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DV 加害者の声から考える@あさイチ

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DV 加害者の声から考える@あさイチ

“DV(ドメスティックバイオレンス 配偶者間の暴力)は、
 日本ではおよそ4人に1人の女性に被害経験があるとされています(内閣府調査)。





 夫婦や恋人など、親密な関係の中で起こる暴力は目に見えにくく、表面化しにくい問題です。

 このDVの解決の糸口はどこにあるのか。被害者支援の重要性に加え、
 DVをしてしまう側、つまり加害者にもアプローチしなければ、
 問題の根本的な解決にならないという問題意識が少しずつ広がっています。



 今回は、都内の民間団体が行うDV加害者更生プログラムを取材。
 そこに通う男性たちの声に耳を傾けることで、彼らがどういう心理からDVに走ってしまうのか、
 その背景にどんな考え方や価値観があるのか、どうすればDVをやめられるのか、専門家も交えて考えました。”


専門家ゲスト:中村正さん(立命館大学 副学長)、斉藤秀樹さん(弁護士)



ゲスト:ヤマザキマリさん、マキタスポーツさん
リポーター:遠藤亮アナウンサー



●DV加害者向け更正プログラム 共通点は暴力だという自覚がないこと







「叩いたり、ぶったり、蹴ったりが暴力と思っていたので
 それをしていないから、僕はセーフだと勝手に思っていた」
 

スタッフ・吉祥さん:
一般的にみなさんが抱いている加害者のイメージと全く違ったりする

一見とても穏やかで、腰が低くて、配慮が行き届いて それが外の顔

家の顔と全く違う姿を人には見せているので
周りの人には全く気づかれない


●背後には、DV加害者の「男女観」「結婚観」が絡んでいる

例1:DV加害者の男性A(40代 自営業 家族と別居中)
妻(40代)、長男(中学生)、次男(小学生)
結婚後に妻への暴力がエスカレートした

A:
殴る、蹴るはしょっちゅう 最初の頃は月に1回
徐々に増えていって、1週間に1回とか、日常茶飯事だったので
あまりよく覚えてないかな

自分が家の中では一番偉いから、妻はそれに従うべきだと思ってましたね
従わない妻が悪い

養ってやっている、生活費は全部稼いできている
そういう当たり前のことを、自分の手柄のように思っていた

僕がやっていることは「愛のムチ」なんで
「暴力」にあてはまらないと勝手に思っていた


<怒りは、相手が思い通りにならない時が多い 予兆は結婚前からあった>

A:
付き合っている当時、一番よく覚えているのは、
クルマで送って、家に着いた時、パートナーが降りたがらないので
無理やり降ろそうとしたことがあった

「まだ帰りたくない」という彼女と、「疲れて、早く帰りたいのに・・・」という思いがあって
助手席に(いる彼女に)向かってグーで殴っていた 何発かは殴っていた気がする

DVしている時全部に言えるけれど、夢中になっちゃってる
(彼女をクルマから)降ろすこと以外は考えていなかった
とにかく「降ろして帰りたい」と思った

ポイント:暴力の理由が思い出せない

(理由は)恐らく、周りから見れば些細なことだけど
自分にとっては、すごく重たいことだったんでしょうね

相手を力ずくで言うことを聞かせようとした
「支配」しようということが原因だったのでは


<決定的な出来事が起きた>

最終的には、首を締めて気絶させてしまった
このまま一緒にいると殺してしまうのでは、と思って、
僕のほうから家を出ました 自分も怖いし

当時、思っていたのは、「そういうことをさせる相手が怖い」と
今までやってきたことは何だったんだと
僕は気づくのが遅かった

DVって何も残らない 残るのは廃墟みたいなもの


中村さん:
典型的な声です
家族関係は密室で、逃げられない恐怖感がある


<加害者が持つ特徴的な意識>



「所有意識」
このウチはオレの城 妻子はオレのモノ

「特権意識」
何をしてもいい 稼いでいることから由来している

「被害者意識」
“愛のムチ”と言っていたが、これは「正義」「正しいこと」と思っている
オレを立てなきゃいけないのにやらないとか

「力による支配」
相手をそうさせる コントロールする


●デートバイオレンスにも似ている

無関係ですか?性暴力@あさイチ

斉藤さん:
年齢に関係なく、暴力は手段 「道具」として使っている

家族を「上下関係」でしかとらえられない
そういう環境で育ってきたという面もある
「人間関係」を作る時に力で作るクセがある


マキタ:
学校にもありましたよね
日常性で外から言っても自覚していない 「共依存」の部分もある

『傷つけられていませんか? 虐待的な関係を見直す』(大月書店)

