■ドラマ『ゴーストライター』(2015年1月13日~3月17日)
脚本:橋部敦子
出演:中谷美紀、水川あさみ、田中哲司、キムラ緑子、江波杏子、石橋凌、三浦翔平、菜々緒 ほか
連ドラを週に1度待って観るのは苦手なので、全話OAを予録して、まとめ見したv
中谷さんは『ケイゾク』『R-17』『白洲次郎』『JIN-仁-』などで、私好みのクールビューティな女優さん。
水川さんと哲さんは『罪と罰 A Falsified Romance』の共演が私の中でまだ記憶に新しい。
中谷さんと哲さんのラブシーンがあるなんて超お得
編プロや出版社はドラマでよくある設定だけど、ここまで掘り下げると、マスコミで働いていた一員としての様々な記憶が蘇った。
ストーリー展開はもちろん、セリフ1つ1つが突き刺さる。
ゴーストライターを使うほど追い詰められた女流作家の話を書いている脚本家さんも女性。
母親とのどうにもならない確執、子どもとの距離、恋人への信頼、キャリアと結婚・・・
現代を生きる戦士のように働く女性の心情が、セリフ、ヒロインによる独白でさらけ出されていて、いちいち心に刺さった。
▼story(ネタバレ注意
第1回 罪への秒読み~偽りの日々の始まり
遠野リサは、新人賞をとってから次々と新作が当たり、15年も「文壇の女王」として君臨してきたが、
ここ5年は賞を逃し、「スランプ」だとネットでディスられ、本人もまったく書けない状況。
新人賞をとった品川譲に、編集者の塚田真奈美は
「新人賞をとったくらいじゃ相手にされない。生き延びるのは一握りだけなんです」
(水木サンのツイッタbotを思い出した。
「成功するのは、ノンフィクションは千人に一人、マンガ家は五百人に一人、カメラマンは百人に一人でしょう。」
リサは、離婚していて、仕事の忙しさなどから、息子・大樹は反抗ばかりしている。
母・元子は、認知症で施設に入っていて、リサのことも娘と分からないが、
かつては高圧的で、支配的な人間で、リサの結婚にも猛反対し、これまで一度も褒めたことがない。
川原由樹は、婚約者の尾崎浩康と「1年だけ東京で小説家になる夢を追ってみる」と約束し、
これで諦めるつもりで最後に原稿を持ち込んだ「駿峰社」で編集者の小田楓人に原稿を渡す。
オダは夢中で読み、編集長・神崎雄司にも提案するが、
「無名の作家の初版本なんか赤字になるだけだ。まだ分かんないのか? 本なんて売れないんだよ。
すべての赤字を遠野リサの本で回収した。それが出版会の現実なんだ。
欲しいのはイイ本じゃない。売れる本、確実に金になる本だ。オレやお前の給料もそこから出てくる」(ヤダなぁ、こんな世界
神崎は、最年少役員の座を狙っていて、リサの本の映画化で当てようとするが、映画の脚本はおろか、連載も書けない状態のリサ。
本が出来ていない状態で、有名俳優を配役し、期限はギリギリに迫っていた。
神崎は、ベテラン作家・花屋敷寛が末期がんと知ってから足繁く見舞いに通い、
亡くなるとすぐに「これまでの本をすべて文庫化するぞ!」と大はりきり。
(他社で出した本も、作家の承諾があれば可能なんだ。てか、小説や単行本などで、それぞれ長を決めて争わせてるんだね。
オダくんは、作家の散歩やらまで付き合ってるし。可哀想に・・・
オダはユキに「リサのアシスタントのバイトをやりませんか?」と頼む。
いったんは断わったが、これまで出した本もすべて読んでいるリサの大ファンのため、思わず引き受けてしまうユキ。
リサの秘書・田浦美鈴から厳しくルールを叩き込まれる。
リサは、講演会で「登場人物が物語りで勝手に動き出してくれるんです」(どこかで聞いた話だ)と語るも、
ネットの中傷を読んで落ち込む(ネットは見ちゃダメだよ
花屋敷寛への追悼文も書けないリサ。ユキに資料を頼むと、「追悼文案」も書いてきた。
神崎「代筆って手がなくもない」
