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『大島弓子選集 4巻 ほうせんか・ぱん』(朝日ソノラマ)

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■『大島弓子選集 4巻 ほうせんか・ぱん』(朝日ソノラマ)

「大島弓子書籍リスト」さんも参照させていただきました/礼

大島弓子(作家別カテゴリー)

2巻以降は、これまで読んだものもかぶってくるため、それらは「作家別カテゴリー」を参照のほど。

【収録作品】

以下の作品は既読。
「海にいるのは・・・ 1974年別冊少女コミック7月号掲載
「ほうせんか・ぱん」1974年別冊少女コミック8月号掲載
「ほたるの泉」1974年フラワーコミック8月号

口のない絵があったり、誤字脱字を見つけたり、、、相当カンヅメ状態の極限だったのかしら?
プラス、内輪的ギャグのセリフが多くなった。「主役じゃない人が、アップで花だらけで出てくるわけないでしょう?」とかw

見えてきたのは、大島さんは、最初からずぅっと、若い男女が悩んで、最後は結婚する設定が好きなのか?
あと、すべからく親が亡くなっているというフシギな共通点。


●銀の実食べた 1974年別冊少女コミック11月号掲載


[あらすじ(ネタバレ注意)]
学校でモテモテの遠野は、目立たないクラスメイト・尾花沢笑が楽しそうに銀杏を集めているのを見かけて気になる。
遠野の亡き母も銀杏の話をしていたことを思い出す。



エミは、勉強はしたいが、家族のために働いているため、授業はいつも居眠り。
遠野は、エミと一緒に銀杏を1個1円で売る。

普段は軽蔑している父に、エミと結婚するから家屋没収を取り消してくれと頼む遠野。
銀杏を売るとウソをついて家に呼び、誤魔化し切れずに、エミにキスして逃げられる。



父は悪性の敗血症で亡くなる。借用書の束は息子に託し「お前らしく生きるがいい」と書き残す。
借用書を持っていくと、もうエミ家族は山梨に発つところ。
エミは駅で、遠野が金貸しの息子だと知っていたが好きだったと言って去る。

「もしもお嫁にほしくなったら、あたしいつでもゆくわよ」
「君の家はそのままにしておくよ。そこで君を待つからね」


●わがソドムへどうぞ 1974年1月別冊セブンティーン


[あらすじ(ネタバレ注意)]
生徒のことは生徒に管理させるシステムだという学園を仕切っているのは、3年生のデスデモン。
彼は容赦がなく、小さなルールを破った時でも、暴力をいとわない。

そこに転校してきたセイラに目をつけ、誰も相手をしてはならぬと言ったため、挨拶も返さないクラスメイトたち。
セイラは、ダヴィを知人キリーと勘違いして声をかけ、ダヴィは吊るしの刑となる。
セイラは、誰もが最長でも半日で落ちるというデスデモンの誘いを断る。

 

この高校大学を卒業すれば、大企業のエリート法律家、政治家も思いのまま。
ダヴィは家族のために仕方なく入ったが、自分の希望はほかにある気がしている。



セイラは、父が伝道師で、どんな秘境にも行くため、世界中をついて回らねばならず、1日しか学校にいなかったこともある。
そこで、教科書をくれたのがキリー。それが嬉しくて、どんな転地でも楽しく過ごせるようになったとダヴィに話す。



この学校にも今日までしかいないことを知って、ダヴィは罰則を気にせず、セイラを皆に紹介する。
デスデモンは、ダヴィをムチ打ちの刑にし、キスをしてくれるまで叩き続けるという。

ダヴィ「セイラ、こんな所から逃げろ!」
セイラ「みんなダヴィを加勢して!」

クラス内で革命が起きる。



セイラのキスでデスデモンらは皆おたふく風邪を伝染され、ダヴィは学校を去り、未開地を歩き回る伝道師になる。



●F式蘭丸 1975年別冊セブンティーン8月~9月号掲載


[あらすじ(ネタバレ注意)]
父を亡くして10年目にして、母に再婚したい相手・桂木がいると知ってショックを受けるよき子。
いつまでも子どものよき子に恋愛をムリに押しつけようとする友人を、女子のアイドル・更衣は止める。
更衣はよき子を誘うが、「私には心に決めた相手がいる」と断って騒ぎとなる。