10代のセルフケア3『共依存かもしれない』

『わたしの家族はどこかへん?機能不全家族で育つ・暮らす』

『こころが楽になる人間関係のヒント』



●「男らしさ」へのこだわり(背景には「女らしさ」もあるよね

中村さん:
今は、現代意識が「主従関係」になっている

うまくいかない時に「面子が潰れた」とか言いますよね
それを暴力で発散、解決しようとする

有働:同じ環境でも、そうならない人もいますよね?

マキタ:
そういえば、私も「コレをやらなきゃ遊びに行っちゃいけない」て言っていることに気づきました
今日はもう何も言えません

中村さん:
加害者の多くは親から連鎖していることが多い
多くは「反面教師」として、別の「男らしさ」像を作る
「暴力」の連鎖には「気づき」が必要


FAX「DV男を好きになる女性側に問題はないのか?」

FAX「パートナーをかえても、また繰り返してしまうもの?」



例2:DV加害者の男性B(40代 会社員 別居再同居)
妻(40代)、長女(高校生)、長男(中学生)

<ある日の例を再現VTRにした>

妻が以前から言っておいた同窓会に出かけようとして止めた

B:
どこ行くんだよ? 台所の洗いものは? 洗濯物はたまってない?
お前のやること出来てるのか?

オレは行くなと言ってるんじゃない
「行くな」とは言ってないからな

妻は結局、外出を諦めて家事をした


<DVの引き金は、妻の家事への不満>

B:
夫婦として一緒にやっていこうというより、「部下」のよう
体育会系の部活の後輩のような感じでしか接していなかった

自分の思い通りになってないと、罰を与えないといけないと思っていた
ちゃんとできるように指導しないといけないのかなって思っていた

時間が経って冷静になると、悪かったなと思う部分もあるし
怒りながらも、冷静な自分がいるところもある

怒りだしたものの、どこかに着地点を作りたいけれど
素直に謝れない自分がいて、怒り続けている

いろいろな気持ちが混在していて、その時の気分によってそれが出るから
パートナーはすごい混乱したんじゃないかと思います

<妻は2人の子どもと家を出た>







俺がやっていたのはDVだったんだな
本当にヤバイなというか、まずいという焦り


<DV加害者向け更正プログラム「aware(気づきの意味だね)」に参加した>







B:
父親から学んだことは、「特権意識」が一番強い
お金を稼いできている人がその家で中心

その父親に対して家族はねぎらうもの、気を遣うものだと思っていた
そういうものしか見てきていないので、それを求めちゃっていた

父親が嫌いだった
何かがキッカケでいつも怒って、母親といつもケンカして
俺はそれが怖くて、父親を怒らせないよう、どうしよう
いつもそればっかり考えていましたね



「僕は父親とは違う人間になりたい」とどこかで思っていて
父親とは違う人生を歩んでいるつもりだったけど
こうやって振り返ると、全く同じことをしていたんだろうな

<妻子と2年間別居した後、現在は同居生活に戻った>

子どもたちに悪影響をすごい与えて、これからどう頑張っていけば
子どもたちに(DVを)引き継がないでいけるのか、不安はありますけど

(妻と子ども)3人にはやり直しはできない
申し訳なかったとしか思えない

もう二度としないってことしか言えない
変わり続ける努力はしていきたいなとは思います

(よく再度同居する気になれたな 世間のシングルマザーへの待遇が厳しいからか?
 妻も「一人ではやっていけない」とか「子どもには両親が必要だ」とかの固定観念があるのか?
 実際のところは、本人にしか分からないこと


●DV被害者が陥りがちな意識



中村さん:
周りが被害者のほうを責めてしまうのもよくあること
しかし、「被害者意識」は加害者によって作られていく

「恐怖感」
愛を供給するのは女性側 するべきことをしていたい、という意識からくる

「無力感」
加害者は「他罰性」が強い
「お前が悪いんだ」と何度も言われるうちに「自責の念」になる関係にハマっていく

暴力を受けるのが好きな女性はいない、ということだけはたしか


イノ:一度受けると繰り返すもの?

