■土曜ドラマ『夏目漱石の妻』(2016 全4話)(ネタバレ注意
原作:『漱石の思い出』(原案)夏目鏡子(述)松岡譲(筆録)
脚本:池端俊策(作) 岩本真耶(作)
出演:
尾野真千子
長谷川博己
黒島結菜
満島真之介
竹中直人
舘ひろし ほか
※「長谷川博己さん出演作まとめ」に追加しました。
“夏目漱石没後100年に当たる2016年、妻・夏目鏡子の『漱石の思い出』を原案に制作された。”(ウィキ参照
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『夏目漱石の美術世界展』@東京藝術大学大学美術館
長谷川博己さん@スタジオパークからこんにちは
『夢十夜』(パロル舎)
映画『ユメ十夜』(2007)
映画『こころ』(1955)
▼あらすじ(ネタバレ注意
第1話「夢みる夫婦」
明治28年 虎ノ門
日本は日清戦争で勝利に沸く
父・中根は、長女・鏡子に縁談をもってくる
夏目金之助 29歳 松山中学教師
キョウコは占い好きで縁談を占い、決心する
見合いの席で、俳句が趣味だというので、1句詠んでもらうと妙な句に笑うキョウコ
見合いの3日後、矢来町の祖父のもとへ行く途中で夏目を見かけるが素通りされる
話がまとまり、正月のカルタ会に夏目も来た
豪勢な家だねえ
「笑う時、おおっぴらに口を開けて笑うところがいい」と親友・正岡子規に話す
ゆくゆくは東京に戻るつもりの夏目だったが、仕事が見つからず、キョウコとともに熊本に転任
父は「すぐ戻せるように計らう」と約束
父:
祝言だけは東京で挙げたかった
私はお前を甘やかして育てた
熊本での暮らしが耐えられるか? 引き返すなら今のうちだぞ
キョウコ:自分でこの人がいいって決めたことですから 私、迷いませんから
婚礼は、バタバタとして、簡素以上の奇妙なものだったそう
書棚は洋書だらけ
キョウコが持ってきた大塚楠緒子は、夏目の友人の妻だという
学校からは月100円もらっているが、丸善に毎月20円送金している(家を借りる2件分
国、父・姉への送金 残りの50円で家全体を賄わなければならない
夏目:私は学者だから君に構っていられないのを承知してくれ
(女中か奴隷扱いだな
翌朝、キョウコは10時に起きて、婆や・おタカから朝寝坊の小言を言われる
翌日は12時起床
キョウコ:家の前の墓が気になって眠れない と言い訳をすると
夏目:分かった 引越しをしよう
夏目:前の家より広いが、長谷川という生徒を下宿させればいい
家賃は前より高く、夏目は「昔からの友だちから金は取れない」の一点張り
長谷川:以前の下宿は7円だったからとってくれ とらないなら居づらいから帰る
キョウコ:中をとって5円いただくのはどうです? と手を打つ
俳句に興味をもつキョウコ 教えてくれと頼むが、意味が分からずムリだといわれる
夏目:
タカを東京に帰したらどうか
子どもの頃から家族のようにいたのは分かるが、中根家のにおいがする
見ていて羨ましい 家族がいることが
僕には縁のない世界だ あれは家族じゃない
1ヵ月後、タカは東京に戻る
30年
夏目の父が東京で亡くなった
夏目:
葬儀は済んでいて、家督を継ぐのは兄だから帰る意味がない
僕はおやじに捨てられた息子なんだ 産まれてすぐ古道具屋に里子に出された
何ヶ月か後に連れ戻され、数ヶ月後に知人の家に預けられた
父は「何しに戻ってきた」って顔でじっと見た 僕の居場所はないんだ
父が50の時の子で、まったく愛情がなかったそうだ
母は早く死んだ 7つか8つの時だ
キョウコは車内で倒れて、実家に戻る
妊娠に気づかず長旅でムリをしたための流産だった
中根家は、夏に鎌倉の別荘で1ヶ月過ごすのが恒例
父:帝国図書館なんて、古い建物に名前をつけただけ まだまだ日本は三等国だ
夏目:私は教師を辞めたい
父:帝大の教授の道を考えたまえ
父はまた東京の仕事を探せず、熊本に戻る2人
女中(猫背椿さん)は夏目が「一生朝飯抜き 女として恥ずかしいことだ」と言っていたとこぼす
夏目は書生マタノを住まわせる
マタノ「大塚さんは、夏目先生と結婚すると噂になった女性だった」
大塚に嫉妬するキョウコ
夏目:当時は理想の女性とも思ったものだ
また寝坊して、夏目が弁当を忘れて走って持っていくと竹林で見つける
夏目:
なぜこんな無茶をするんだ
そりゃ僕だって子どもが欲しかった 自分の体をもっと大事に扱え
31年 正月
夏目は友だちと温泉に行ってしまった
初夏
夏目は、高校の仕事が忙しく、留守がちになり、キョウコは毎日一人が耐えられず学校を訪ねに行く
手を振っても無視され、雨の中、帰る途中の橋から身を投げるが助かる
夏目:
助けてくれた釣り人に感謝しなければ 謝るチャンスを与えてくれた
君に気づいたのに僕は見ないふりをした 素直にありがとうと言えばよかった
だが、僕にはできない 僕は自分の家族が欲しい 誰よりも
だから死んでしまった赤ん坊が、やっぱりそうか、僕は家族に縁がない人間だって
君は失うものがない 中根家に戻ればいつでも迎えてくれる
僕には家族がない 一人なんだって
産まれてすぐ里子に出され、里親は貧乏で
小さなザルの中で放っておかれて泣いていたそうだ
2番目の姉が見て、夏目の家に抱いて戻ったらオヤジにひどく叱られた
僕は人が信じられない そういう僕に弁当を届けてくれる人がいる
寂しくて学校まで顔を見に来てくれる人がいる
その君をもう少しで失うところだった
キョウコ:
私、お見合いする前に、鏡の占いをしたんです
行く末を聞いたら、お見合い相手にはたくさんの夢がある それを1つ1つ果していく人だ
だから一緒になると幸せの雲に乗れるって
だから川へなんか入っちゃいけなかったのに
夏目:そうだよ、おばかだねえ
キョウコ:1つだけ聞いていいですか、たくさんの夢の中の1つを教えて
夏目:作家になりたい 小説を書きたい ただの夢だよw
ずっとにゃんこが鳴いてた
お見合いの頃の写真
第2話「吾輩は猫である」
明治32年
キョウコは結婚3年目に長女・筆子出産
33年
夏目は、文部省から英語研究のため、2年間のイギリス留学を命令される
キョウコの父が「箔がつく」と手を回した 博士にもなれるとまんざらでもない夏目
キョウコは矢来町の中根家に戻る
国から月々25円支給されるが、ロンドンの物価は日本の10倍
キョウコは次女を妊娠「行ってほしくない 2年も知らない国へ」
『秋風の 一人をふくや 海の上』(キョウコに残した一句
34年 次女・恒子が産まれる
夏目からたびたび手紙が来るが、子育てに忙しく返事がなかなか書けない
父:
向こうでは悪妻で通ってるらしいぞ 「神経衰弱気味だ」と言う者もいる
下宿にこもっているそうだ 留学生にはよくある話だが
今度の桂内閣は、父を嫌っているため、来月ですべての官職をとかれると話す
従妹・房子が手伝いに通う
キョウコは父の援助を受けられず、相変わらず苦しい家計
夏目の手紙には「金がないのも辛抱しなさい 人間は生きて苦しむ動物かもしれない」
キョウコは臥せっている正岡のもとを訪ね、手紙を見せる
イギリスの研究成果を送れとゆったら白紙を送ってきたそう
正岡:
彼は他人に対して敵愾心がある 夏目の家は町人 ウチは武士の出
身分を気にするところもある イギリスは一等国じゃから苦労するじゃろ
帰ったら優しくしてくれ 敵愾心なく話せる相手は奥さんしかおらん
36年 新橋 2年半ぶりに夏目が戻る
親戚が「洋行帰りの顔を見せてくれ」と挨拶に来るが「休ませてくれ」と部屋にこもる
父は失職中の上、九州の炭鉱で失敗して借金をしていると
夏目:
熊本に戻ってまた教師を続けるしかないのか
ロンドンでよく分かった、英語も、教師も、自分に向いてないと
もう疲れた 10万円欲しい 遊んで暮らせるぞ
仕事もせず、熊本へも帰らず 好きなことをして
キョウコ:私だって欲しいです
夏目:遊んで暮らすぞーーー!
