■『風と木の詩』3巻(小学館叢書)
竹宮惠子/著
本巻では、よりジルベールとボウの関係が明らかになり、ボウの衝撃的な過去も分かる。
そして、もっともショッキングなのは、父と息子の近親相姦。これは究極の父性愛なのか?!
世の中には今でも貧困から身を売る子どもたちがいる。時には自ら、時には無理矢理。
親子間、養父母からの性的虐待も、実際あるだけに、身につまされる。
2人の関係も気になるけど、この巻ではセルジュがまったく出てこないのは寂しい。
セルジュ自身の過去も気になるけど、それは描かれないのかな?
【内容抜粋メモ】
[第四章 ジルベール]
1874年、ジルベール7歳。
ボウがしつけようにも、生来身に付けた動物的感覚はそのままだった。
そんなジルベールをボウは暴力でねじ伏せる。
事情を知らない家政婦たちは、ボウが兄の妻を愛していたから、その腹いせだと噂する。
すべてを知っている執事はボウを諌めるが、兄がボウにした仕打ちを知っているため強くは言えない。
1876年、ジルベール9歳。
ボウは、ジルベールの天性に備わる美と、男女問わず惹きつける宿命に気づく。
ジルベールは、あらゆる動物を飼っていたが、青狐ケンが狐狩りで猟犬に殺され、怒りで猟犬を2匹殺し、酷い傷を負う。
“親の束縛もなく、社会の規律も知らず、己の存在を許された空間で ただ自然に育っていく植物のように 彼は生きていた”
(ある意味、最高だね
近所の猟師の男子タズトが、ジルベールを女の子と間違えてナンパする。
その様子を見ていたソドミーで有名な画家ボナールは「あの子を売ってくれないか」と交渉しようとする。
「パリ社交界のマダムキラー、オーギュスト・ボウがかわいい小姓を飼いこんでいるという噂は本当らしいな」
「私の小姓などではない。この館の当主ジルベール・コクトーだ。いくら君でもソドミーの相手にさらっていくわけにはいくまい」
それを立ち聞きしていたジルベールは、自分がボウより立場が上だと悟り、
ボウが自分に構ってくれないあてつけに、ボナールを館に留める。止める執事に今更、兄夫婦を恨んではいないというボウ。
「自分の蒔いた種は、自分で刈り取るがいい。手痛い失敗が生涯忘れぬ教訓になったというだけ」
“愛するな”“信じるな”“ジルベール、人を頼るな”
「オーギュが優しくしてくれる時、それは僕が火のように怒るオーギュの心を静めた時だけ・・・」
ボナールは、ジルベールが父に似てないのは、母親の浮気相手の子だからだと家政婦から聞き出す。
「父親がボウだとしたら、こいつはユスリのネタにだってなる。これは実力行使あるのみだ」
ボナールは、下男に麻薬カラマジャーナで眠らせたジルベールを雨に濡れないよう油紙に包んで(!)連れ去る。
それを知ったボウは、「ジルベールは、生まれた時から父も母もいない。一人で生きる獣だ。誰に従属も依存もさせぬ」といって追わない。
ボンヤリしたまま売春屋に連れて行かれるジルベールを見かけるタズト。
ジルベールはボナールに遊ばれ、宿から抜け出し、海に入り、タズトが運良く見つけて、ボウの元に届ける。
「哀れなものだな。体中の筋肉が後悔にひりひりと痛んで、歩くと体が二つに裂けるようだ。
あられもない姿で抱かれた後は、意地も誇りもどこかへ吹っ飛んでしまった。
ボナールに罪と恥を体中に塗りたくられて帰るくらいなら死んで戻れ!」
“これでおしまいだジルベール。青い宝石。私の芸術品。お前もまた例外なく粉々に壊れるだろう。
性の前に泥臭く。人間臭く、汚(けが)れてゆく・・・”
(レイプされた被害者もこんな心境だろう
ボウは、過去の自分を思い出す。
“あれは「力」であり「支配」だった。そして、有無を言わさぬ「飼育」。
この家を離れては飢えるほかはない。だから私はいつもより強い「力」の出現を待っていた。
兄を叱ってくれる養父。しかしその養父も結局は、私を兄の病的性癖のために孤児院から選んだ人間だった。
私は今も待っている、より強い「力」を・・・私がジルベールを支配する?”