リサ「ゴーストってこと!? こんなに苦しいなら死んだほうがマシだと思いながら書いてるのよ!」
神崎「オレは絶対離れない」
これまで締め切りを落としたことがない(期限を過ぎる)リサは、ユキの原稿を田浦に渡してしまう。
オダはユキの原稿が傑作だったと褒めるが「困ります。決めてるんです。田舎に帰って結婚するって」
オダに見せられた原稿が自分の案だと知って「前もってひと言いっていただけたら・・・」とリサに迫るが、
リサはギリギリ書き上げて、印刷を差し替えてもらっていた。「気に入ったわ。あなたの野心」とアシスタントに採用する。
神崎は「リサのブランド力は、あと3年通用します」と常務に宣言する。
リサ「世間は、遠野リサは全て持っていると思っている。でも、できることなら私は人生をやり直したい」
元子「あたしがいないと何にも出来ないくせに」
リサ「私の人生を生まれる前からやり直したい。生まれ変わって偽りのない人生を生きたい」
第2回 夢か結婚か、それとも嘘か…泥沼の決断
神埼は「遠野リサの映画化の収益は20億が当然。そういうプレッシャーはキライじゃりません」とあくまで強気だが、
リサが連載の締め切りを1つ落としたと聞き「もしもの時のために跡目考えとけ」とオダに指示する。
「連載小説は全部売っても赤字だが、作家をキープするため」
塚田は品川に原稿を依頼。「いつ載せられるか分かりませんが」
リサはユキに「連載のプロット(あらすじ)のつづきを書いてみて」と言う。
ユキのプロットを読んで
「キャラを勝手にねじ曲げないで。人にハンドルを握られるのはイヤなの。クルマも人生も」
実家に戻って結婚するからとアシスタントをやめるというユキに「次のアシスタントが決まるまで」と引き留める。
皆で飲んだ席で塚田は品川から「500万円の賞金をもらって(小説に専念するために)会社を辞めた」と聞いて呆れるのを見て改めて厳しさを知るユキ。
母の見舞いで数日帰れないリサのためにユキは原稿を書く。
ダイキのことで担任にも呼び出され、リサは他社の連載も落とす。
ダイキ「遠野リサが育てた結果がコレだから」
リサは同じセリフを母に言ったことがあった。
「もう助手席はウンザリ! 私の人生なのに、運転するのは全部お母さん!」
常務「お前にとって最大の武器は遠野リサだ。遠野が転べば、お前も転ぶ」と釘を刺される神埼。
ヒロヤスが上京し、ユキと会う際、リサも同席する。
「ユキには才能がない」と繰り返すヒロヤスに
「彼女は、今書くことが楽しくてしょうがないはずよ。
あなたが求めている女は、あなたが運転する助手席にニコニコ座っている女。
あなたが決めた行き先に黙ってどこまでも従うような」
翌日、ユキは引越し準備をしていると、リサから連載が掲載された本が届き、夢中で読む。
リサ「あなたが書いたのよ。想像してみて。あなたは小説まで書くの。それは読んだ人の心を動かす。
夢を叶えられない人は、目の前のチャンスに気づかずに通り過ぎるからよ。
どの道を進むか決めるのはあなた」
ユキ「やっぱり東京に残る。私、小説が書きたいの。やっと決めた。後悔はしない」と言ってヒロヤスと別れる。
リサにゴーストライターをつけるよう薦めたのは神埼。
「2人でやっていけばイイ」
「彼女はすぐに1人でもやっていけるコよ」
「新人が本を出してもどうせすぐ消える。ゆっくり育ててやればイイ」
ユキが書いた連載は出版社から絶賛され、ファンからも「スランプ脱出おめでとう!」のカキコミ。
神埼「遠野リサは新たな境地を開くかもしれません」
第3回 罠か、チャンスか、デビューの甘い誘惑
リサのゴーストだということをユキに口止めさせる田浦。
リサは「ものを書くには環境が大事よ」と、ユキに高級マンションを与える。
「新設定で、あなたの好きに書いてみて」
神埼はユキに会い、自分の作品を最後まで仕上げることを薦める。「リサにはオレから話しておくから」
