【THE BIG ISSUE JAPAN312号】
【内容抜粋メモ】
関良基さん著
1969年 長野生まれ
関さん:
電力小売りが自由化されたが、それが水道となると「話は全く別」
電気は、1つの送電網を複数の電力会社が共有して電気を流せる
だが、水道管は1系統しかないため、1社独占でしか成り立たず、競争原理は働かない
水は誰もが生きる上で欠かせない資源
価格が上がったからといって消費を減らせるものではない
「市場原理」に委ねてはいけないもの
●今年「水道法」の改正案が提出された
改正案のポイントは「広域化」「料金変更は届出制」「コンセッション契約」の3点
(こういうニュースって、ほかのどうでもいい芸能ニュースより全然影が薄くて耳に届かない気がする
関さん:
新たに『水道管理業務受託者』が導入され、厚労省の許可なく、届出だけで水道料金を変更できる
水道施設の所有権は自治体のまま、運営権だけ民間に委託する「コンセッション契約」
民間企業は、税金で整備した設備を使っているのに
災害などでの修復費用は自治体と分担するため、より利益を追求できる
たとえば、インドネシア、フィリピンで森林が破壊された大きな要因は「コンセッション契約」
森は国有のまま、伐採権利だけ企業に与えた
森がどれほど荒れようが、企業が利益を得た後は立ち去るだけ
●海外は“再公営化”へ
「水道民営化」は、まずは1980年代から南米で導入された
アメリカの経済学者ミルトン・フリードマンが徹底して唱えた「市場原理主義」と「多国籍企業の台頭」がある
1989年 フリードマンに共感したイギリスのサッチャー首相は、国鉄、電気、ガスなどを次々と民営化
イングランドでは、2014年までの25年間で水道料金が3倍になった
受託したテムズ・ウォーター社は、事業収益の一部を老朽化した水道管の設備投資にあてるとしたが
タックスヘイブンに逃して蓄財していた
“税金逃れ”に世界が怒り! パナマ文書って何? @週刊ニュース深読み
結果、漏水が増加
2012年の調査では、71%が「再公営化を希望」と回答
水道は公営が適しているというのが今では共通認識になっている
●「世界銀行」も「構造調整融資」の名のもと、水道民営化を進めた
1998年、ボリビアでは世界銀行から融資を受ける条件として
コチャバンバ市で水道民営化したら、翌々年には水道料金が35%上昇
こうした「水戦争」を経て、2009年に制定された新憲法では、水の公有が明記された
「安らかに生きるために、水・労働・教育・医療・住宅が必要だ」と
●市民参加の公営化へ
2000年以降、約35カ国で180の水道が「再公営化」された
アメリカのアトランタ、インディアナポリスでは漏水件数が増え、
ずさんな管理で水質悪化し、再公営化された
契約満了前だったため、多国籍企業の仏ヴェオリア社は
違約金2900万ドル(約30億円)の支払いを求めた
1984年、パリでは、ヴェオリア社、スエズ社が水道事業を受託
不透明な財務が疑問視され、水道料金は1985~2009にかけて265%上昇
再公営化を掲げた市長が当選し、2010年から再公営化された
関さん:
市民参加による運営が本来の公営
今の日本の水道事業は、正確には「官僚営」
パリは、「官僚営」と民営の苦い経験を経て、市民参加の公営に進化した
●浜松では下水道を民間委託、大阪市では廃案
浜松市は2017年度から下水道事業の一部を20年の「コンセッション契約」でヴェオリア社に委託
同じく水道民営化を掲げていた大阪市では、反対多数で廃案となった
大阪市の水の供給能力は243m3だが、実際の使用量は132m3
関さん:
人口減などで、今後もこの乖離は拡大する
必要なのは、事業の縮小、老朽化した水道管の更新
しかし、これは、「株主利益優先」の企業、天下り優先の官僚にも難しい
東京都は、水道水の使用量が減る中、「水需要が増える」予測のもと「八ツ場ダム」の建設を進める
建設費用は5300億円
いったん民営化すると、再公営化する際に訴訟のリスクを負う
市民が声をあげることで、民営化を回避することは可能
***
「ビッグイシュー日本版 BIGISSUE JAPAN」
“1冊350円で販売。180円が販売者の収入になります。”
[ホームレスの仕事をつくり自立を応援する]
「ビッグイシュー」は、ホームレスの人々に収入を得る機会を提供する事業として
1991年、ロンドンで始まった 創設者はジョン・バード氏
住まいを得ることは、単にホームレス状態から抜け出す第一歩に過ぎない
[仕組み]
1.販売者は、この雑誌10冊を無料で受け取る
2.売り上げ3500円を元手に、以後は170円で仕入れ、350円で販売 180円を収入にする
[条件]
顔写真つきの販売者番号の入った身分証明書を身につけて売る
このほか「8つの行動規範」に基づいて販売している
【ブログ内関連記事】
震災・原発事故6年 本音で向き合う“フクシマ”@週刊ニュース深読み
「わが家電力」、自立電源生活レシピ@ビッグイシュー
搾取のない“エシカル”な起業を決意@ビッグイシュー
