■終戦スペシャルドラマ『百合子さんの絵本~陸軍武官・小野寺夫婦の戦争』
原案:岡部 伸「消えたヤルタ密約緊急電」 作:池端俊策
音楽:千住 明
出演:
薬師丸ひろ子、香川照之、イヴォ・ウッキヴィ、千葉哲也、利重剛、戸田昌宏、加藤剛、
小林勝也、山本龍二、菅田俊、三田村周三、小倉一郎、金田明夫、佐野史郎、吉田鋼太郎 ほか
“『ムーミン』など児童文学の翻訳者として知られる小野寺百合子。
絵本をこよなく愛し、平和を求め続けた彼女の原点には、知られざる過酷な戦争体験があった。
北欧スウェーデンを舞台に繰り広げられる、命がけの情報争奪戦。
駐在武官の夫・信とともに諜報の最前線を生きた女性の姿を通し、夫婦の愛と絆を描く、スペシャルドラマ。”
読書感想メモリスト
私が読んだ中では、『ムーミンパパの思い出』(講談社)と、
『ムーミンパパ海へいく』(講談社 ムーミン童話全集7)が小野寺さんの翻訳だった
その翻訳者の女性にこんなドラマがあったなんて全然知らなかった/驚
小野寺百合子(ウィキ参照
「百合子さんの絵本」♯15番外編:その後の小野寺夫婦の軌跡は?
薬師丸ひろ子さんの眼力は、昔から全然変わってない
▼あらすじ(ネタバレ注意
1977年
『ムーミンパパの思い出』を懐かしむ百合子(これは原書の挿絵?
その冒頭の言葉が印象に残っている
“世の中で何か良いこと、あるいは本当に良いと思われることをし遂げた人は
みんな誰でも自分の一生について書き綴らなければならないのです”
出版社から座談会への参加をしつこくすすめられ断る夫・信
昔の軍人が集まって、なぜ日本が戦争に負けたかを話すのに気が向かないという
百合子「出てお話になればいいのよ」
ムーミンパパの冒険と重ね合わせる百合子
「私の夫も、遠い国でフシギな竜と戦って、そして負けた」
***
1940年
日本は中国大陸で戦争し、ヨーロッパでは第二次世界大戦がはじまっていた
子ども4人に「言うこと聞かない子は、ニルスのように魔法をかけられて小人になってしまうわよ」
(こんな叱られ方ステキ 原書を翻訳して読み聞かせ?!
参謀本部・陸軍大佐の夫が帰ってくるが様子がおかしい
「陸軍省から次の赴任地ストックホルムの駐在官を命じられた
ソ連とドイツの様子を探る 少なくとも4、5年は留守をする」
子どもを預けて一緒に行くという百合子を止める
「君はいつも裏を考えない」
翌年1月、信は1人で赴く
1941年
ヨーロッパでは、ヒトラー率いるドイツが進撃を続け、フランスを占領
句会で、佐佐木信綱は、百合子の祖父の清廉潔白さを尊敬していて、同じ資質が百合子にもあるという
この人かな?
一戸兵衛(ウィキ参照
百合子の詠んだ歌
「ましろなる花にむかひて我が心 清くやさしくなりし心地す」
佐佐木:
世の中には光もあれば、その裏に闇もある よい歌を作るには、闇を見る心の幅も必要だと思いますよ
長年の信の友人・臼井が自宅に来て、ストックホルムに行ってほしいと強く頼む
「情報が弱気なものだと非難され不信感を持たれている」
百合子は子どもたちに話す(対等な接し方がいい
「私はスウェーデンに行きます あなたたちは世田谷の叔母様に預かってもらいます それを許してくれますか?」
泣く子どもたちを置いて、旅立つ百合子 末っ子のリュウジはまだ幼いため連れていった
夜なのに明るいストックホルム
ソ連、イギリス、ドイツ、全部の新聞を読み、語学力も上がるという夫
「武官」とは各国の軍事機密を探って日本に伝える仕事で、百合子にも早速仕事を頼む
機密に関することを話す時は、レコードをかけ、鍵を閉め、
参謀本部への情報を夫が文章化し、百合子が暗号化して電報で送る
暗号化するための資料は金庫におさめるルール 情報は打ち終えたら焼却処分
百合子が「棺おけの意味が分からない」と聞くと、外に連れていかれる
「この国は中立国だ あらゆる諜報部員が情報を集めている つまりスパイが闊歩している
秘書のカーリーさんはいい人だが、たぶん、スパイだと思う
毎日来るメイドたちにも用心したほうがいい
あの部屋で喋ることは外に筒抜けだと思ったほうがいい
ドイツは戦争をする時、棺おけを集める習慣がある
戦死者を本国に送還するためだ ソ連国境に集めている」
「日本ではイギリスに向かうって」
夏至祭をしているスウェーデン 広場に集まり歌ったり、踊ったりする(中立っていいな
のちに百合子は夏至祭の絵本を買う
「この国は戦争がないからお祭りなんですね」
2人の様子をカメラで撮る人影
毎日、1日中、暗号化の仕事をする百合子 それによって日本の明暗が分かれる
暗号化の方法
1.極秘文章を乱数表を使って数字にする
2.乱字表を使って数字をアルファベットにかえ
3.日本の参謀本部に電報で送る
(タイプで打つとカーボン紙とかに残らない?
