■気をつけよう! 薬物依存 第1巻 乱用と依存(汐文社)
渋井哲也/著
【ブログ内関連記事】
中高年がなぜ? “薬物”本当の恐ろしさ@ニュース深読み
中高年と覚醒剤@NHKクローズアップ現代
男の子と女の子が薬物について基本的な質問から始めて、専門家が答えていく形で、分かりやすく、内容は深い。
【内容抜粋メモ】
国は「薬物乱用防止」策として「ダメ。ゼッタイ。」キャンペーンをしている。
このクスリは使ってよい、このクスリは指導のもとに使わないといけないと法律で決まっている。
そのクスリがないと落ち着かなくなるのが「依存症」
●「依存症」のパターン
1.物質に依存するタイプ 例:「アルコール依存症」
2.プロセス依存 例:「ギャンブル依存症」「買い物依存症」
賭け事には「何かを考える」「どこに賭ける」「当たる/外れる」という過程がある。
買い物には「調べる」「探す」「手に入れる」という過程がある。
暴力、万引き等も、そうした過程にスリルを覚え、結果が伴えば、行為自体が快楽となる。
3.人間関係への依存
●依存性のある薬物の種類
鎮静効果:アヘン類(モルヒネ、ヘロイン)、大麻類、鎮静睡眠薬、ニコチンなど。
興奮効果:コカイン、アンフェタミン類(覚せい剤)、カフェインなど。
知覚変容効果:幻覚剤(LSD)、大麻類、シンナー、PCPなど。
【アヘン戦争】
清ではアヘンの吸引が問題となり、1839年、輸入を禁止した
当時、アヘンの密輸入をしていたイギリス商人に「持ち込まない」契約を交わし、没収した。
これに抗議したイギリスは、無条件に貿易禁止の解除を求め、清は拒否したため、1840年に戦争になった
・急性中毒症状は「チェーンストーク呼吸」
浅い呼吸→深い呼吸→無呼吸になる
本人は鎮静効果によって苦しさを感じない/怖
鎮静作用が出るのは一定の使用量から。量を増やさないと効かなくなる「耐性」ができてしまうのが深刻な問題。
同時に、使わないと「禁断症状」が強くなる。
【大麻】
中学生でも入手できるほど身近になってきている。クワ科の麻で、60種類以上のカンナビノイドという物質を含む。
中でも、最も強い精神作用を持つ「THC」は、体内に入ると「幻覚作用」を起こす。
大麻は3種類に分類され、最も一般的なのは「乾燥大麻」。ほかに「大麻樹脂」「液体大麻」がある。
作用
・時間、空間の感覚が変わる。
・幻覚が見える。
・耐性ができやすく、使用頻度が増える。
・肺がん発症に関わる「発がん性物質」のタールが、大麻タバコ1本で、紙巻20本分という報告がある。
・不妊の原因になる。
「ゲートウェイ理論」「ゲートウェイ・ドラッグ(入門薬物)」
一度、大麻を使うと、より強い他の薬物使用の入口になる。
【覚せい剤】
アンフェタミン、メタンフェタミンの2種類ある。
作用
・疲労感、倦怠感、眠気がなくなる。
・過剰な自信が出る。
・効果が消えると、悲しくなり、だるくなり、筋力が低下する。
・幻覚、妄想が見える。「覚せい剤精神病」
・クスリから脱却しても、ちょっとした心理的ストレスで、「覚せい剤精神病」と同様の症状が出る。
→「フラッシュバック現象」感情、痛み、ニオイ等が引き金となって、記憶が鮮明によみがえる。
【コカイン】
南アメリカ原産の植物コカに含まれる成分。心理的な依存が強くはたらく。
葉を噛むと軽い興奮状態、鼻から吸引すると依存性は高まる。静脈注射はさらに依存性は高い。
「覚せい剤」は作用時間が長く、「コカイン」は比較的短いため、耐性がすぐつき、使用頻度が多くなりコントロール不能になる。
作用
・末梢性の知覚麻痺、中枢刺激作用で気分が高まる。「コカイン酩酊」
・誰かに追いかけられているような感じる。「追跡妄想」
・嫌がらせ、危害を受けていると思い込む。「被害妄想」
「アンヘドニア」
なにをしても楽しいと思えない無快楽症。
【カフェイン】
コーヒー、お茶、チョコレート、ココアに含まれる(どれも大好き
