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自選作品集 文春文庫『月読』 山岸凉子/著 文藝春秋

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2019年新装初版

「マンガ感想メモリスト1」カテゴリー内に追加します

先日読み直した『古事記』のストーリーが出てきてリンクしたけれども
山岸さんの大胆な解釈にビックリ!!



【内容抜粋メモ】

■天沼矛 あめのぬぼこ

●夜櫻
いつも一人ぼっちで寂しい神さまがいた





イザナミとイザナギが使った矛で水沼をかきまわし
美しい少女が生まれるが、蛇神の姿を見て「恐い 恐い」と泣く





己の姿を恥じて、花霞の帷に隠れてしまい、病となる

少女は1人で寂しがり「夜がキライ 桜がキライ」と泣く
孤独の苦しさが人一倍分かる蛇神は
かがり火で桜の樹を焼き払うよう言う

夜明けとなるが、自らの身を焼いて苦しむ様を見て
水の代わりに乳をかけると、白い肌がよみがえり
蛇神は美しい若者となり、2人は結ばれる



●緋櫻
サエコの結婚を機に実家の庭に新居を建ててくれることになり
見事な桜の木を切ることになる

サエコの両親は亡く、育ての母は、実母の妹
夫の駿も再婚で、男児は元妻のもとに引き取られている

桜の木を見ると、子どもの頃に映画かどこかで見た
丑の刻参りを思い出すと話していると
庭の桜からたくさんの五寸釘が出てきて驚く







子どもの頃に見たのは、母の姿だったと思い出し
駿との結婚に不安がよぎる



●薄櫻
小6の夏、肺の病で療養所に入った少年
同じ部屋に入院している似た年ごろの男の子らは
近くの墓地から人魂が来て、それを見たら長く居着くという噂があると聞いて不安になる