武官の妻がそれをするのは、一番秘密を守れるから(後で人質としても使えるだろうしね
夏至祭の精の本を息子に読み聞かせる百合子
何ヶ国語も分かる武官室・事務員のイワノフが訳してくれた
商社、記者などが集まり、情報をやりとりするパーティで
「窓に近づくな!」といきなりイワノフに怒る信
百合子は返信が届いたと外で渡す
(自然も素晴らしいなあ
ドイツがイギリスを攻める情報を送れと書いてあり、夫の情報は無視された
「なぜ、あなたの情報を本部は無視するのですか? イワノフさんは何者ですか?」
「外から撃たれる恐れがある 窓の外でドイツの諜報部が彼を狙っている
彼はポーランドの軍人なんだ ドイツに2年前征服された時、脱出して、
ドイツとソ連のスパイ網を使った 彼はスパイの親玉として睨まれている
私の情報は本部には不都合らしい
本部はアジアに影響力をもつアメリカとイギリスを叩きたい一心だ
ドイツがイギリスを破れば、あとはアメリカだけだ」
「戦って勝てますか?」
「勝てない だから戦うべきではない!」
ドイツはソ連に侵攻 同盟国ソ連の勝敗は、対米政策を計画する日本の明暗を握る情報だった
例年より早くきた「冬将軍」はドイツ軍を苦しめた
信と百合子は多忙を極め、息子とも遊んであげられない
長時間家を離れる時は、暗号書を肌身離さず持ち歩く 金庫を開けられる恐れがあるため
連日、大使が集まるパーティに出かけ、情報収集に奔走する2人
「日米開戦不可ナリ」と電文を送り続けるが、反応なし
百合子「日本海軍がハワイを攻撃したそうです」
1941年(真珠湾攻撃の映像も残っているのか
アメリカとの戦争で生活は一変 あちこちにスパイだらけ
駐ドイツ大使・原島浩が百合子を訪ねてくる 祖父(父だっけ?)を尊敬しているという
「“戦の神さま”と言われ、ヒトラーに比する者であると確信しています
ヒトラーは今世紀最大の戦略家であり、深い信頼を寄せています
本国はご主人の弱気な情報にうんざりしています ヒトラーが負けるわけはないのです」
「でも、ナポレオンも負けました
私は軍人の娘であり、軍人の妻ですが、戦争は好きにはなれません!」
イワノフを守る信(香川さんのドイツ語が流暢すぎて違和感が全然ない/驚
原島は信にも警告する
イワノフが情報のやりとりをしているところに近づいた息子は、
スパイの女性が街中で撃たれるのを目の前で見てしまう
和子から習字が届き、電話をするが途中で切れる
習字には「欲しがりません 勝つまでは」と書かれている
「子どもたちに絵本を贈りたいからお願いしてください」
「潜水艦もあてにならないよ」
「こんなキレイなものがあるんだということを見せてあげたいんです」
それでも断られ、ついにキレる百合子
「大抵のことはいいんです でも、子どものことは我慢できません 子どもは巻き込まないでください!