天然由来の有機化合物。
作用
・覚醒、興奮、強心、利尿、脳血管収縮、心血管の拡張(医薬品にも使われる
・不眠、めまい等の副作用もある。
・過剰摂取すると「カフェイン中毒」「カフェイン症」と呼ばれる。
【幻覚薬】
幻覚をもたらす薬物。例:ナツメグは、大量に使い過ぎると大麻と似た幻覚症状になる/驚
「マジックマッシュルーム」など、2002年「麻薬原料植物」に指定され、栽培・販売が禁止された
「合成麻薬」(LSD、MDMAなど)
作用
・瞳孔が開き、体温や血圧が上昇、筋力が低下。
・「バッドトリップ」というパニック状態、錯乱状態、抑うつ状態になる。
・覚せい剤と同じ「フラッシュバック現象」がおきる。
【ニコチン(タバコ)】
ニコチンの微量が肺に入り、血液とともに体内を回る。
2002年「健康増進法」で「受動喫煙」防止がはかられた。
作用
・心臓循環器系、消化管、気管支、副腎髄質、胃の収縮力減少、吐き気、嘔吐、食欲低下など。
「受動喫煙」
タバコを吸ってる人の周りにいる人も、自分の意志と関係なく煙を吸ってしまう。
【シンナー】
なにかを溶かす時に使う有機溶剤。例:接着剤、ペンキなど
1970年頃「シンナー遊び」(シンナーを入れた袋をアンパンと呼んだ)が流行ったため、
「毒物及び劇物取締法」が改正され、シンナーの販売規約が厳しくなった。
1990年代には、ライターの補充用のガスを使用した「ガスパン遊び」が流行った。
作用
・頭がボーっとする。頭痛。意識障害。無気力、幻覚。
・脳神経が冒され、中毒性の精神病になる。
・酸欠状態になり、脳に影響を与える。
【鎮静睡眠薬】
不眠で飲む市販薬、処方薬、抗不安薬にも含まれる。
法律上のルールはあっても、禁止されてはいない。
鎮静睡眠薬には、いろんな種類があり、鎮静効果のあるものを「バルビツール系」という。
短時間しか効かないものは乱用されにくく、長時間作用するものは効いてくるのが遅いため、最も乱用されるのは中時間作用するもの。
服用後、20〜40分で鎮静・睡眠効果が表れ、4〜6時間続く。
「ベンゾジアゼビン系」
短時間、中時間、長時間作用がある。アルコールと一緒に飲むと危険
元々、不安、緊張、抑うつ、不眠などに使用するが、乱用すると耐性がつき、効かなくなり、使用回数や量が増えることで体への影響が出る。
40〜50歳代に多く、専門職、技術職、事務職に多い。人間関係や仕事のストレスが原因。
クスリが「非合法」ではないため、罪悪感が薄くなる。
乱用が増えたその他の原因
・若者の間でも、精神科に通う人が増えた。
・精神科、メンタルクリニックが以前より通院しやすくなり、鎮静睡眠薬が手に入りやすくなった。
「オーバードース」
処方量を超えて飲むこと。大量服薬、過量服薬ともいう。
厚生労働省が「過量服薬」について、「向精神薬等の過量服薬を背景とする自殺について」2010年6月24日を発表。
【リタリンとコンサータ】
精神科の処方薬で社会問題になった。
リタリン
「中枢神経興奮剤」と呼ばれる。もとはうつ病、抑うつ神経症、ナルコレプシーの治療薬として処方される薬。
依存性が高いため、用法・用量をきちんと守ることが必須だが、2007年10月から、うつ病にリタリンは処方されなくなった
急に服用をやめるとパニック状態になったり、うつ状態になりやすく、自殺願望につながる。
コンサータ
リタリンの代わりに認可された。子どものADHD(注意欠如多動性障害)にも処方される。
だが、乱用、依存症の危険性はリタリンと同じため、大人のADHD、うつ病患者にも処方されなくなった。
●薬物に関する意識調査
関西の4つの大学が2009年4月に入学した1年生を対象に行った調査で、
有効回答者数1万9313人のうち、「大麻を見たことがある」と答えたのは700人だった。
また、「大麻の入手は少々苦労するが手に入る」は3200人、「カンタンに手に入る」は1447人いた。
●なぜ薬物依存は増えたのか?