リサは向井七恵が10年ぶりに復帰すると知って驚く。2人は同時期に新人賞をとって注目されたが、
向井はプライドが高く、ずっと干されていた。出版界は2人の連載を同時に開始して話題を集めようと画策する。
ユキはずっとあたためてきた『おとぎの国の住人』の話を書きたいと言う。
神埼「仮に遠野リサが書けなくても、手は打ってあります」と常務に話す。
ユキのベースだとキャラが掴みにくいと漏らすリサに「少し書くことから離れてみたら?」とユキが書いた原稿を見せる。
「オレはリサのことしか考えてない。彼女にはオレから話す。きっと引き受けるよ。君は必ずまた書ける」
ユキには「リサは疲弊して、このままだと壊れてしまう。少し休ませたい。君のことはちゃんと考えてるから」と話し、
神埼は、ユキの持込原稿を3000部出版すると約束。これは200万円の赤字を意味する。
「デビューおめでとう! リサの連載はこのまま続けてくれるね?」
飲み会で塚田は
「ビジネス書やタレント本はライターが代わりに書くのは全然珍しくないけど、小説でゴーストはあり得ない。
どんなに権威ある作家でも書けなくなったら消えていくだけです」と話す。
リサ「最初はダイキのことを思って小説を書き始めたの。家でも出来る仕事だし。
でも、売れれば売れるほど期待されて、いいものを書いて当然と思われる。
書けなくなればいつ切られるか分からない。だから受けられる仕事は全部受けてきた。
本当は母親として当たり前のことをやりたかった」
ダイキ「言い訳かよ」
神埼「ユキはリサが思うほど健気な女じゃない。ゴーストをやる代わりに自分の本を出して欲しいと言ってきたよ」と騙す。
元子「相変わらず三文小説ね」
リサ「15年間も書き続けて頑張った。誰もが欲しがるものを全て持っても、ずっと不安だった。どれも本当に欲しいものじゃなかったから」
元子「一体何が欲しいの?」
リサ「あなたには分からないと思う」
向井との対談でリサはユキが話した通りを語る。
ユキ「本当は書けないんじゃないんですか? 私を育てるんじゃなくて利用してるんじゃないですか!?」
リサ「利用してるのはあなたのほうでしょ? 初版3000部。全国の書店は1万5000。
つまり5店に1冊。もちろん平積みじゃなく本棚の片隅よ。
あなたの本を手にとる人なんていない。私の名で出せば初版20万部。私は15年かけてここまできた。
遠野リサの代わりは誰もいない。でも川原由樹の代わりはいくらでもいる」
(本の世界でもいかに世間がブランド志向かってことが分かる。
どんなに素晴らしい本でも商売。飯の種か。それで優れた女流作家を上で操るのは、
金と名誉好きな男たちって仕組み。これはマスコミだけの話じゃない。
第4回 原稿をください…消えた天才作家の誇り
連載はすべてユキに任せろという神埼。「映画だけは自分で書きたい」とリサ。しかし一向にペンは進まない。
ユキの自作本は3000部のうち2800部が返却された。
オダ「全然、珍しいことじゃないですよ。また小説書いてください」
塚田「神埼編集長に初版本を出してもらえるなんて、もしかしてなにか闇でも握ってるんじゃないの?」
塚田は最近のリサとユキの作風が似ていることに気づいている。
リサ「私たちは共犯者ね」
ユキ「望んでやってるわけじゃありません」
リサ「でも、1人でも多くの人に読んでもらいっていう、作家としての本能は満たされているんじゃない?」
リサ「私の書いたものじゃ、もうファンは納得しない」と言い、神埼はユキに映画の本も頼む。
ユキ「それって500万人の観客を騙すってことですよね?」
神埼「そのウソで誰が傷つく?」
ユキ「本当に読んで欲しい家族や婚約者に読んでもらっていない。いつまで世間を騙し続けるつもりなんですか?」
リサ「映画のために5億が動いている。私たちはとっくに罪を犯しているのよ。ウソをつき続けるしかないの」
