過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
今回は赤色のルーズリーフからご紹介。
mixiの日記を書きはじめたのが2005年8月7日からで、
このgooブログを始めたのが2006-05-18からだから、
mixiにすでに書いたものはコピペ・補足・修正して、ブログに抜けていたものは追加した。
金田一耕助シリーズにハマってたらしいw
photo1:ライヴの半チケを貼ったりして、以前のスクラップブック状態に戻った感じ。
photo2:エゾフェスはよかったなあ!
photo3:大人の芝居もちょくちょく観に行くようになった。
昔のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。
■『2046』(2004)
監督:ウォン・カーウァイ
出演:トニー・レオン、木村拓哉、コン・リー、フェイ・ウォン、チャン・ツィイー、カリーナ・ラウ、マギー・チャン ほか
「恋愛はタイミングが大切だ。出会いが早すぎても、遅すぎてもダメだ。
別な時、別な場所で出会えば、結果は違ったかもしれない」
“アンドロイドが恋をする”ってキャッチコピーは、映画の中で主人公の男が書く未来SF小説『2046』の話で、
実際は1960年代に男が出会った女性遍歴の話だった-----と、気がつくまでに長くかかった。
実際長いし、男の過去と未来も交錯してる。
『恋する惑星』以来、カーウェイ監督作品はほぼ観ているが、
今作でトニー・レオンとフェイ・ウォンの共演が再び見れるほか、
これだけの大スター、特に女優を集めてのガチンコ競演は見どころ。
チャン・ツィイーの本格的なベッドシーンもあり
駆け引きのヘタな、恋愛に頼る淋しい女を見事に演じ、引き込まれてしまう。
オペラ調の音楽と、油絵のような映像美がよく合う。
結局、男は最初の不倫相手を忘れられず、別れた時にすべての哀しみを味わってしまった故に、
ほかは遊びの通りすがりでしかなかった。男性が観たら憧れる美学の世界か?
次々と美女を捨ててゆく、怪しいチョビヒゲの伊達男役も、
トニーが演じればフシギとイヤミにはならない。
「2046へ向かう人々の目的は、なくした記憶を探すこと。
なぜなら2046では何も変わらないから。それが本当か誰も知らない。
戻ってきた者は1人もいないから…」
人は見えない未来より、戻らない過去の幻影を繰り返し弄ぶ。
それは、よくも悪くも甘く切なく美化されたもので、
慣れ親しんだ思い出は、新たに前進することよりもずっと安全だからだ。
■『獄門島』(1977)
監督:市川崑 原作:横溝正史
出演:石坂浩二、司葉子、大原麗子、大地喜和子、草笛光子、浅野ゆう子、加藤武、佐分利信 ほか
『犬神家の一族』が30年ぶりに同監督・同主要キャストでリメイクされるとめざましで見た。
金田一耕助シリーズも次第にDVD化されて、TSUTAYAに並んでいたから
いつか全部観てみたい!とまた制覇熱に駆られた/笑
美しい着物姿の少女が吊り下げられているジャケに惹かれて、まずは今作を借りてみた。
以前、何度もTV放映で見てるはずで、暗くて湿っぽい苦手な日本ホラーの代表だったけど、
めざましのコメントで「今シリーズはホラーではなく、人間ドラマである」とのことに納得。
著者・横溝正史が今作を書いたのは『本陣殺人事件』に次いで2作目。
映画で板についてる独特の探偵のイメージと原作はどうやら違うらしく、犯人も大胆に変更されているそう。
金田一耕シリーズは、大体、離島や片田舎の閉鎖的な村で起こる。
昔からの因縁が原因の殺人もので、犯人は女性ってイメージが強い。
今作も舞台を瀬戸内の六島をロケに、珠玉の役者を揃えて、
昭和二十年代の戦争をはさんだ跡継ぎ絡みな、陰惨でありながら、
人情・執念をテーマにした深い人間ドラマで見ごたえ十分。
“一番犯人らしくない人物が真犯人だ”っていう推理小説の大前提をもってしても
驚きの真犯人と、巧妙なトリックの数々にグイグイと引き込まれてしまう。
大原麗子の意志の強い美しさ、司葉子の控えめでけな気な美しさ、
