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“絶滅動物”がよみがえる?@サイエンスZERO

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“絶滅動物”がよみがえる?@サイエンスZERO

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FUJIFILM SQUARE 企画写真展「世界動物遺産 最後の一頭に、してなるものか。」(2016.9.26)


絶滅しそうな動物を救ったり、絶滅した動物を復活させることが可能になりつつあるという技術を紹介


Q:1年間に絶滅している生き物は何種類か?


今、地球上では500万~5000万種の生物が存在していると言われているが、その多くは数が減っている
今後、100年間で半数の種が絶滅すると考える研究者もいる


●希少動物を絶滅から守る取り組みをしている神戸大学
 

 

黄色のストローの中には「シロサイ(準絶滅危惧種)」、
白のストローの中には「チーター(絶滅危惧Ⅱ類)」の精子が入っている

 

楠木さんは20年ほど前から全国の動物園などと協力して、精子や卵子を使った希少動物の繁殖に取り組んできた
「もともとは家畜の人工繁殖を研究してきた その技術を希少動物に役立てるかと思ったのがきっかけ」


●仙台市の動物公園
 

5年ほど前からアフリカゾウの精子を凍結保存する取り組みをしている

 

精子を採取し、状態を確認すると「やや低いが この精液を楠木さんに送って、大学でも観察する」
「だいぶ精子が壊れている 首の部分でちぎれてしまっているのがいくつもあり、これらは凍結保存しても意味がない」

このゾウからこれまで100回ほど採取したが、保存に適した精子はほとんどない
さらに、希少動物が死亡した際も、その精子や卵子を採取している
「死後できるだけ早く作業しないと、精子の状態が悪くなる」

マーコールは野生のヤギ 野生の生息数は推定2500頭に減っている
 

90%くらいの精子が生存している状態だったので、特殊溶液とともにストローに入れ、液体窒素で凍らせてから容器に保存する

「これまでは死んでしまうとゴミみたいな扱いになっていた
 それを送ってくれれば、もしかしたら精子や卵子がとれるかもしれない
 種の保存に貢献できるかもしれないので、ムダにはならないと思う」


●「冷凍動物園」と呼ばれている取り組み
去年、横浜市の動物園の中に、日本動物園水族館協会の配偶子バンクが設置された
神戸大学に次いで2例目の冷凍動物園

目的:
将来、絶滅してしまった時のために保管している
今、動物園、水族館で飼育されている希少動物たちの赤ちゃんを作ることに活用している


Q:ヒトの場合と同じ?

理論的にはほぼ同じ でも、実際に赤ちゃんを作るとなるともっと問題点がある
家畜や実験動物は、過去の膨大な研究がお手本になるが、希少動物はお手本が1つもない


Q:ゾウの繁殖も難しい?

解剖学的に難しいのは、子宮までが長く、特殊な構造をしていること
人工授精では精子を少しでも奥に入れたほうがいいが、ゾウの場合はかなり特殊な技術が必要

ヒトの子宮は1つの形だが、動物によっては子宮が2つに分かれているものもある
1つしか排卵しない動物は、左右のどちらで排卵しているのか予測して、精子を入れなければならない
(自然を人工で再現しようとすると複雑で困難なんだ


Q:卵子の凍結保存もしている?

哺乳類の場合、精子より卵子はとれる数が少ないので、より慎重に凍結しないといけない
卵子は、精子に比べてかなり大きな細胞なので、その分、含まれる水分も多く、凍結は慎重に行う

とくに魚の卵子の凍結は難しい
イクラとか大きいですよね 栄養分の卵黄や、脂肪をたくさん含んでいるので、いい状態で凍らせるのは不可能に近い


●魚のオスの細胞から卵をつくる驚きの技術

メスがいなくても卵を自在に作りだせる技術を開発した

「始原生殖細胞」
オスの細胞を使い、別の魚に移植するだけで卵に変わる/驚

 



 

絶滅が危惧される魚にも「異種間移植」に挑戦

「ヤマメ」
ニジマスの始原生殖細胞をヤマメのオスとメスに移植し、定着させることに成功した
 




●実用化には問題がある
「始原生殖細胞は、数が非常に少ない貴重な細胞で実用化にはハードルがいくつか残る」

始原生殖細胞は、生まれたばかりの魚しかもっていないので、取り出すのが大変
しかし、これにより移植して卵になる細胞がもう1つ見つかった

「精原細胞」(始原生殖細胞が成長した、精子になる細胞)
精原細胞は本来、卵になることはない


これを発見したのは1人の不器用な学生

始原生殖細胞の移植に何度も失敗していたため、練習のため精原細胞を使っていた

世界初の発見となったヤマメの研究
 

精原細胞は幼魚ももっているため、ずっと利用しやすくなった


「凍結した精原細胞から、いつでも卵がつくれるということは、卵の凍結保存に関わる大きな技術になる
 絶滅危惧種を守るのが非常にラクになった」

(なんだか、絶滅危惧種を守りたいのか、ヒトが継続的に食べたいからやっているのか分からなくなってきたな


●この技術を使ってクニマスを守る活動をはじめた山梨県
 
ここでは300匹ほど飼育されている

もとは秋田県に生息していた魚で、水質の悪化により1940年頃に絶滅したと考えられていたが奇跡的に再発見された

 