リサ「自分がこんなに支配的な人間とは思わなかった。誰かにソックリ」
元子はリサが小さい頃に「お母さんにはリサしかいないのよ!」と泣いてすがったこともあった。
突然、ユキが姿を消して1週間。
リサ「書き終わったわ。信じられないくらいつまらないの」
ユキが戻り、7~8万円するシャンパンでリサと乾杯する。
ユキ「この価値が分かってる人ってどれくらいいるんでしょうね。
みんなラベルを見て買うんですもんね。中身は私で、ラベルは先生。
てっきり代わりのゴーストライターがいるのかと思っていました」
リサは土下座して「原稿を下さい」と頼む。
ユキ「初めて先生と会った時、20歳で、サインをもらいました。私にとってずっと神さまじゃなきゃいけないのに。
そこまでして何を守りたいんですか?!」
ぶりまかれた原稿を必死に集めるリサ。
リサ「彼女は私を憎んでる。でも遠野リサを支えられるのは自分しかいないと分かってる。
彼女は絶対私を見捨てたりしないわ」
リサ「時に私が彼女を支配し、時に彼女が私を支配する」「私たち、もう離れられないわね」
ユキ「共犯者ですから」
ネットに「リサにはゴーストライターがいる」というカキコミがあった。
第5回 舞台に上がったゴースト。逆襲の始まり
リサとユキは強い信頼関係で結ばれていった。
リサ「今日もらった拍手の半分はあなたのもの。私たち2人で遠野リサ」
会見の受け答えもユキに尋ねるようになり、生放送の突然のフリに言葉に詰まるリサ。
オダは「締め切り」の文字がリサとユキで違うことに気づく。
オダ「なにか困ってるんじゃないんですか? 力になりますから」
ユキ「私は書いてませんから」
駿峰社にリサ宛の郵便物が届き、レプリカの手榴弾とメモ「遠野リサ死ね」と書かれていた。
その名前から、リサはダイキの仕業と気づく。
ダイキ「人に書かせるなんて卑怯なことすんなよ。お前なんか要らない」
(そんなに憎いなら1人暮らしでもすればいいのに・・・やっぱり心配なのか。構ってもらいたいのか
元子「母親を軽蔑しなきゃならない子どものほうがもっと辛いのよ」
「私に娘なんかいない。あんなコ、私の娘じゃない」
神埼には最年少役員になる内示が出た。
リサ「ねえ、私、小説家をやめるわ。これはチャンスなの。ダイキの母としてやり直したい。
これは答えなくていい質問です。遠野リサをやめたら、私たちはどうなるのでしょうか?」
リサ「私がやめた後、ユキちゃんのことお願いね」
神埼「それはムリだ。才能があるからこそ書かせるわけにはいかない。本が売れれば気づく読者が必ず出てくる」
リサ「彼女の才能を潰すなんてできない」
神埼「世間が騒ぎになったら息子はどうなる? ユキか息子か。どちらか1人しか守ることはできない。
ユキに引退を告げるなら、今抱えてる連載をすべて書き終えてからだ」(頭キレるなあ
ヒロヤス「オレたちやり直そう。これからは長野で小説を書かないか?」
(なぜ、いつもキャリアや、居場所を離れるのは女性のほうだと決めつけるんだろうね
ユキ「もう1人じゃないから、長野には戻れない」
ヒロヤスはフラれたと思って去る(お土産で渡されたおやきは、やっぱりパン生地のやつだな
リサ「私、小説家をやめることにしたの。もう疲れたわ。人にウソをつくのも、自分にウソをつくのも。
あなたには新たな道が見つかるわ。あなたは小説を書かなくても生きていける人。
あなたみたいに心が真っ直ぐな人は、小説なんか書く必要がないの。
あなたが小説を書く理由は好きで楽しいからでしょ。そういう人は、書かなくても幸せになれる。
もし、あなたが書けば、皆が気づくわ」
ユキ「こんなに喜びを覚えさせて、あっさり裏切るんですね。人生のすべてを捧げたんですよ」
リサ「自分は必要とされてるとか、キレイ事に置き換えて、目をそらし続けたんじゃない?
すべてあなたが自分で選んで決めたことよ」(こういう彼女も頭がキレるなあ!