子どもよりイワノフが大事ですか?!」
「今はイワノフだ 今のままだと日本が負ける へたすれば、日本が滅びる」
「軍人の奥さんになんてなるんじゃなかった たった今後悔してます!」
1944年
アメリカ軍による東京への本格的な空襲がはじまり、日本とドイツの敗色が濃くなる
イワノフに「これ以上守れない」と謝る信 礼をゆって去るイワノフ
1945年
国外に去ったイワノフから最高機密を受け取る信
アメリカ、イギリス、ソ連首相が「ヤルタ」に集まり、ドイツ敗戦後の重要な取り決めを交わしたという
信:
絵本、一応潜水艦に送った 日本に届くかどうか自信はないが
君が私との暮らしをいろいろ後悔してるのはよく分かる
しかし、国が滅んだら、子どもたちはどうなる? 至急、この電文を頼みたい
ドイツが敗戦後は、ソ連が日本に攻め込むという密約が交わされたそうだ
ソ連が敵に回った
一刻も早くアメリカと停戦すべきだと信は訴えた
1945.3 東京大空襲
1945.5 ドイツ全面降伏
8月、ソ連が日本に攻撃するという情報が入る
しかし、日本がアメリカとの停戦の仲介をソ連に頼む意向と知り、
「相手が違う!! こちらの情報を誰かが握りつぶしている! このままでは日本は壊滅する」
1945.8 広島・長崎に原爆投下(これは避けられたんだ
「戦争は無惨な終わりを迎えました」
すべての資料を燃やす百合子(まったく何の役にも立てなかったのか
1946.3 帰国し子どもたちと再会
娘「この本、字が読めなくて」(みんなよくみんな無事で、本もちゃんと届いたんだ/驚
百合子「本当にごめんなさいね」
信はすぐアメリカ兵に囚われ、「巣鴨プリズン」に入れられた
面会と差し入れに行き、ドレスメーカーで働きはじめたと日常のささいなことを話す百合子
信「米軍の連中が私を日本語で“閣下”と呼ぶんだ 閣下は朝から便所掃除だ」
「ストックホルムであれほど戦争を止めさせようとしたんですもの あなたは閣下ですよ!
和歌に生活と苦しみが見えると初めて先生に褒められました」
その帰りに詠んだ歌
「MPに見据えられつつ差し入れの 本の包みをおもむろに解く」
闇市
焼け野原の風景を見ながら、家のドアを開ける想像をふくらませる百合子(想像力は心を助けるよね
「今日も亦 雨戸あければ 日はさしぬ 明日こそ早く 起きて出ではや」
信は戦争犯罪には問われず、4ヶ月あまりで巣鴨を出所したが、その後は生活との戦い
信は、スウェーデンの友人にすすめられて始めた貿易業が軌道に乗る
百合子は翻訳の仕事を受けるようになる
31年後 1977年(最初の場面
信:
最近よく夢を見る ストックホルムの頃や、巣鴨で取り調べられたこと
巣鴨は辛かったあ・・・
私がソ連やドイツに持っている情報網を全部喋れと言われて、名前をすべて吐けと言われて
イワノフのことも喋ろいわれたが、それだけはとぼけた あれは無二の友人だ
あとは喋った 巣鴨を出たいばっかりに・・・
百合子:
あの頃、陸軍の参謀本部で、私たちの電報を読んでいた人の記事が出ていますよ
作戦班で参謀をやってらして、今は財界のご意見番ですって
陸軍時代の経歴が輝かしいって書いてある 勝った国の軍人みたいに
本当のことは誰かが言わなければ、こういう人は次々出てくるんだと思いますよ
なんか変ですよ、この国は
座談会に出る決意をする信
「2部にいると先がないから、優秀なヤツは2部にいないんだw」
「欧米課がとくによかった!」
信の電報が来たことを知っている人もいた
「その頃は第1部にいたんだ」
「どういう経緯で上にあげていたのか、そこがハッキリしない」
「とにかくアメリカを叩くんだと、それ一辺倒でしたから」
信「ヤルタ会談の時もそうです」
「その当時もう政府はソ連に動いてましたからね 今もそうですが、自分たちの決定を変更するのが大変だったんだなあ!」
信「その停戦が遅れたから長崎と広島に原爆が落ちましたよね その責任は誰がとってるんですか?」
久本正:
いろいろな見方ができると思いますが、大局からものを見るのが下手だったということでしょう
ドイツの原島さんは優秀な方だったが、知りすぎていた だからドイツが分からなかった
つまり、陸軍の中にいた者は、自分が見えなかった だから敗れた
しかし、外にいた武官は少し違った 陸軍、日本という国を外からよく見ていた
納得できない信
ストックホルム時代以来、夫婦で久々コンサートに出かける
座談会に行ったことを後悔している信
「やめておけばよかった 喋るほど空しさがふくらんだ
自分たちには誇るものが何もないと思い知らされる」
百合子:
私、あなたと一緒に翻訳をしてきたから本を出そうって思ったの
今度は自分たちのことを書いてみようって 2人で書くのよ、あの頃のことを
今日、整理していたら、潜水艦で送った絵本が出てきたんです
あの戦争をくぐりぬけて、ちゃんと残ってたんだ、今日まで!
