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Channel: メランコリア
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中島みゆきさんライヴレポ@長野県県民文化会館(1987.9.11)

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(古いノートをひっくり返していたら、最初で最後、
 長野でみゆきさんのコンサートに行った時のライヴレポが出てきた
 なぜか詩っぽく書いてあるので、適当にまとめて書き直すことにする 2017

「過去のライヴレポまとめ」に追加しました




私は靴が気に入らなかった
気に入って買って、まだ一度も履いていなかったから
どうしてもガマンができなかった
カツカツ町中に響く音や、底の高い、ギクシャクした歩き方も


先生も来ることになっていて、無性に探したかった
それから、先生が私に気づかないことを祈りたかった
とうとう分からなかった
前に似た人がいるのが見えた


この快い緊張感
この祭りの半分はもう味わっていた
リズムが大きく震えた

みゆきさんは、なにより一人の女性だった
テレビでもない、生きた女性だったんだ

アラブのような衣装で
熱砂の砂漠の中を粋がって歩いていた


それから彼女は、ぽつりぽつり客のいる新人歌手になった
私は硬直し、瞳と心だけが動き続けていた


彼女はときに演歌歌手だ
ここら辺から、ぎこちない手拍子が始まる 私も音の出ないように加わった


彼女は疲れた誰かの母親のようでもあった
恋人たちの別れ、男たちの浮気

彼女の動き、声、吐息をそのまま浸透させていく
一瞬で体の中の隅々を駆け抜ける

私は自分の拍手の音が突然耳に入ってきてちょっと戸惑った

彼女は赤いリボンを髪にちぐはぐにつないだ



♪この世に2人きり
私の心は屋根を突き抜けて天まで届いた
みんなの心は天を突き抜けて宇宙まで届いた
残ったのは、彼女が造ったもう1個の星だけ


♪F.O.
どこかで、たくさんのドラマがクライマックスを迎えた気がした
2つだけひっそり空いている席がそれを表していた
さっきから気にかかる隣りの1個だけ空いた席は何を物語るのかしら



<MC>

みゆき:
あんまし評判よくない曲が1曲あったのね
私のことでもない、私の周りの誰かのことのようでもない、なんか具体性がないからって
でも、私はとてもこだわりたい気持ちがあって、曲に書き、「女歌」にも書いたわけです

私がまだあんまし売れてない頃、あるアパートに住んでたんだけど
そこに、ある異国の女の人がいたのね

いっつもヒラヒラ、ハラハラのきれーな服着て、金髪で、
化粧も濃くて、とにかく華やか
女の私でもウワーって思うくらいのキレイな人で

んで、何の仕事をしているのか、そん時は知らなかったわけ
でも、出ていく時間がちょうど同じ頃で、よく「今日もがんばろーぜー!」
みたいな感じで右と左に分かれてたの

あとで分かったんだけど、そのひとの仕事は、女に産まれりゃ誰だってできる
究極のお仕事だったんだ

だから、いつも私が「お互いがんばろー」なんて言ってたのを
一体どういう意味にとっていたのかしらって・・・

(会場には笑いが起こった 彼女は突然、うつむき加減に 語尾をちょっとあげて

その日もまたいつものように別れたんです そうして帰ってきたら・・・
彼女は殺されていました 絞め殺されていました
身ぐるみ全部剥がされて、路地の隅に捨ててありました

警察は私に言いました
「当日、この女と別れた時の服装を教えてください」

なんの足がかりもないんですって

私は、その日にかぎって、あのひとの服装を見ていませんでした

私は聞きました

「あんなに目立つひとだったのに
 街を歩いていても、みんなが振り向くほどの綺麗な女なのに
 誰も気がつかなかったんですか
 あのひとは商売をしていて、やっぱり買った奴もいるだろうに、その人は?」

