も分かってホッとした。

素材は本当にリサイクル! 同じモチーフを繰り返しているものも多い。
そもそも「カルト」は、ココロを病んでいたシャルル6世を楽しませるために作られたものが由来らしい。

パリ国立図書館HPより「シャルル6世のタロット」一覧


 

誰も解読できない暗号のような文字を加工した作品もある。
小さい頃から切手が好きで、あの小さな絵の中に無限の芸術性を観て、文字の書体をつぶさに観察してから、
手紙の内容を読むのは最後だったとか。

「字を読むことには関心がなかった。古びた絵はがき、その人の字体、字の向こう側の世界に興味があった」(モリアさん


生涯に一体、何枚書いたのか? 生前にそれらを何枚売ったのか、それとも売らなかったのか?
ネットで調べてもなかなか詳細が分からない。

下書きもいろいろ展示してあって、素朴な中にも、さまざまなデザインを模索していたプロセスが分かる。
その中に、犬とヒゲの男性が机に向かい合って、真剣にカードをしている落書きのような作品が可笑しかった
ドアから手と顔半分を出してるネコ?(謎の生きもの)も可愛い

日本の花札にある山と月に似たのもあった。
さまざまな加工をしているから、1970~1980年代に制作したとは思えない、懐かしいレトロ感がある。


 

「女性のイコンには、自分を導く尊いものを重ねていたのかもしれない」(モリアさん



「テラコッタ」など立体的な作品も素晴らしい/感動
自宅のストーブで焼成したって/驚×5000
粘土を貼り付けた手の感触がそのまま分かる。
古代人が、なんの評価も求めず、原始的な衝動で造った気持ちと同じじゃないだろうか?


よくあるミュージアムショップはなく、並べられていたのは、パンフ等。
本タイプのポストカードは、原寸大のカルトが切り抜けるようになっている。


「大戦後の厳しい労働に絶望しきっていて、もし絵描きになっていなかったら、確実に死んでいたと思います。
 美に対する想いが強く、自らを美に仕える労働者と思っていた」(モリアさん


貧しくても、無心になれる芸術に身を捧げて、50代でこの世を去ったクートラス。
「人生50年」て言われてた時代のほうがよかったかも。
長寿、高齢化社会になっても、睡眠と同様、生きることは長さじゃなくて、質なんだ。


●第33回渋谷区小中学生絵画展
地下1階には、区内の子どもたちの絵が学年別に展示されていた。
それぞれの主題に合わせて描いたものなのか、似た題材、手法の作品が並んでいる。

子どもの絵は、自由に描いたほど素晴らしい
逆に、何かを真似たり、年齢を重ねると技術が身について、型にハマってしまっているのはもったいない気がした。

「希望」「未来」「夢」といったタイトルの絵には、私の大好きなUFOが描いてあったり
毛糸や、アルミ箔、ダンボールを貼ってあったり、好きなアニメキャラ、アイドルの切り抜きコラージュや、
版画のような作品もあったりして、見飽きないばかりか、天才的なものばかり/驚

このまま、のびのびと想像力&創造力を育てていって欲しいなあ。
「優秀賞」などと選ばれた作品もあったが、芸術に優劣なんて関係ないんだ。




今後の予定もステキな展示がたくさん!

●人間の最も古い忠実なる友・人間の最も古くからの友~いぬ・犬・イヌ
会期:2015年4月7日(火)~5月24日(日)
※会期中一部展示替えがあります。

開館時間:午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
金曜日は午後7時(入館は午後6時30分まで)

休館日:4月13日(月)、20日(月)、27日(月)、5月7日(木)、11日(月)、18日(月)

入館料:一般1,000円(800円)

●古代エジプト美術の世界 魔術と神秘 スイス、ジュネーヴ、ガンドゥール美術財団
会期:10月6日(火)~11月23日(月・祝)


追。

通りで見かけた謎のキャラ。これも芸術なり。



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