イヤな時代だったけど、あなたも私もできることは何でもしようと必死で
それは誇りに思ってますよ いろいろあったけど、それでいいんだと、今になってそう思う
あなたと一緒にやってきて、何も後悔することはないんです
そういう自分に誇りを感じるんです
クラシックコンサートで、これまでのことを思い返して泣く2人
流れているのは、スパイに漏れないようかけていた第九(音楽にも大きな力があるんだ
信:
子どもたちには大きな借りがある
私たちは戦争の間、何を考え、何をしていたか一度も話したことがない
みんなが休みの日に集まってもらって、話してみよう
おやじもまあまあ頑張った、お母さんも頑張ったと思ってくれればホッとする
話してみようか、我々の思い出を
百合子:
それを元にして私たちの本を書きます 夫婦の真実の物語です
*
先日、父の誕プレに送った本は読んでくれただろうか?
電話では何も感想を言っていなかった
戦後の長野の様子を書いた本で、送る前は悩んだ
イヤな過去を思い出させるのではないかと
母は本を読まない人だが、当時の地元の写真にとても興味をもち
「私が小さい頃見た光景を思い出した 後で見たい」と言ってくれた
母は当時2歳くらいだったが、庭に防空壕を掘った話、B29が飛来すると怖かった話
それが、母や祖母から聞いた話なのか区別がつかないとか、
今でも飛行機などの音を聞くと思い出して怖くなることがあるなど
私は、これまで親から戦争体験談をちゃんと聞いたことがない
苦労したという抽象的なこと以外
いつか聞きたいと思い続けているが、戦後生まれの母と、
戦中・戦後、家が焼け、大家族で疎開し、食べるのに精一杯だった父との思い出も違うだろうし
「戦争体験者が高齢となり、直接話を聞くのは貴重な体験だ」
と分かってはいても、難しいかもしれないな、などと思った
原案:岡部 伸「消えたヤルタ密約緊急電」 作:池端俊策
音楽:千住 明
出演:
薬師丸ひろ子、香川照之、イヴォ・ウッキヴィ、千葉哲也、利重剛、戸田昌宏、加藤剛、
小林勝也、山本龍二、菅田俊、三田村周三、小倉一郎、金田明夫、佐野史郎、吉田鋼太郎 ほか
“『ムーミン』など児童文学の翻訳者として知られる小野寺百合子。
絵本をこよなく愛し、平和を求め続けた彼女の原点には、知られざる過酷な戦争体験があった。
北欧スウェーデンを舞台に繰り広げられる、命がけの情報争奪戦。
駐在武官の夫・信とともに諜報の最前線を生きた女性の姿を通し、夫婦の愛と絆を描く、スペシャルドラマ。”
読書感想メモリスト
私が読んだ中では、『ムーミンパパの思い出』(講談社)と、
『ムーミンパパ海へいく』(講談社 ムーミン童話全集7)が小野寺さんの翻訳だった
その翻訳者の女性にこんなドラマがあったなんて全然知らなかった/驚
小野寺百合子(ウィキ参照
「百合子さんの絵本」♯15番外編:その後の小野寺夫婦の軌跡は?
薬師丸ひろ子さんの眼力は、昔から全然変わってない
▼あらすじ(ネタバレ注意
1977年
『ムーミンパパの思い出』を懐かしむ百合子(これは原書の挿絵?
その冒頭の言葉が印象に残っている
“世の中で何か良いこと、あるいは本当に良いと思われることをし遂げた人は
みんな誰でも自分の一生について書き綴らなければならないのです”
出版社から座談会への参加をしつこくすすめられ断る夫・信
昔の軍人が集まって、なぜ日本が戦争に負けたかを話すのに気が向かないという
百合子「出てお話になればいいのよ」
ムーミンパパの冒険と重ね合わせる百合子
「私の夫も、遠い国でフシギな竜と戦って、そして負けた」
***
1940年
日本は中国大陸で戦争し、ヨーロッパでは第二次世界大戦がはじまっていた
子ども4人に「言うこと聞かない子は、ニルスのように魔法をかけられて小人になってしまうわよ」
(こんな叱られ方ステキ 原書を翻訳して読み聞かせ?!