警察のおじさんは笑いました

「街でこの女を買いましたって証言する男なんていやしませんよ いるわけがありません」

とうとう、その事件は犯人も分からないまま、迷宮入りになりました
あの人は何も残さず死んでゆきました

敢えて言えば、そんなコールガールが死んだという噂と
たった4キロの新聞に載った
「コールガール絞殺される」という記事だけでした


私は1回だけ彼女の素顔を見たことがあります
洗濯物を持って、コインランドリーに行った時、
彼女は化粧を落とした顔で立っていました

それは真っ青に青ざめていました
それから、思ったよりずっと老けてたんです
エレーンは言いました

「これが私の普通の顔なのよ」


♪エレーン

囁くように彼女は歌いだす
私は家にポツンと置いてきてしまったハンカチを思い出してドキっとしていた

初めてみゆきさんを聴いたのは友だちのおかげ

私は隣りの空席を振り向く勇気はなかった
私は浮遊状態 上昇中 抜け殻だけが機械的に手を打つ


♪シーサイド・コーポラス
今日だけは彼女は私の親友だ
2階の奥で座っているのは誰か見ようとして仰いだけれども
彼女は底なしの近眼で、やっぱり見えやしないんだ




<MC>

彼女はふっとスポットライトを浴びて、パイプイスに腰掛けた
「ギター漫談よ」と笑う

内容抜粋メモ:
“デスマッチツアー”
ベースの伊藤さん、ギターはジャニーズ代理
ビール爆発事件
浪人生への気遣いのため「落ちる」を「着地する」と言う
投げ込みカップメン額直撃事件
スイカ割り事件
スタッフの博多~旭川汽車の旅
薬師丸ひろ子コンサート拝見
長野の産休休暇傾向調査
「見ない、聞かない、人に言わない」
ど近眼なので、裸足でマイクスタンドをたぐりよせ、歌詞の紙を見る
♪春なのに 柏原芳恵が歌えばセーラー服、私が歌うと怨念の歌
平安堂、完全シカト事件
井上陽水の趣味
セーラー服、10代が着ると清純派、10代過ぎると卑猥なだけ
長野のダイコン畑
ドッキリカメラシートと同色、その人はいた事件


「割と席が2つ空いてたりすると、意外に心配しちゃったりするものよ」

「案外、他のは最後にブワーっと盛り上がった時に、これもんの曲やったりするけど、
 そこはこの私、ちょっとやそっとじゃ帰しやしないわよw」




♪白鳥の歌が聴こえる

彼女は翼を上げて空を飛んだ
あとに続いて数百人の観客も飛んだ
会場ごと、次の星へとみんなで消滅した
なにも残りはしなかった






みゆき:
今ここにいるみんな、いつかきっとまた顔を見たいと思ってるからね

遅れて入ってきて、席探そうたって、真っ暗でなにも見えやしない

それで、座った時にすかさず「ここまでが良かったのに」とかですね
「これまでが面白かったのよ」なんか、囁いてやりましょうね


この歌聴きたいな、と思ったらですね、レコード店に行ってもらって
買うか買わないかは別として、まずそこで聴いてみることですね
それでよかったら買えばいいじゃないか、ということで遠回しの催促でした

今拍手した人はきっとリッチなんでしょうね
拍手に、いつでもまとまった金が出せるぞ!と込められてました


今はずっと意味のないことを喋る時間なんだから
テープ止めてても大丈夫よ 親切でしょ?


昨日から長野は雨でね
「あら、せえっかくいい服着て行こうと思ったのに 雨で汚しちゃったりしたら嫌だわ」
てなもんで、一番ボロいの着てこなかったか?


もーー中盤ともなりますと、顔もずいぶん変わってきますからね
とくに2階席の人なんか「あらら、みゆきさん出てきた時はああだったかしら?」なんてね
「眼が小さくなったような」もうどーだっていいのよ顔なんかっ!


この前のツアーじゃ、案の定、なんせ長い歌詞なもんですからね、忘れちゃいまして
次から入ろうと思ったら、私はほんとトロいもんですから、入り遅れまして

後ろ振り返って、もう~~~バンドのメンバーちょっとくらい待ってもいいのに!と思いつつ
次のフレーズから入ろうと、ええと次の歌詞はああなってここだから、あれだっ!と思った時は
テンポの速いその曲は、もう次のフレーズに入っていたわけで

なんやかんやで中島はやっとこさ2番から偶然にタイミングが合いまして
無事に波に乗ることができた次第でありやす





そしてその後
さまざまな溢れんばかりの詩が浮かんだ
そして、ついには何も云うことが出来なくなった

だから、ここに
みゆきさん、音楽をありがとう



(このMCを読んでると、あの独特な喋り方が思い浮かぶようだなw
 ♪白鳥の歌が聴こえる は今でも一番好きな歌 2017

 今夜、正確には月曜午前3~5時は「中島みゆきのオールナイトニッポン月イチ」ですv

中島みゆきのオールナイトニッポン月イチ(2017.1.15)




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