大地喜和子の妖艶な美しさ、浅野ゆう子の若く狂気じみた美しさ、
ベテラン佐分利信の重厚な貫禄の演技、どれも素晴らしく華がある。
ジャズちっくな音楽は斬新で、これも時代の反映か。
■ドラマ 名探偵・金田一耕シリーズ『霧の山荘』(1985)
出演:古谷一行、岡田茉莉子、冨家規政、松本留美、西田健、織本順吉、平田稔、ハナ肇 ほか
映画版を観た後で、ドラマシリーズを見ると、やっぱりフィルムの重厚感がなくて寂しい。
撮る監督が変わると、作品全体の印象も変わるし。
ストーリーもシンプルで犯人も分かりやすかった。
古谷一行の金田一は見慣れているせいか、味わい深い。
この昭和なかほりがなんともいえない。昭和初期の邦画全盛期を彩った個性的な俳優も好き。
岡田茉莉子さんもその一人。
ネットで調べてたら、金田一のプロフィールまであった/驚
彼の解決した事件の数はものすごい数
でも、「本の雑誌編集部編「活字探偵団」によれば、金田一耕助は事件に乗り出してから、
次の犠牲者がでるのを防ぐ「防御率」の一番低い探偵ということになっている」とある。たしかに/爆
しかも1つの話で死ぬ人数も多い。
そして最後に自白した犯人が自殺すると分かっていても、そのままにさせておくパターンも多い?
人情に厚いのはいいが、探偵としてはどうなのか?笑
■ドラマ版『悪魔が来たりて笛を吹く』(1977)
出演:古谷一行、早川保、檀ふみ、草笛光子、長門裕之 ほか
今までの土着系旧家がらみの話と違って、都会派ミステリーで、謎や動機も現代風というか、何世代も遡らない/笑
舞台も昭和26年設定とはいえ、豪邸のせいか今とさほど変わらないし、
着物に下駄の金田一だけ、キャラそのままに過去からタイムスリップしてきた感じ。
このタイトルも当時流行ったよね?
おどろおどろしさより、クールで耽美な世界。
スケキヨ並みに強烈なインパクトの悪魔の面も、耳のとがった妖精ちっくでカワイイといえなくもないし/笑
犯人も分かりやすかった。
古谷一行の金田一は味があってとてもいいのだが、映像がフラットで、明るく、
軽くまとまっているのはドラマという性質上の問題か、それとも予算の問題か?
同作を西田敏行主演で映画化されたのもあるらしい。
ドラマシリーズを追うのは中断して、映画シリーズを制覇したいけど
どうやらTSUTAYAにも限界が見えてきたようだ
■『八つ墓村』(1996)
監督:市川崑 出演:豊川悦司 ほか
テロップが出るまで監督が市川崑だったことをすっかり忘れてたくらい
'70年に撮ってたシリーズとは赴きが全然違ってる。
この穏やかさはリアリズムやナチュラリズムを追求する時代の流れなんだろうか。
前回観た渥美清ver.と比べても、ストーリーの大筋は同じだけど、犯人の動機やラストも微妙に違ってるし。
岸田今日子さんの一卵性双生児の老婆はCG処理だが、すごく自然/驚
豊川悦司の金田一は、だいぶビジュアルが上がったけど、キャラに沿った形/笑
なにが嬉しいって等々力警部役の加藤武さんが、今作でも元気に見事な
粉薬吹きを披露してくれてるシーン! また黒いスーツが真っ白だ/爆
原作のアイデアの元ネタになった実際に岡山で起きた連続殺人事件を映画化したのも見つけて、気になってきた。
追。それぞれの作品ごとの配役比較なるサイトを発見。
こうして見比べると面白い。有名な話の同じ役を自分なりに工夫して演じるのは、
難しくもあり、面白くもありという感じかな。
■『南極物語 [Eight Below]』(2006)(劇場にて
監督:フランク・マーシャル 出演:ポール・ウォーカー、ブルース・グリーンウッド ほか
言わずと知れた'83大ヒット作のリメイク。
ディズニーは、動物愛護の観点からか、子どもらの夢のためか、
8頭いるうちの2頭しか死なないという話にムリヤリ変えてしまったのだが、
それを言うならワンコが狩ってた鳥さんたちの立場はどうなるのか…苦笑
恋愛話なんかちょこちょこ挟まなくていいから、早くわんこを迎えに行ってあげて
南極ツアーはないのかっ! 近畿日本ツーリスト!!