窓際の荒雄はもう2年いて、何度も人魂を見ている

年越し、みんなは一時帰宅するが、家が料理屋の少年は帰宅できずに泣いていると
荒雄がクリスマスパーティーを開いてくれて楽しく過ごす

春になると、みんな退院したが、少年は人魂を見てしまい慄く
荒雄は少年をなぐさめ、自分はより病状の進んだ病棟に移ると告げる





その後、少年は退院して、窓の人魂を見た時、荒雄だと思う
その後、荒雄の死のしらせを受ける



■月読 つくよみ
夜中にシビト守りをしている月読は、人々から見たら死ぬと恐れられている

姉のアマテラスは、やんちゃな弟スサノオに甘く
いろいろなイタズラをしても受け流すが
月読は忌み嫌う







弟に嫉妬し、姉を愛するあまり、自分の体に瘢痕を残すことでガマンしている




アマテラスに頼まれて、豊穣の神・保食神(うけもちのかみ)の新種を取りに行く





手伝いもいないのに、酒や食べ物がふるまわれ、どれも美味しいのを謎に思い
確かめると、口や尻などから食べ物を出しているのを見て
悪神と思い殺してしまう

その死体からあらゆる実りが出るのを見て仕組みを知る





アマテラスは月読を叱るが、本当は保食神を殺さねば新種は手に入らないことを
スサノオに明かす

アマテラス:
同じ天を司る月 いつ太陽にとってかわるか油断できない
おまえは乱暴で気ままな風 私を裏切ったりしない

月読が謝りに行くと、姉弟のあらわな姿を目撃し
逆上して、スサノオの馬を殺して、投げ入れ、騒ぎになり人が集まる

アマテラスはスサノオが襲ってきたとウソをつき、洞穴にこもってしまう
姉の弟への愛はその程度かと思い、葦原北国に降りたが
姉の姿を思い出してはモヤモヤする



■木花之佐久夜毘売 このはなのさくやひめ
典子の名前は、天才の姉・咲耶がつけたことが自慢の父





姉は名門校に入るが、妹には三流校が良いと押し付けたせいで
典子は普段から派手な服を着て、親の言うことを聞かなくなる

登校の時、電車でいつも痴漢に遭い、助けてくれた青年がいた
合コンの帰りに酔っ払いのオヤジにからまれた時も同じ青年が助ける






父を訪ねに来て、再会する

飛渡:
僕の名前は圭というが、死んだ兄と同じだと後で知った時はショックだった
君の名前の由来を聞いた時、ひっかかっていた
その名前には君がいない





初めて理解者が現れて号泣し、それからいろんな話をするようになった典子は
東京の大学に行く飛渡を追って、家を出ることで自由になる







■蛭子 ひるこ
イザナギとイザナミが最初に生んだ神は、骨のない子で
葦に乗せて流し棄てた

里見は上京して一人暮らしを始める際、親に言われて遠縁を訪ねると
“ポーや風・木”のような美少年の春洋(はるみ)と出会う

その後、雨に濡れてアパートで待っていた春洋が可哀想で
ひと晩泊めてあげるが、引き出しに入れた小銭がないことに気づく





好きなS先輩らと出かける前日にも春洋が泊まりに来て
連れてってと頼むがさすがに断る

帰宅すると、いつもジャマだった自転車が壊されている

臨時収入が入り、友だちを呼ぼうとしていた時も来て
学校でいじめられていて、小遣いをとられたという理由で
お金を貸して欲しいとせがまれ
せっかくの臨時収入もパーになる







その後、家賃のための万札が1枚ないと気づく
次に2万円貸してと言われて、断ると、
ドアの前に引き裂かれた猫の死体がある!

春洋が来ても怖くてドアを開けないと、嫌がらせが続き
母親に言うと、そんなことをするはずがないと全く信じない





里見がいない間に合鍵を作っていた春洋は、チェーンも外して入ってくる

コワイ、コワイ!!



■蛇比礼 へみのひれ
ヤマトトトヒモモソヒメはオオモノヌシの妻となるが
昼は見えず、夜しか来ないので、顔が見たいと頼むと
蛇だと分かり、怖がると、恥をかかせたと怒り、三輪山に去る







妹が異常分娩で亡くなった後
夫の相馬は子ども虹子を連れて行方不明になっていたが
相馬の死亡通知が来て、8歳の虹子を引き取って欲しいという手紙がきた

虹子にはウロコがあったという噂

一人息子の達也は受験に落ちて、扱いが難しい
黒い着物で虹子が来た時に、青白い首に思わずみとれる






食事は卵を飲むばかりで、母の恋人・平山にもすっかり甘えているのが気に食わない






虹子:
私はパパの子じゃないんですって
虹がかかるのは、龍が空へ昇る姿 だから虹と蛇は似てるでしょ







達也は日に日にやせ細り、平山は誰かと浮気していることに気づく母
家の中には鋭利なガラスの破片がいつも落ちている

(ここまでなっても、虹子のせいと疑わないのも変だな



■ウンディーネ
アオクビという鳥の写真を撮るために呼ばれた陸田
テントの中で1日中撮影するのも気にならないほど寡黙な性格

近くの小屋に寝泊まりしていると、沼で妖精ウンディーネを見る






それは髪の長い美しい女性が溺れている姿で
彼女を助けて、親しくなり、行子だと名乗り、近くの家に住んでいると話す







陸田は家族がいないと話すと

行子:
親のない子どもより、子どもを亡くした親のほうが可哀想だから
あなたはまだ幸せ

沼を怖がる行子だが、なんとかお願いして写真を撮らせてもらう
撮影が終われば帰京しなければと言うと泣く行子







肺炎で生死をさまよう陸田を上司が助ける
家に帰る日に、行子の家を訪ねると、そんな女の子はいないと言われる

以前住んでいた家族に女の子がいたが沼で溺死した
プロのカメラマンになって、もう一度行子を撮ると誓う陸田



■特別付録 小判日記




福島県浪江町から引き取ったコバン
猫に小判からとった名前w

来た時は5.5キロだったが、その後も9.5キロまでに成長!
毎日、庭に出ることでちょっとダイエットできた


■解説 そこに抑圧とエロスが 桐野夏生
長編の合間を縫うように描かれた短編の多さと
質の高さを知るファンはどれほどいるか
とくに30代以降は鳥肌が立つほどの傑作揃い

家族の中の抑圧とエロスというタブーを怖れずに描いた

「天沼矛」
蛇はエロスの象徴

「木花之佐久夜毘売」
典子は、姉の支配からなんとか逃れようとする
美しい妹と、堅苦しく優秀な姉
石長比売が木花之佐久夜毘売に復讐を果たしているかのような逆転物語

「蛇比礼」
蛇比礼とは十種神宝の1つだそう
比礼とは今のスカーフのこと

少女は人ではなく、エロスの象徴、白い蛇


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