昭和44年初版 塚原亮一/訳 鈴木琢磨/挿絵 松本はるみ/装丁デザイン
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
中世の城で、海賊が奪い取った戦利品で富を得ている一族っていうだけでも想像を越えるが
一族の名前を継ぐために翻弄された猟師の息子リュカの物語は
はるか海を越えて、アフリカの伝説まで及び
読んでいて、何度も驚きで息を飲み
格調高い文章にすっかり魅入られて、映像が目の前に浮かび上がる気がした
こうした長編に人生で何回出会えるか
【内容抜粋メモ】
登場人物
リュウ伯爵家
ボードワン・ド・リュウ伯爵
リュック 双子の兄 跡継ぎ
マリ・アンジュ 双子の妹
ボワギニエ 執事
ルナルド号船長 モルドオ
砲台甲板 メルビュ
城の狩猟長
父 レオナール(アントワーヌ)・ゴー・ド・トゥヴァン
母 ベルナルド
息子 リュカ 15歳
キクユー部落の部族の酋長で魔術師のウンガオ
●リュウ伯爵家
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ボードワン・ド・リュウ伯爵は100歳の老貴族で盲目に近い
伯爵の執事ボワギニエは、魔術を使うとも言われ、リュカに読み書きを覚えさせた
リュカはカシの大木から海を見たり
バラの花摘みをするマリ・アンジュを見るのが好きだった
双子の兄で跡継ぎのリュックと一緒にいるのを見たことはない
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父レオナールは城の狩猟長で、猟師、猟犬の監督を任されている
40頭もいる猟犬の声をすべて聞き分けることができる
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●雪の夜の客
冬のある晩、黒い大イノシシが家に来る
耳には金色の輪がついている
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父は貴族をもてなすようにふるまい
銀の大皿にジャガイモとダイコンのシチュウを盛ると
大イノシシは貪り食う
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リュカはその獣が以前はリュウ伯爵家の身内だったに違いないと思う
父は大イノシシに城の様子を語る
ある年、海の事故で長男が船とともに沈んだこと
妻は嘆きのあまり双子を生んで亡くなったこと
伯爵が城から追い出した「名なしの若様」と呼ばれる次男が戻ったところを番人が見たこと
教会の戸籍簿には「けだもの」と記録されている
ボワギニエの魔力で獣にされてしまったのだろうか
そのボワギニエが来るのを聞いて、大イノシシは家を出る
ボワギニエ:
リュカのことで相談に来た
伯爵はリュカが必要だ
明日の朝、城に連れて来なさい
●城につかえて
城に入ると、老伯爵が肘掛け椅子に座っている
リュウ伯爵:
「人生と歩調を合わせることを学ぶべし」という言葉がある
まず手始めに苦行をやらせてみろ
リュカはタカと一緒に1週間以上部屋に閉じこめられ、飼育に成功する
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やがて城の生活にも慣れ、リュックとともに猟に出かけ
毎回、老伯爵に猟の様子を細かく報告する
老伯爵は興奮して「そら、かかれ!」と大声を出す
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伯爵家の権勢と名声を刻む武具には
「地球は汝のもの」と刻まれている
食事の際は、給仕をして、口に食べ物を運ぶリュカ
●星座燈に火をともす
老伯爵は富をもたらす2隻のフリゲート艦の航海を城の中から指図した
1隻はマルタン船長が指揮するベル・ラ・ルーブ(オオカミ姫)号
1隻はモルドオ船長が指揮するルナルド(めギツネ)号
伯爵に運ばれる黄金は、すべて2隻の海賊船が相手から略奪したものだった
ボワギニエは星座燈に火をともす
1つ1つのロウソクは、それぞれ星を表している
青い羊毛の布を広げ、2隻にそっくりな模型を浮かべる
ボワギニエ:見えます 大しけです 黄金が見えまする
長男が乗るジェルフォ号が沈没した時も、1週間前に伯爵は知っていたという
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●底なし沼で
父は狩猟長の仕事の一部をリュカに分けた
大人でも難しい黒イノシシ狩りに向かうリュックに同行する
ボワギニエ:若様をお守りするのだぞ
足跡を追い、遠くで角笛が鳴り響き、森に犬が放たれる
堂々としたイノシシがやぶから飛び出す
リュカはその1頭が、あの晩の大イノシシだと分かる
大イノシシはリュックの槍にかかり、正式に記録させたいと願っていた