今度はユキがリサにすがりつくが「終わりよ。遠野リサは終わらせなきゃならないの。今までありがとう」
その夜、ヒロヤスが見合いで結婚することになった(決断早っ!)と聞いて笑い狂うユキ。
オダはゴーストのことを新聞社に告げようとして塚田に止められる。
塚田「私たちが口出すことじゃない。事態は変わらないし、オダが会社から消えるだけ」(若いコは空気読むの早いな
神埼は「明日の引退発表で本の売上が伸びます」と常務にアピールする。
リサのこないだの質問の答えを言おうとするがやめる。
リサ「最後まで文壇の女王の座を貫くわ」
映画完成試写会にはダイキも呼んだ。
しかし、リサのスピーチの前に、同じ服(!)でユキが登壇する。
ユキ「私が書きました。私はリサさんのゴーストライターです」
つづく。。。
脚本:橋部敦子
出演:中谷美紀、水川あさみ、田中哲司、キムラ緑子、江波杏子、石橋凌、三浦翔平、菜々緒 ほか
連ドラを週に1度待って観るのは苦手なので、全話OAを予録して、まとめ見したv
中谷さんは『ケイゾク』『R-17』『白洲次郎』『JIN-仁-』などで、私好みのクールビューティな女優さん。
水川さんと哲さんは『罪と罰 A Falsified Romance』の共演が私の中でまだ記憶に新しい。
中谷さんと哲さんのラブシーンがあるなんて超お得
編プロや出版社はドラマでよくある設定だけど、ここまで掘り下げると、マスコミで働いていた一員としての様々な記憶が蘇った。
ストーリー展開はもちろん、セリフ1つ1つが突き刺さる。
ゴーストライターを使うほど追い詰められた女流作家の話を書いている脚本家さんも女性。
母親とのどうにもならない確執、子どもとの距離、恋人への信頼、キャリアと結婚・・・
現代を生きる戦士のように働く女性の心情が、セリフ、ヒロインによる独白でさらけ出されていて、いちいち心に刺さった。
▼story(ネタバレ注意
第1回 罪への秒読み~偽りの日々の始まり
遠野リサは、新人賞をとってから次々と新作が当たり、15年も「文壇の女王」として君臨してきたが、
ここ5年は賞を逃し、「スランプ」だとネットでディスられ、本人もまったく書けない状況。
新人賞をとった品川譲に、編集者の塚田真奈美は
「新人賞をとったくらいじゃ相手にされない。生き延びるのは一握りだけなんです」
(水木サンのツイッタbotを思い出した。
「成功するのは、ノンフィクションは千人に一人、マンガ家は五百人に一人、カメラマンは百人に一人でしょう。」
リサは、離婚していて、仕事の忙しさなどから、息子・大樹は反抗ばかりしている。
母・元子は、認知症で施設に入っていて、リサのことも娘と分からないが、
かつては高圧的で、支配的な人間で、リサの結婚にも猛反対し、これまで一度も褒めたことがない。
川原由樹は、婚約者の尾崎浩康と「1年だけ東京で小説家になる夢を追ってみる」と約束し、
これで諦めるつもりで最後に原稿を持ち込んだ「駿峰社」で編集者の小田楓人に原稿を渡す。
オダは夢中で読み、編集長・神崎雄司にも提案するが、
「無名の作家の初版本なんか赤字になるだけだ。まだ分かんないのか? 本なんて売れないんだよ。
すべての赤字を遠野リサの本で回収した。それが出版会の現実なんだ。
欲しいのはイイ本じゃない。売れる本、確実に金になる本だ。オレやお前の給料もそこから出てくる」(ヤダなぁ、こんな世界
神崎は、最年少役員の座を狙っていて、リサの本の映画化で当てようとするが、映画の脚本はおろか、連載も書けない状態のリサ。
本が出来ていない状態で、有名俳優を配役し、期限はギリギリに迫っていた。
神崎は、ベテラン作家・花屋敷寛が末期がんと知ってから足繁く見舞いに通い、
亡くなるとすぐに「これまでの本をすべて文庫化するぞ!」と大はりきり。
(他社で出した本も、作家の承諾があれば可能なんだ。てか、小説や単行本などで、それぞれ長を決めて争わせてるんだね。
オダくんは、作家の散歩やらまで付き合ってるし。可哀想に・・・
オダはユキに「リサのアシスタントのバイトをやりませんか?」と頼む。
いったんは断わったが、これまで出した本もすべて読んでいるリサの大ファンのため、思わず引き受けてしまうユキ。
リサの秘書・田浦美鈴から厳しくルールを叩き込まれる。