熊本へ帰るのを断り、東京で英語を教えることとなり
千駄木に家を借りた矢先、幻覚を見るようになり、娘を殴る
理由は、ロンドンに可哀相な乞食がいて、銅貨をやったら
下宿の便所に同じ銅貨が置いてあった
下宿の女将に違いない 日本人を見下したいんだ、という
女中も引きずりまわして、ものすごい勢いで罵倒するため、精神科の医者・呉を紹介すると言われる
夏目から「出ていけ!」と言われ、キョウコは父を訪ねる
夏目から頻繁に「別れたい」と手紙がきていると聞く
キョウコ:
私がいなければ穏やかに暮らせるなら でもほんとにそうなのか
私の顔を見て、とってもいい顔で笑ってくれる時もあるんです
父:実家は人手に渡る 次の家は見つけてある 次の一手を考える お前もそうしろ
クレ:
追跡妄想、神経症 やっかいな病気です
イギリスで発症した可能性が高いが、以前から因子を抱えていたかも
キョウコ:
私に原因があるんだと思ってました
病気ならそばにいて看病しなくちゃw
家で大根を生で食べている夏目
キョウコは、泣く子どもたちに「このウチで大きくなるの 私たちのウチなんですから」
2ヶ月過ぎ、三女を出産
長ーーーーーーい離縁状を見せる夏目
「大きな音がする」と怒鳴られ
「ネズミじゃありませんか?」
数ヶ月にわたり異常行動が続いた たまに戻るんだね
雨の中、父が来る
「麹町に家を買った残金が払えず、利子もついて・・・
夏目くんに印鑑を押してもらえれば金を貸してくれる人がいるから頼んでくれないか」
キョウコ:
本当は、家は借家で、株を買って失敗し、身動き出来ない状態なんでしょう
今の私には悔しいけど助けられない
毎日夏目と戦争している有様です どこまでこのウチで頑張れるのか
書斎にこもって山のような本を読んでいる夏目を見ると、きっとこの人も辛いんだろうって
それぞれがみんな寂しいんだって
土下座して泣いて謝る
父:昔、夏目くんが教えてくれた句がある
「俯いて 膝に抱きつく 寒さかな」
自分の膝に抱きついて耐えるしかないんだな
夏目が帰ってくる
「明日、ヒトシくんに来るよう伝えてくれ 中根家を継ぐのは彼だ 彼と話しがしたい」
(朝ドラのタケちゃん!
夏目:
イギリスにも手紙をくれて嬉しかったよ
君の姉さんは断ったが、私は保証人になるべきなんだろうね
義理の親子だ 君とは義理の兄弟だ 我々は家族だからね
しかしそれをすると共倒れになる可能性がある
結論はキョウコと同じ 冷静な判断だと思う
だが、君と母上は守ってみせる それは約束する
400円ある 急いで作った金だ 父上に渡してください
泣いて受け取るヒトシ
夏目:これで君は帰る所がなくなったなあ
キョウコ:いいんです 私にはこのウチがありますから
夏目:そんなにこのウチがいいのか?
キョウコ:あなたはどうですか?
37年 日露戦争勃発
2年後、55歳で父は亡くなる
野良猫が夏目家に来るようになった(幸運を運ぶ黒猫だ
何度追い出されても来て、按摩さんから「爪まで真っ黒なのは滅多にいない“福猫”だ」と聞く
(猫目線のカメラアングルが面白い
夏目「しばらく置いてやったらどうだ」(さては猫好き?
お隣りさんが探偵だと言って、症状は良かったり悪かったりの繰り返し
「夕方が酷い 頭痛がして落ち着かない」
(やりたくない事をずっとしてると病気になるんだよ
『ホトトギス』になにか書いてくれないかと頼まれる
そこに猫がきて、猫になりきるw それから猛烈に書きはじめる
家にドロボウが入り、犯人はもう捕まって、服を売るために新品同様になって戻ってくる
(猫が来て以来、病気も回復したようでよかったにゃあ これぞアニマルセラピー!
原稿が書きあがり、「我が輩は猫である」と音読してもらい大笑いする
第一子誕生の頃
第3話「やっかいな客」
39年春 漱石の名で出した小説があっという間に有名になる
5月 日本軍がバルチック艦隊を打ち破る
千駄木町の自宅に奇妙な老人が来る
「人形を寝かせて 上向いた運が下がる」占いの先生に言われたというキョウコ
夏目は小説を書き始め、ココロの症状は回復してきたが、胃痛に悩む
家主の都合で、駒込に引越す
房子はキョウコのもとで花嫁修業する
三女・栄子、四女・愛子 みんな女の子なのね
夏目は大学を辞めて新聞社に小説家として呼ばれていると聞く
毎日180円でやりくりしているキョウコは猛反対
夏目:君は本当に夢のない人だな
40年
『草枕』に感動したと、東京朝日新聞・池辺が来る
房子:
女学校の先生も言っていました これからは新聞の時代だ
世の中をよくするには、国民が早く情報を知る必要がある
私も今までいろんなことに無知だと分かりました
キョウコ:瓦版と変わらないじゃないですか
と言うが、月給200円と聞いて驚く 質屋に行かなくて済む
夏目:
年に1本長編でいい 教授になれば小説を書くのは禁止されるぞ、と口説かれた
君は今でも反対か?(意見を聞くだけマシだね
反対しつつも
「あなたの昔からの夢で、私も乗ってみたいと思っていた これ以上はお好きなように」
「好きにするぞ!」
夏目は東京朝日新聞に入社
日露戦争に勝った後の日本は、貧富の差が広がり、各地で激しい労働運動が起きていた
2月の足尾銅山の事件には皆不安を感じた
『平民新聞』の論法は社会主義だという学生
また老人を見かけるが、無視する夏目
大官人・榎本が来る(名刺ちっさ!
