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気をつけよう! 薬物依存 第2巻 身近にひそむ危険(汐文社)

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気をつけよう! 薬物依存 第2巻 身近にひそむ危険(汐文社)
渋井哲也/著

気をつけよう! 薬物依存 第1巻 乱用と依存(汐文社)

【内容抜粋メモ】

[前文]
フツーの子どもが、いきなり薬物依存になるわけではない。
また、問題を抱えている子どもたちだけの問題でもない。
薬物依存になる子どもたちの背景には、家族、学校、友人関係の問題が隠れていることがある。
孤立感、不安感、将来への希望のなさ、自信のなさなどが関係していることがある。


******************************薬物の入手ルート

薬物入手には「違法」なものと、市販薬のように「合法」のものがある。

覚せい剤

覚せい剤事犯の検挙人員は、全薬物事犯の8割を占める

初犯者は51.4%、暴力団構成員は53.2%、20歳未満は初犯者中の約5%、来日外国人は約3%。
検挙数が減らないのは、密輸事件が増えているから。
また、他の薬物と比べて、再犯者が多く、依存性が高いから。

ケース1:
2009年、覚せい剤「メタンフェタミン」をイランからイスタンブール経由で日本に輸出しようとして逮捕された事件。
覚せい剤は暴力団の資金源になる。

ケース2:
30代無色男性が交通事故でリハビリ中に吸引して有罪。被告人は学生時代にシンナー使用で補導歴あり。
仲間に誘われたら断れない性格だった。友だちとの関係を切りたくなりという気持ちも働く。
きっかけは「出会い系サイト」で知り合った男性に使用させられた。


「仲間はずれになりたくない」
覚せい剤事犯=外国人犯罪のイメージが強いが、全体の約3%と実は多くない。
1999年以降、大麻関係で摘発された最年少は13歳。

ルートは「仲間」→「密売人・外国人」


最初は友だちもしてるからという理由ではじめ、中毒になってしまう。
自分の心の持ちようだけでなく、周囲の人間関係をきちんとつくり上げることが大切。


「インターネットから」


ケース3:

2010年、女子中学生ら4人が大麻使用で補導・逮捕。学校は別々だが、出会いはケータイのアクセスサイトだった。
「複数のルートから買っていた」と供述。


「メディア・リテラシー」
メディアの情報をどう読み込んで、どう活かすかという意味。
ネット、新聞、テレビの情報でも「その情報は本当なのか?」という疑問が大切。


ケース4:
2010年、学校帰りの中学生に大麻を買わせようとした男性が逮捕された。
2006年には中学生2人に大麻を販売した少年19歳が逮捕された。彼は2人の中学の先輩だった。

もし問題が起きたら、親、先生といった大人、友だちにSOSを発信できるようにしよう。



******************************子どもの意識・実態調査

【中学生の意識・実態調査結果】
全国212校の全生徒を対象、回答数は133校、52,719人。
シンナー等の「有機溶剤」の生涯経験率は、男子0.9%、女子0.6%、全体で0.8%。

有機溶剤乱用者の特徴
・親との相談頻度、家族との夕食頻度が低く、大人不在での時間が長い。
・学校に馴染めず、友人関係が希薄な“居場所のない子どもたち”。

大麻の生涯経験率は、男子0.4%、女子0.2%、全体で0.3%。
覚せい剤の生涯経験率は、男子0.4%、女子0.2%、全体で0.3%。大麻と同じ。



シンナー遊びは大麻のゲートウェイ

Q:あなたは「シンナー遊び」をしている人をどう思いますか?
A:無関係。(男子68%、女子53.4%、未経験者は、男子96.6%、女子95.6%)

Q:大麻の入手は可能か?
A:絶対不可能。(未経験者の男子67.3%、女子68.5%)
  苦労するが可能。(未経験者の男子10.7%、女子11.3%)


つまり10人に1以上は「苦労するが入手できる」と考えている。

Q:覚せい剤の入手は可能か?
A:絶対不可能。(未経験者の男子67.8%、女子68.4%)
  苦労するが可能も大麻とほぼ同じ数値。

Q:「シンナー遊び」と「大麻」の両方経験したことがある。
A:男子20.6%、女子27%

Q:「シンナー遊び」と「大麻」は未経験。
A:男子98.7%、女子99.3%

ほとんどの人が「シンナー遊び」の経験がないと、大麻の乱用もしていないと分かる。
「シンナー遊び」は、入手もカンタンで、違法ではない。
そのため薬物乱用の罪悪感が低下し、大麻を勧められると断りにくい心理状態になる。
その後、より危険性の高い薬物に手を出す可能性も高まる。