アメリカ、乱射事件の銃をモデルにキルト作品 銃所持の論議を問う ほか@ビッグイシュー
誰がどこで引き受ける? どうする“核のゴミ”処分@週刊ニュース深読み
【内容抜粋メモ】
関良基さん著
1969年 長野生まれ
関さん:
電力小売りが自由化されたが、それが水道となると「話は全く別」
電気は、1つの送電網を複数の電力会社が共有して電気を流せる
だが、水道管は1系統しかないため、1社独占でしか成り立たず、競争原理は働かない
水は誰もが生きる上で欠かせない資源
価格が上がったからといって消費を減らせるものではない
「市場原理」に委ねてはいけないもの
●今年「水道法」の改正案が提出された
改正案のポイントは「広域化」「料金変更は届出制」「コンセッション契約」の3点
(こういうニュースって、ほかのどうでもいい芸能ニュースより全然影が薄くて耳に届かない気がする
関さん:
新たに『水道管理業務受託者』が導入され、厚労省の許可なく、届出だけで水道料金を変更できる
水道施設の所有権は自治体のまま、運営権だけ民間に委託する「コンセッション契約」
民間企業は、税金で整備した設備を使っているのに
災害などでの修復費用は自治体と分担するため、より利益を追求できる
たとえば、インドネシア、フィリピンで森林が破壊された大きな要因は「コンセッション契約」
森は国有のまま、伐採権利だけ企業に与えた
森がどれほど荒れようが、企業が利益を得た後は立ち去るだけ
●海外は“再公営化”へ
「水道民営化」は、まずは1980年代から南米で導入された
アメリカの経済学者ミルトン・フリードマンが徹底して唱えた「市場原理主義」と「多国籍企業の台頭」がある
1989年 フリードマンに共感したイギリスのサッチャー首相は、国鉄、電気、ガスなどを次々と民営化
イングランドでは、2014年までの25年間で水道料金が3倍になった
受託したテムズ・ウォーター社は、事業収益の一部を老朽化した水道管の設備投資にあてるとしたが
タックスヘイブンに逃して蓄財していた
“税金逃れ”に世界が怒り! パナマ文書って何? @週刊ニュース深読み
結果、漏水が増加
2012年の調査では、71%が「再公営化を希望」と回答
水道は公営が適しているというのが今では共通認識になっている
●「世界銀行」も「構造調整融資」の名のもと、水道民営化を進めた
1998年、ボリビアでは世界銀行から融資を受ける条件として
コチャバンバ市で水道民営化したら、翌々年には水道料金が35%上昇
こうした「水戦争」を経て、2009年に制定された新憲法では、水の公有が明記された
「安らかに生きるために、水・労働・教育・医療・住宅が必要だ」と
●市民参加の公営化へ
2000年以降、約35カ国で180の水道が「再公営化」された
アメリカのアトランタ、インディアナポリスでは漏水件数が増え、
ずさんな管理で水質悪化し、再公営化された
契約満了前だったため、多国籍企業の仏ヴェオリア社は
違約金2900万ドル(約30億円)の支払いを求めた
1984年、パリでは、ヴェオリア社、スエズ社が水道事業を受託
不透明な財務が疑問視され、水道料金は1985~2009にかけて265%上昇
再公営化を掲げた市長が当選し、2010年から再公営化された
関さん:
市民参加による運営が本来の公営
今の日本の水道事業は、正確には「官僚営」
パリは、「官僚営」と民営の苦い経験を経て、市民参加の公営に進化した
●浜松では下水道を民間委託、大阪市では廃案
浜松市は2017年度から下水道事業の一部を20年の「コンセッション契約」でヴェオリア社に委託
同じく水道民営化を掲げていた大阪市では、反対多数で廃案となった
大阪市の水の供給能力は243m3だが、実際の使用量は132m3
関さん:
人口減などで、今後もこの乖離は拡大する
必要なのは、事業の縮小、老朽化した水道管の更新
しかし、これは、「株主利益優先」の企業、天下り優先の官僚にも難しい
東京都は、水道水の使用量が減る中、「水需要が増える」予測のもと「八ツ場ダム」の建設を進める
建設費用は5300億円
いったん民営化すると、再公営化する際に訴訟のリスクを負う
市民が声をあげることで、民営化を回避することは可能
***
「ビッグイシュー日本版 BIGISSUE JAPAN」
“1冊350円で販売。180円が販売者の収入になります。”
[ホームレスの仕事をつくり自立を応援する]
「ビッグイシュー」は、ホームレスの人々に収入を得る機会を提供する事業として
1991年、ロンドンで始まった 創設者はジョン・バード氏
住まいを得ることは、単にホームレス状態から抜け出す第一歩に過ぎない
[仕組み]
1.販売者は、この雑誌10冊を無料で受け取る
2.売り上げ3500円を元手に、以後は170円で仕入れ、350円で販売 180円を収入にする
[条件]
顔写真つきの販売者番号の入った身分証明書を身につけて売る
このほか「8つの行動規範」に基づいて販売している
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