参謀本部・陸軍大佐の夫が帰ってくるが様子がおかしい
「陸軍省から次の赴任地ストックホルムの駐在官を命じられた
ソ連とドイツの様子を探る 少なくとも4、5年は留守をする」
子どもを預けて一緒に行くという百合子を止める
「君はいつも裏を考えない」
翌年1月、信は1人で赴く
1941年
ヨーロッパでは、ヒトラー率いるドイツが進撃を続け、フランスを占領
句会で、佐佐木信綱は、百合子の祖父の清廉潔白さを尊敬していて、同じ資質が百合子にもあるという
この人かな?
一戸兵衛(ウィキ参照
百合子の詠んだ歌
「ましろなる花にむかひて我が心 清くやさしくなりし心地す」
佐佐木:
世の中には光もあれば、その裏に闇もある よい歌を作るには、闇を見る心の幅も必要だと思いますよ
長年の信の友人・臼井が自宅に来て、ストックホルムに行ってほしいと強く頼む
「情報が弱気なものだと非難され不信感を持たれている」
百合子は子どもたちに話す(対等な接し方がいい
「私はスウェーデンに行きます あなたたちは世田谷の叔母様に預かってもらいます それを許してくれますか?」
泣く子どもたちを置いて、旅立つ百合子 末っ子のリュウジはまだ幼いため連れていった
夜なのに明るいストックホルム
ソ連、イギリス、ドイツ、全部の新聞を読み、語学力も上がるという夫
「武官」とは各国の軍事機密を探って日本に伝える仕事で、百合子にも早速仕事を頼む
機密に関することを話す時は、レコードをかけ、鍵を閉め、
参謀本部への情報を夫が文章化し、百合子が暗号化して電報で送る
暗号化するための資料は金庫におさめるルール 情報は打ち終えたら焼却処分
百合子が「棺おけの意味が分からない」と聞くと、外に連れていかれる
「この国は中立国だ あらゆる諜報部員が情報を集めている つまりスパイが闊歩している
秘書のカーリーさんはいい人だが、たぶん、スパイだと思う
毎日来るメイドたちにも用心したほうがいい
あの部屋で喋ることは外に筒抜けだと思ったほうがいい
ドイツは戦争をする時、棺おけを集める習慣がある
戦死者を本国に送還するためだ ソ連国境に集めている」
「日本ではイギリスに向かうって」
夏至祭をしているスウェーデン 広場に集まり歌ったり、踊ったりする(中立っていいな
のちに百合子は夏至祭の絵本を買う
「この国は戦争がないからお祭りなんですね」
2人の様子をカメラで撮る人影
毎日、1日中、暗号化の仕事をする百合子 それによって日本の明暗が分かれる
暗号化の方法
1.極秘文章を乱数表を使って数字にする
2.乱字表を使って数字をアルファベットにかえ
3.日本の参謀本部に電報で送る
(タイプで打つとカーボン紙とかに残らない?