“お前を無垢のままにおくことが、私の人生への復讐だったのだ。私を裏切り、私を曲げつづけた薔薇色の人生への!
私をまげてしまったあの「力」に、お前の無垢な精神は、断じて汚(けが)されるな!
それくらいなら狂ってしまえ! でなければ私が・・・私の「力」でお前を支配する!”
“忘れてしまえ。この愛撫のもとに、ボナールの愛撫など、覆い隠してしまうがいい。お前の柔軟な自然の魂よ”
“今、ジルベールはもう人形でもなければ、忠実な猟犬でもなかった。オーギュストと対等に愛し合う、恋の相手・・・
力ずくの愛撫の前に崩壊しようとする彼の自我を救うには、より強烈な、かつ深い愛撫以外になかったのだ”
「ジルベールが私に触れるのは、乳飲み子が母親の乳をまさぐるようなものだ」
彼にとって二人だけのこの日々は、幸福だったと言えるだろう。
しかし、いつもなにかに飢えていた孤独な影は姿を消し、自信に満ちた明るさが彼を支配しはじめると
今まであれほど私を捕らえて離さなかった彼の魅力が、急速に消えてゆくのを感じざるを得なかった。
“そう彼は動物の本能で知っていた。自分と他のものがつながれるのは、その瞬間だけであることを”
ボウから無視される孤独を他人に向けるようになっていくジルベール。
そこにアンヌ・マリーから手紙が届く。
「この秋、私たちは仕事でそちらへ一時帰らねばならないので、あの子としばしパリへ行ってはくださいますまいか?」
ハンストしたジルベールを心配する執事。ボウは執事がマリーにジルベールのことを逐一報告していたことに気づく。
「そんなに心配なら、最初から引き取って育てればよかったのに」
「私めはただの使用人で」
「逃げ道のあるものはいい。“それとも逃げ道を自分でつくるのが「生きる」ことなのか”」
体の弱ったジルベールを、日ごろから目をつけていた使用人が襲い、隙をみてジルベールは彼の腹を刺す。
執事から「召使いたちも信用できません」と言われ「パリへ発とう。明日の朝一番に」
“私にこの強さがあったら、すべての状況は変わっていただろう。
無邪気な仕草、無防備な甘え。それを肌で感じるたび、私は心の一方の端で己の父性を思い、
もう一方の端では、冷酷な観察者を意識する”
1877年、2人はパリに発つ。
パリではなにもかも新しく、美しく、自由で、ジルベールはすぐに街にも、社交界にも順応し、寵愛される。
ボウの屋敷では、事情をすべて知っている執事兼秘書レベックが世話役となる。
その他、家政婦長モーヌ夫人、世話係のアルラ。
“奇妙な子どもジルベールを、パリは苦もなく受け入れた”
大物ル・クール夫人に社交界からの招待が来て、断れないボウ。
ジルベールの噂はまたたく間にボナールの耳にも届く。
そして、若き政治家ロスマリネ(当時15歳)がボウに近づき、生徒総監の席を狙う。
北欧貴族のロスマリネ家は、コクトー家の権力下にある。
ボウがずっとマルセイユにいたことを持ち出し、双眼鏡でジルベールを見ていたことと関係があるのかと聞くと、ボウは釘をさす。
ボウはパリにボナールがいることに気づいてうろたえ、パーティはすべて断れとレベックに命ずる。
それを聞いたジルベールは、「いつだってこうなんだ。オーギュは必ず僕の楽しみを取り上げる!」
ボウが病気だと言っても、ジルベールだけでも来るようにとレタニエ夫人からの迎えの馬車が来て、乗って行くジルベール。
“行ってくるがいい。ボナールが待っている。縫い合わせた傷をもう一度開かれたければ”
ジルベールはボナールと再会する。
“拒んでも、拒んでも、結局は決められた運命の意のまま。どうでも好きにしろ。
僕の体にドアをつけて、開けたり閉じたりすればいい。いくらでも覗くがいい! もう拒まない”