覚せい剤について、警察庁が毎年統計を出している。検挙数は一定しているが、押収量は増えている。
以前は暴力団関係者など「特種」な人たちに流通していたが、今はより広まっていることを表す警察統計。
押収量が減っているのは、最近、個人が少量を持っているせいではないかと考えられる。
抱えている悩み事を家族や友だちに言えない、自分を大切にしていない、
家族、友だち関係に対して愛着や信頼が薄らいでいるという原因もある。
「虐待」
親は“しつけの範囲”と思っていることが多く、虐待を受けている子どもも他の家庭と比較できず、“これが普通?”と思って耐えている。
友人、先生、児童相談所に自ら通報することは稀。相談するのは難しい状況。
薬物について正しい知識を持つことが、まず大切。
渋井哲也/著
【ブログ内関連記事】
中高年がなぜ? “薬物”本当の恐ろしさ@ニュース深読み
中高年と覚醒剤@NHKクローズアップ現代
男の子と女の子が薬物について基本的な質問から始めて、専門家が答えていく形で、分かりやすく、内容は深い。
【内容抜粋メモ】
国は「薬物乱用防止」策として「ダメ。ゼッタイ。」キャンペーンをしている。
このクスリは使ってよい、このクスリは指導のもとに使わないといけないと法律で決まっている。
そのクスリがないと落ち着かなくなるのが「依存症」
●「依存症」のパターン
1.物質に依存するタイプ 例:「アルコール依存症」
2.プロセス依存 例:「ギャンブル依存症」「買い物依存症」
賭け事には「何かを考える」「どこに賭ける」「当たる/外れる」という過程がある。
買い物には「調べる」「探す」「手に入れる」という過程がある。
暴力、万引き等も、そうした過程にスリルを覚え、結果が伴えば、行為自体が快楽となる。
3.人間関係への依存
●依存性のある薬物の種類
鎮静効果:アヘン類(モルヒネ、ヘロイン)、大麻類、鎮静睡眠薬、ニコチンなど。
興奮効果:コカイン、アンフェタミン類(覚せい剤)、カフェインなど。
知覚変容効果:幻覚剤(LSD)、大麻類、シンナー、PCPなど。
【アヘン戦争】
清ではアヘンの吸引が問題となり、1839年、輸入を禁止した
当時、アヘンの密輸入をしていたイギリス商人に「持ち込まない」契約を交わし、没収した。
これに抗議したイギリスは、無条件に貿易禁止の解除を求め、清は拒否したため、1840年に戦争になった
・急性中毒症状は「チェーンストーク呼吸」
浅い呼吸→深い呼吸→無呼吸になる
本人は鎮静効果によって苦しさを感じない/怖
鎮静作用が出るのは一定の使用量から。量を増やさないと効かなくなる「耐性」ができてしまうのが深刻な問題。
同時に、使わないと「禁断症状」が強くなる。
【大麻】
中学生でも入手できるほど身近になってきている。クワ科の麻で、60種類以上のカンナビノイドという物質を含む。
中でも、最も強い精神作用を持つ「THC」は、体内に入ると「幻覚作用」を起こす。
大麻は3種類に分類され、最も一般的なのは「乾燥大麻」。ほかに「大麻樹脂」「液体大麻」がある。
作用
・時間、空間の感覚が変わる。
・幻覚が見える。
・耐性ができやすく、使用頻度が増える。
・肺がん発症に関わる「発がん性物質」のタールが、大麻タバコ1本で、紙巻20本分という報告がある。
・不妊の原因になる。
「ゲートウェイ理論」「ゲートウェイ・ドラッグ(入門薬物)」
一度、大麻を使うと、より強い他の薬物使用の入口になる。
【覚せい剤】
アンフェタミン、メタンフェタミンの2種類ある。
作用
・疲労感、倦怠感、眠気がなくなる。
・過剰な自信が出る。
・効果が消えると、悲しくなり、だるくなり、筋力が低下する。
・幻覚、妄想が見える。「覚せい剤精神病」
・クスリから脱却しても、ちょっとした心理的ストレスで、「覚せい剤精神病」と同様の症状が出る。
→「フラッシュバック現象」感情、痛み、ニオイ等が引き金となって、記憶が鮮明によみがえる。
【コカイン】
南アメリカ原産の植物コカに含まれる成分。心理的な依存が強くはたらく。
葉を噛むと軽い興奮状態、鼻から吸引すると依存性は高まる。静脈注射はさらに依存性は高い。
「覚せい剤」は作用時間が長く、「コカイン」は比較的短いため、耐性がすぐつき、使用頻度が多くなりコントロール不能になる。
作用
・末梢性の知覚麻痺、中枢刺激作用で気分が高まる。「コカイン酩酊」
・誰かに追いかけられているような感じる。「追跡妄想」
・嫌がらせ、危害を受けていると思い込む。「被害妄想」
「アンヘドニア」
なにをしても楽しいと思えない無快楽症。
【カフェイン】
コーヒー、お茶、チョコレート、ココアに含まれる(どれも大好き
天然由来の有機化合物。
作用
