■『シリーズ鳥獣害を考える2 イノシシはなぜ田畑に害をあたえるの?』(農山漁村文化協会)
江口祐輔/監修 こどもくらぶ/編集
私の実家の畑も、近くに山があるせいか、農作物を食べられたと親が文句を言っていた。
付近に民家が少なく、柵などの対策もないから、絶好の餌場なんだろうな
どのみち、毎年たくさん野菜を作りすぎて「腐らせた」「捨てた」って言ってるんだから、
イノシシ(あとハクビシン!)家族を養ってあげてもいいのでは?と私は思ってしまったが、
それによって収入を得て生活する人々にとっては害獣なんだな・・・
それも「生態を知らないから」「人が山際まで住むようになったから」などなど、動物から見たら「人害」なんだ。
それを、どう「駆除」せずに「共存」できるか、を考えるきっかけになる1冊。
他にも、カラス、シカ、サル、モグラ、ハクビシン・アライグマなどがある。
ヒトはどんどん増えて、希少動物は物凄いスピードで死に絶えている現代。
散々これまで毛皮や、肉食や、愛玩動物として乱獲してきたのに、
イノシシさんらはちょっと増えるだけで怒るのね。
これがたとえば、ヒトが畑に侵入しただけで撃ち殺したりするだろうか?
ヒトも動物。動物も1つの命。
毎日食べなきゃ死んじゃうんだもの、エサ場があればそりゃ食べるよね。生きたいもの。
【内容抜粋メモ】
はじめに
野生の鳥や獣による農作物などの被害が問題となっている。
昔は、ヒトの暮らしと共存してきたのに、なぜか?
これらの動物を捕獲&駆除するだけでは、問題は解決しない。
ヒトを怖がらなくなったイノシシ
秋の行楽シーズン。食べ物目当てのイノシシがリュックを襲うケースが多発している。
学校農園が被害に遭った話もある。
問題になり始めたのは、1960年代、日本の産業・生活習慣が大きく変わったことからと言われる(また高度経済成長期だよ
全国で、畑をネットで囲んだり、柵に電気を通したり、薬を噴き出す装置をつけたり、トウガラシ爆弾をしかける(!)などの対策をしてきた。
しかし、イノシシはほんとうに害獣なのでしょうか?
イノシシってどんな動物?
ニホンイノシシの場合、体長約120~150cm(大きいんだね/驚
毛は硬くて太く「ヘアブラシ」の材料にされることもある
後ろ脚はジャンプ力があり、1m以上を助走なしで跳べる。
20cm以上の隙間があれば、ムリヤリくぐり抜けるw
オスには牙が生えて、身を守る
犬にも負けない嗅覚をもつ。
鼻を使って土を掘り、食べ物を見つける。
「ブタ」はイノシシを改良し、家畜にしたもの。
低い山の森林、草地、水場のある所で暮らす。
おもな生息域
イノシシの一生
成長が早く、繁殖力が強いのが特徴。
基本的に子どもを産むのは年に1回。春~初夏にかけて4~5頭産む。
春の出産に失敗or子どもが全員死んでしまうと秋に産む例もある。
子どもは「ウリボウ」と呼ばれる(かあいいねえ
この縞模様は、6ヶ月を過ぎる頃に消える。
メスは群れで暮らす。出産後は群れに戻るor新しい群れとして独立する。
オスは1年で独立するor兄弟で行動する。
寿命は5~10年(短いんだ/涙
イノシシの習性
雑食性。
飼育されているイノシシは、1日1kgのエサを食べる。これは、ブタの約1/3。
野生では、つねにエサが見つかるわけではないので、起きている時間(7~10時間)ずっとエサ探し&食べている。
子どもは、母乳の時期から少しずつ、母親の食べるエサに興味を持ち始める。
生後3ヶ月頃には、母親の食べるものはすべて食べられるようになる。
しかし、母イノシシが畑の農作物を食べていると、子どもも食べ、山のエサを覚えられなくなることがある。
イノシシのいろんな誤解
【活動時間】
イノシシ被害は主に夜に発生するが、野生のイノシシは、日中活動し、夜は動かない。
ヒトの気配が減る時間帯を選んでいるために誤解された。
【猪突猛進】
この言葉から気が荒いイメージが強いが、本来はとても臆病で、警戒心が強く、めったにヒトの前に現れない。