怪我をしたコに鳥肉を「お食べ」って渡しても、断るシーンとかスゴイ。。
鳥を狩るシーンではセリフもあったし!笑
でも、実際の犬同士の会話は、人間と違って「ワンワン、ワワワン」なんて言わないだろう
後ずさりの仕方も「あ、トレーナーに指示されたんだナ」って感じ/笑
1頭に対して数人のトレーナーがついて、指示の多さにわんこが混乱するほどだったらしい。
映画としての作りはなんだかつたない感じがするのだが、
わんこたちにこれだけの演技をさせたクルーの大変さを観てあげよう。
ロケはカナダのブリティッシュ・コロンビア州の北にあるスミザースという町らしい。
品川プリンスシネマはオシャレな上、いつ行っても空いてるから好き。
この日もウチらを含めて客は5〜6人?ホームシアター状態。
『ナルニア』に流れたか? 今作の興行収入も、劇場の経営も心配になってきました。
一緒に観た友だちは嗚咽するほど泣いてたし、みんな顔が変わってた
元ネタも観たくなったナ。
作品に出てくる「ヒョウアザラシ」を調べたら、恐いっ!恐すぎるっ
■『カルメン故郷に帰る』(1951)
監督:木下恵介 出演:高峰秀子、坂本武、笠智衆、佐田啓二、佐野周二 ほか
日本初の「総天然色映画」、つまりフルカラー作品。
舞台は信州・北軽井沢で、晴れ渡った青空に噴煙たなびく浅間山と、
山裾にどこまでも広がる草原、群れで駆ける馬の素晴らしく美しいロングショットから始まり、
のどかな田舎で起こるひと騒動を父娘の人情を絡めて、コミカルに描いている。
監督は名匠・木下恵介。出演は、小津作品でもおなじみの坂本武が素朴な父親役、
真っ直ぐな性格の校長に笠智衆、永遠の二枚目俳優・佐田啓二(中井貴一の父・故)、
盲目の作曲家・佐野周二もイイ。
そしてヒロインの高峰秀子は、ちょっと頭の弱い感じの設定ながら、
はつらつとした健康的な美しさで(現代の八頭身スタイルとはいいがたいが)、
裸踊りを芸術にまで高めるべく歌い踊る、あっけらかんとして、正直で、自立して働く女性像なのが好感。
カラーの醍醐味、美しい衣装とメイク、健康的なヒロインの美しさが際立つ。
評判もよかったのか、続編『カルメン純情す』が翌年に撮られているからそちらも見てみたい。
■『南極物語』(1983)
監督:蔵原惟繕 出演:高倉健、渡瀬恒彦、岡田英次、夏目雅子 ほか
やっぱ元ネタは最強。ハリウッドリメイクなんて目じゃない
さすが大ブームを巻き起こし、当時の邦画最高配収記録を
はじきだしただけはある、ドキュメンタリータッチの感動作。
わんこらの自然な動き、表情、アザラシを襲うシーン、フラフラになって歩くシーンなんて
逆にどうやって撮影したか心配になってしまうほど
犬たちだけのシーンではナレーションを入れて説明。
実話が基だけに話の流れが自然で、慙愧に耐えない2人の犬係
(高倉・渡瀬)の無念の日々の苦しさもひしひしと伝わる。
わんこが飢えで衰弱したり、流氷に飲まれたり、シャチに襲われたりして
1頭ずつ亡くなってしまうたびに号泣。もう目が痛いです…
口数は少なくても表情ですべてを物語る、健さんを超える俳優もいない。
ヴァンゲリスのシンセの静かで感動的なサントラもピッタリ
余談ながら、北海道に行った際、学術探険に貢献したとして造られた十五匹の犬の銅像や、
北海道大学付属植物園ではタロとジロの剥製を見たことがある
なぜここに?と、その時はフシギに思ったけど、北海道生まれのわんこだったのね。
東京タワーの前にも銅像があるよね?