「お化粧しないデビッドボウイ、モロー描くオーフェース、ベニスに死すのアンドレセンみんな足して4で割る森蘭丸とは彼のこと!」



その森蘭丸が転入してくる。
更衣は、なんとか蘭丸をギャフンと言わせたいが、どんな記録も蘭丸はあっけなく超してしまい、女子の人気もかっさらう。

蘭丸は、よき子の部屋に来て、子どもの頃からの愛読書スティーブンスンの詩集やらを持ってくる。
2人は「一緒に喜び、悲しみ、いつも離れず、世間通例のキスやらは一切排除して、常にお互いの精神を愛する」約束を守っている。

蘭丸は、母のフィアンセを試すために女装して、悲劇のヒロインを演じ、明日の新幹線で待っていると告げるが、
行ってみると、伝言板いっぱいに丁寧な断り文と、励ましの言葉が書かれていて、「誠実な人だ」と納得する。

よき子は、蘭丸に勝とうと躍起になって傷だらけの更衣のために、いつも絆創膏やらを持ち歩いているのを見られ、
蘭丸から「君は更衣が好きなんだ」と言われる。

母はよき子を心配し、再婚はやめたという。よき子は自分を責めてガス自殺を図る。
母は精神科の医師から「蘭丸とよき子は同一人物だ」と分析される。

「こういう現象は成長期の心の支えになる。だが、確固たる人格が築かれても姿を消さない場合、
 自分の中に違う精神がやどり、トラブルとなり、分裂状態に陥り、死に至ることもある」

“蘭丸はいない。孤独感からの解放。死んだら魂は空気のように、この世のものたちとすんなり融合できるかもしれません”

更衣のもとに蘭丸が来てSOSを告げ、更衣はよき子を助ける。
母は再婚、よき子も結婚して子どもに空想の友だちがいるのではと思いを馳せる。


●10月はふたつある 1975年女学生の友10月号掲載


[あらすじ(ネタバレ注意)]
泥酔して、見知らぬ男のベッドで寝ていた焼木長子。
タクシーの運転手が「お客さんエクソシストかと思いやしたよ。そのセーラー服後ろ前なんでしょう」ってセリフ可笑しいw

学校に戻り、保健体育の臨時教師・藤枝が、今朝の男と知って驚く。

校長「この学園はハンサム教師のたまり場として昔から有名だ。そのハンサムに恋焦がれて自殺する女生徒も少なくない」



室生は、他の生徒のように藤枝に熱を上げないことを喜ぶ。
室生は高校に入ってすぐにナガコに告白した男子。そのままなんとなく仲良くしている。
眉を剃ったナガコを見た母は「昔は眉を剃るのはお嫁入りしてからと決まっていたから」と驚く。



授業中、なんとか藤枝を困らせようと、ナガコは性愛に関して質問すると、
「私にとって好意を持ったまま、抱かずにいるほうがはるかに重罪だ」と即答する藤枝。

ナガコは室生に藤枝と一夜を過ごしたと明かす。

“私はよく思うんです。逆立ちして見る上下逆の風景。鏡にうつった鏡の中の風景。
 なんてそれらは生き生きと明るく目に映るんでしょう。
 そんなものは虚像だと分かってはいるけど、あっちの世界のほうがはるかに赤裸々に生きられるのではないかと思ってしまう”

藤枝「君の決心さえつけば、私はいつでも連れて行ってやろう。光り輝くもう一方の十月に」

ナガコは両親にも話し、普段は疎遠な父から怒りの一発を食らう。
藤枝は学校を辞めざるを得なくなる。

「君のお父さん、私の所に来て、大声で怒鳴りつけたよ。
 理性なんてなかった。幼い妹がイジメられた時の勇ましい兄のように」

室生は、ナガコが傷ついたと同じくらい、自分も傷を負う。
しかし、翌朝目覚めると全部夢?(『時をかける少女』!?

学校で、美青年を追って自殺した事件のハンサムの写真は藤枝で、
事件は20年前。その10年後に藤枝は病死しているという。
「可哀想に。可哀想に。と言いながら死んだんですって」

“今は、私にとって逃げることのできない世界なのだと、先生は私に告げて去ったのだ”


●リベルテ144時間 1975年月刊プリンセス12月号掲載


[あらすじ(ネタバレ注意)]


山の辺十五(15歳)は、なんでも優秀な兄・千さんへのコンプレックスを指摘されて、
山で滑落死した兄と同様、登山部に入り、猛特訓の末、山で滑落する。

ある美人が山岳部キャプテン・不比等をお見舞いに来る。
不比等は、千だけでなく、その弟までも目の前で亡くしたことを自責している。

 