塩原の介添え役として来たという
怪老人が塩原で、夏目の育ての親だと初めて聞くキョウコ
塩原:
『坊ちゃん』も世間で好評だな
親子の縁が切れてから二度と会っていない
(有名になると、こうしてどこからともなく親戚が増えるんだな
21歳で夏目の籍に戻り、その時、父は夏目を塩原から270円で買い戻した
塩原:金の話ではない ちょくちょく来て話がしたい
夏目家に戻る時、「念書」を書いたと見せる
「養育料を払い、今後互いに不実不人情にならぬよう」と約束した
塩原:
不実とは見て見ぬフリをすること 不人情とは昔を忘れることだ
胃痛で倒れる夏目
「金が欲しくて来たんだ 追い返してくれ!」
キョウコは、牛込の夏目家を訪ね、当主の兄を訪ねて相談する(お兄さん、いい人じゃん
兄:
上の兄貴がバタバタ死んで、自分よりキンちゃんのほうが出来がいいから
父は塩原にくれてやるのが惜しくなって、金で取り戻したのがいけなかった
キンちゃんは塩原にいたほうが幸せだった
子どもがいなかったから 親以上に甘やかしていた
そこから離れて居場所がなくなった(じゃあ、なぜ避ける?
30年前の回想
(あら、朝ドラの長太郎さん! 喋り方や仏頂面がおんなじ
神社で子どもと遊ぶ塩原を見かけるキョウコ
塩原:
手のかかる亭主でしょう そういう風に甘やかして育ててしまった
私も甘やかされて育った 私のオヤジは四谷あたりの名主で裕福でした
私の頼みに嫌という言葉を使わなかった
私も金之助が可愛くて仕方なかった
ただ、私にはオヤジほどの力はなかった
ご維新で世の中が変わって、名主の身分も取り上げられ何もかも失くした
分かりますか? 落ちぶれることの忌々しさが
キョウコ:
私の父がそうでした
片田舎から上京して、ドイツ語を学んで、政治家たちに気に入られ
貴族院まで上り詰めたけれども、後ろ盾の政治家が失脚すると
あっという間にすべてを失って
塩原:なら分かるでしょう 溺れる者は藁をも掴む思いが
キョウコ:でも、夏目はか細い藁です 掴めばすぐ沈んでしまいます
塩原:一緒に沈むのなら本望だ
また塩原が来て、2時間も居座っている
キョウコ:
あなたにとって大事でないのら、念書を取り戻して
もう一度縁をお切りにならなければ一生あの人に・・・
塩原はパナマ帽をぜひ見たいという
塩原:
原稿料がたっぷり入って買ったんだろう 朝日の月給が800円という噂もある
私は雨漏りがして、毎日嫁に責められている
後妻・カツは“キンちゃんに会うなら金をもらってきてくれ”と言う
200円ばかり今月末までに都合つけてくれないか
お前は、夏目の家に戻ってからも、何度も家に来て
肉やら羊羹やらをねだり、友だちと酒盛りをして
それをわしが断ったことがあるか!?
胃痛で倒れる夏目
「この人はいい父親だったんだ たった一人の大事な父親だったんだ」
それを聞き、慌てて帰る塩原
キョウコはへそくりを出して、雨の中追いかける
キョウコ:
3年かけて貯めた100円です
私たちは明日から質屋通いです 5人目の子どももお腹の中にいます
小説を書きたい若者たちもたくさんいます
小説を書いても質屋と縁が切れないんです
その代わり、念書を返してください
今これが必要なんでしょ 夏目が倒れてしまえばただの紙切れ
うちの人は人情があります あなたはどうなのですか?
念書と100円をかえ、夏目に渡すと破る
キョウコ:たぶんあの方はもういらっしゃらないという気がします
夏目:
これでまた一人身内が減った
身内はやっかいだが、自分が生きてきた証拠のようなものだからねえ
キョウコ:寂しい?
夏目:
君はどうだった? オヤジさんを自分の手で切った
残念だ オレは君ほど強くない
早稲田南町
初めての新聞小説『虞美人草』を書く
長男・純一が産まれ、早稲田に引っ越した(よく引っ越すねえ!
胃痛は変わらず、病院には行かず、クスリを飲む
40年11月
夏目に会いたくて足尾から3日歩いてきたという荒井(猫はまだ名前ないんだw
足尾銅山で坑夫をしていたが小説を読んで鉱山のことを小説にしてほしいという
「鉱山は奇妙な世界ですから」
6時間も話している2人
足尾には1万人もの坑夫が、動物の食べる南京米を食べてこき使われている、と興味をもつという
荒井:
腰まで水に漬かって、8時間も働くんです
私は、東京の生まれ 両親とは事情があって縁を切った
だから地球の底まで下りていってやろうと思ったんです
夏目:そのいきさつを君自身で小説にする手もあるよ
宿代を渡して帰す
その後、荒井はしばらく来なかったが、
社会主義者がデモをしていて、警察ともめている中に荒井もいて、房子とその場を逃げる
社会主義者は国を転覆させる危険思想だと言われていた
東京時代
最終話「たたかう夫婦」
文鳥を飼い始める夏目
荒井:
『平民新聞』は足尾銅山に同情的な記事を載せてくれた
オレはその記者に誘われただけ 何の主義もない
でも今の世の中は変えたほうがいい
一生光を浴びずに生きる者がいて、その上前をハネて一生光の中にいる人間がいる
それは間違っている
夏目が「木曜会」をやっていると、房子が荒井を連れてくる
文鳥が亡くなっていてショックを受け、「なぜ留守中エサをやらなかった!」と激怒し、キョウコの頬を叩く「無神経女め!」
朝日新聞から電報 島崎の連載の穴を埋めてくれとの依頼
夏目:あと2週間しかない
キョウコ:足尾銅山の話を書けばいいじゃないですか
41年
『坑夫』の原稿内容に間違いがないか確認するため、荒井は毎日くる
『我が輩は猫である』の生々しい夫婦の口ゲンカの描写は噂になってる(按摩さんを頼むお金はあるのか?
『文鳥』の原稿を隠す荒井 昔好きだった女性との思い出が覗けるという
「文鳥が浮世絵的美人を思わせる」と聞き、大塚のことだとピンとくるキョウコ
「先生の書かれる美人は皆、よく似ている」(海外の絵を題材にしてるんじゃなかったっけ?
