Quantcast
Channel: メランコリア
Viewing all articles
Browse latest Browse all 8633

『この世界の片隅に』(ネタバレ注意)11月12日(土)全国公開

$
0
0
『この世界の片隅に』(2016.11.28)11月12日(土)全国公開
原作:こうの史代 監督:片渕須直
声の出演:のん 細谷佳正 稲葉菜月 尾身美詞 小野大輔 潘めぐみ 岩井七世 澁谷天外 ほか
音楽:コトリンゴ


「この橋の上ですずを見たんや」

「この世界の片隅でうちを見つけてくれて、そしてずっと一緒にいてくれて、ありがとう」


『この世界の片隅に 上』(アクションコミックス) コミック


以前、知人から教えてもらったこうの史代さんの『夕凪の街 桜の国』を知って、
これは観なきゃいけない作品だなと直感した

『夕凪の街 桜の国』コミックス
映画『夕凪の街 桜の国』(2007)

近所のシネコンに行ったら、入場の際に特製ポストカードまでもらった
人さらいだけど、ちょっと間の抜けた「ばけもん」
まるで、宮沢賢治の書いた『紫紺染について』に出てくる山男さんのようだ

『紫紺染について』宮沢賢治/著(未知谷)



平日の月曜のせいか、空いてる席もあり、半々くらい 私は後ろから2列目で観た



【内容感想メモ(ネタバレ注意)】

これは大傑作だ
みんな泣いた
そしてみんな思った

「戦争なんて、もう金輪際だ」と

今作を世界中の1人でも多くの人に観てもらいたい
そして、みんなに思ってほしい

「戦争なんて、もう金輪際だ」と




あの暑い夏の日
広島市に原子爆弾が投下された昭和20年8月6日

あのピカッと光った瞬間
午前8時15分


時間が穏やかに進んでゆくことが、これほど辛いことはなかった
胸が痛くて、ストーリーが進むほど直視が困難だった

これまで幾度も、さまざまな国で描かれたどんな戦争映画よりも
こんなにほのぼのとしたアニメーションで
すべて描ききれたことにただただ驚く

1人の女性の日常生活
画家の眼から見た戦争
焼夷弾が雨のように降り注ぎ、戦闘機と大砲の砲弾がぶつかり合う空を見て

「ここに絵の具があったら・・・」



大切な少女を失くしても
親きょうだいを失くしても
仲良い妹を原爆症で失くそうとしていても
配給が切れても
すずらは生きてゆく

母親の体中に無数のガラス片が刺さり、
蝿と蛆がわいても
少女は生きてゆく

これからも
助け合い、支え合って



エンドロールにクラウドファウンディングに参加した方々の名前がずらりと流れた
今作は、みんなでつくった映画

派手なアクションシーンなどない
美男美女のハリウッド俳優も出ない

けれども、アニメーション映画でこれほど心の根底から揺り動かされたことはこれまで一度もない


この世界の片隅に(アニメ映画)


作品の前半は、おっとりした主人公すずの半生が丁寧に描かれる

その日常が、後半、どんどん気づかない間に変えられてゆく

港に軍艦が停泊し、
山の上に大砲が置かれ、
若い男たちが大勢かりだされてゆく

何度も何度も鳴る空襲警報のサイレン
その都度、防空壕に避難して疲弊する人々

雨のように降ってくる焼夷弾
骨壷に入った石ころで帰ってくる息子

それでも、自然はよみがえる
庭の草、きれいなせせらぎ
そこに這いつくばって生きる人々



こうの史代さんの想いを、しかと受け止めました

覚悟していたよりも数千倍、数万倍もの貴重な体験をさせてもらった

終始、映像に寄り添うように流れるコトリンゴさんの囁くような歌声もとても良かった
能年玲奈ちゃんがすず役だったのか/驚 とても合っていた




この美しい世界のすみずみから武器がすべてなくなって
あらゆる争いがなくなりますように/祈×∞


私はずっとずっとどこまでもつづく
青くぬけた空を見ていたいんだ

鳥が自由にどこまでもどこまでも飛んでいける
青い空を








Viewing all articles
Browse latest Browse all 8633

Trending Articles