千が亡くなってから、千が好きだった芙草は、十五の世話をし始める。
同じく千が好きだったミナミは、千の死後もラブレターを十五に渡してもらい続けていた。

不比等は、見舞いに来た美人に「一晩このベッドに泊まってくれ」と頼む。
それは、見回り看護婦の目を誤魔化して、病院を抜け出すためだった。
不比等自身も肋骨を骨折、内臓破裂の身ながら、芙草の自殺を止める。

「私が十五さんを苦しめたんです。私も行くんです」

「オレは十五を山に登らせることで君のウソに気づかせようとした。
 十五が千の弟であろうと山は容赦しない。本心で体当たりするからな。
 本心と本心、それが真実だ。だが彼はその本心への恐怖に負けちまったのよ」

ミナミは、ずっと美人の後を尾けていて、十五の女装だと見破る。
「僕はやっぱり死んだことにしておくから」

十五は滑落後、なぜか兄に導かれるように、するりと生き返り、町に出たが、笑い者になるのを恐れ、
奇跡の生還者になろうと決め、ついでなら今までコキおろした連中を困らせようと仕組んでいたのだった。

千は、ミナミが本当は十五が好きだと知っていた。
そして、自分は登山から帰ったら芙草に恋を打ち明けるんだと書いた手帳を読む十五。

十五はクラスに戻り、奇跡の生還者として人気者となる。


●ヨハネが好き 1976年別冊少女コミック1月号掲載


[あらすじ(ネタバレ注意)]
学校で女子に大人気のヨハネは、飛行機事故で両親を突然亡くし、
子どもが欲しいと迫る親戚たちを断って、下のきょうだい果林、松丸、竹丸、梅丸の世話をしながら学校に通っている。

 

クラスで一番目立たないやすべえは、家事・育児を手伝いにいくがうまくいかない。
果林は、ヨハネが好きで、やすべえがヨハネに好かれたくて世話していることを見透かして嫉妬する。



乳児が赤飯を食べてしまい、死ぬところだったのを隣りの医師が助けてくれて、反省するヨハネ。
陸上のエースのため、友人は子どもたちの世話を手伝うと言う。
「人生は、恋人より友人を見つけるほうがむずかしい、と言うではないか」(大島さん“ないないか”になっていますよ・・・?

果林の心情に気づき、やすべえはもう来ないと約束する。
ヨハネは退学届けを出すと言うが、やすべえは怒る。

「夢はなあに。宇宙飛行士でしたっけ?! その子たちの親がわりになって、それから高校の資格をとって10年。
 それはいいわ、だけど、柔軟な肢体は? 追いかける理想の恋人の熱い思いは、もうないのよ!」

ヨハネはそれでも決心は変わらず、きょうだいらをピクニックに連れていく。
だが、果林は「叔母の家に行きます」と書き置きを残して消えたため、追ってゆき、
幼い弟らは散り散りになって遭難し、絶対安静の危機となる。
親戚はやはり預かるべきだったと責める。

実は、ヨハネは、両親が亡くなって、友だちの子だからという理由で今の家に来たのだった。
ヨハネは憔悴した体で、自分が出るはずだった陸上競技大会の長距離に出させてくれと友人に頼む。
「走って走ってテープを切りたいんだ・・・走らせておくれ」

やすべえは、兄にヨハネを追ってと頼むが、途中で追いつけず。
ヨハネはテープを切って、救護班に運ばれる。



やすべえの兄は
「私も君と同じだ。若い頃、両親を亡くして、この子と暮らしてきた。その間、散々悩んだりしてるのを見てるから、
 こいつ(やすべえ)は僕の青春をとったと錯覚してる。2km走ってぶっ倒れた時、見た空のキレイなことったら。
 お前を突き放していたら、見られない空の色だったよ」

友人らは自分たちが交代で子どもたちの面倒をみると言い、ヨハネは学校に戻る。
その後、果林は嫁ぎ、やすべはヨハネと結婚。

「むく鳥のゆめ」浜田廣介著



【書き下ろしマンガエッセイ】
 

「F式蘭丸」は、普通の修羅場でした。
ねむらない、おふろにはいらない、たべるだけのふつうのしゅらばね

「ヨハネが好き」の時のすまいは、まだ1DKで、下書きの時に人が大勢いるとできない状態なので、
バストイレルームに入って描いて出てきたら、あの人はひょうきんだと面白がられました。


サバさんがお元気だった頃だ



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