小宮が女流作家の会に大塚楠緒子を招いたことで夏目宅に連れてくる
夏目に推薦されて朝日新聞で連載を頼まれたので礼を伝えてくれ、と言われる
小宮から大塚のことを聞くと、夏目と一緒に食事したと聞き
まだやきもちを焼くって愛してるんだね
荒井は足尾銅山で商売をやるから、木曜会から金を借りていると聞く
四谷でおでん屋をやると言って、房子も8円ものお金を貸しているが、ひと月も音沙汰なく不安な房子
キョウコは、四谷のおでん屋を探そうと連れ出すが、そんなものはないと言われる
(この頃からの純喫茶も今まだあるかなあ
キョウコ:
あの人うちの猫みたいな人ね サッパリ分からない
好きになるのはいいけど、大好きはだめ
どこに行ったら分からなくなったら辛いですもの
(キョウコの物言いは分かりやすくて優しいなあ
足尾の騒乱事件で仲間をかくまった疑いで、警察が荒井を逮捕し、夏目が牢から出す
房子:貸したお金はお役に立ちましたか?
荒井:
あれは飲んで、食べて使い果たしました
お店もやるつもりだったが上手くいかない いつもそう 中途半端なんです
夏目:
君は僕も裏切った
“『坑夫』は夏目はロクに調べずに書いた 謝礼もよこさないズルい作家”だと言ったそうだな
荒井:
あなたは僕の父と似ているのが嫌だった
父の興味は国を動かして戦争をさせ、
軍艦や大砲を造って、浴びるほど金を稼ぐことだけですから
兄は戦争に行き、旅順で戦死 父は戦争を正当化し名誉まで手に入れた
母は去り、僕は家を出る時『我が輩は猫である』を読んで面白かった
普通の家の温かい夫婦、子どもと猫、そういう家族があるんだなと感動した
でも違ってた 筆子ちゃんは父のことを「怖い」と言っていた 殴られると思ってる
この家だってバラバラ 気づいてないのは先生だけです
夏目:大きなお世話だ!
荒井:
父も「大きなお世話だ」と言いました
先生は奥さんを愛してらっしゃいますか?
黙る夏目に、キョウコは「主人にそんなこと答えられるわけがない 小説しか頭にない人ですよ」
(荒井も夏目と似た境遇なのにね だから余計にか
夏目:あいつに10円やって二度と来させるな
キョウコ:
その代わり、最近書いた小説『文鳥』を私に読ませてください
あなたは私に手をあげた
その方を愛したように、私もこれまで愛されたでしょうか?
夏目:
さっき君が答えてたじゃないか
小説のことしか頭にない いい答えだと思う
キョウコ:このウチはどこか壊れていますよ
荒井はなけなしの金を房子に返す
荒井:
父のところに帰ろうと思う どこへ行っても何も解決しない
ぶつかって、金ふんだくって、新聞社でも始めますか
小さいけど、自由に主張できるような新聞を
いいと思いますか?
房子:いいと思います
その後、残金は戻ってきたが二度と会うことはなかった
秋 猫は死に、墓をつくった
43年
夏目は小説を書き続けた 胃痛は悪化
激痛でのたうちまわり胃腸病院に入院 重い胃潰瘍(当時は外科手術なんてなさそうだけど
甘いものを止められているのに、クッキーを食べてる
恒子は病室から出てしまう 筆子もひと言も喋らず帰ったという
(ほんとに娘に嫌われたんだ この時代の父親は珍しくないか?
夏目:
君によく似ている 正直だが無愛想だ(自分がそうさせたのに
君と結婚した時は、そういうところが自然でいいと思ったりしたんだがね
キョウコ:後悔してるの?
夏目:君はどうだい?
キョウコ:私は占いを信じていますから
夏目:もう信じちゃいないだろう(そっか人間不信だからか
キョウコ:ときどき迷います でも今まで信じてきましたから
夏目:
オレは神も占いも信じない 親に捨てられて決めたんだ
だから俺たちは・・・帰ってくれ
オレはここを出たら修善寺でしばらく療養する 来なくていい
(キョウコの依存心もあるかもね
8月 退院し、伊豆の修善寺で逗留
胆汁を一升も吐いたと電報が届く
今度はカラスが家に来る
18日 胆汁どころか大量に血を吐いて重篤と電報が来る
伊豆へ行く汽車の中でこれまでのことを回想する
氷を食べている夏目 容態は安定
夏目:
オレは大丈夫だぞ 一句できた
「ふと揺るる 蚊帳の釣手や 今朝の秋」
夏目はキョウコが来てから胃の出血が減り、回復の兆しを見せた
東京から主治医が来て、まもなく帰郷できると言う
そんな折、またひどく吐血
脈がない 食塩注射 カンフル 「ダメだろう」とドイツ語で話す医師
(こんなに吐いちゃうものなの、胃潰瘍って/怖×5000
キョウコの着物が真っ赤でホラーすぎる・・・こういうシーンは極力省略して欲しいな、嘔吐恐怖症としては
医師:もう一度吐血したらダメでしょう
夏目は意識が戻り「妻は? 大丈夫だよ 心配するな キョウコ ウチへ帰ろう」
こっから危機を脱したって奇跡
長野への講演に一緒に行くと譲らないキョウコ
房子は縁談で名古屋へ行く荷造り
房子:
“妻は家でお留守番”はもう古いんです
平塚さんが女たちのための雑誌をつくると言っていました
女にも個性がある 男と同じように個性を生かした生き方があるはずだ
この4年間、キョウコさんのそばにいてよく分かったんです
そこから美しい生き方が生まれるってことが
長野(改めていいところだなあ ロケ地違うかもしれないけど
キョウコ:
『坊っちゃん』にキヨという婆やが出てくるでしょ
性格は生一本で、男っぽいところはあるけれど、優しくて
あれ、私でしょ 私、ほんとの名前は鏡と書いて、子どもの頃はキヨと呼ばれていました
性格は私によく似ている
死ぬ間際に同じ墓地に入って、坊ちゃんを待っていたいって言うでしょ
あれは坊っちゃんの理想の女の人でしょ?