リサは、講演会で「登場人物が物語りで勝手に動き出してくれるんです」(どこかで聞いた話だ)と語るも、
ネットの中傷を読んで落ち込む(ネットは見ちゃダメだよ
花屋敷寛への追悼文も書けないリサ。ユキに資料を頼むと、「追悼文案」も書いてきた。
神崎「代筆って手がなくもない」
リサ「ゴーストってこと!? こんなに苦しいなら死んだほうがマシだと思いながら書いてるのよ!」
神崎「オレは絶対離れない」
これまで締め切りを落としたことがない(期限を過ぎる)リサは、ユキの原稿を田浦に渡してしまう。
オダはユキの原稿が傑作だったと褒めるが「困ります。決めてるんです。田舎に帰って結婚するって」
オダに見せられた原稿が自分の案だと知って「前もってひと言いっていただけたら・・・」とリサに迫るが、
リサはギリギリ書き上げて、印刷を差し替えてもらっていた。「気に入ったわ。あなたの野心」とアシスタントに採用する。
神崎は「リサのブランド力は、あと3年通用します」と常務に宣言する。
リサ「世間は、遠野リサは全て持っていると思っている。でも、できることなら私は人生をやり直したい」
元子「あたしがいないと何にも出来ないくせに」
リサ「私の人生を生まれる前からやり直したい。生まれ変わって偽りのない人生を生きたい」
第2回 夢か結婚か、それとも嘘か…泥沼の決断
神埼は「遠野リサの映画化の収益は20億が当然。そういうプレッシャーはキライじゃりません」とあくまで強気だが、
リサが連載の締め切りを1つ落としたと聞き「もしもの時のために跡目考えとけ」とオダに指示する。
「連載小説は全部売っても赤字だが、作家をキープするため」
塚田は品川に原稿を依頼。「いつ載せられるか分かりませんが」
リサはユキに「連載のプロット(あらすじ)のつづきを書いてみて」と言う。
ユキのプロットを読んで
「キャラを勝手にねじ曲げないで。人にハンドルを握られるのはイヤなの。クルマも人生も」
実家に戻って結婚するからとアシスタントをやめるというユキに「次のアシスタントが決まるまで」と引き留める。
皆で飲んだ席で塚田は品川から「500万円の賞金をもらって(小説に専念するために)会社を辞めた」と聞いて呆れるのを見て改めて厳しさを知るユキ。
母の見舞いで数日帰れないリサのためにユキは原稿を書く。
ダイキのことで担任にも呼び出され、リサは他社の連載も落とす。
ダイキ「遠野リサが育てた結果がコレだから」
リサは同じセリフを母に言ったことがあった。
「もう助手席はウンザリ! 私の人生なのに、運転するのは全部お母さん!」
常務「お前にとって最大の武器は遠野リサだ。遠野が転べば、お前も転ぶ」と釘を刺される神埼。
ヒロヤスが上京し、ユキと会う際、リサも同席する。
「ユキには才能がない」と繰り返すヒロヤスに
「彼女は、今書くことが楽しくてしょうがないはずよ。
あなたが求めている女は、あなたが運転する助手席にニコニコ座っている女。
あなたが決めた行き先に黙ってどこまでも従うような」
翌日、ユキは引越し準備をしていると、リサから連載が掲載された本が届き、夢中で読む。
リサ「あなたが書いたのよ。想像してみて。あなたは小説まで書くの。それは読んだ人の心を動かす。
夢を叶えられない人は、目の前のチャンスに気づかずに通り過ぎるからよ。
どの道を進むか決めるのはあなた」
ユキ「やっぱり東京に残る。私、小説が書きたいの。やっと決めた。後悔はしない」と言ってヒロヤスと別れる。
リサにゴーストライターをつけるよう薦めたのは神埼。
「2人でやっていけばイイ」
「彼女はすぐに1人でもやっていけるコよ」
「新人が本を出してもどうせすぐ消える。ゆっくり育ててやればイイ」
ユキが書いた連載は出版社から絶賛され、ファンからも「スランプ脱出おめでとう!」のカキコミ。
神埼「遠野リサは新たな境地を開くかもしれません」
第3回 罠か、チャンスか、デビューの甘い誘惑
リサのゴーストだということをユキに口止めさせる田浦。
リサは「ものを書くには環境が大事よ」と、ユキに高級マンションを与える。
「新設定で、あなたの好きに書いてみて」
神埼はユキに会い、自分の作品を最後まで仕上げることを薦める。「リサにはオレから話しておくから」