テレビ等で全速力で走っている姿は、ヒトから逃げようとして興奮しているから。
逆にいったん安全だと分かると、大胆に行動する。
けもの道
移動する時は、見晴らしのよい場所を避けて、藪やしげみのある、慣れた「けもの道」を使う。
そのため、体にダニなどの寄生虫がつきやすく、湿地に穴を掘って、体をこすりつけて虫を落とす。「ぬた場」という。
イノシシの感覚能力
鼻
嗅覚が鋭いため、トリュフを探すのにブタを使ったり、ドイツでは麻薬捜査にブタを使ったこともある。
【木酢液は苦手じゃない】
刺激の強いニオイも、一度は警戒するが、慣れれば素通りする。
触角
鼻先(鼻鏡)は柔らかく、モノに触って感触をたしかめる役割をもつ。
ここは敏感なので、弱点でもある。電気の柵は鼻の高さに設置するとよい(痛くない程度にしてね・・・
目
視力は0.1程度だが「動体視力」が高い。暗闇はヒト同様、慣れてくると少し見える。
イノシシの高い学習能力
記憶力が高く、何度も見るヒトは覚えるという。
野生のイノシシは群れで学習するため、群れから離れるオスのほうがワナにかかりやすい。
ヒトとイノシシの戦いの歴史
田畑を耕してきた日本人は、作物を食べる野生動物は、昔から敵だった。
イノシシ被害で、3000人以上が餓死したという記録もある/驚
江戸時代&明治時代には石を積んで侵入を防ぐ「猪垣」が作られた。写真は熊野古道に残る「猪垣」
明治以降、毛皮など目的とした乱獲が始まり、数が減った。
イノシシはヒトを恐れて、人里を避けるようになった(そのほうがいいよ。ヒトは一番危険なんだ
第二次世界大戦後、高度経済成長により、大勢が都会で働くようになった。
森林から薪をとる代わりに、石油が使われ、山に入るヒトも減ったため、再びイノシシ被害が増えた。
イノシシ被害が増えた理由は人里の変化のせい
ヒトの気配がない人里はかっこうのエサ場となる。
ヒトが捨てた生ゴミ、お墓のお供え物などの味を一度覚えると、繰り返し現れるようになる。
都市部でも被害が出ている。ハイキングに来てゴミを残したり、直接エサを与えたりしたため。
ヒトが食べ物を持っていると学習したイノシシが近づくようになった。
荒地が増えた
「耕作放棄地」が増え、イノシシの大好物の「クズ」が生え、虫も増えた。
放置した農作物、果実
質が悪い、見た目が悪い、虫に食われたという理由で出荷されずに放置されていると、
イノシシが食べ、今度は収穫前の農作物も食べるようになる。
過疎化が進んだ地域では、手入れされない果樹がエサとなる。
ヒトがイノシシを増やしている
【イノシシがたくさん子どもを産んだ説も誤解】
出産数・回数に変化はない。
冬の山はエサが少ない。本来は強い個体のみが生き残り、一定に数が保たれるのが自然界。
でも、今はゴミ、山に捨てられたお菓子、お弁当などがエサになったり、
稲刈り後の切り株から小さな芽が出たり、放置された竹林のタケノコ、冬野菜もエサとなり、
どんどん増えているように見える。
森林伐採で住みかが増えた
森林伐採されると、イノシシの好む「クズ」などの植物が生えやすくなった。
増えすぎると生態系に影響が出る
自然界の生態系。「食べる」「食べられる」の関係で循環し、一定数に保たれている
縄文時代の貝塚には、イノシシの骨が発見され、食べていたことが分かる。
その後、仏教で肉食が避けられたが、「山クジラ」と呼ばれて食べられてきた。
今も、イノシシ肉の料理で「地域おこし」をしているところもある。
イノシシ肉の串焼き/涙
イノシシに関する、相反する2つの法律
「野生鳥獣保護法」:無断で捕獲することを禁じている。
「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律(鳥獣被害防止特措法)」
農業などに著しい被害が出た時は、関係する役所に手続きすれば狩猟で捕獲ができる。
イノシシによる被害とは?