夏目:
君はどこまでも・・・君だね
そういうことにしておこう キヨさんは君だ
この旅は結婚して15年目の初めての穏やかな旅行
その後も『こころ』などを書いて、「明治の文豪」と讃えられた
明治は終わりを告げようとしていた
*
まだ山々の残る清清しい風景の中、2人の笑顔で終わってホッとした
主演2人のプロの役者同士の演技力が堪能できる素晴らしいドラマだな
ひとつひとつの表情で、いろんな感情を表現出来て、しかも華もある
私は、ほとんど日本文学を読まないから、夏目漱石さんも小さい頃に『坊ちゃん』をたぶん読んだかも?くらい
顔も例のモノクロで物憂げにヒジをついた写真しか知らない
ウィキを読むと、49歳没はやはり早世
里子に出されたり、戻されたり、兄弟を亡くしたり、自分の子も亡くしたり
波乱万丈すぎる人生の上、あれやこれやと病気のてんこもり/驚
本人も勿論辛いけど、それを支えた鏡子さんらの苦労も想像を絶する
原作:『漱石の思い出』(原案)夏目鏡子(述)松岡譲(筆録)
脚本:池端俊策(作) 岩本真耶(作)
出演:
尾野真千子
長谷川博己
黒島結菜
満島真之介
竹中直人
舘ひろし ほか
※「長谷川博己さん出演作まとめ」に追加しました。
“夏目漱石没後100年に当たる2016年、妻・夏目鏡子の『漱石の思い出』を原案に制作された。”(ウィキ参照
【ブログ内関連記事】
『夏目漱石の美術世界展』@東京藝術大学大学美術館
長谷川博己さん@スタジオパークからこんにちは
『夢十夜』(パロル舎)
映画『ユメ十夜』(2007)
映画『こころ』(1955)
▼あらすじ(ネタバレ注意
第1話「夢みる夫婦」
明治28年 虎ノ門
日本は日清戦争で勝利に沸く
父・中根は、長女・鏡子に縁談をもってくる
夏目金之助 29歳 松山中学教師
キョウコは占い好きで縁談を占い、決心する
見合いの席で、俳句が趣味だというので、1句詠んでもらうと妙な句に笑うキョウコ
見合いの3日後、矢来町の祖父のもとへ行く途中で夏目を見かけるが素通りされる
話がまとまり、正月のカルタ会に夏目も来た
豪勢な家だねえ
「笑う時、おおっぴらに口を開けて笑うところがいい」と親友・正岡子規に話す
ゆくゆくは東京に戻るつもりの夏目だったが、仕事が見つからず、キョウコとともに熊本に転任
父は「すぐ戻せるように計らう」と約束
父:
祝言だけは東京で挙げたかった
私はお前を甘やかして育てた
熊本での暮らしが耐えられるか? 引き返すなら今のうちだぞ
キョウコ:自分でこの人がいいって決めたことですから 私、迷いませんから
婚礼は、バタバタとして、簡素以上の奇妙なものだったそう
書棚は洋書だらけ
キョウコが持ってきた大塚楠緒子は、夏目の友人の妻だという
学校からは月100円もらっているが、丸善に毎月20円送金している(家を借りる2件分
国、父・姉への送金 残りの50円で家全体を賄わなければならない
夏目:私は学者だから君に構っていられないのを承知してくれ
(女中か奴隷扱いだな
翌朝、キョウコは10時に起きて、婆や・おタカから朝寝坊の小言を言われる
翌日は12時起床
キョウコ:家の前の墓が気になって眠れない と言い訳をすると
夏目:分かった 引越しをしよう
夏目:前の家より広いが、長谷川という生徒を下宿させればいい
家賃は前より高く、夏目は「昔からの友だちから金は取れない」の一点張り
長谷川:以前の下宿は7円だったからとってくれ とらないなら居づらいから帰る
キョウコ:中をとって5円いただくのはどうです? と手を打つ
俳句に興味をもつキョウコ 教えてくれと頼むが、意味が分からずムリだといわれる
夏目:
タカを東京に帰したらどうか
子どもの頃から家族のようにいたのは分かるが、中根家のにおいがする
見ていて羨ましい 家族がいることが
僕には縁のない世界だ あれは家族じゃない
1ヵ月後、タカは東京に戻る
30年
夏目の父が東京で亡くなった
夏目:
葬儀は済んでいて、家督を継ぐのは兄だから帰る意味がない
僕はおやじに捨てられた息子なんだ 産まれてすぐ古道具屋に里子に出された
何ヶ月か後に連れ戻され、数ヶ月後に知人の家に預けられた
父は「何しに戻ってきた」って顔でじっと見た 僕の居場所はないんだ
父が50の時の子で、まったく愛情がなかったそうだ
母は早く死んだ 7つか8つの時だ
キョウコは車内で倒れて、実家に戻る
妊娠に気づかず長旅でムリをしたための流産だった
中根家は、夏に鎌倉の別荘で1ヶ月過ごすのが恒例
父:帝国図書館なんて、古い建物に名前をつけただけ まだまだ日本は三等国だ
夏目:私は教師を辞めたい
父:帝大の教授の道を考えたまえ
父はまた東京の仕事を探せず、熊本に戻る2人
女中(猫背椿さん)は夏目が「一生朝飯抜き 女として恥ずかしいことだ」と言っていたとこぼす
夏目は書生マタノを住まわせる
マタノ「大塚さんは、夏目先生と結婚すると噂になった女性だった」
大塚に嫉妬するキョウコ
夏目:当時は理想の女性とも思ったものだ
また寝坊して、夏目が弁当を忘れて走って持っていくと竹林で見つける
夏目:
なぜこんな無茶をするんだ
そりゃ僕だって子どもが欲しかった 自分の体をもっと大事に扱え
31年 正月
夏目は友だちと温泉に行ってしまった
初夏
夏目は、高校の仕事が忙しく、留守がちになり、キョウコは毎日一人が耐えられず学校を訪ねに行く
手を振っても無視され、雨の中、帰る途中の橋から身を投げるが助かる
夏目:
助けてくれた釣り人に感謝しなければ 謝るチャンスを与えてくれた
君に気づいたのに僕は見ないふりをした 素直にありがとうと言えばよかった
だが、僕にはできない 僕は自分の家族が欲しい 誰よりも
だから死んでしまった赤ん坊が、やっぱりそうか、僕は家族に縁がない人間だって
君は失うものがない 中根家に戻ればいつでも迎えてくれる
僕には家族がない 一人なんだって
産まれてすぐ里子に出され、里親は貧乏で
小さなザルの中で放っておかれて泣いていたそうだ
2番目の姉が見て、夏目の家に抱いて戻ったらオヤジにひどく叱られた
僕は人が信じられない そういう僕に弁当を届けてくれる人がいる
寂しくて学校まで顔を見に来てくれる人がいる
その君をもう少しで失うところだった
キョウコ:
私、お見合いする前に、鏡の占いをしたんです
行く末を聞いたら、お見合い相手にはたくさんの夢がある それを1つ1つ果していく人だ
だから一緒になると幸せの雲に乗れるって
だから川へなんか入っちゃいけなかったのに
夏目:そうだよ、おばかだねえ
キョウコ:1つだけ聞いていいですか、たくさんの夢の中の1つを教えて
夏目:作家になりたい 小説を書きたい ただの夢だよw
ずっとにゃんこが鳴いてた
お見合いの頃の写真
第2話「吾輩は猫である」
明治32年
キョウコは結婚3年目に長女・筆子出産
33年
夏目は、文部省から英語研究のため、2年間のイギリス留学を命令される
キョウコの父が「箔がつく」と手を回した 博士にもなれるとまんざらでもない夏目
キョウコは矢来町の中根家に戻る
国から月々25円支給されるが、ロンドンの物価は日本の10倍
キョウコは次女を妊娠「行ってほしくない 2年も知らない国へ」
『秋風の 一人をふくや 海の上』(キョウコに残した一句
34年 次女・恒子が産まれる
夏目からたびたび手紙が来るが、子育てに忙しく返事がなかなか書けない
父:
向こうでは悪妻で通ってるらしいぞ 「神経衰弱気味だ」と言う者もいる
下宿にこもっているそうだ 留学生にはよくある話だが
今度の桂内閣は、父を嫌っているため、来月ですべての官職をとかれると話す
従妹・房子が手伝いに通う
キョウコは父の援助を受けられず、相変わらず苦しい家計
夏目の手紙には「金がないのも辛抱しなさい 人間は生きて苦しむ動物かもしれない」
キョウコは臥せっている正岡のもとを訪ね、手紙を見せる
イギリスの研究成果を送れとゆったら白紙を送ってきたそう
正岡:
彼は他人に対して敵愾心がある 夏目の家は町人 ウチは武士の出
身分を気にするところもある イギリスは一等国じゃから苦労するじゃろ
帰ったら優しくしてくれ 敵愾心なく話せる相手は奥さんしかおらん
36年 新橋 2年半ぶりに夏目が戻る
親戚が「洋行帰りの顔を見せてくれ」と挨拶に来るが「休ませてくれ」と部屋にこもる
父は失職中の上、九州の炭鉱で失敗して借金をしていると
夏目:
熊本に戻ってまた教師を続けるしかないのか
ロンドンでよく分かった、英語も、教師も、自分に向いてないと
もう疲れた 10万円欲しい 遊んで暮らせるぞ
仕事もせず、熊本へも帰らず 好きなことをして
キョウコ:私だって欲しいです
夏目:遊んで暮らすぞーーー!