オーギュに結婚話があることを知るジルベール。
ボナールは「君が十分納得して、身も心も委ねてくれるのを待つ」と言う。
「二度と社交界なぞ出てやらない!」「まず二度と誘いは来ない」(そんな世界なの。面倒臭いなぁ
オーギュに相手にされない孤独を埋めるため、寒い夜に雨に打たれているジルベール。それを馬車から観察するロスマリネ。
このままでは死んでしまうと入ったのは、ボナールの屋敷だった。
ボナール邸で下働きをしているチノとルノー/ルノーはジルベールに嫉妬し、「娼夫め!」と蔑む
「いいかジルベール。“誇り”だ。そのお前の尊大な、お前を守る武器は、それだけだ。忘れるな」
初めて身売りをしようとしたジルベールに優しいボナール(悪い人じゃないんだな
ロスマリネは、そのネタを持ってボウを訪ね、ジルベールが雨の晩逃げ込んだのはボナール邸だったと告げる。
「君は次の学期に生徒総監として立つつもりらしいが、上級にあがったばかりで可能だと本当に考えているのか?」
「あなたの援助があれば、あるいはそれも夢じゃない」
「そして人望ある統率者として卒業し、大学で政治学を学び議員になる。そういう道かね、君の望みは?」
「ウイ、ムッシュ」
「だが1つだけ大事なことを付け加えておこう。もし、このことで少しでもよこしまな噂が流れたら、
その時は、いかなる場合も例外なく君の仕業と承知する!
そして、私は君の将来を完璧に、握りつぶしてしまうこともできる」
[巻頭のカラーページ・巻末イラスト集]
この巻から「ケーコたんの1/4コーナー」なんてのも出来て、ファンとのコミュニケーションの場になっている。
竹宮惠子/著
本巻では、よりジルベールとボウの関係が明らかになり、ボウの衝撃的な過去も分かる。
そして、もっともショッキングなのは、父と息子の近親相姦。これは究極の父性愛なのか?!
世の中には今でも貧困から身を売る子どもたちがいる。時には自ら、時には無理矢理。
親子間、養父母からの性的虐待も、実際あるだけに、身につまされる。
2人の関係も気になるけど、この巻ではセルジュがまったく出てこないのは寂しい。
セルジュ自身の過去も気になるけど、それは描かれないのかな?
【内容抜粋メモ】
[第四章 ジルベール]
1874年、ジルベール7歳。
ボウがしつけようにも、生来身に付けた動物的感覚はそのままだった。
そんなジルベールをボウは暴力でねじ伏せる。
事情を知らない家政婦たちは、ボウが兄の妻を愛していたから、その腹いせだと噂する。
すべてを知っている執事はボウを諌めるが、兄がボウにした仕打ちを知っているため強くは言えない。
1876年、ジルベール9歳。
ボウは、ジルベールの天性に備わる美と、男女問わず惹きつける宿命に気づく。
ジルベールは、あらゆる動物を飼っていたが、青狐ケンが狐狩りで猟犬に殺され、怒りで猟犬を2匹殺し、酷い傷を負う。
“親の束縛もなく、社会の規律も知らず、己の存在を許された空間で ただ自然に育っていく植物のように 彼は生きていた”
(ある意味、最高だね
近所の猟師の男子タズトが、ジルベールを女の子と間違えてナンパする。
その様子を見ていたソドミーで有名な画家ボナールは「あの子を売ってくれないか」と交渉しようとする。
「パリ社交界のマダムキラー、オーギュスト・ボウがかわいい小姓を飼いこんでいるという噂は本当らしいな」
「私の小姓などではない。この館の当主ジルベール・コクトーだ。いくら君でもソドミーの相手にさらっていくわけにはいくまい」
それを立ち聞きしていたジルベールは、自分がボウより立場が上だと悟り、