「違法ドラッグ・脱法ドラッグ」
使用が法律で規制されている薬物。研究目的、鑑賞目的として入手が可能なため、実際は使用する場合がある(鑑賞目的ってなに???
2005年、厚労省は「脱法ドラッグ」の対策をはじめた。
使用目的がウソなら、薬事法違反であることから「違法ドラッグ」と改名し、2007年の「薬事法改正」で「指定薬物」に指定した。
(あれ?今また「脱法ドラッグ」て呼ばれてるよね。



【高校生の意識・実態調査結果】
関東地方の高校2校で、1094人を対象。

Q:身近に薬物乱用者はいるか?
A:男子4.2%、女子5.1%

Q:薬物乱用に誘われた経験はあるか?
A:男子4.2%、女子3.2%
もっとも多いのは大麻2.4%、有機溶剤2.3%、覚せい剤2.1%。

Q:薬物を経験したことがあるか?
A:男子0.7%、女子0.4%
もっとも多いのは有機溶剤0.5%、大麻、覚せい剤0.1%、不明0.3%。

薬物依存には、鎮静睡眠剤などの向精神薬も含まれる。
その受診歴は4%。今も受診しているのは25.6%。
もっとも多いのは、睡眠薬、精神安定剤60%(複数回答)。


処方薬もゲートウェイになりうる危険性がある



【大学生の意識・実態調査結果】
2008年、健康関連科目履修者421人中回答者376人が対象。

Q:メンタルヘルスの受診状況
A:精神科、心療内科、神経内科等4.5%、そのうち11.8%は今も治療中。

Q:身近に薬物乱用者はいるか?
A:男子11.5%、女子6.6%(高校生の2倍
内訳は、有機溶剤4.9%、向精神薬3%、大麻2.2%、覚せい剤1.1%。

Q:回答者本人の乱用経験
A:男子0.8%、女子0.4%(高校生とほぼ同じ
内訳は、大麻0.5%、有機溶剤0.3%。

友人やイベントを通じて、誘われ、吸引してしまうことが想像される。
薬物乱用のリスクが高い人ほど、起床・就寝のリズムが不規則、昼夜逆転の頻度も多く、生活習慣が関係している。


大学生のコミュニティサイト「LinNon(リノン)」の2008年調査。サンプル数は465人。

Q:大麻を使ったことがあるか?
A:ある。3.4%

Q:大麻を使っってみたい気持ちがあるか?
A:非常にある+少しある。10.7%

Q:身近に大麻を使った人がいるか?
A:いる。17%


「ブラックアウト」
多量飲酒により、一時的に記憶をなくすこと。飲み始めの記憶はあるが、いつの間にか家で寝ていたなど。
ブラックアウトを繰り返し、心臓発作で亡くなるケースもある。
飲酒の頻度、喫煙者に乱用リスクが高い。

「アルコール・ハラスメント」


飲めない人に飲ませる、イッキ飲みをさせるなど。
アルコール・ハラスメントの被害者は、薬物乱用のリスクが高い。
友人・知人の強制で、薬物を勧められて断れない。


●親との関係
両親との関係性がよいほどリスクが低いという結果がある。


******************************薬物乱用・依存による危険


薬物乱用・依存では、自分を大切にしない行為が目立つ。
10代での飲酒、喫煙、バイクなどの危険な運転、摂食障害、自傷行為など。


【摂食障害】

拒食症
自分に自信がない傾向がある。健康的なダイエットの範囲を超え、食べないことだけで体重を減らそうとする。
目標をクリアしても、再び、目標を作り、痩せること自体が目的になってしまう。

過食症
きっかけの多くはダイエット。不健康な方法で食事制限した反動で、食べ過ぎる習慣になる。
食べたい衝動が抑えられず、短時間で大量に食べてしまう。


ダイエット目的で覚せい剤を使用


覚せい剤には食欲を抑える効果ががあるため「痩せるクスリ」などと呼ばれる。
しかし、これは「食べる意欲をなくしている」だけで、クスリが切れれば、過食症、薬物乱用につながる。


向精神薬、アルコールをともなう摂食障害
強い自己嫌悪間を消そうとして、大量に摂取→嘔吐を繰り返す「過食嘔吐」が多い。
その後、事故死のような自殺にいたることもある。


痩せる=キレイ?