リュックはイノシシに槍を突き刺す
大イノシシ:プラナスのゴーの息子よ ひと思いにやってくれ
リュックが短剣でとどめを刺す
おとぎ話では、魔法で獣に変えられた者は、死ぬ時に元の姿に戻ると言われる
リュック:これは、ただの獣ではなかった・・・
気を失ったリュックを起こし
リュカ:私はあなたを愛している貧しい奴隷です
リュック:
僕はお前が好きだよ ぼくのリュカ 城に来た時からずっと
誰にもこのイノシシのことを話してはいけない
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●森の誓い
大イノシシの耳輪のダイヤモンドは伯爵に渡し
伯爵はボワギニエに命じて、井戸に投げ込ませた
伯爵:貪欲に獲物を漁れ 貪欲に栄光を求めよ
最後のオオジカ狩りの日
鞍から投げ出され、切り株で腿に深い傷を負い
傷に気づいたリュックは包帯で巻く
リュック:
リュックと呼んでくれ リュカ いつかはお前にも分かるよ
海に出たら長いこと帰れないが、僕の言ったことを忘れないと約束してくれるね
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伯爵:
モルドオに命令できる者をつけてやろう
あれも15歳だ わしが初めて海に出たのも15歳
わが家の掟に従うのだ
ボワギニエはリュックにリュカを同行させることを提案する
リュックの代わりにマリ・アンジュが猟に出て、リュックと変わらぬ活躍をする
●リュウ家の秘密
ボワギニエ:
もうこの子に話してもいいぞ
“城のことは城の中だけ”と覚えておけ
父はリュカにリュウ伯爵家の秘密を話す
マリ・アンに女児が生まれたが、跡継ぎを欲していた老伯爵は絶望した
ボワギニエは90歳の伯爵が生きている間だけ喜ばそうと
子どもは双子で、もう1人は男児だったと言い、同じ赤ん坊を二度見せた!
マリ・アンジュは時々、男子の服を着せてリュックを演じた
父:
この見せかけを、老伯爵がこの世におられるかぎり続けなくてはならない
お前がリュックさまになりかわり、海に出るのだ
母:この子は幸福にはなれませんわ
伯爵:幸運は、機会をとらえる者に恵まれるものだ
ブルアージュ港に着き、父と別れる
父:リュカ、勇気を出すんだ
●モルドオ船長
水夫は40人 モルドオ船長はリュカがリュックになりすましているわけを知っていた!
いつでもリュカを船から追い出そうと計画していた
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リュカの唯一の友だちは砲台甲板のメルビュ
大砲マリ・ルイズを愛猫や理想の女性のように扱う
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ある夜、セントエルモの火が現れ
リュカは勇気を見せるためにマストにのぼり瓶に詰める
モルドオに渡すと怖れて海に投げ込み、同時にいなずまが瓶に落ちる
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ルナルド号は船を根こそぎ沈没させて略奪した
水夫は血で滑らないように甲板にシャベルで砂をかける
ひっかけ鉤を相手の船にかけて乗り込み、導火線をつける役についたリュカ
ルナルド号が活躍した北方艦隊がフランスを飢えから救ったことを後で聞く
ブルアージュに戻ると、父は猟でイノシシに噛まれて即死し
母も悲しみで亡くなったと知る
●死にゆくものの言葉
ボワギニエ:
伯爵は立ったまま死のうと決心されている
もう一度、あなたのお姿を見たら死ぬことができるのです
老伯爵:
わしはお前に満足している
ボワギニエもただの平民にすぎん
聞け、リュカ(!) 家名は続けなければならぬ
おまえは、わしがよいというまでリュックの名をになうのだ
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マリ・アンジュ:
王さまにウソをつく権利はない
私が本当のことを打ち明けた
私たちの心は結びついているのよ
マリ・アンジュはリュカを宮殿に連れていく
その道中で、盲目の男が歌う歌が耳から離れない
♪
かなしき殿のかなしき最期よ
一本の木の兄となるとは
飢えとかわきに首くくられて
白い木の手は 女の手 妹の手
いやしいカラスは食いつくす
兄の心を 心臓を
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パリの国王に拝謁すると
国王:
わがフランスのためにあの男に航海を続けさせよ
はたらきを示した時に爵位を与えよう
●モルドオのたくらみ
また長い航海に出て、リュカは一人前の船乗りになった
モルドオはアフリカの沿岸に船を向ける
モルドオ:
運と機会が私のいちばんの相談相手です
富を求める紳士にとって、名誉は善悪、表と裏がある