タロ・ジロは発見された後、再び第3次越冬隊に参加したって初めて知った!
わんこのヒトへの献身の深さ、耐久力、生きる強さには感服しきり。
日本のカラフト犬も、ロシアのシベに負けないくらい忍耐強くて、賢いんだなあ!
野生化したタロ・ジロは、犬係りと再会した時、ちょっと忘れていたらしい。
カラフト犬は数少ないのか? 氷点下40度という南極の厳冬も
びっしり生えた毛で生き抜くことができる犬種なんだね。
タロ・ジロの子孫が全国にいるっていうのもステキ
クラックにはさまれたり、オーロラに怯えたり、魚やクジラがうち上げられたり、
蜃気楼がたったり、極地の四季が通して撮影されていてドキュメンタリーとしても秀逸。
「いっそ殺してしまうべきだったと思い続けていたが、
間違っていた。どんな命も生きる権利がある」
■『本陣殺人事件』(1975)
監督:高林陽一 出演:中尾彬、田村高廣、新田章、高沢順子、東竜子、伴勇太郎 ほか
横溝氏が書いた金田一シリーズ第1作目なのに、なんだか肩すかし。
石坂浩二主演の「犬神家の一族」が大ブレイクする1年前の昭和50年に
高林陽一監督によって撮られた。その割にモダンでスタイリッシュ。
事件の回想をサイレントのモノクロにして、始終鍵となる水車の音、
琴の音がバックに流れている。音楽は現在・映画監督の大林宣彦さん
監督が違えばこうも印象が変わるものか。
金田一耕助をジーンズ姿の中尾彬がダンディな西洋風の私立探偵風に演じている(もちろんねじりスカーフはなし
金田一がアメリカ帰りという経歴を考えれば、こっちのほうが自然な設定にも思えてくるが、異色ではある。
見事な密室殺人のトリック、三本指のいかにも怪しい容疑者、
世間知らずで、プライドが高い男の狂言殺人っていうのは、これまでにないパターン。
今作からは、その変質ぶりも、恐怖も、憂いも、生臭さも、推理のスリルも感じられずなんだか物足りなさが残る。
ただただ静かに事件が解決されてゆくのみ。
息子が死んでも母親が泣き叫んだりするシーンもなし。
金田一も推理というより、警部と共に捜査に協力している感じ。
ちなみに殺された克子の叔父・銀造は、金田一がアメリカで放蕩生活をしていたときに助けてくれた恩人となっている。
■『犬神家の一族』(1976)
監督:市川崑 出演:石坂浩二、高峰三枝子、島田陽子、坂口良子、川口恒 ほか
わたしの中でただいま静かにスケキヨブームが到来しています。。
角川書店が映画製作に乗り出した記念すべき第一回角川映画。
公開当時大ヒットを記録して爆発的な横溝ブームのきっかけともなった。
やっぱりこうして観ると、極上のサスペンスホラーでありながら、根底を支えているのは、人間の愛憎劇だ。
今シリーズはとにかく、家系図に強くないとついてゆけない
次から次へと出てくる過去・現在の人間関係を整理しないと
犯人当てのゲームに参加できず面白みが減ってしまう。
だいぶ前に見たきりで、すっかり話を忘れていて、友だちから
思わぬヒントをもらっていたのだが、結局真犯人は分からなかった
昭和を代表する大女優・
今回は赤色のルーズリーフからご紹介。
mixiの日記を書きはじめたのが2005年8月7日からで、
このgooブログを始めたのが2006-05-18からだから、
mixiにすでに書いたものはコピペ・補足・修正して、ブログに抜けていたものは追加した。
金田一耕助シリーズにハマってたらしいw
photo1:ライヴの半チケを貼ったりして、以前のスクラップブック状態に戻った感じ。
photo2:エゾフェスはよかったなあ!