1.農作物の被害
収穫前の田に入り、「乳熟期」のイネを食べる。
イネのような植物で遊ぶのが大好きなため、イネが倒される。
※木の実がまだ落ちてこない8~9月はエサが不足する。
ちょうどその頃にイネが「乳熟期」を迎える(偶然じゃなくて神さまの配剤では?
2.畑を荒らす
作物を踏み倒すため、イノシシが食べない花、茶、タバコ畑でも被害となる。
有機農業が増えて、幼虫が増えたのもエサとなる。
3.果樹園を荒らす
後ろ足で立ち、1mくらいの高さの果物にも届く。枝に果物がついたまま折られる被害も出る。
4.ヒトに怪我を負わせる
ウリボウを連れた母親は、攻撃的になる。
5.墓地のお供え物を食べる
墓石の下にる幼虫を探して、墓石を倒すこともある。
三井寺にある国宝「光浄院客殿」では障子が破られ、イノシシの足跡などがついていた。供え物を食べるため。
(仏さまは怒らないと思うよ
6.芝を掘り返す
公園、ゴルフ場、家庭の庭などでも虫を探して掘り返す
7.ゴミ捨て場をちらかす
飛行場に侵入したこともある@松山空港(2010)
4時間半後、地元の猟友会によって射殺された(猟友会のほうがよほど怖いよ
飛行場には柵があったが、習性を考慮されていなかった。
わたしたちに出来ること
1.野生のイノシシには、絶対餌付けしない。
ヒトが危害を加えないと分かると、ねだったり、奪ったりすることもある。
2.ゴミの出し方を工夫する
柵やネットで囲む、決められた場所・時間に捨てる
3.山にゴミを捨てない
キャンプやハイキングをしたヒトの残したゴミがエサとなる。ゴミは必ず持ち帰る。
よせつけない工夫
1.イノシシから見えなくする
イノシシの目線は地面から50~60cmほど。
実った作物が見えないことで被害が防げる。
2.熟して落ちた果物を片付ける
家庭、学校にある柿などは、放置せず、こまめに片付ける。
3.イノシシに警戒をうながす
山からおりると荒れ地に身を隠し田畑に近づく。
荒れ地の草を刈って見通しをよくすると怖がって出てこなくなる効果がある。
4.ヒトの気配を感じさせる
「ここはヒトの暮らす場所だ」と知らせるため、被害が出た近くを散歩コースにするのも効果的。
5.田畑を囲む
イノシシは1.2mの高さを飛び越えられるが、柵の上を少し外側に曲げると防げる。
柵の上から網を垂らすのもよい
電気柵を張るには、電気の流れ方についての知識が必要(こないだヒトがかからなかったっけ?