彼は偉大な船長だが、実力にふさわしい地位につけず
不公平な目に遭っているという思いに生涯悩まされたゆえに
高い地位に憧れていた
モルドオ:
アフリカ、偉大な大陸よ
すべてはみんな大空の星で決まるのです
今夜ほど征服への気持ちに駆られたことはない
原住民を従えて、壮大な黒人の王国をうちたて
私は中心地をおさめる王となるのだ
ルナルド号は2週間、川をさかのぼる
黄金探しの探検の最初に行動したのはリュカとメルビュ
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3日間歩き続け、ジャングルの奥地に達する
動物の女王であるヒョウへの生贄にされた裸の黒人少女が
カモシカの背に乗せられて走るのを見る
●メルビュの最期
ライオンがメルビュに襲いかかる
メルビュ:モルドオ船長 私はいつもご命令のままに・・・
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亡骸を土に埋め、草を食べ、シマウマの乳を飲んで歩き続け
ようやく川に着くと、モルドオはリュカを置いて船を出していた
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●魔の山のふもと
ジャングルを横断し、疲れが頂点に達した頃、精霊の住む山の頂上に着く
いろいろな動物に導かれて歩くと、矢が飛んできて黒人が群がり、リュカは気を失う
気づくと、黒人たちがひれ伏している
「リュック!」と名を叫ぶと、こだまが戻る
リュカは“白いけもの”として神のように祀られ
1本の大きな木で暮らす
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キクユー部落の部族の酋長で魔術師のウンガオ:パト キトゴ と繰り返す
「さようなら、また会う日まで」という意味
リュカはこの地で「アニオク」と呼ばれる
最初は洞穴に閉じこめられ、毒薬のようなものを飲まされる
祭りの日、伝説の一角獣を頭につけたサイが現れ、みんなは踊る
●不幸な兄妹の伝説
ウンガオ:アニオカのことを思い出してごらん お前の妹なのだよ
昔、このあたりは角の黒いサイがおさめていた
精霊は命令が果たされないと、部落に罰を与える
ウンガオの妻は双子を産み、女の子は美しく、男の子はサイだった
キクユー族は一角獣の子どもを飢え死にするにまかせたが
メスのサイが乳を与え、妹は兄に肉を与えた
兄:どうして僕は獣なのだろう
昔からの風習で猟をしてはいけない時期になり
飢えた兄は暗闇から出たいと妹に切願する
妹は兄を連れて太陽のもとに出ると、兄は妹と知らずに角で突き殺す
こうなる運命を知っていた妹は、その体が大きな木になる
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兄が「アニオク」と叫ぶと、こだまは「アニオカ」と答える
アニオクは姿を消したが、また木に戻るという予言がある
●城にもどって
リュカはウンガオを説得し、妹とともに必ず戻ると約束して
コルブェット艦に乗り故郷へ帰る
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モルドオは航海中に死んだ
その後、海上で貿易や戦闘をして尊敬を得て
マリ・アンジュと結婚し、幸福に暮らした
■訳者あとがき
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ルネ・ギヨ
1900年フランス生まれ
フランス児童文学を代表する作家
25年間アフリカで暮らした
動物文学の第一人者
50歳で作家になった
『象の王子・サマ』ほか
本作の特徴
1.想像力の豊かさ
小説は「ウソによって真実を伝えるもの」と言われる
2.心理小説
3.独得な詩的表現と描写
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※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
中世の城で、海賊が奪い取った戦利品で富を得ている一族っていうだけでも想像を越えるが
一族の名前を継ぐために翻弄された猟師の息子リュカの物語は
はるか海を越えて、アフリカの伝説まで及び
読んでいて、何度も驚きで息を飲み
格調高い文章にすっかり魅入られて、映像が目の前に浮かび上がる気がした
こうした長編に人生で何回出会えるか
【内容抜粋メモ】
登場人物
リュウ伯爵家
ボードワン・ド・リュウ伯爵
リュック 双子の兄 跡継ぎ
マリ・アンジュ 双子の妹
ボワギニエ 執事
ルナルド号船長 モルドオ
砲台甲板 メルビュ
城の狩猟長
父 レオナール(アントワーヌ)・ゴー・ド・トゥヴァン
母 ベルナルド
息子 リュカ 15歳
キクユー部落の部族の酋長で魔術師のウンガオ
●リュウ伯爵家