リサは向井七恵が10年ぶりに復帰すると知って驚く。2人は同時期に新人賞をとって注目されたが、
向井はプライドが高く、ずっと干されていた。出版界は2人の連載を同時に開始して話題を集めようと画策する。
ユキはずっとあたためてきた『おとぎの国の住人』の話を書きたいと言う。
神埼「仮に遠野リサが書けなくても、手は打ってあります」と常務に話す。
ユキのベースだとキャラが掴みにくいと漏らすリサに「少し書くことから離れてみたら?」とユキが書いた原稿を見せる。
「オレはリサのことしか考えてない。彼女にはオレから話す。きっと引き受けるよ。君は必ずまた書ける」
ユキには「リサは疲弊して、このままだと壊れてしまう。少し休ませたい。君のことはちゃんと考えてるから」と話し、
神埼は、ユキの持込原稿を3000部出版すると約束。これは200万円の赤字を意味する。
「デビューおめでとう! リサの連載はこのまま続けてくれるね?」
飲み会で塚田は
「ビジネス書やタレント本はライターが代わりに書くのは全然珍しくないけど、小説でゴーストはあり得ない。
どんなに権威ある作家でも書けなくなったら消えていくだけです」と話す。
リサ「最初はダイキのことを思って小説を書き始めたの。家でも出来る仕事だし。
でも、売れれば売れるほど期待されて、いいものを書いて当然と思われる。
書けなくなればいつ切られるか分からない。だから受けられる仕事は全部受けてきた。
本当は母親として当たり前のことをやりたかった」
ダイキ「言い訳かよ」
神埼「ユキはリサが思うほど健気な女じゃない。ゴーストをやる代わりに自分の本を出して欲しいと言ってきたよ」と騙す。
元子「相変わらず三文小説ね」
リサ「15年間も書き続けて頑張った。誰もが欲しがるものを全て持っても、ずっと不安だった。どれも本当に欲しいものじゃなかったから」
元子「一体何が欲しいの?」
リサ「あなたには分からないと思う」
向井との対談でリサはユキが話した通りを語る。
ユキ「本当は書けないんじゃないんですか? 私を育てるんじゃなくて利用してるんじゃないですか!?」
リサ「利用してるのはあなたのほうでしょ? 初版3000部。全国の書店は1万5000。
つまり5店に1冊。もちろん平積みじゃなく本棚の片隅よ。
あなたの本を手にとる人なんていない。私の名で出せば初版20万部。私は15年かけてここまできた。
遠野リサの代わりは誰もいない。でも川原由樹の代わりはいくらでもいる」
(本の世界でもいかに世間がブランド志向かってことが分かる。
どんなに素晴らしい本でも商売。飯の種か。それで優れた女流作家を上で操るのは、
金と名誉好きな男たちって仕組み。これはマスコミだけの話じゃない。
第4回 原稿をください…消えた天才作家の誇り
連載はすべてユキに任せろという神埼。「映画だけは自分で書きたい」とリサ。しかし一向にペンは進まない。
ユキの自作本は3000部のうち2800部が返却された。
オダ「全然、珍しいことじゃないですよ。また小説書いてください」
塚田「神埼編集長に初版本を出してもらえるなんて、もしかしてなにか闇でも握ってるんじゃないの?」
塚田は最近のリサとユキの作風が似ていることに気づいている。
リサ「私たちは共犯者ね」
ユキ「望んでやってるわけじゃありません」
リサ「でも、1人でも多くの人に読んでもらいっていう、作家としての本能は満たされているんじゃない?」
リサ「私の書いたものじゃ、もうファンは納得しない」と言い、神埼はユキに映画の本も頼む。
ユキ「それって500万人の観客を騙すってことですよね?」
神埼「そのウソで誰が傷つく?」
ユキ「本当に読んで欲しい家族や婚約者に読んでもらっていない。いつまで世間を騙し続けるつもりなんですか?」
リサ「映画のために5億が動いている。私たちはとっくに罪を犯しているのよ。ウソをつき続けるしかないの」
リサ「自分がこんなに支配的な人間とは思わなかった。誰かにソックリ」
元子はリサが小さい頃に「お母さんにはリサしかいないのよ!」と泣いてすがったこともあった。
突然、ユキが姿を消して1週間。
リサ「書き終わったわ。信じられないくらいつまらないの」
ユキが戻り、7~8万円するシャンパンでリサと乾杯する。
ユキ「この価値が分かってる人ってどれくらいいるんでしょうね。