中村さん:被害者も「自己肯定感」を高める必要がある


<被害者女性の声>

例3:40代の女性C 再婚した夫D(50代)から身体的・精神的DVを受ける
子どもはいない 現在同居中

C:
このまま殺されちゃうのかも、という恐怖がありました

酷い言葉や暴力を振るわれると
「なんでそういうことを自分はされてしまうのか?」
「自分がいけないからだ」と思ってしまう

なにかあると「ズキュン」て(体内に)鉛が入って
「ドン」て体が重くなって「無気力」になる
なにも考えられないみたいになっていた

(ヒトの脳の防御反応の一種かも


<DV後の夫の態度>



C:
「許す」と言うまですごく謝ってくる
「殴りたかったわけではない」「もう二度としない」
彼は(DVの)後はすごく優しくなります

「私に誤解があったのかな」
「私の言い方がいけなかったのかもしれない」
「自分がもうちょっと上手くやれたんじゃないか」と反省したり


<パソコンで「暴力 優しい」と検索してみた>



C:
検索したら「DV」という言葉を初めて見て知って
「あ、ウチと同じだ」とすごくビックリして鳥肌が立った

(これほどテレビなどで取り上げても、まだ浸透していないんだなあ

「(DVを)どうしたらいいんだ?」と探していたら
暴力を振るう人たちに気づきを教えるプログラムがあるのを知って
それを受けてもらいたいと思って、その画面を夫に見せた



「このプログラムに行ってくれなければ離婚します」と言った

D:
「あなたは(DVを)やっています」という印を押されたようなイメージ

普通だったら話し合いとか、会話で成り立つものができないから
暴力とか力で言うことを聞かせる

怖さで言うことを聞かせる
そういうことしか出来なかった

(プログラムに)通えば、離婚は回避できるだろう
離したくない、置いていかれてしまうという気持ちが大きかったかな


●都内の「更正プログラム」





Dさんは7年半プログラムに通っている

あるDVの典型ケースを読んで、加害者同士で自分の経験談を話したりして、「気づき」を得る





D:
自分の場合、出かける時に、パートナーがなかなか用意をしない
時間がかかるというのがあったので、これは自分にも思い当たる節がある


別の加害者男性:
私も全く同じ考えを持ってまして
とにかく「自分のしたいように」「自分の思い通りに」ばかり考えていた
簡単に言うと「支配したい」と常に思っていました


吉祥さん:
同じような状況の人たちが集まることで、加害者の気持ちや
価値観の何がおかしかったのか、何が歪んでいたのかを
人の姿を通して知ることができる

(さまざまな他のグループカウンセリングと同じシステムだね

二度としない
そのためには、どうしたらいいのかを自分で考えていければいいなと思っている


加害者男性:
実際、変な価値観をどんどん外していくと、ちょっとラクになった
どうでもいいことを考えなくて済むし、変なことを言わなくても済むし


●DV被害者向けプログラム
同様に妻のCさんも、2年前から「DV被害者向けプログラム」に通い始めたところ
夫婦の関係性に変化が出はじめた

C:
自分のことをぜんぜん考えられなかった、ということにも気がついて
自己肯定感が低かったことにも気づいた

自分に力をつけて、DVやモラハラに早く気づけるようになり
そういうことを受けないようにしていけば、何かあっても越えられるんじゃないか

Cさんは自立のため、資格をとる勉強も始めた




Q:もし夫が昔に戻るような場合、「離婚」という選択肢はまだ残っていますか?

C:
あります
そうなった時に大丈夫なように準備も自分でちゃんと整えてきている
それがあっての同居というのもあるかもしれない

今は(身体への)暴力は全くなくなったし、される気はしない
行動や言動も変わってきているので、私も被害者を卒業できるんじゃないかと思う



【DV相談ナビ】

電話:0570-0-55210

“配偶者からの暴力に悩んでいることを、どこに相談したらいいか分からないと思ったときの、相談窓口です。
 全国どこからかけても、最寄りの相談機関の窓口に電話が自動転送され、直接相談できます。”


【配偶者暴力相談支援センター】
“各都道府県に少なくとも1つは設置され、相談できるようになっています。”


【内閣府男女共同参画局】



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