熊本へ帰るのを断り、東京で英語を教えることとなり
千駄木に家を借りた矢先、幻覚を見るようになり、娘を殴る
理由は、ロンドンに可哀相な乞食がいて、銅貨をやったら
下宿の便所に同じ銅貨が置いてあった
下宿の女将に違いない 日本人を見下したいんだ、という
女中も引きずりまわして、ものすごい勢いで罵倒するため、精神科の医者・呉を紹介すると言われる
夏目から「出ていけ!」と言われ、キョウコは父を訪ねる
夏目から頻繁に「別れたい」と手紙がきていると聞く
キョウコ:
私がいなければ穏やかに暮らせるなら でもほんとにそうなのか
私の顔を見て、とってもいい顔で笑ってくれる時もあるんです
父:実家は人手に渡る 次の家は見つけてある 次の一手を考える お前もそうしろ
クレ:
追跡妄想、神経症 やっかいな病気です
イギリスで発症した可能性が高いが、以前から因子を抱えていたかも
キョウコ:
私に原因があるんだと思ってました
病気ならそばにいて看病しなくちゃw
家で大根を生で食べている夏目
キョウコは、泣く子どもたちに「このウチで大きくなるの 私たちのウチなんですから」
2ヶ月過ぎ、三女を出産
長ーーーーーーい離縁状を見せる夏目
「大きな音がする」と怒鳴られ
「ネズミじゃありませんか?」
数ヶ月にわたり異常行動が続いた たまに戻るんだね
雨の中、父が来る
「麹町に家を買った残金が払えず、利子もついて・・・
夏目くんに印鑑を押してもらえれば金を貸してくれる人がいるから頼んでくれないか」
キョウコ:
本当は、家は借家で、株を買って失敗し、身動き出来ない状態なんでしょう
今の私には悔しいけど助けられない
毎日夏目と戦争している有様です どこまでこのウチで頑張れるのか
書斎にこもって山のような本を読んでいる夏目を見ると、きっとこの人も辛いんだろうって
それぞれがみんな寂しいんだって
土下座して泣いて謝る
父:昔、夏目くんが教えてくれた句がある
「俯いて 膝に抱きつく 寒さかな」
自分の膝に抱きついて耐えるしかないんだな
夏目が帰ってくる
「明日、ヒトシくんに来るよう伝えてくれ 中根家を継ぐのは彼だ 彼と話しがしたい」
(朝ドラのタケちゃん!
夏目:
イギリスにも手紙をくれて嬉しかったよ
君の姉さんは断ったが、私は保証人になるべきなんだろうね
義理の親子だ 君とは義理の兄弟だ 我々は家族だからね
しかしそれをすると共倒れになる可能性がある
結論はキョウコと同じ 冷静な判断だと思う
だが、君と母上は守ってみせる それは約束する
400円ある 急いで作った金だ 父上に渡してください
泣いて受け取るヒトシ
夏目:これで君は帰る所がなくなったなあ
キョウコ:いいんです 私にはこのウチがありますから
夏目:そんなにこのウチがいいのか?
キョウコ:あなたはどうですか?
37年 日露戦争勃発
2年後、55歳で父は亡くなる
野良猫が夏目家に来るようになった(幸運を運ぶ黒猫だ
何度追い出されても来て、按摩さんから「爪まで真っ黒なのは滅多にいない“福猫”だ」と聞く
(猫目線のカメラアングルが面白い
夏目「しばらく置いてやったらどうだ」(さては猫好き?
お隣りさんが探偵だと言って、症状は良かったり悪かったりの繰り返し
「夕方が酷い 頭痛がして落ち着かない」
(やりたくない事をずっとしてると病気になるんだよ
『ホトトギス』になにか書いてくれないかと頼まれる
そこに猫がきて、猫になりきるw それから猛烈に書きはじめる
家にドロボウが入り、犯人はもう捕まって、服を売るために新品同様になって戻ってくる
(猫が来て以来、病気も回復したようでよかったにゃあ これぞアニマルセラピー!
原稿が書きあがり、「我が輩は猫である」と音読してもらい大笑いする
第一子誕生の頃
第3話「やっかいな客」
39年春 漱石の名で出した小説があっという間に有名になる
5月 日本軍がバルチック艦隊を打ち破る
千駄木町の自宅に奇妙な老人が来る
「人形を寝かせて 上向いた運が下がる」占いの先生に言われたというキョウコ
夏目は小説を書き始め、ココロの症状は回復してきたが、胃痛に悩む
家主の都合で、駒込に引越す
房子はキョウコのもとで花嫁修業する
三女・栄子、四女・愛子 みんな女の子なのね
夏目は大学を辞めて新聞社に小説家として呼ばれていると聞く
毎日180円でやりくりしているキョウコは猛反対
夏目:君は本当に夢のない人だな
40年
『草枕』に感動したと、東京朝日新聞・池辺が来る
房子:
女学校の先生も言っていました これからは新聞の時代だ
世の中をよくするには、国民が早く情報を知る必要がある
私も今までいろんなことに無知だと分かりました
キョウコ:瓦版と変わらないじゃないですか
と言うが、月給200円と聞いて驚く 質屋に行かなくて済む
夏目:
年に1本長編でいい 教授になれば小説を書くのは禁止されるぞ、と口説かれた
君は今でも反対か?(意見を聞くだけマシだね
反対しつつも
「あなたの昔からの夢で、私も乗ってみたいと思っていた これ以上はお好きなように」
「好きにするぞ!」
夏目は東京朝日新聞に入社
日露戦争に勝った後の日本は、貧富の差が広がり、各地で激しい労働運動が起きていた
2月の足尾銅山の事件には皆不安を感じた
『平民新聞』の論法は社会主義だという学生
また老人を見かけるが、無視する夏目
大官人・榎本が来る(名刺ちっさ!