ボウが自分に構ってくれないあてつけに、ボナールを館に留める。止める執事に今更、兄夫婦を恨んではいないというボウ。
「自分の蒔いた種は、自分で刈り取るがいい。手痛い失敗が生涯忘れぬ教訓になったというだけ」
“愛するな”“信じるな”“ジルベール、人を頼るな”
「オーギュが優しくしてくれる時、それは僕が火のように怒るオーギュの心を静めた時だけ・・・」
ボナールは、ジルベールが父に似てないのは、母親の浮気相手の子だからだと家政婦から聞き出す。
「父親がボウだとしたら、こいつはユスリのネタにだってなる。これは実力行使あるのみだ」
ボナールは、下男に麻薬カラマジャーナで眠らせたジルベールを雨に濡れないよう油紙に包んで(!)連れ去る。
それを知ったボウは、「ジルベールは、生まれた時から父も母もいない。一人で生きる獣だ。誰に従属も依存もさせぬ」といって追わない。
ボンヤリしたまま売春屋に連れて行かれるジルベールを見かけるタズト。
ジルベールはボナールに遊ばれ、宿から抜け出し、海に入り、タズトが運良く見つけて、ボウの元に届ける。
「哀れなものだな。体中の筋肉が後悔にひりひりと痛んで、歩くと体が二つに裂けるようだ。
あられもない姿で抱かれた後は、意地も誇りもどこかへ吹っ飛んでしまった。
ボナールに罪と恥を体中に塗りたくられて帰るくらいなら死んで戻れ!」
“これでおしまいだジルベール。青い宝石。私の芸術品。お前もまた例外なく粉々に壊れるだろう。
性の前に泥臭く。人間臭く、汚(けが)れてゆく・・・”
(レイプされた被害者もこんな心境だろう
ボウは、過去の自分を思い出す。
“あれは「力」であり「支配」だった。そして、有無を言わさぬ「飼育」。
この家を離れては飢えるほかはない。だから私はいつもより強い「力」の出現を待っていた。
兄を叱ってくれる養父。しかしその養父も結局は、私を兄の病的性癖のために孤児院から選んだ人間だった。
私は今も待っている、より強い「力」を・・・私がジルベールを支配する?”
“お前を無垢のままにおくことが、私の人生への復讐だったのだ。私を裏切り、私を曲げつづけた薔薇色の人生への!
私をまげてしまったあの「力」に、お前の無垢な精神は、断じて汚(けが)されるな!
それくらいなら狂ってしまえ! でなければ私が・・・私の「力」でお前を支配する!”
“忘れてしまえ。この愛撫のもとに、ボナールの愛撫など、覆い隠してしまうがいい。お前の柔軟な自然の魂よ”
“今、ジルベールはもう人形でもなければ、忠実な猟犬でもなかった。オーギュストと対等に愛し合う、恋の相手・・・
力ずくの愛撫の前に崩壊しようとする彼の自我を救うには、より強烈な、かつ深い愛撫以外になかったのだ”
「ジルベールが私に触れるのは、乳飲み子が母親の乳をまさぐるようなものだ」
彼にとって二人だけのこの日々は、幸福だったと言えるだろう。
しかし、いつもなにかに飢えていた孤独な影は姿を消し、自信に満ちた明るさが彼を支配しはじめると
今まであれほど私を捕らえて離さなかった彼の魅力が、急速に消えてゆくのを感じざるを得なかった。
“そう彼は動物の本能で知っていた。自分と他のものがつながれるのは、その瞬間だけであることを”
ボウから無視される孤独を他人に向けるようになっていくジルベール。
そこにアンヌ・マリーから手紙が届く。
「この秋、私たちは仕事でそちらへ一時帰らねばならないので、あの子としばしパリへ行ってはくださいますまいか?」
ハンストしたジルベールを心配する執事。ボウは執事がマリーにジルベールのことを逐一報告していたことに気づく。
「そんなに心配なら、最初から引き取って育てればよかったのに」
「私めはただの使用人で」
