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『くまのアーネストおじさん とおいひのうた』(BL出版)

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『くまのアーネストおじさん とおいひのうた』(BL出版)
ガブリエル・バンサン/さく もりひさし/訳


「作家別」カテゴリーに追加しました。


“バンサンは、このシリーズで愛の深さ、他人に尽くす喜び、
 気取らない素朴な生活などを表現したかったという。”


▼あらすじ(ネタバレ注意

買い物帰り? 大きな袋をいくつも持っているアーネストは

ア「おや、歌が聴こえる!」
セ「歌じゃないわ あれはバイオリンの音よ」

ア「この歌知ってるんだ!」
セ「泣いてるの、アーネスト? この音楽のせい?」





セレスティーヌは慌ててバイオリン弾きに言いに行く
「おじさんのバイオリンを聴いて、アーネストが悲しんでいるの」

「お知りあいでしたかな?」
「いいえ」

「思い出の歌ですか?」
「懐かしい歌ですね、旦那 ルーマニアの歌ですね」





アーネストは、セレスティーヌに荷物を見ているように言って
しばらくおじさんと話したりしているため
セレスティーヌはいつもと違うアーネストに戸惑う





アーネストは、セレスティーヌに持っているお金を全部バイオリン弾きに渡してほしいと頼む
なぜそんなことをするのか、なぜずっと泣いているのかワケが分からないセレスティーヌ


その夜、アーネストは「今夜だけだよ」と
パスタを頭にかぶったりしてセレスティーヌとはしゃいだ後
何時間も没頭して、さっきの曲をバイオリンで弾き、
セレスティーヌの声も届かないような有様

「うちの中散らかったままよ、分かってるの?」




“あの歌の言葉を思い出した
 長い、長い時が経ったのに”



「聞いてよシメオン アーネストは音楽に夢中で、新聞も読んでないの」




どうしてもワケが知りたいセレスティーヌに
「全部、話してあげるよ 少しあとでね 約束するよ」


セレスティーヌは眠ってしまう


“そう、僕が小さかった時、母さんが歌ってくれた歌なんだ
 夜、僕を寝かせるために 母さんが歌ってくれた ルーマニアの歌なんだ

 これから毎晩、僕はセレスティーヌにバイオリンを弾いて歌ってあげる
 そして、母さんのことを思い出すんだ

 このことをセレスティーヌに全部話して 質問にも答えるつもりだ
 みなさんにも約束するよ”





もうすぐこのシリーズも読み終えてしまう/寂
今作は他のアーネストシリーズと違って、随分悲しげ

シリーズを重ねるごとに、最初の頃より絵の数が増えている

アーネストは、ルーマニア生まれ?
母は亡くなった?

ルーマニアになにか悲しい歴史でもあるのか
どこの国にも戦争の歴史はあるけれども

「みなさんにも」なんて読者に話しかけるのもこれまでなかったこと
アーネストがヒミツを話す本は書かれたのだろうか?

こんなに泣いてしまうなんてよほどのことがあたんだね
でも、深い悲しみがあるからこそ、子どもや友にこれほど優しく寛大なのかも


まだ子どものセレスティーヌがアーネストとコミュニケーションがとれなくなって
大好きな親友シメオンに話しかける

子どもには、自分の心の内を話す、こうした人形が必要なんだな





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