photo3:大人の芝居もちょくちょく観に行くようになった。
昔のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。
■『2046』(2004)
監督:ウォン・カーウァイ
出演:トニー・レオン、木村拓哉、コン・リー、フェイ・ウォン、チャン・ツィイー、カリーナ・ラウ、マギー・チャン ほか
「恋愛はタイミングが大切だ。出会いが早すぎても、遅すぎてもダメだ。
別な時、別な場所で出会えば、結果は違ったかもしれない」
“アンドロイドが恋をする”ってキャッチコピーは、映画の中で主人公の男が書く未来SF小説『2046』の話で、
実際は1960年代に男が出会った女性遍歴の話だった-----と、気がつくまでに長くかかった。
実際長いし、男の過去と未来も交錯してる。
『恋する惑星』以来、カーウェイ監督作品はほぼ観ているが、
今作でトニー・レオンとフェイ・ウォンの共演が再び見れるほか、
これだけの大スター、特に女優を集めてのガチンコ競演は見どころ。
チャン・ツィイーの本格的なベッドシーンもあり
駆け引きのヘタな、恋愛に頼る淋しい女を見事に演じ、引き込まれてしまう。
オペラ調の音楽と、油絵のような映像美がよく合う。
結局、男は最初の不倫相手を忘れられず、別れた時にすべての哀しみを味わってしまった故に、
ほかは遊びの通りすがりでしかなかった。男性が観たら憧れる美学の世界か?
次々と美女を捨ててゆく、怪しいチョビヒゲの伊達男役も、
トニーが演じればフシギとイヤミにはならない。
「2046へ向かう人々の目的は、なくした記憶を探すこと。
なぜなら2046では何も変わらないから。それが本当か誰も知らない。
戻ってきた者は1人もいないから…」
人は見えない未来より、戻らない過去の幻影を繰り返し弄ぶ。
それは、よくも悪くも甘く切なく美化されたもので、
慣れ親しんだ思い出は、新たに前進することよりもずっと安全だからだ。
■『獄門島』(1977)
監督:市川崑 原作:横溝正史
出演:石坂浩二、司葉子、大原麗子、大地喜和子、草笛光子、浅野ゆう子、加藤武、佐分利信 ほか
『犬神家の一族』が30年ぶりに同監督・同主要キャストでリメイクされるとめざましで見た。
金田一耕助シリーズも次第にDVD化されて、TSUTAYAに並んでいたから
いつか全部観てみたい!とまた制覇熱に駆られた/笑
美しい着物姿の少女が吊り下げられているジャケに惹かれて、まずは今作を借りてみた。
以前、何度もTV放映で見てるはずで、暗くて湿っぽい苦手な日本ホラーの代表だったけど、
めざましのコメントで「今シリーズはホラーではなく、人間ドラマである」とのことに納得。
著者・横溝正史が今作を書いたのは『本陣殺人事件』に次いで2作目。
映画で板についてる独特の探偵のイメージと原作はどうやら違うらしく、犯人も大胆に変更されているそう。
金田一耕シリーズは、大体、離島や片田舎の閉鎖的な村で起こる。
昔からの因縁が原因の殺人もので、犯人は女性ってイメージが強い。
今作も舞台を瀬戸内の六島をロケに、珠玉の役者を揃えて、
昭和二十年代の戦争をはさんだ跡継ぎ絡みな、陰惨でありながら、
人情・執念をテーマにした深い人間ドラマで見ごたえ十分。
“一番犯人らしくない人物が真犯人だ”っていう推理小説の大前提をもってしても
驚きの真犯人と、巧妙なトリックの数々にグイグイと引き込まれてしまう。
大原麗子の意志の強い美しさ、司葉子の控えめでけな気な美しさ、
大地喜和子の妖艶な美しさ、浅野ゆう子の若く狂気じみた美しさ、
ベテラン佐分利信の重厚な貫禄の演技、どれも素晴らしく華がある。
ジャズちっくな音楽は斬新で、これも時代の反映か。
■ドラマ 名探偵・金田一耕シリーズ『霧の山荘』(1985)