岡崎「再び絶滅させてはいけないということで取り組みを行っている」

 

ここでは、クニマスが絶滅した場合、近縁種のヒメマスのお腹を借りて復活させようとしている


2013年、ヒメマスに移植され、順調にいけば来年にはクニマスが誕生する予定
 
海洋大学と協力して凍結保存もしている

(これをあと500万~5000万種の生物にやらないとダメじゃないか?


Q:いけすで飼うだけじゃダメ?
繁殖しやすい動物ばかりが残り、多様性が維持できない(それは進化論じゃなく、やっぱりヒトが関わっているんだな
この技術を使えば、自然繁殖を補う形で、多様性も維持できる


●「クローン」
さらに最新の細胞操作技術を駆使すれば、絶滅した動物を復活させることが可能になるかもしれない
10年近く冷凍保存された細胞からクローンをつくった例は、これまでに何度もある

復活の可能性の高い動物「日本製トキ」
 
最後に残った2羽

Q:今、トキは増えていると聞いたが?


●近親交配の問題
新潟県ではトキの野生復帰の取り組みが行われ、個体数は順調に増えている
 

2013年、環境省で緊急会議を開き、ヒナを回収 近親交配が問題とされた



<ある事情>


今、日本にいるトキは中国からきた5羽の子孫(中国は絶滅しないのか?
人工繁殖では近縁を避けていたが、野生では近親交配の確率が非常に高い
今後、近親交配が起きにくくするには、遺伝的な多様性が高いほうがよい
そこで注目されたのは、2003年に絶滅した日本産トキの復活


●国立環境研究所@つくば市


高さ1mほどのタンクの中は液体窒素で超低音に保たれている
中には絶滅した日本産のトキなど、約100種、2500個体の細胞や組織を保存

 



この細胞を使い、クローンができれば、遺伝的な多様性を高められるかもしれない
(なんでもつくば市で研究してるんだな/驚


Q:さらに中国から別のトキを借りてきちゃダメ?
現在、世界中で飼育されているトキは、1981年に中国で捕獲された4羽の子孫/驚
だから、どこからもってきても、遺伝的な多様性は高められない
新しい系統を作るためには、日本産のトキの復活に期待がかかる

最近、キンの細胞を調べたら、確かに生きていることが確認された(遺体を保存してたの?
これを培養している状況 分裂して数を増やしているので充分使える


しくみ:


「残念ながら、これまでクローンで生まれているのは、カエル、ヒツジ、ウシ、マウス、ネコなどで
 鳥類はまったく成功していない 鳥の卵は大きく、硬い殻に囲まれている
 受精、発生のプロセスがよく分からない」


●日本産のトキのクローン誕生に大きく近づく技術が開発

「多精受精という状態が、卵を活性化するのに重要じゃないかと思い研究を進めていた」

「単精受精」/「多精受精」
 


研究のしくみ:
 
胚の成長をうながす物質は何か精子を分析

3種類のたんぱく質を抽出


 

培養機で24時間温める


殻に移しかえ、50時間ほど温める


鶏の殻に移しかえて孵化を待つ(生卵にしか見えないけど


 
心臓の鼓動が分かる/世界初、受精から孵化まで再現(殻半分でもいいんだ/驚×5000

ウズラのクローン作成にも挑戦していて、まだ孵化には成功していないが、クローン胚ができる段階まで成長している
 

「この技術を使えば、原理的には日本産のトキの復活も可能」

この研究は、もともと畜産分野への利用を目的としたものだった
現在、日本産のトキの復活に関して具体的な計画はない
(国からは絶滅動物研究の金は出さないってことか


●環境保護が要

Q:仮に技術が確立しても、考えなければならない問題はある?

自然受精とは違うプロセスでできた生命体を野生に放していいのかという部分も含めて慎重に議論を進めないといけない
同時に、その間に環境を戻さなければならない(こっちが先決だ
トキが野生で住める環境を整えなければ、復活させても行くところがないということになってしまう

Q:いったん壊れた環境を修復するのは大変では?

私は、今眠っている希少動物は、緊急避難的にボンベの中にいると思っている
あの中にずっと眠りにつかせてはいけないと思う


竹内:


技術の進化は素晴らしいが、それをやろうとしたら、やはり環境整備が必要
動物園を増やせばいいのか、自然保護区を広げればいいのか、
そうすると人間が住むところもなくなるし、これはすごく難しい問題ですね

奈央:
環境を整える部分は、研究者ではない、みんなが考えなきゃいけないことだから大きなテーマだと実感しました




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