ボードワン・ド・リュウ伯爵は100歳の老貴族で盲目に近い
伯爵の執事ボワギニエは、魔術を使うとも言われ、リュカに読み書きを覚えさせた
リュカはカシの大木から海を見たり
バラの花摘みをするマリ・アンジュを見るのが好きだった
双子の兄で跡継ぎのリュックと一緒にいるのを見たことはない

父レオナールは城の狩猟長で、猟師、猟犬の監督を任されている
40頭もいる猟犬の声をすべて聞き分けることができる

●雪の夜の客
冬のある晩、黒い大イノシシが家に来る
耳には金色の輪がついている

父は貴族をもてなすようにふるまい
銀の大皿にジャガイモとダイコンのシチュウを盛ると
大イノシシは貪り食う

リュカはその獣が以前はリュウ伯爵家の身内だったに違いないと思う
父は大イノシシに城の様子を語る
ある年、海の事故で長男が船とともに沈んだこと
妻は嘆きのあまり双子を生んで亡くなったこと
伯爵が城から追い出した「名なしの若様」と呼ばれる次男が戻ったところを番人が見たこと
教会の戸籍簿には「けだもの」と記録されている
ボワギニエの魔力で獣にされてしまったのだろうか
そのボワギニエが来るのを聞いて、大イノシシは家を出る
ボワギニエ:
リュカのことで相談に来た
伯爵はリュカが必要だ
明日の朝、城に連れて来なさい
●城につかえて
城に入ると、老伯爵が肘掛け椅子に座っている
リュウ伯爵:
「人生と歩調を合わせることを学ぶべし」という言葉がある
まず手始めに苦行をやらせてみろ
リュカはタカと一緒に1週間以上部屋に閉じこめられ、飼育に成功する

やがて城の生活にも慣れ、リュックとともに猟に出かけ
毎回、老伯爵に猟の様子を細かく報告する
老伯爵は興奮して「そら、かかれ!」と大声を出す

伯爵家の権勢と名声を刻む武具には
「地球は汝のもの」と刻まれている
食事の際は、給仕をして、口に食べ物を運ぶリュカ
●星座燈に火をともす
老伯爵は富をもたらす2隻のフリゲート艦の航海を城の中から指図した
1隻はマルタン船長が指揮するベル・ラ・ルーブ(オオカミ姫)号
1隻はモルドオ船長が指揮するルナルド(めギツネ)号
伯爵に運ばれる黄金は、すべて2隻の海賊船が相手から略奪したものだった
ボワギニエは星座燈に火をともす
1つ1つのロウソクは、それぞれ星を表している
青い羊毛の布を広げ、2隻にそっくりな模型を浮かべる
ボワギニエ:見えます 大しけです 黄金が見えまする
長男が乗るジェルフォ号が沈没した時も、1週間前に伯爵は知っていたという

●底なし沼で
父は狩猟長の仕事の一部をリュカに分けた
大人でも難しい黒イノシシ狩りに向かうリュックに同行する
ボワギニエ:若様をお守りするのだぞ
足跡を追い、遠くで角笛が鳴り響き、森に犬が放たれる
堂々としたイノシシがやぶから飛び出す
リュカはその1頭が、あの晩の大イノシシだと分かる
大イノシシはリュックの槍にかかり、正式に記録させたいと願っていた
リュックはイノシシに槍を突き刺す
大イノシシ:プラナスのゴーの息子よ ひと思いにやってくれ
リュックが短剣でとどめを刺す
おとぎ話では、魔法で獣に変えられた者は、死ぬ時に元の姿に戻ると言われる
リュック:これは、ただの獣ではなかった・・・
気を失ったリュックを起こし
リュカ:私はあなたを愛している貧しい奴隷です
リュック:
僕はお前が好きだよ ぼくのリュカ 城に来た時からずっと
誰にもこのイノシシのことを話してはいけない

●森の誓い
大イノシシの耳輪のダイヤモンドは伯爵に渡し
伯爵はボワギニエに命じて、井戸に投げ込ませた
伯爵:貪欲に獲物を漁れ 貪欲に栄光を求めよ
最後のオオジカ狩りの日
鞍から投げ出され、切り株で腿に深い傷を負い
傷に気づいたリュックは包帯で巻く
リュック:
リュックと呼んでくれ リュカ いつかはお前にも分かるよ
海に出たら長いこと帰れないが、僕の言ったことを忘れないと約束してくれるね

