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『ふたりのねこ』 ヒグチユウコ(祥伝社)

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『ふたりのねこ』(祥伝社)
ヒグチユウコ/著 畑菜穂子/文章構成

「読書感想メモリスト1」カテゴリーに追加しました。

▼あらすじ(ネタバレ注意

夏の終わりの公園で、迷子になったぬいぐるみのニャンコは黒猫に見つけられる

「雲が腕から出てる どうしたの?」

「これは雲じゃない 体の中身だよ」


とても大事にしてくれていた坊ちゃんとはぐれて家が分からないと話すと

「そのおウチさがそうよ だからあたしたち、家族よ」


近所の鯉、文鳥の夫婦、原っぱのウサギに尋ねても誰も知らない

「坊ちゃんを見なかった?」
「それはなあに?」

「人間の男の子だよ」
「知らないよ」


ニャンコは、毎晩坊ちゃんといっしょに寝て、
お気に入りのクレヨンで自分の絵を描いてくれて
悲しい時は、自分に顔をうずめて涙を拭いていたことなどを話す

“ニャンコはそう言うけれど、本当は捨てられちゃったんじゃないかしら?
 人間は信用できないじゃない”


黒猫は身の上を話す

「人間は、本当はひどい生き物なの」

ネコは4人きょうだいだったが、面倒を見きれない飼い主は1匹を残して公園に捨てた
生まれて間もないきょうだいは、バラバラになり
人間に石をぶつけられたり、棒で叩かれたり


ニャンコもちょっと心配になる

“まさか僕のこと要らなくなってしまったのかな?”

「そんなことはない!」


頭の後ろのファスナーを開けてもらうと
中からアンモナイトの首飾りが出てくる

「これは坊ちゃんがくれたもの
 大事にしている化石の中から選んでくれたの」


ニャンコに抱きしめられ、とても安心し、

“もしおウチが見つかったら、ネコも一緒に暮らせないだろうか”



激しい雨に打たれたせいか、ネコは具合が悪くなってしまう
ニャンコは、いつもは挨拶もしない犬に必死に助けを求める
犬は飼い主を呼んできて、苦しそうなネコを連れていってくれた

カラス「追いかけなくていいのかい?」
ニ「いいんだ ネコにはおウチができたんだよ」


ニャンコは坊ちゃんのもとに帰れる
坊ちゃんもニャンコを探していた

けれども、あの子猫のことを思わない日はなかった

子猫と僕は、たしかに家族だったのです


***


ヨウコさんの作品は、絵のファン、コレクターが多いイメージだったが
これまで見た中で一番絵本らしかった
文章構成って、文の指導でもしてくれる人だろうか?

坊ちゃんを探すって設定が『猫村さん』みたいだし

暗い色調の絵は同じでも、ストーリーとともに温もりが感じられる

動物は動物同士、相手がモノでも、そこについたニオイなどから
いろんな会話ができるかもしれないな

猫は嗅覚も鋭いから、持ち主はすぐに探せそうな気がしたけれども

それぞれ愛する人のもとにいけてホッとするラストながら
いっときでも家族になった時の寂しさが残る

でも、意外と近所にいるのかもね




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