「逃げ道のあるものはいい。“それとも逃げ道を自分でつくるのが「生きる」ことなのか”」
体の弱ったジルベールを、日ごろから目をつけていた使用人が襲い、隙をみてジルベールは彼の腹を刺す。
執事から「召使いたちも信用できません」と言われ「パリへ発とう。明日の朝一番に」
“私にこの強さがあったら、すべての状況は変わっていただろう。
無邪気な仕草、無防備な甘え。それを肌で感じるたび、私は心の一方の端で己の父性を思い、
もう一方の端では、冷酷な観察者を意識する”
1877年、2人はパリに発つ。
パリではなにもかも新しく、美しく、自由で、ジルベールはすぐに街にも、社交界にも順応し、寵愛される。
ボウの屋敷では、事情をすべて知っている執事兼秘書レベックが世話役となる。
その他、家政婦長モーヌ夫人、世話係のアルラ。
“奇妙な子どもジルベールを、パリは苦もなく受け入れた”
大物ル・クール夫人に社交界からの招待が来て、断れないボウ。
ジルベールの噂はまたたく間にボナールの耳にも届く。
そして、若き政治家ロスマリネ(当時15歳)がボウに近づき、生徒総監の席を狙う。
北欧貴族のロスマリネ家は、コクトー家の権力下にある。
ボウがずっとマルセイユにいたことを持ち出し、双眼鏡でジルベールを見ていたことと関係があるのかと聞くと、ボウは釘をさす。
ボウはパリにボナールがいることに気づいてうろたえ、パーティはすべて断れとレベックに命ずる。
それを聞いたジルベールは、「いつだってこうなんだ。オーギュは必ず僕の楽しみを取り上げる!」
ボウが病気だと言っても、ジルベールだけでも来るようにとレタニエ夫人からの迎えの馬車が来て、乗って行くジルベール。
“行ってくるがいい。ボナールが待っている。縫い合わせた傷をもう一度開かれたければ”
ジルベールはボナールと再会する。
“拒んでも、拒んでも、結局は決められた運命の意のまま。どうでも好きにしろ。
僕の体にドアをつけて、開けたり閉じたりすればいい。いくらでも覗くがいい! もう拒まない”
オーギュに結婚話があることを知るジルベール。
ボナールは「君が十分納得して、身も心も委ねてくれるのを待つ」と言う。
「二度と社交界なぞ出てやらない!」「まず二度と誘いは来ない」(そんな世界なの。面倒臭いなぁ
オーギュに相手にされない孤独を埋めるため、寒い夜に雨に打たれているジルベール。それを馬車から観察するロスマリネ。
このままでは死んでしまうと入ったのは、ボナールの屋敷だった。
ボナール邸で下働きをしているチノとルノー/ルノーはジルベールに嫉妬し、「娼夫め!」と蔑む
「いいかジルベール。“誇り”だ。そのお前の尊大な、お前を守る武器は、それだけだ。忘れるな」
初めて身売りをしようとしたジルベールに優しいボナール(悪い人じゃないんだな
ロスマリネは、そのネタを持ってボウを訪ね、ジルベールが雨の晩逃げ込んだのはボナール邸だったと告げる。
「君は次の学期に生徒総監として立つつもりらしいが、上級にあがったばかりで可能だと本当に考えているのか?」
「あなたの援助があれば、あるいはそれも夢じゃない」
「そして人望ある統率者として卒業し、大学で政治学を学び議員になる。そういう道かね、君の望みは?」
「ウイ、ムッシュ」
「だが1つだけ大事なことを付け加えておこう。もし、このことで少しでもよこしまな噂が流れたら、
その時は、いかなる場合も例外なく君の仕業と承知する!
そして、私は君の将来を完璧に、握りつぶしてしまうこともできる」
[巻頭のカラーページ・巻末イラスト集]
この巻から「ケーコたんの1/4コーナー」なんてのも出来て、ファンとのコミュニケーションの場になっている。