塩原の介添え役として来たという
怪老人が塩原で、夏目の育ての親だと初めて聞くキョウコ
塩原:
『坊ちゃん』も世間で好評だな
親子の縁が切れてから二度と会っていない
(有名になると、こうしてどこからともなく親戚が増えるんだな
21歳で夏目の籍に戻り、その時、父は夏目を塩原から270円で買い戻した
塩原:金の話ではない ちょくちょく来て話がしたい
夏目家に戻る時、「念書」を書いたと見せる
「養育料を払い、今後互いに不実不人情にならぬよう」と約束した
塩原:
不実とは見て見ぬフリをすること 不人情とは昔を忘れることだ
胃痛で倒れる夏目
「金が欲しくて来たんだ 追い返してくれ!」
キョウコは、牛込の夏目家を訪ね、当主の兄を訪ねて相談する(お兄さん、いい人じゃん
兄:
上の兄貴がバタバタ死んで、自分よりキンちゃんのほうが出来がいいから
父は塩原にくれてやるのが惜しくなって、金で取り戻したのがいけなかった
キンちゃんは塩原にいたほうが幸せだった
子どもがいなかったから 親以上に甘やかしていた
そこから離れて居場所がなくなった(じゃあ、なぜ避ける?
30年前の回想
(あら、朝ドラの長太郎さん! 喋り方や仏頂面がおんなじ
神社で子どもと遊ぶ塩原を見かけるキョウコ
塩原:
手のかかる亭主でしょう そういう風に甘やかして育ててしまった
私も甘やかされて育った 私のオヤジは四谷あたりの名主で裕福でした
私の頼みに嫌という言葉を使わなかった
私も金之助が可愛くて仕方なかった
ただ、私にはオヤジほどの力はなかった
ご維新で世の中が変わって、名主の身分も取り上げられ何もかも失くした
分かりますか? 落ちぶれることの忌々しさが
キョウコ:
私の父がそうでした
片田舎から上京して、ドイツ語を学んで、政治家たちに気に入られ
貴族院まで上り詰めたけれども、後ろ盾の政治家が失脚すると
あっという間にすべてを失って
塩原:なら分かるでしょう 溺れる者は藁をも掴む思いが
キョウコ:でも、夏目はか細い藁です 掴めばすぐ沈んでしまいます
塩原:一緒に沈むのなら本望だ
また塩原が来て、2時間も居座っている
キョウコ:
あなたにとって大事でないのら、念書を取り戻して
もう一度縁をお切りにならなければ一生あの人に・・・
塩原はパナマ帽をぜひ見たいという
塩原:
原稿料がたっぷり入って買ったんだろう 朝日の月給が800円という噂もある
私は雨漏りがして、毎日嫁に責められている
後妻・カツは“キンちゃんに会うなら金をもらってきてくれ”と言う
200円ばかり今月末までに都合つけてくれないか
お前は、夏目の家に戻ってからも、何度も家に来て
肉やら羊羹やらをねだり、友だちと酒盛りをして
それをわしが断ったことがあるか!?
胃痛で倒れる夏目
「この人はいい父親だったんだ たった一人の大事な父親だったんだ」
それを聞き、慌てて帰る塩原
キョウコはへそくりを出して、雨の中追いかける
キョウコ:
3年かけて貯めた100円です
私たちは明日から質屋通いです 5人目の子どももお腹の中にいます
小説を書きたい若者たちもたくさんいます
小説を書いても質屋と縁が切れないんです
その代わり、念書を返してください
今これが必要なんでしょ 夏目が倒れてしまえばただの紙切れ
うちの人は人情があります あなたはどうなのですか?
念書と100円をかえ、夏目に渡すと破る
キョウコ:たぶんあの方はもういらっしゃらないという気がします
夏目:
これでまた一人身内が減った
身内はやっかいだが、自分が生きてきた証拠のようなものだからねえ
キョウコ:寂しい?
夏目:
君はどうだった? オヤジさんを自分の手で切った
残念だ オレは君ほど強くない
早稲田南町
初めての新聞小説『虞美人草』を書く
長男・純一が産まれ、早稲田に引っ越した(よく引っ越すねえ!
胃痛は変わらず、病院には行かず、クスリを飲む
40年11月
夏目に会いたくて足尾から3日歩いてきたという荒井(猫はまだ名前ないんだw
足尾銅山で坑夫をしていたが小説を読んで鉱山のことを小説にしてほしいという
「鉱山は奇妙な世界ですから」
6時間も話している2人
足尾には1万人もの坑夫が、動物の食べる南京米を食べてこき使われている、と興味をもつという
荒井:
腰まで水に漬かって、8時間も働くんです
私は、東京の生まれ 両親とは事情があって縁を切った
だから地球の底まで下りていってやろうと思ったんです
夏目:そのいきさつを君自身で小説にする手もあるよ
宿代を渡して帰す
その後、荒井はしばらく来なかったが、
社会主義者がデモをしていて、警察ともめている中に荒井もいて、房子とその場を逃げる
社会主義者は国を転覆させる危険思想だと言われていた
東京時代
最終話「たたかう夫婦」
文鳥を飼い始める夏目
荒井:
『平民新聞』は足尾銅山に同情的な記事を載せてくれた
オレはその記者に誘われただけ 何の主義もない
でも今の世の中は変えたほうがいい
一生光を浴びずに生きる者がいて、その上前をハネて一生光の中にいる人間がいる
それは間違っている
夏目が「木曜会」をやっていると、房子が荒井を連れてくる
文鳥が亡くなっていてショックを受け、「なぜ留守中エサをやらなかった!」と激怒し、キョウコの頬を叩く「無神経女め!」
朝日新聞から電報 島崎の連載の穴を埋めてくれとの依頼
夏目:あと2週間しかない
キョウコ:足尾銅山の話を書けばいいじゃないですか
41年
『坑夫』の原稿内容に間違いがないか確認するため、荒井は毎日くる
『我が輩は猫である』の生々しい夫婦の口ゲンカの描写は噂になってる(按摩さんを頼むお金はあるのか?
『文鳥』の原稿を隠す荒井 昔好きだった女性との思い出が覗けるという
「文鳥が浮世絵的美人を思わせる」と聞き、大塚のことだとピンとくるキョウコ
「先生の書かれる美人は皆、よく似ている」(海外の絵を題材にしてるんじゃなかったっけ?