武官の妻がそれをするのは、一番秘密を守れるから(後で人質としても使えるだろうしね
夏至祭の精の本を息子に読み聞かせる百合子
何ヶ国語も分かる武官室・事務員のイワノフが訳してくれた
商社、記者などが集まり、情報をやりとりするパーティで
「窓に近づくな!」といきなりイワノフに怒る信
百合子は返信が届いたと外で渡す
(自然も素晴らしいなあ
ドイツがイギリスを攻める情報を送れと書いてあり、夫の情報は無視された
「なぜ、あなたの情報を本部は無視するのですか? イワノフさんは何者ですか?」
「外から撃たれる恐れがある 窓の外でドイツの諜報部が彼を狙っている
彼はポーランドの軍人なんだ ドイツに2年前征服された時、脱出して、
ドイツとソ連のスパイ網を使った 彼はスパイの親玉として睨まれている
私の情報は本部には不都合らしい
本部はアジアに影響力をもつアメリカとイギリスを叩きたい一心だ
ドイツがイギリスを破れば、あとはアメリカだけだ」
「戦って勝てますか?」
「勝てない だから戦うべきではない!」
ドイツはソ連に侵攻 同盟国ソ連の勝敗は、対米政策を計画する日本の明暗を握る情報だった
例年より早くきた「冬将軍」はドイツ軍を苦しめた
信と百合子は多忙を極め、息子とも遊んであげられない
長時間家を離れる時は、暗号書を肌身離さず持ち歩く 金庫を開けられる恐れがあるため
連日、大使が集まるパーティに出かけ、情報収集に奔走する2人
「日米開戦不可ナリ」と電文を送り続けるが、反応なし
百合子「日本海軍がハワイを攻撃したそうです」
1941年(真珠湾攻撃の映像も残っているのか
アメリカとの戦争で生活は一変 あちこちにスパイだらけ
駐ドイツ大使・原島浩が百合子を訪ねてくる 祖父(父だっけ?)を尊敬しているという
「“戦の神さま”と言われ、ヒトラーに比する者であると確信しています
ヒトラーは今世紀最大の戦略家であり、深い信頼を寄せています
本国はご主人の弱気な情報にうんざりしています ヒトラーが負けるわけはないのです」
「でも、ナポレオンも負けました
私は軍人の娘であり、軍人の妻ですが、戦争は好きにはなれません!」
イワノフを守る信(香川さんのドイツ語が流暢すぎて違和感が全然ない/驚
原島は信にも警告する
イワノフが情報のやりとりをしているところに近づいた息子は、
スパイの女性が街中で撃たれるのを目の前で見てしまう
和子から習字が届き、電話をするが途中で切れる
習字には「欲しがりません 勝つまでは」と書かれている
「子どもたちに絵本を贈りたいからお願いしてください」
「潜水艦もあてにならないよ」
「こんなキレイなものがあるんだということを見せてあげたいんです」
それでも断られ、ついにキレる百合子
「大抵のことはいいんです でも、子どものことは我慢できません 子どもは巻き込まないでください!
子どもよりイワノフが大事ですか?!」
「今はイワノフだ 今のままだと日本が負ける へたすれば、日本が滅びる」
「軍人の奥さんになんてなるんじゃなかった たった今後悔してます!」
1944年
アメリカ軍による東京への本格的な空襲がはじまり、日本とドイツの敗色が濃くなる
イワノフに「これ以上守れない」と謝る信 礼をゆって去るイワノフ
1945年
国外に去ったイワノフから最高機密を受け取る信
アメリカ、イギリス、ソ連首相が「ヤルタ」に集まり、ドイツ敗戦後の重要な取り決めを交わしたという
信:
絵本、一応潜水艦に送った 日本に届くかどうか自信はないが
君が私との暮らしをいろいろ後悔してるのはよく分かる
しかし、国が滅んだら、子どもたちはどうなる? 至急、この電文を頼みたい
ドイツが敗戦後は、ソ連が日本に攻め込むという密約が交わされたそうだ
ソ連が敵に回った
一刻も早くアメリカと停戦すべきだと信は訴えた
1945.3 東京大空襲
1945.5 ドイツ全面降伏
8月、ソ連が日本に攻撃するという情報が入る
しかし、日本がアメリカとの停戦の仲介をソ連に頼む意向と知り、
「相手が違う!! こちらの情報を誰かが握りつぶしている! このままでは日本は壊滅する」
1945.8 広島・長崎に原爆投下(これは避けられたんだ
「戦争は無惨な終わりを迎えました」
すべての資料を燃やす百合子(まったく何の役にも立てなかったのか
1946.3 帰国し子どもたちと再会
娘「この本、字が読めなくて」(みんなよくみんな無事で、本もちゃんと届いたんだ/驚
百合子「本当にごめんなさいね」
信はすぐアメリカ兵に囚われ、「巣鴨プリズン」に入れられた
面会と差し入れに行き、ドレスメーカーで働きはじめたと日常のささいなことを話す百合子
信「米軍の連中が私を日本語で“閣下”と呼ぶんだ 閣下は朝から便所掃除だ」
「ストックホルムであれほど戦争を止めさせようとしたんですもの あなたは閣下ですよ!