・覚醒、興奮、強心、利尿、脳血管収縮、心血管の拡張(医薬品にも使われる
・不眠、めまい等の副作用もある。
・過剰摂取すると「カフェイン中毒」「カフェイン症」と呼ばれる。
【幻覚薬】
幻覚をもたらす薬物。例:ナツメグは、大量に使い過ぎると大麻と似た幻覚症状になる/驚
「マジックマッシュルーム」など、2002年「麻薬原料植物」に指定され、栽培・販売が禁止された
「合成麻薬」(LSD、MDMAなど)
作用
・瞳孔が開き、体温や血圧が上昇、筋力が低下。
・「バッドトリップ」というパニック状態、錯乱状態、抑うつ状態になる。
・覚せい剤と同じ「フラッシュバック現象」がおきる。
【ニコチン(タバコ)】
ニコチンの微量が肺に入り、血液とともに体内を回る。
2002年「健康増進法」で「受動喫煙」防止がはかられた。
作用
・心臓循環器系、消化管、気管支、副腎髄質、胃の収縮力減少、吐き気、嘔吐、食欲低下など。
「受動喫煙」
タバコを吸ってる人の周りにいる人も、自分の意志と関係なく煙を吸ってしまう。
【シンナー】
なにかを溶かす時に使う有機溶剤。例:接着剤、ペンキなど
1970年頃「シンナー遊び」(シンナーを入れた袋をアンパンと呼んだ)が流行ったため、
「毒物及び劇物取締法」が改正され、シンナーの販売規約が厳しくなった。
1990年代には、ライターの補充用のガスを使用した「ガスパン遊び」が流行った。
作用
・頭がボーっとする。頭痛。意識障害。無気力、幻覚。
・脳神経が冒され、中毒性の精神病になる。
・酸欠状態になり、脳に影響を与える。
【鎮静睡眠薬】
不眠で飲む市販薬、処方薬、抗不安薬にも含まれる。
法律上のルールはあっても、禁止されてはいない。
鎮静睡眠薬には、いろんな種類があり、鎮静効果のあるものを「バルビツール系」という。
短時間しか効かないものは乱用されにくく、長時間作用するものは効いてくるのが遅いため、最も乱用されるのは中時間作用するもの。
服用後、20〜40分で鎮静・睡眠効果が表れ、4〜6時間続く。
「ベンゾジアゼビン系」
短時間、中時間、長時間作用がある。アルコールと一緒に飲むと危険
元々、不安、緊張、抑うつ、不眠などに使用するが、乱用すると耐性がつき、効かなくなり、使用回数や量が増えることで体への影響が出る。
40〜50歳代に多く、専門職、技術職、事務職に多い。人間関係や仕事のストレスが原因。
クスリが「非合法」ではないため、罪悪感が薄くなる。
乱用が増えたその他の原因
・若者の間でも、精神科に通う人が増えた。
・精神科、メンタルクリニックが以前より通院しやすくなり、鎮静睡眠薬が手に入りやすくなった。
「オーバードース」
処方量を超えて飲むこと。大量服薬、過量服薬ともいう。
厚生労働省が「過量服薬」について、「向精神薬等の過量服薬を背景とする自殺について」2010年6月24日を発表。
【リタリンとコンサータ】
精神科の処方薬で社会問題になった。
リタリン
「中枢神経興奮剤」と呼ばれる。もとはうつ病、抑うつ神経症、ナルコレプシーの治療薬として処方される薬。
依存性が高いため、用法・用量をきちんと守ることが必須だが、2007年10月から、うつ病にリタリンは処方されなくなった
急に服用をやめるとパニック状態になったり、うつ状態になりやすく、自殺願望につながる。
コンサータ
リタリンの代わりに認可された。子どものADHD(注意欠如多動性障害)にも処方される。
だが、乱用、依存症の危険性はリタリンと同じため、大人のADHD、うつ病患者にも処方されなくなった。
●薬物に関する意識調査
関西の4つの大学が2009年4月に入学した1年生を対象に行った調査で、
有効回答者数1万9313人のうち、「大麻を見たことがある」と答えたのは700人だった。
また、「大麻の入手は少々苦労するが手に入る」は3200人、「カンタンに手に入る」は1447人いた。
●なぜ薬物依存は増えたのか?
覚せい剤について、警察庁が毎年統計を出している。検挙数は一定しているが、押収量は増えている。
以前は暴力団関係者など「特種」な人たちに流通していたが、今はより広まっていることを表す警察統計。
押収量が減っているのは、最近、個人が少量を持っているせいではないかと考えられる。
抱えている悩み事を家族や友だちに言えない、自分を大切にしていない、
家族、友だち関係に対して愛着や信頼が薄らいでいるという原因もある。
「虐待」
親は“しつけの範囲”と思っていることが多く、虐待を受けている子どもも他の家庭と比較できず、“これが普通?”と思って耐えている。
友人、先生、児童相談所に自ら通報することは稀。相談するのは難しい状況。
薬物について正しい知識を持つことが、まず大切。