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『ゆめくい小人』 ミヒャエル=エンデ/作(偕成社)

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『ゆめくい小人』(偕成社)
ミヒャエル=エンデ/作 フックスフーバー/絵 佐藤真理子/訳

いろいろ検索しているうちに、久しぶりにエンデの絵本を見つけたから借りてみた

フックスフーバーさんの絵は、私が好きなミヒャエル・ゾ-ヴァや、ビネッテ・シュレーダーと似たタッチ
ちょっとフシギで、鮮やかな色、ユーモラス 他の作品も観てみたくなる

見返しにある「ドイツの書評」の抜粋には

「フックスフーバーは、この絵本に全力を投入し、従来の作品をはるかに上回る出来栄え
 イラスト全体が高い完成度で、レイアウトも面白い
 この成功は、エンデの優れた文章力によるものと言えよう」とある

なにより、“眠ることが一番大事な国”なんて夢のようだなあ!
エンデの想像するステキな世界が、この短いお話の中にも詰まっている


▼あらすじ(ネタバレ注意

まどろみ国の人々は、眠ることが一番大事な仕事です
長く眠るのではなく、ぐっすり眠ることです

よく眠れば、気持ちが優しくなり、頭はスッキリすると考えています
だから、この国では一番よく眠る人が王さまになるのです



でも、その王さまの娘・すやすや姫は、時々コワイ夢を見るため、なかなか寝付けず、
王さまと妃さまは、心配と悲しみで前ほどよく眠れなくなる
姫も日に日に顔色が悪くなり、痩せていく



国中の医者に聞いたり、たくさんの使いを出しても、良い知らせはなく
ついに王さま自身が探しに出かける
カウボーイやエスキモーに尋ねても答えはなし



とうとう果てしなく広い荒野で迷ってしまう
そこでおかしな生き物と出会う



「だれか おいらを 招いてくれないかなあ
 腹が減ってたまらない
 誰もごちそうに呼んでくれないなら
 おいら、自分を食っちまわなきゃならないよ」


王さまが姫の話をすると、ゆめくい小人は小躍りして喜び
魔法で王さまの上着を紙に、杖は羽ペン、長靴はインク瓶にかえて呪文を書いた



“子どもをおどかす こわいゆめ
 はやく はやく たべとくれ
 けれども きれいで やさしい ゆめは
 たべずに のこしておいとくれ
 ゆめくい小人 ゆめくい小人
 まねきをうけて きておくれ”


これを読めばみんな幸せになれると言う
ゆめくい小人は王さまをかついで、あっという間に城へと飛ぶ



姫は呪文を読むと、コワイ夢はひとかけらも見ませんでした

ほかの子どもたちもゆめくい小人を呼べるように
王さまはこのお話を本にしました
それが つまり この本です




エンデは、日本語版を出すにあたり、ドイツ語版を一部書き改めたそう
著書へのこだわりが感じられる

王さまが、みんなにも等しく分け与えるところもイイし、
本と現実が一体化しているのも『はてしない物語』同様
読者をワクワクさせるエンデならではの演出

この写真は若い頃だな



フックスフーバー:


1940年 ドイツ マグデブルグ市生まれ
工芸美術学校で学んだ後、印刷会社で植字を習う
絵本を20作ほど描いている




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