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Channel: メランコリア
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『フランダースの犬』

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原題 A DOG OF FLANDERS ウィーダ/著

※1993.9~のノートよりメモを抜粋しました。
「読書感想メモリスト1」カテゴリーに追加しました。


清らかで、優しい少年の心を描いた「フランダースの犬」の原作を初めて読んだ
幼い頃、このアニメシリーズを毎週楽しみに観て、最終回のシーンは何度観ても涙があふれてしまう
私の世代にとっては、とくに思い入れのある児童文学

貧しく、小さい時に両親を失くし、祖父と一緒に暮らしているネロと
心の冷たい金物屋に、小さいうちからムチを打たれながら働かされた挙句に
死にかけたまま路端に倒れていた犬のパトラシエを助けてあげた運命的な出会い

ネロとパトラシエの共通の友だちで、町で一番裕福な粉屋の娘アロアと過ごす楽しい日々
アニメでは、2人ともまだ幼いのに、原作ではもう立派な思春期で、
ネロは15歳、アロアは12歳という設定にビックリ

アニメでは、彼らの日々の暮らしに焦点をあてて、より具体的、身近に物語をふくらませて
より思い入れの深いものになっているが、原作は70Pほどだから
この楽しい日々、いろんな嬉しいこと、辛いことはとくに詳しくは描かれていない

でも、粉屋の主人のガンコさ、いわれもない誤解を受けて
純粋なネロの心が深く深く傷ついたこと
心の大きな拠り所だった、たった一人の身寄りの祖父が亡くなって、すっかり途方に暮れたこと

自分でも密かに信じている絵の才能、自分のすべてを賭けて出品した絵の代わりに
裕福な家の息子の絵が入賞した時の大きな失望など
ネロ少年とパトラシエの気持ちが痛いほど伝わってくる


とくに、忠実な犬を中心に描いていることが、この作品が皆に愛されている要因の1つだろうと思う
言葉は通じなくても、互いにかけがえのない愛情で結ばれている様子
ときに作者が犬の心情も書いているところにも心が動かされる

アントワープという小さな町が生み出した天才画家ルーベンス
彼の描いたマリアと、2枚のキリスト像の絵画は、実在しているのだろう ぜひ観てみたい

“この町が賢明だったのは、そのアーティストを生存中に褒め称え、
 死後は敬って、その名を広めたことだ”

ともすれば、芸術家は、生前は貧しく、才能は見向きもされずに
死後何十年も経ってから、真価を認められて、高値がつくパターンが多いが
それはフェアじゃないと訴えている


“国々よ、あなた方の偉人を大切にしなさい”


クリスマスの晩 大伽藍で冷たくなった少年と犬
彼らの温かく、無欲な夢もいっしょに厳しい冬の風によって凍りついてしまった
画家への第一歩も開けたというのに!

村の人々はとりかえしのつかないことに悔みの涙をこぼす

けれど、少年と犬は、未来永劫離れることなく天に召され、
生きてゆくことの苦しみより、安らかな死のほうがより祝福したというラストはなんとも言えない

荘厳な感動の余韻がいつまでも残る作品




『フランダースの犬』の舞台「アントワープ聖母大聖堂」へ!!



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