イメージを作っているのはメディアからの情報。それを受けとる側も価値観を単一に見てしまう。
社会には、そうしたイメージのプレッシャーが常にある。
(そーなんだよ! 社会の常識、メディアの情報は、半分ウソだくらいに思って、自分でよく考えないとね。


背景にある差別と偏見
ダイエットが社会的評価に関係している。
(隣国では、痩せて、キレイなほうが、同じ能力でも就職に有利などと公然と言われたり、
 ファッションモデルが、たとえ数グラム増えたくらいで契約を切られてしまうとか、信じられない現実が実際にあるんだ

摂食障害に陥る人は「寂しい」「認められたい」「自信をつけたい」などの欲求から、過度に体型をコントロールしてしまう。



【自傷行為】
自分を傷つけること。死ぬことが目的ではなく、目的は「自分を傷つけ」、
怒り、苛立ち、悲しみ、孤独などの気持ちの代弁として行われる。

「リストカット」手首、腕、胸、内股などをカッターで切る。
「オーバードース(OD)」大量服薬、過量服薬。

薬物乱用・依存も自傷行為といえる。
感情をコントロールできず「自傷他害」になることもある。

精神科の通院者も、処方薬を指示以上に飲んで酩酊状態→自傷行為をすることがある。
この場合、処方薬にも自傷行為にも依存している。


【自殺】
薬物が手に入らないと「禁断症状」で生きているのが辛くなり、自殺願望を助長する。
不快感、不眠、イライラ感、うつ病など精神障害を発症することもある。
薬物が引き起こす衝動により、ネガティヴな気持ちから解放されたくて、徐々にココロの問題を悪化させる。

人間関係も大切だが、薬物との断絶は自分の力でしなければならない。


アルコールと自殺の関係
アルコールなどは、日本で入手しやすい
アルコール消費量と自殺率に関する調査で、「飲まない人」は「ときどき飲む人」より自殺リスクが高い。
しかし、「1日2.5合以上飲む人」は自殺リスクが高まる、という結果が出た。
(うーーーん・・・適量に飲むほうが、ココロは安定するって助長に聞こえるけど?


精神科医療の質を向上させる
とくに、思春期の子ども達の問題は、医療側が理解できないことも多い。
カウンセリングの充実、教育、福祉、医療スタッフの緊密な連携も必要



******************************薬物乱用・依存と問題行動


【他害行為】
他人に対して暴力を振るったり、犯罪に関連する問題を起こすこと。
薬物乱用が他害への入り口になりやすいといわれる。


【家庭環境】


両親間の問題、子どもの「過放任、過干渉」が要因になることが多いという研究結果もある。
また、「幼少期の虐待体験」が薬物使用を促進するという報告もある。

幼少期の虐待体験や両親の威圧的態度、過干渉は、両親への不信感となる。
自分を認めてくれないという「自己肯定感」もない状態に陥る。
大人への信頼感が希薄となり、大人のメッセージは説得力を失い、反発、無関心につながる。

しかし、すぐ薬物乱用・依存になるわけではない。
その前には、夜遊び、無断外泊、プチ家出、性的交遊、万引き、飲酒、喫煙などが見られる。
大人が作った社会的なルールに反抗することでもある。

「倫理観がない」と判断されがちだが、当事者は「大人社会が作ったルールこそ表面的だ」と思っている。
そして、問題を起こす「仲間たち」に信頼感を持つようになる(なんだか分かる・・・



男性の場合、不良集団、暴走族、暴力団などに属している人ほど、薬物乱用者が多い。
女性の場合は、異性との交際の中で薬物を使いはじめるケースが多い。とくに若いほど、密接に関係している。


【HIV、C型肝炎との関係】


覚せい剤の注射による経験者で、HCV(C型肝炎ウイルス)の抗体陽性率が高い研究結果が出ている。
HCVの感染ルートは血液。注射の回し打ちによる感染の可能性が高まる。


「身近にひそむ危険」
日常生活と薬物は遠い存在に感じている人も多いが、市販薬、処方薬も使用方法によっては危険性を含んでいる。



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