小宮が女流作家の会に大塚楠緒子を招いたことで夏目宅に連れてくる
夏目に推薦されて朝日新聞で連載を頼まれたので礼を伝えてくれ、と言われる
小宮から大塚のことを聞くと、夏目と一緒に食事したと聞き
まだやきもちを焼くって愛してるんだね
荒井は足尾銅山で商売をやるから、木曜会から金を借りていると聞く
四谷でおでん屋をやると言って、房子も8円ものお金を貸しているが、ひと月も音沙汰なく不安な房子
キョウコは、四谷のおでん屋を探そうと連れ出すが、そんなものはないと言われる
(この頃からの純喫茶も今まだあるかなあ
キョウコ:
あの人うちの猫みたいな人ね サッパリ分からない
好きになるのはいいけど、大好きはだめ
どこに行ったら分からなくなったら辛いですもの
(キョウコの物言いは分かりやすくて優しいなあ
足尾の騒乱事件で仲間をかくまった疑いで、警察が荒井を逮捕し、夏目が牢から出す
房子:貸したお金はお役に立ちましたか?
荒井:
あれは飲んで、食べて使い果たしました
お店もやるつもりだったが上手くいかない いつもそう 中途半端なんです
夏目:
君は僕も裏切った
“『坑夫』は夏目はロクに調べずに書いた 謝礼もよこさないズルい作家”だと言ったそうだな
荒井:
あなたは僕の父と似ているのが嫌だった
父の興味は国を動かして戦争をさせ、
軍艦や大砲を造って、浴びるほど金を稼ぐことだけですから
兄は戦争に行き、旅順で戦死 父は戦争を正当化し名誉まで手に入れた
母は去り、僕は家を出る時『我が輩は猫である』を読んで面白かった
普通の家の温かい夫婦、子どもと猫、そういう家族があるんだなと感動した
でも違ってた 筆子ちゃんは父のことを「怖い」と言っていた 殴られると思ってる
この家だってバラバラ 気づいてないのは先生だけです
夏目:大きなお世話だ!
荒井:
父も「大きなお世話だ」と言いました
先生は奥さんを愛してらっしゃいますか?
黙る夏目に、キョウコは「主人にそんなこと答えられるわけがない 小説しか頭にない人ですよ」
(荒井も夏目と似た境遇なのにね だから余計にか
夏目:あいつに10円やって二度と来させるな
キョウコ:
その代わり、最近書いた小説『文鳥』を私に読ませてください
あなたは私に手をあげた
その方を愛したように、私もこれまで愛されたでしょうか?
夏目:
さっき君が答えてたじゃないか
小説のことしか頭にない いい答えだと思う
キョウコ:このウチはどこか壊れていますよ
荒井はなけなしの金を房子に返す
荒井:
父のところに帰ろうと思う どこへ行っても何も解決しない
ぶつかって、金ふんだくって、新聞社でも始めますか
小さいけど、自由に主張できるような新聞を
いいと思いますか?
房子:いいと思います
その後、残金は戻ってきたが二度と会うことはなかった
秋 猫は死に、墓をつくった
43年
夏目は小説を書き続けた 胃痛は悪化
激痛でのたうちまわり胃腸病院に入院 重い胃潰瘍(当時は外科手術なんてなさそうだけど
甘いものを止められているのに、クッキーを食べてる
恒子は病室から出てしまう 筆子もひと言も喋らず帰ったという
(ほんとに娘に嫌われたんだ この時代の父親は珍しくないか?
夏目:
君によく似ている 正直だが無愛想だ(自分がそうさせたのに
君と結婚した時は、そういうところが自然でいいと思ったりしたんだがね
キョウコ:後悔してるの?
夏目:君はどうだい?
キョウコ:私は占いを信じていますから
夏目:もう信じちゃいないだろう(そっか人間不信だからか
キョウコ:ときどき迷います でも今まで信じてきましたから
夏目:
オレは神も占いも信じない 親に捨てられて決めたんだ
だから俺たちは・・・帰ってくれ
オレはここを出たら修善寺でしばらく療養する 来なくていい
(キョウコの依存心もあるかもね
8月 退院し、伊豆の修善寺で逗留
胆汁を一升も吐いたと電報が届く
今度はカラスが家に来る
18日 胆汁どころか大量に血を吐いて重篤と電報が来る
伊豆へ行く汽車の中でこれまでのことを回想する
氷を食べている夏目 容態は安定
夏目:
オレは大丈夫だぞ 一句できた
「ふと揺るる 蚊帳の釣手や 今朝の秋」
夏目はキョウコが来てから胃の出血が減り、回復の兆しを見せた
東京から主治医が来て、まもなく帰郷できると言う
そんな折、またひどく吐血
脈がない 食塩注射 カンフル 「ダメだろう」とドイツ語で話す医師
(こんなに吐いちゃうものなの、胃潰瘍って/怖×5000
キョウコの着物が真っ赤でホラーすぎる・・・こういうシーンは極力省略して欲しいな、嘔吐恐怖症としては
医師:もう一度吐血したらダメでしょう
夏目は意識が戻り「妻は? 大丈夫だよ 心配するな キョウコ ウチへ帰ろう」
こっから危機を脱したって奇跡
長野への講演に一緒に行くと譲らないキョウコ
房子は縁談で名古屋へ行く荷造り
房子:
“妻は家でお留守番”はもう古いんです
平塚さんが女たちのための雑誌をつくると言っていました
女にも個性がある 男と同じように個性を生かした生き方があるはずだ
この4年間、キョウコさんのそばにいてよく分かったんです
そこから美しい生き方が生まれるってことが
長野(改めていいところだなあ ロケ地違うかもしれないけど
キョウコ:
『坊っちゃん』にキヨという婆やが出てくるでしょ
性格は生一本で、男っぽいところはあるけれど、優しくて
あれ、私でしょ 私、ほんとの名前は鏡と書いて、子どもの頃はキヨと呼ばれていました
性格は私によく似ている
死ぬ間際に同じ墓地に入って、坊ちゃんを待っていたいって言うでしょ
あれは坊っちゃんの理想の女の人でしょ?
夏目:
君はどこまでも・・・君だね
そういうことにしておこう キヨさんは君だ
この旅は結婚して15年目の初めての穏やかな旅行
その後も『こころ』などを書いて、「明治の文豪」と讃えられた
明治は終わりを告げようとしていた
*
まだ山々の残る清清しい風景の中、2人の笑顔で終わってホッとした
主演2人のプロの役者同士の演技力が堪能できる素晴らしいドラマだな
ひとつひとつの表情で、いろんな感情を表現出来て、しかも華もある
私は、ほとんど日本文学を読まないから、夏目漱石さんも小さい頃に『坊ちゃん』をたぶん読んだかも?くらい
顔も例のモノクロで物憂げにヒジをついた写真しか知らない
ウィキを読むと、49歳没はやはり早世
里子に出されたり、戻されたり、兄弟を亡くしたり、自分の子も亡くしたり
波乱万丈すぎる人生の上、あれやこれやと病気のてんこもり/驚
本人も勿論辛いけど、それを支えた鏡子さんらの苦労も想像を絶する