出演:古谷一行、岡田茉莉子、冨家規政、松本留美、西田健、織本順吉、平田稔、ハナ肇 ほか
映画版を観た後で、ドラマシリーズを見ると、やっぱりフィルムの重厚感がなくて寂しい。
撮る監督が変わると、作品全体の印象も変わるし。
ストーリーもシンプルで犯人も分かりやすかった。
古谷一行の金田一は見慣れているせいか、味わい深い。
この昭和なかほりがなんともいえない。昭和初期の邦画全盛期を彩った個性的な俳優も好き。
岡田茉莉子さんもその一人。
ネットで調べてたら、金田一のプロフィールまであった/驚
彼の解決した事件の数はものすごい数
でも、「本の雑誌編集部編「活字探偵団」によれば、金田一耕助は事件に乗り出してから、
次の犠牲者がでるのを防ぐ「防御率」の一番低い探偵ということになっている」とある。たしかに/爆
しかも1つの話で死ぬ人数も多い。
そして最後に自白した犯人が自殺すると分かっていても、そのままにさせておくパターンも多い?
人情に厚いのはいいが、探偵としてはどうなのか?笑
■ドラマ版『悪魔が来たりて笛を吹く』(1977)
出演:古谷一行、早川保、檀ふみ、草笛光子、長門裕之 ほか
今までの土着系旧家がらみの話と違って、都会派ミステリーで、謎や動機も現代風というか、何世代も遡らない/笑
舞台も昭和26年設定とはいえ、豪邸のせいか今とさほど変わらないし、
着物に下駄の金田一だけ、キャラそのままに過去からタイムスリップしてきた感じ。
このタイトルも当時流行ったよね?
おどろおどろしさより、クールで耽美な世界。
スケキヨ並みに強烈なインパクトの悪魔の面も、耳のとがった妖精ちっくでカワイイといえなくもないし/笑
犯人も分かりやすかった。
古谷一行の金田一は味があってとてもいいのだが、映像がフラットで、明るく、
軽くまとまっているのはドラマという性質上の問題か、それとも予算の問題か?
同作を西田敏行主演で映画化されたのもあるらしい。
ドラマシリーズを追うのは中断して、映画シリーズを制覇したいけど
どうやらTSUTAYAにも限界が見えてきたようだ
■『八つ墓村』(1996)
監督:市川崑 出演:豊川悦司 ほか
テロップが出るまで監督が市川崑だったことをすっかり忘れてたくらい
'70年に撮ってたシリーズとは赴きが全然違ってる。
この穏やかさはリアリズムやナチュラリズムを追求する時代の流れなんだろうか。
前回観た渥美清ver.と比べても、ストーリーの大筋は同じだけど、犯人の動機やラストも微妙に違ってるし。
岸田今日子さんの一卵性双生児の老婆はCG処理だが、すごく自然/驚
豊川悦司の金田一は、だいぶビジュアルが上がったけど、キャラに沿った形/笑
なにが嬉しいって等々力警部役の加藤武さんが、今作でも元気に見事な
粉薬吹きを披露してくれてるシーン! また黒いスーツが真っ白だ/爆
原作のアイデアの元ネタになった実際に岡山で起きた連続殺人事件を映画化したのも見つけて、気になってきた。
追。それぞれの作品ごとの配役比較なるサイトを発見。
こうして見比べると面白い。有名な話の同じ役を自分なりに工夫して演じるのは、
難しくもあり、面白くもありという感じかな。
■『南極物語 [Eight Below]』(2006)(劇場にて
監督:フランク・マーシャル 出演:ポール・ウォーカー、ブルース・グリーンウッド ほか
言わずと知れた'83大ヒット作のリメイク。
ディズニーは、動物愛護の観点からか、子どもらの夢のためか、
8頭いるうちの2頭しか死なないという話にムリヤリ変えてしまったのだが、
それを言うならワンコが狩ってた鳥さんたちの立場はどうなるのか…苦笑
恋愛話なんかちょこちょこ挟まなくていいから、早くわんこを迎えに行ってあげて
南極ツアーはないのかっ! 近畿日本ツーリスト!!