和歌に生活と苦しみが見えると初めて先生に褒められました」
その帰りに詠んだ歌
「MPに見据えられつつ差し入れの 本の包みをおもむろに解く」
闇市
焼け野原の風景を見ながら、家のドアを開ける想像をふくらませる百合子(想像力は心を助けるよね
「今日も亦 雨戸あければ 日はさしぬ 明日こそ早く 起きて出ではや」
信は戦争犯罪には問われず、4ヶ月あまりで巣鴨を出所したが、その後は生活との戦い
信は、スウェーデンの友人にすすめられて始めた貿易業が軌道に乗る
百合子は翻訳の仕事を受けるようになる
31年後 1977年(最初の場面
信:
最近よく夢を見る ストックホルムの頃や、巣鴨で取り調べられたこと
巣鴨は辛かったあ・・・
私がソ連やドイツに持っている情報網を全部喋れと言われて、名前をすべて吐けと言われて
イワノフのことも喋ろいわれたが、それだけはとぼけた あれは無二の友人だ
あとは喋った 巣鴨を出たいばっかりに・・・
百合子:
あの頃、陸軍の参謀本部で、私たちの電報を読んでいた人の記事が出ていますよ
作戦班で参謀をやってらして、今は財界のご意見番ですって
陸軍時代の経歴が輝かしいって書いてある 勝った国の軍人みたいに
本当のことは誰かが言わなければ、こういう人は次々出てくるんだと思いますよ
なんか変ですよ、この国は
座談会に出る決意をする信
「2部にいると先がないから、優秀なヤツは2部にいないんだw」
「欧米課がとくによかった!」
信の電報が来たことを知っている人もいた
「その頃は第1部にいたんだ」
「どういう経緯で上にあげていたのか、そこがハッキリしない」
「とにかくアメリカを叩くんだと、それ一辺倒でしたから」
信「ヤルタ会談の時もそうです」
「その当時もう政府はソ連に動いてましたからね 今もそうですが、自分たちの決定を変更するのが大変だったんだなあ!」
信「その停戦が遅れたから長崎と広島に原爆が落ちましたよね その責任は誰がとってるんですか?」
久本正:
いろいろな見方ができると思いますが、大局からものを見るのが下手だったということでしょう
ドイツの原島さんは優秀な方だったが、知りすぎていた だからドイツが分からなかった
つまり、陸軍の中にいた者は、自分が見えなかった だから敗れた
しかし、外にいた武官は少し違った 陸軍、日本という国を外からよく見ていた
納得できない信
ストックホルム時代以来、夫婦で久々コンサートに出かける
座談会に行ったことを後悔している信
「やめておけばよかった 喋るほど空しさがふくらんだ
自分たちには誇るものが何もないと思い知らされる」
百合子:
私、あなたと一緒に翻訳をしてきたから本を出そうって思ったの
今度は自分たちのことを書いてみようって 2人で書くのよ、あの頃のことを
今日、整理していたら、潜水艦で送った絵本が出てきたんです
あの戦争をくぐりぬけて、ちゃんと残ってたんだ、今日まで!
イヤな時代だったけど、あなたも私もできることは何でもしようと必死で
それは誇りに思ってますよ いろいろあったけど、それでいいんだと、今になってそう思う
あなたと一緒にやってきて、何も後悔することはないんです
そういう自分に誇りを感じるんです
クラシックコンサートで、これまでのことを思い返して泣く2人
流れているのは、スパイに漏れないようかけていた第九(音楽にも大きな力があるんだ
信:
子どもたちには大きな借りがある
私たちは戦争の間、何を考え、何をしていたか一度も話したことがない
みんなが休みの日に集まってもらって、話してみよう
おやじもまあまあ頑張った、お母さんも頑張ったと思ってくれればホッとする
話してみようか、我々の思い出を
百合子:
それを元にして私たちの本を書きます 夫婦の真実の物語です
*
先日、父の誕プレに送った本は読んでくれただろうか?
電話では何も感想を言っていなかった
戦後の長野の様子を書いた本で、送る前は悩んだ
イヤな過去を思い出させるのではないかと
母は本を読まない人だが、当時の地元の写真にとても興味をもち
「私が小さい頃見た光景を思い出した 後で見たい」と言ってくれた
母は当時2歳くらいだったが、庭に防空壕を掘った話、B29が飛来すると怖かった話
それが、母や祖母から聞いた話なのか区別がつかないとか、
今でも飛行機などの音を聞くと思い出して怖くなることがあるなど
私は、これまで親から戦争体験談をちゃんと聞いたことがない
苦労したという抽象的なこと以外
いつか聞きたいと思い続けているが、戦後生まれの母と、
戦中・戦後、家が焼け、大家族で疎開し、食べるのに精一杯だった父との思い出も違うだろうし
「戦争体験者が高齢となり、直接話を聞くのは貴重な体験だ」
と分かってはいても、難しいかもしれないな、などと思った