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10代からの考えるレッスン 哲学のおやつ『ヘンとふつう』(汐文社)

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10代からの考えるレッスン 哲学のおやつ『ヘンとふつう』(汐文社)
ブリジット・ラベ(作家)、デュポン・ブリエ(哲学アグレジェ教授、高等教育教授資格者)/著 西川葉澄/訳

「哲学のおやつ」シリーズは全3巻で、第1期からどんどん増やしていってるようだ。
イラストも含めて、名前と体験談の形式で書かれていて、とても分かり易いのに、深い。


【内容抜粋メモ】

●「ヘンとふつう」は時代、家族、場所によって変わる

「ヘン」
普段と違うこと
説明できないこと

「ふつう」
自然なこと
正しいこと

私たちは、「ヘンとふつう」という言葉を随分違ういろんなことに使っている。
ざっくりとした言葉だから、何を言いたいのか自分でも正確に分かっていないことが多い。

「ふつう」の宗教、「ふつう」の勉強、「ふつう」の食べ物、「ふつう」の身長、「ふつう」のファッション・・・

「ふつう」のことが少ししかない所に住んでいると、たくさんの人たちが居心地の悪い、
肩身の狭い窮屈な思いをして、自分はみんなの仲間ではないような気がする。


●オーダーメイドの人生~こんなだったらいいな

・都心から1時間の1軒家に住んで、生涯同じ人を愛し、子どもは2人、フルタイムの仕事をする。
・35歳までは1日12時間働いて、お金をたくさん稼ぎ、40歳で結婚して、子どもは1人。
・学校を卒業したら旅に出る 3年ごとに違う国に住む。独身。

人生には、たくさんの選択肢が必要で、たくさんの可能性の中で暮らしたい。


●思いきってやってみた人たち

80年前には、フランスで女性はズボンを履いてなかった
馬に乗る時は、両足を同じ側にそろえて、横座りしなければならず、それが「ふつう」だった
だから、ズボンを履いたりすると、人からとても悪く思われて、ひんしゅくを買った。


でも、今は女性がズボンを履くのは「ふつう」。
それは思いきってやってみた人たちのおかげ。
新しい「ふつう」を作ってくれた人たちだ。


●自分にストップをかけている

男の子のギヨームは、休み時間にサッカーよりも、女の子とゴム飛びがしたいと思うのはいけないこと?
そんな法律があるのだろうか?
友だちがやめろと言ったり、バカにするのだろうか?

ギヨームは、そこに行ってはいけないと思っている。
まるで、自分の中にいる目に見えないリーダーから「ストップ! それはヘンだよ!」と言われているみたい


●超ふつうの生活


ノーマは、室温が19度か確かめる。風邪をひくかもしれないから。
水は1日1.5リットル飲む。
「映画に行かない?」と誘われたけど、明日の朝は6時に起きなければいけない、すると、23時には寝ないといけない、だから断った

「完璧、すべて正常だわ」

ある日、1日に5種類の野菜と果物を食べなくてはいけないのに、
今日は食べていないことに気づいて、ノーマはパニックになった

ノーマは、「超ふつうの生活」の生活を送るためのロボットみたいだ。
ルールにとり憑かれて、自分のやりたいこと、自分の人生を生きるのを忘れてるんだ。


●ココロの病気

イヴは「やつらは僕を毒殺しようとしている」と信じている。
現実にあない敵を作り上げている。


●自分で考える

フレデリックは、元気なパン屋さんだったが、バイク事故で生死をさまよった。
入院中、飽きてしまって、美しい本を書いた



退院後、車イス生活になったが、筋トレをして、身体障害者の陸上クラブに入会した。
そして、車イスでもラクに入れるような、自分のパン屋さんを改築しようと決心した。
いろんなことがあったけど、彼は自分の人生を、自分で作っている。


●太陽の色は何色?


アスリッドが太陽を青く塗ったら先生が注意した。
「ヘンだろ?! ふつうの色で描き直しなさい」
アスリッドは絵を描きたくなくなった。
(子どもの絵は、巨匠を越える独創性があるのに、こうして未来の可能性は、教育現場や家庭から潰されていくんだ

「どうしてハイヒールを履かないの? 女の子はみんなドレスを着たりするの好きじゃないの」
アスリッドはもう出かけたくなくなった。


●閉じ込められるか、逃げ出すか?

「ふつう」と思われていることの罠を探すのが大切。そこからうまく逃げ出せるように。
どんな人になりたいのか。誰かのコピー? それともたった1つの作品か。


●みんなやってる悪いことならいい?

ヴィクトワールは、みんなやってるからリンゴを万引きしている。
アドリアンは、みんなやってるからイヴのお尻をたたいて挨拶する。
ヴィクトワールとアドリアンは、みんなが無視しているから、3階に住む男に見向きもしない。

「あいつは、最初の奥さんを毒殺したってみんな言ってるし」



ヴィクトワールは、自分自身には問いかけない。
私たちは、大切な質問を自身に問うのを忘れてしまう。
本当かウソかなどが見えなくなってしまう。
じっくり考えることを忘れてしまう。


●イジワルはふつう?

私たちは、テレビのニュースを見て思う「暴力はふつうだ」。
私たちの見ている現実の世界を描写するとこうなる。

でも「ふつうなのは優しさのほうだ」と思うこともできる。
私たちが“こうあって欲しい”と願う世界を思い描く


●動物園はヘン?

カリム「動物園なんてキライ。檻に閉じ込めるなんてヘンだ」
ニナ「動物を虐待するほうがヘンでしょ。動物園ではとても大事にされているから大丈夫なんだよ」

カリム「動物には広々とした場所が必要なんだ
ニナ「じゃあ、旅行するお金のない人は、動物を見れないじゃない」

カリム「本物のライオンを見なくても生きていけるよ。1回も海を見たことがない子もいるだろ」
ニナ「そうね、私もそう思う」

世界には、工場で働く子どもがいる。
お腹いっぱい食べれない人がいる。
外で寝泊りする人がいる。
戦争もヘンだ
親が子どもを叩くのもヘンだ。

ニナとカリムは、自分たちが住んでみたい世界を思い描いてみる。

みんなが海が見れて、働かなくてもよくて、暴力もない。
みんなお腹いっぱい食べて、家で眠ることができる。
戦争も、公害もない。

これは想像上の“理想の世界”だけど、ヒトの頭の中には存在している。
こういう考えがヒトを導いていく。
ヒトは自分の住みたいと思う世界をつくっていけるんだ。


[哲学のやり方~話し合ってみる]

世の中をよくするための話し合いは楽しい。
意見が対立したり、喋ってばかりで他の人の話を聞かない人がいて、ケンカになっても。

話し合うコツ:
・人数は10人までのほうがいい
・美味しいおやつを用意する
・リラックスして、丸くなって床に座ってもいい

・相談してテーマを決める。一番話し合いたいテーマに投票する。1人1票
・相手の話を聞く。自分と違う意見を認める

・1時間やってもいいし、1日やっててもいい
・この本をガイドブックのように使うことができる

・体験談を話し合ってみよう
・質問の後ろには、もう1つの質問が隠れていて、その後ろには、また新たな質問がある



本書の最後には「あなたの考えを書いてみよう」「あなたの体験を書いてみよう」というメモもある。


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