怪我をしたコに鳥肉を「お食べ」って渡しても、断るシーンとかスゴイ。。
鳥を狩るシーンではセリフもあったし!笑
でも、実際の犬同士の会話は、人間と違って「ワンワン、ワワワン」なんて言わないだろう
後ずさりの仕方も「あ、トレーナーに指示されたんだナ」って感じ/笑
1頭に対して数人のトレーナーがついて、指示の多さにわんこが混乱するほどだったらしい。
映画としての作りはなんだかつたない感じがするのだが、
わんこたちにこれだけの演技をさせたクルーの大変さを観てあげよう。
ロケはカナダのブリティッシュ・コロンビア州の北にあるスミザースという町らしい。
品川プリンスシネマはオシャレな上、いつ行っても空いてるから好き。
この日もウチらを含めて客は5〜6人?ホームシアター状態。
『ナルニア』に流れたか? 今作の興行収入も、劇場の経営も心配になってきました。
一緒に観た友だちは嗚咽するほど泣いてたし、みんな顔が変わってた
元ネタも観たくなったナ。
作品に出てくる「ヒョウアザラシ」を調べたら、恐いっ!恐すぎるっ
■『カルメン故郷に帰る』(1951)
監督:木下恵介 出演:高峰秀子、坂本武、笠智衆、佐田啓二、佐野周二 ほか
日本初の「総天然色映画」、つまりフルカラー作品。
舞台は信州・北軽井沢で、晴れ渡った青空に噴煙たなびく浅間山と、
山裾にどこまでも広がる草原、群れで駆ける馬の素晴らしく美しいロングショットから始まり、
のどかな田舎で起こるひと騒動を父娘の人情を絡めて、コミカルに描いている。
監督は名匠・木下恵介。出演は、小津作品でもおなじみの坂本武が素朴な父親役、
真っ直ぐな性格の校長に笠智衆、永遠の二枚目俳優・佐田啓二(中井貴一の父・故)、
盲目の作曲家・佐野周二もイイ。
そしてヒロインの高峰秀子は、ちょっと頭の弱い感じの設定ながら、
はつらつとした健康的な美しさで(現代の八頭身スタイルとはいいがたいが)、
裸踊りを芸術にまで高めるべく歌い踊る、あっけらかんとして、正直で、自立して働く女性像なのが好感。
カラーの醍醐味、美しい衣装とメイク、健康的なヒロインの美しさが際立つ。
評判もよかったのか、続編『カルメン純情す』が翌年に撮られているからそちらも見てみたい。
■『南極物語』(1983)
監督:蔵原惟繕 出演:高倉健、渡瀬恒彦、岡田英次、夏目雅子 ほか
やっぱ元ネタは最強。ハリウッドリメイクなんて目じゃない
さすが大ブームを巻き起こし、当時の邦画最高配収記録を
はじきだしただけはある、ドキュメンタリータッチの感動作。
わんこらの自然な動き、表情、アザラシを襲うシーン、フラフラになって歩くシーンなんて
逆にどうやって撮影したか心配になってしまうほど
犬たちだけのシーンではナレーションを入れて説明。
実話が基だけに話の流れが自然で、慙愧に耐えない2人の犬係
(高倉・渡瀬)の無念の日々の苦しさもひしひしと伝わる。
わんこが飢えで衰弱したり、流氷に飲まれたり、シャチに襲われたりして
1頭ずつ亡くなってしまうたびに号泣。もう目が痛いです…
口数は少なくても表情ですべてを物語る、健さんを超える俳優もいない。
ヴァンゲリスのシンセの静かで感動的なサントラもピッタリ
余談ながら、北海道に行った際、学術探険に貢献したとして造られた十五匹の犬の銅像や、
北海道大学付属植物園ではタロとジロの剥製を見たことがある
なぜここに?と、その時はフシギに思ったけど、北海道生まれのわんこだったのね。
東京タワーの前にも銅像があるよね?