6.ウシを放牧する
荒れ地を柵で囲み、ウシやヒツジを放牧すると、山際まで下草を食べてくれるため、
イノシシが好む藪やしげみがなくなる。経費も管理の手間も少なくて済む(これはイイかもv
※人里で農作物を食べるイノシシは、人里周辺に暮らすことが多く、
人里から離れた山で暮らすイノシシは、人里には現れない。
なので、山でイノシシを捕まえるより、人里で被害をもたらす1頭を捕まえるほうが効果が高い。
統計
イノシシ、サル、シカは「三大害獣」と呼ばれる。
役立つ図書、サイト
「かわりゆく環境 ニホン生き物レポート」(全4巻)宮崎学/写真・文
「生かして防ぐクマの害」米田一彦/著
「Yahoo!きっず図鑑」
江口祐輔/監修 こどもくらぶ/編集
私の実家の畑も、近くに山があるせいか、農作物を食べられたと親が文句を言っていた。
付近に民家が少なく、柵などの対策もないから、絶好の餌場なんだろうな
どのみち、毎年たくさん野菜を作りすぎて「腐らせた」「捨てた」って言ってるんだから、
イノシシ(あとハクビシン!)家族を養ってあげてもいいのでは?と私は思ってしまったが、
それによって収入を得て生活する人々にとっては害獣なんだな・・・
それも「生態を知らないから」「人が山際まで住むようになったから」などなど、動物から見たら「人害」なんだ。
それを、どう「駆除」せずに「共存」できるか、を考えるきっかけになる1冊。
他にも、カラス、シカ、サル、モグラ、ハクビシン・アライグマなどがある。
ヒトはどんどん増えて、希少動物は物凄いスピードで死に絶えている現代。
散々これまで毛皮や、肉食や、愛玩動物として乱獲してきたのに、
イノシシさんらはちょっと増えるだけで怒るのね。
これがたとえば、ヒトが畑に侵入しただけで撃ち殺したりするだろうか?
ヒトも動物。動物も1つの命。
毎日食べなきゃ死んじゃうんだもの、エサ場があればそりゃ食べるよね。生きたいもの。
【内容抜粋メモ】
はじめに
野生の鳥や獣による農作物などの被害が問題となっている。
昔は、ヒトの暮らしと共存してきたのに、なぜか?
これらの動物を捕獲&駆除するだけでは、問題は解決しない。
ヒトを怖がらなくなったイノシシ
秋の行楽シーズン。食べ物目当てのイノシシがリュックを襲うケースが多発している。
学校農園が被害に遭った話もある。
問題になり始めたのは、1960年代、日本の産業・生活習慣が大きく変わったことからと言われる(また高度経済成長期だよ
全国で、畑をネットで囲んだり、柵に電気を通したり、薬を噴き出す装置をつけたり、トウガラシ爆弾をしかける(!)などの対策をしてきた。
しかし、イノシシはほんとうに害獣なのでしょうか?
イノシシってどんな動物?
ニホンイノシシの場合、体長約120~150cm(大きいんだね/驚
毛は硬くて太く「ヘアブラシ」の材料にされることもある
後ろ脚はジャンプ力があり、1m以上を助走なしで跳べる。
20cm以上の隙間があれば、ムリヤリくぐり抜けるw
オスには牙が生えて、身を守る
犬にも負けない嗅覚をもつ。
鼻を使って土を掘り、食べ物を見つける。
「ブタ」はイノシシを改良し、家畜にしたもの。
低い山の森林、草地、水場のある所で暮らす。
おもな生息域
イノシシの一生
成長が早く、繁殖力が強いのが特徴。
基本的に子どもを産むのは年に1回。春~初夏にかけて4~5頭産む。
春の出産に失敗or子どもが全員死んでしまうと秋に産む例もある。
子どもは「ウリボウ」と呼ばれる(かあいいねえ
この縞模様は、6ヶ月を過ぎる頃に消える。
メスは群れで暮らす。出産後は群れに戻るor新しい群れとして独立する。
オスは1年で独立するor兄弟で行動する。
寿命は5~10年(短いんだ/涙
イノシシの習性
雑食性。
飼育されているイノシシは、1日1kgのエサを食べる。これは、ブタの約1/3。
野生では、つねにエサが見つかるわけではないので、起きている時間(7~10時間)ずっとエサ探し&食べている。
子どもは、母乳の時期から少しずつ、母親の食べるエサに興味を持ち始める。
生後3ヶ月頃には、母親の食べるものはすべて食べられるようになる。
しかし、母イノシシが畑の農作物を食べていると、子どもも食べ、山のエサを覚えられなくなることがある。