みんなラベルを見て買うんですもんね。中身は私で、ラベルは先生。
てっきり代わりのゴーストライターがいるのかと思っていました」
リサは土下座して「原稿を下さい」と頼む。
ユキ「初めて先生と会った時、20歳で、サインをもらいました。私にとってずっと神さまじゃなきゃいけないのに。
そこまでして何を守りたいんですか?!」
ぶりまかれた原稿を必死に集めるリサ。
リサ「彼女は私を憎んでる。でも遠野リサを支えられるのは自分しかいないと分かってる。
彼女は絶対私を見捨てたりしないわ」
リサ「時に私が彼女を支配し、時に彼女が私を支配する」「私たち、もう離れられないわね」
ユキ「共犯者ですから」
ネットに「リサにはゴーストライターがいる」というカキコミがあった。
第5回 舞台に上がったゴースト。逆襲の始まり
リサとユキは強い信頼関係で結ばれていった。
リサ「今日もらった拍手の半分はあなたのもの。私たち2人で遠野リサ」
会見の受け答えもユキに尋ねるようになり、生放送の突然のフリに言葉に詰まるリサ。
オダは「締め切り」の文字がリサとユキで違うことに気づく。
オダ「なにか困ってるんじゃないんですか? 力になりますから」
ユキ「私は書いてませんから」
駿峰社にリサ宛の郵便物が届き、レプリカの手榴弾とメモ「遠野リサ死ね」と書かれていた。
その名前から、リサはダイキの仕業と気づく。
ダイキ「人に書かせるなんて卑怯なことすんなよ。お前なんか要らない」
(そんなに憎いなら1人暮らしでもすればいいのに・・・やっぱり心配なのか。構ってもらいたいのか
元子「母親を軽蔑しなきゃならない子どものほうがもっと辛いのよ」
「私に娘なんかいない。あんなコ、私の娘じゃない」
神埼には最年少役員になる内示が出た。
リサ「ねえ、私、小説家をやめるわ。これはチャンスなの。ダイキの母としてやり直したい。
これは答えなくていい質問です。遠野リサをやめたら、私たちはどうなるのでしょうか?」
リサ「私がやめた後、ユキちゃんのことお願いね」
神埼「それはムリだ。才能があるからこそ書かせるわけにはいかない。本が売れれば気づく読者が必ず出てくる」
リサ「彼女の才能を潰すなんてできない」
神埼「世間が騒ぎになったら息子はどうなる? ユキか息子か。どちらか1人しか守ることはできない。
ユキに引退を告げるなら、今抱えてる連載をすべて書き終えてからだ」(頭キレるなあ
ヒロヤス「オレたちやり直そう。これからは長野で小説を書かないか?」
(なぜ、いつもキャリアや、居場所を離れるのは女性のほうだと決めつけるんだろうね
ユキ「もう1人じゃないから、長野には戻れない」
ヒロヤスはフラれたと思って去る(お土産で渡されたおやきは、やっぱりパン生地のやつだな
リサ「私、小説家をやめることにしたの。もう疲れたわ。人にウソをつくのも、自分にウソをつくのも。
あなたには新たな道が見つかるわ。あなたは小説を書かなくても生きていける人。
あなたみたいに心が真っ直ぐな人は、小説なんか書く必要がないの。
あなたが小説を書く理由は好きで楽しいからでしょ。そういう人は、書かなくても幸せになれる。
もし、あなたが書けば、皆が気づくわ」
ユキ「こんなに喜びを覚えさせて、あっさり裏切るんですね。人生のすべてを捧げたんですよ」
リサ「自分は必要とされてるとか、キレイ事に置き換えて、目をそらし続けたんじゃない?
すべてあなたが自分で選んで決めたことよ」(こういう彼女も頭がキレるなあ!
今度はユキがリサにすがりつくが「終わりよ。遠野リサは終わらせなきゃならないの。今までありがとう」
その夜、ヒロヤスが見合いで結婚することになった(決断早っ!)と聞いて笑い狂うユキ。
オダはゴーストのことを新聞社に告げようとして塚田に止められる。
塚田「私たちが口出すことじゃない。事態は変わらないし、オダが会社から消えるだけ」(若いコは空気読むの早いな
神埼は「明日の引退発表で本の売上が伸びます」と常務にアピールする。
リサのこないだの質問の答えを言おうとするがやめる。
リサ「最後まで文壇の女王の座を貫くわ」
映画完成試写会にはダイキも呼んだ。
しかし、リサのスピーチの前に、同じ服(!)でユキが登壇する。
ユキ「私が書きました。私はリサさんのゴーストライターです」
つづく。。。