タロ・ジロは発見された後、再び第3次越冬隊に参加したって初めて知った!
わんこのヒトへの献身の深さ、耐久力、生きる強さには感服しきり。
日本のカラフト犬も、ロシアのシベに負けないくらい忍耐強くて、賢いんだなあ!
野生化したタロ・ジロは、犬係りと再会した時、ちょっと忘れていたらしい。
カラフト犬は数少ないのか? 氷点下40度という南極の厳冬も
びっしり生えた毛で生き抜くことができる犬種なんだね。
タロ・ジロの子孫が全国にいるっていうのもステキ
クラックにはさまれたり、オーロラに怯えたり、魚やクジラがうち上げられたり、
蜃気楼がたったり、極地の四季が通して撮影されていてドキュメンタリーとしても秀逸。
「いっそ殺してしまうべきだったと思い続けていたが、
間違っていた。どんな命も生きる権利がある」
■『本陣殺人事件』(1975)
監督:高林陽一 出演:中尾彬、田村高廣、新田章、高沢順子、東竜子、伴勇太郎 ほか
横溝氏が書いた金田一シリーズ第1作目なのに、なんだか肩すかし。
石坂浩二主演の「犬神家の一族」が大ブレイクする1年前の昭和50年に
高林陽一監督によって撮られた。その割にモダンでスタイリッシュ。
事件の回想をサイレントのモノクロにして、始終鍵となる水車の音、
琴の音がバックに流れている。音楽は現在・映画監督の大林宣彦さん
監督が違えばこうも印象が変わるものか。
金田一耕助をジーンズ姿の中尾彬がダンディな西洋風の私立探偵風に演じている(もちろんねじりスカーフはなし
金田一がアメリカ帰りという経歴を考えれば、こっちのほうが自然な設定にも思えてくるが、異色ではある。
見事な密室殺人のトリック、三本指のいかにも怪しい容疑者、
世間知らずで、プライドが高い男の狂言殺人っていうのは、これまでにないパターン。
今作からは、その変質ぶりも、恐怖も、憂いも、生臭さも、推理のスリルも感じられずなんだか物足りなさが残る。
ただただ静かに事件が解決されてゆくのみ。
息子が死んでも母親が泣き叫んだりするシーンもなし。
金田一も推理というより、警部と共に捜査に協力している感じ。
ちなみに殺された克子の叔父・銀造は、金田一がアメリカで放蕩生活をしていたときに助けてくれた恩人となっている。
■『犬神家の一族』(1976)
監督:市川崑 出演:石坂浩二、高峰三枝子、島田陽子、坂口良子、川口恒 ほか
わたしの中でただいま静かにスケキヨブームが到来しています。。
角川書店が映画製作に乗り出した記念すべき第一回角川映画。
公開当時大ヒットを記録して爆発的な横溝ブームのきっかけともなった。
やっぱりこうして観ると、極上のサスペンスホラーでありながら、根底を支えているのは、人間の愛憎劇だ。
今シリーズはとにかく、家系図に強くないとついてゆけない
次から次へと出てくる過去・現在の人間関係を整理しないと
犯人当てのゲームに参加できず面白みが減ってしまう。
だいぶ前に見たきりで、すっかり話を忘れていて、友だちから
思わぬヒントをもらっていたのだが、結局真犯人は分からなかった
昭和を代表する大女優・