イノシシのいろんな誤解
【活動時間】
イノシシ被害は主に夜に発生するが、野生のイノシシは、日中活動し、夜は動かない。
ヒトの気配が減る時間帯を選んでいるために誤解された。
【猪突猛進】
この言葉から気が荒いイメージが強いが、本来はとても臆病で、警戒心が強く、めったにヒトの前に現れない。
テレビ等で全速力で走っている姿は、ヒトから逃げようとして興奮しているから。
逆にいったん安全だと分かると、大胆に行動する。
けもの道
移動する時は、見晴らしのよい場所を避けて、藪やしげみのある、慣れた「けもの道」を使う。
そのため、体にダニなどの寄生虫がつきやすく、湿地に穴を掘って、体をこすりつけて虫を落とす。「ぬた場」という。
イノシシの感覚能力
鼻
嗅覚が鋭いため、トリュフを探すのにブタを使ったり、ドイツでは麻薬捜査にブタを使ったこともある。
【木酢液は苦手じゃない】
刺激の強いニオイも、一度は警戒するが、慣れれば素通りする。
触角
鼻先(鼻鏡)は柔らかく、モノに触って感触をたしかめる役割をもつ。
ここは敏感なので、弱点でもある。電気の柵は鼻の高さに設置するとよい(痛くない程度にしてね・・・
目
視力は0.1程度だが「動体視力」が高い。暗闇はヒト同様、慣れてくると少し見える。
イノシシの高い学習能力
記憶力が高く、何度も見るヒトは覚えるという。
野生のイノシシは群れで学習するため、群れから離れるオスのほうがワナにかかりやすい。
ヒトとイノシシの戦いの歴史
田畑を耕してきた日本人は、作物を食べる野生動物は、昔から敵だった。
イノシシ被害で、3000人以上が餓死したという記録もある/驚
江戸時代&明治時代には石を積んで侵入を防ぐ「猪垣」が作られた。写真は熊野古道に残る「猪垣」
明治以降、毛皮など目的とした乱獲が始まり、数が減った。
イノシシはヒトを恐れて、人里を避けるようになった(そのほうがいいよ。ヒトは一番危険なんだ
第二次世界大戦後、高度経済成長により、大勢が都会で働くようになった。
森林から薪をとる代わりに、石油が使われ、山に入るヒトも減ったため、再びイノシシ被害が増えた。
イノシシ被害が増えた理由は人里の変化のせい
ヒトの気配がない人里はかっこうのエサ場となる。
ヒトが捨てた生ゴミ、お墓のお供え物などの味を一度覚えると、繰り返し現れるようになる。
都市部でも被害が出ている。ハイキングに来てゴミを残したり、直接エサを与えたりしたため。
ヒトが食べ物を持っていると学習したイノシシが近づくようになった。
荒地が増えた
「耕作放棄地」が増え、イノシシの大好物の「クズ」が生え、虫も増えた。
放置した農作物、果実
質が悪い、見た目が悪い、虫に食われたという理由で出荷されずに放置されていると、
イノシシが食べ、今度は収穫前の農作物も食べるようになる。
過疎化が進んだ地域では、手入れされない果樹がエサとなる。
ヒトがイノシシを増やしている
【イノシシがたくさん子どもを産んだ説も誤解】
出産数・回数に変化はない。
冬の山はエサが少ない。本来は強い個体のみが生き残り、一定に数が保たれるのが自然界。
でも、今はゴミ、山に捨てられたお菓子、お弁当などがエサになったり、
稲刈り後の切り株から小さな芽が出たり、放置された竹林のタケノコ、冬野菜もエサとなり、
どんどん増えているように見える。
森林伐採で住みかが増えた
森林伐採されると、イノシシの好む「クズ」などの植物が生えやすくなった。
増えすぎると生態系に影響が出る
自然界の生態系。「食べる」「食べられる」の関係で循環し、一定数に保たれている
縄文時代の貝塚には、イノシシの骨が発見され、食べていたことが分かる。
その後、仏教で肉食が避けられたが、「山クジラ」と呼ばれて食べられてきた。
今も、イノシシ肉の料理で「地域おこし」をしているところもある。
イノシシ肉の串焼き/涙
イノシシに関する、相反する2つの法律
「野生鳥獣保護法」:無断で捕獲することを禁じている。
「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律(鳥獣被害防止特措法)」
農業などに著しい被害が出た時は、関係する役所に手続きすれば狩猟で捕獲ができる。
イノシシによる被害とは?
1.農作物の被害
収穫前の田に入り、「乳熟期」のイネを食べる。
イネのような植物で遊ぶのが大好きなため、イネが倒される。
※木の実がまだ落ちてこない8~9月はエサが不足する。
ちょうどその頃にイネが「乳熟期」を迎える(偶然じゃなくて神さまの配剤では?
2.畑を荒らす
作物を踏み倒すため、イノシシが食べない花、茶、タバコ畑でも被害となる。
有機農業が増えて、幼虫が増えたのもエサとなる。
3.果樹園を荒らす
後ろ足で立ち、1mくらいの高さの果物にも届く。枝に果物がついたまま折られる被害も出る。
4.ヒトに怪我を負わせる
ウリボウを連れた母親は、攻撃的になる。
5.墓地のお供え物を食べる
墓石の下にる幼虫を探して、墓石を倒すこともある。
三井寺にある国宝「光浄院客殿」では障子が破られ、イノシシの足跡などがついていた。供え物を食べるため。
(仏さまは怒らないと思うよ
6.芝を掘り返す
公園、ゴルフ場、家庭の庭などでも虫を探して掘り返す
7.ゴミ捨て場をちらかす
飛行場に侵入したこともある@松山空港(2010)
4時間半後、地元の猟友会によって射殺された(猟友会のほうがよほど怖いよ
飛行場には柵があったが、習性を考慮されていなかった。
わたしたちに出来ること
1.野生のイノシシには、絶対餌付けしない。
ヒトが危害を加えないと分かると、ねだったり、奪ったりすることもある。
2.ゴミの出し方を工夫する
柵やネットで囲む、決められた場所・時間に捨てる
3.山にゴミを捨てない
キャンプやハイキングをしたヒトの残したゴミがエサとなる。ゴミは必ず持ち帰る。
よせつけない工夫
1.イノシシから見えなくする
イノシシの目線は地面から50~60cmほど。
実った作物が見えないことで被害が防げる。
2.熟して落ちた果物を片付ける
家庭、学校にある柿などは、放置せず、こまめに片付ける。
3.イノシシに警戒をうながす
山からおりると荒れ地に身を隠し田畑に近づく。
荒れ地の草を刈って見通しをよくすると怖がって出てこなくなる効果がある。
4.ヒトの気配を感じさせる
「ここはヒトの暮らす場所だ」と知らせるため、被害が出た近くを散歩コースにするのも効果的。
5.田畑を囲む
イノシシは1.2mの高さを飛び越えられるが、柵の上を少し外側に曲げると防げる。
柵の上から網を垂らすのもよい
電気柵を張るには、電気の流れ方についての知識が必要(こないだヒトがかからなかったっけ?
6.ウシを放牧する
荒れ地を柵で囲み、ウシやヒツジを放牧すると、山際まで下草を食べてくれるため、
イノシシが好む藪やしげみがなくなる。経費も管理の手間も少なくて済む(これはイイかもv
※人里で農作物を食べるイノシシは、人里周辺に暮らすことが多く、
人里から離れた山で暮らすイノシシは、人里には現れない。
なので、山でイノシシを捕まえるより、人里で被害をもたらす1頭を捕まえるほうが効果が高い。
統計
イノシシ、サル、シカは「三大害獣」と呼ばれる。
役立つ図書、サイト
「かわりゆく環境 ニホン生き物レポート」(全4巻)宮崎学/写真・文
「生かして防ぐクマの害」米田一彦/著
「Yahoo!きっず図鑑」