伯爵:
モルドオに命令できる者をつけてやろう
あれも15歳だ わしが初めて海に出たのも15歳
わが家の掟に従うのだ
ボワギニエはリュックにリュカを同行させることを提案する
リュックの代わりにマリ・アンジュが猟に出て、リュックと変わらぬ活躍をする
●リュウ家の秘密
ボワギニエ:
もうこの子に話してもいいぞ
“城のことは城の中だけ”と覚えておけ
父はリュカにリュウ伯爵家の秘密を話す
マリ・アンに女児が生まれたが、跡継ぎを欲していた老伯爵は絶望した
ボワギニエは90歳の伯爵が生きている間だけ喜ばそうと
子どもは双子で、もう1人は男児だったと言い、同じ赤ん坊を二度見せた!
マリ・アンジュは時々、男子の服を着せてリュックを演じた
父:
この見せかけを、老伯爵がこの世におられるかぎり続けなくてはならない
お前がリュックさまになりかわり、海に出るのだ
母:この子は幸福にはなれませんわ
伯爵:幸運は、機会をとらえる者に恵まれるものだ
ブルアージュ港に着き、父と別れる
父:リュカ、勇気を出すんだ
●モルドオ船長
水夫は40人 モルドオ船長はリュカがリュックになりすましているわけを知っていた!
いつでもリュカを船から追い出そうと計画していた

リュカの唯一の友だちは砲台甲板のメルビュ
大砲マリ・ルイズを愛猫や理想の女性のように扱う

ある夜、セントエルモの火が現れ
リュカは勇気を見せるためにマストにのぼり瓶に詰める
モルドオに渡すと怖れて海に投げ込み、同時にいなずまが瓶に落ちる

ルナルド号は船を根こそぎ沈没させて略奪した
水夫は血で滑らないように甲板にシャベルで砂をかける
ひっかけ鉤を相手の船にかけて乗り込み、導火線をつける役についたリュカ
ルナルド号が活躍した北方艦隊がフランスを飢えから救ったことを後で聞く
ブルアージュに戻ると、父は猟でイノシシに噛まれて即死し
母も悲しみで亡くなったと知る
●死にゆくものの言葉
ボワギニエ:
伯爵は立ったまま死のうと決心されている
もう一度、あなたのお姿を見たら死ぬことができるのです
老伯爵:
わしはお前に満足している
ボワギニエもただの平民にすぎん
聞け、リュカ(!) 家名は続けなければならぬ
おまえは、わしがよいというまでリュックの名をになうのだ

マリ・アンジュ:
王さまにウソをつく権利はない
私が本当のことを打ち明けた
私たちの心は結びついているのよ
マリ・アンジュはリュカを宮殿に連れていく
その道中で、盲目の男が歌う歌が耳から離れない
♪
かなしき殿のかなしき最期よ
一本の木の兄となるとは
飢えとかわきに首くくられて
白い木の手は 女の手 妹の手
いやしいカラスは食いつくす
兄の心を 心臓を

パリの国王に拝謁すると
国王:
わがフランスのためにあの男に航海を続けさせよ
はたらきを示した時に爵位を与えよう
●モルドオのたくらみ
また長い航海に出て、リュカは一人前の船乗りになった
モルドオはアフリカの沿岸に船を向ける
モルドオ:
運と機会が私のいちばんの相談相手です
富を求める紳士にとって、名誉は善悪、表と裏がある
彼は偉大な船長だが、実力にふさわしい地位につけず
不公平な目に遭っているという思いに生涯悩まされたゆえに
高い地位に憧れていた
モルドオ:
アフリカ、偉大な大陸よ
すべてはみんな大空の星で決まるのです
今夜ほど征服への気持ちに駆られたことはない
原住民を従えて、壮大な黒人の王国をうちたて
私は中心地をおさめる王となるのだ
ルナルド号は2週間、川をさかのぼる
黄金探しの探検の最初に行動したのはリュカとメルビュ

3日間歩き続け、ジャングルの奥地に達する
動物の女王であるヒョウへの生贄にされた裸の黒人少女が
カモシカの背に乗せられて走るのを見る
●メルビュの最期
ライオンがメルビュに襲いかかる
メルビュ:モルドオ船長 私はいつもご命令のままに・・・

亡骸を土に埋め、草を食べ、シマウマの乳を飲んで歩き続け
ようやく川に着くと、モルドオはリュカを置いて船を出していた

●魔の山のふもと
ジャングルを横断し、疲れが頂点に達した頃、精霊の住む山の頂上に着く
いろいろな動物に導かれて歩くと、矢が飛んできて黒人が群がり、リュカは気を失う
気づくと、黒人たちがひれ伏している
「リュック!」と名を叫ぶと、こだまが戻る
リュカは“白いけもの”として神のように祀られ
1本の大きな木で暮らす

キクユー部落の部族の酋長で魔術師のウンガオ:パト キトゴ と繰り返す
「さようなら、また会う日まで」という意味
リュカはこの地で「アニオク」と呼ばれる
最初は洞穴に閉じこめられ、毒薬のようなものを飲まされる
祭りの日、伝説の一角獣を頭につけたサイが現れ、みんなは踊る
●不幸な兄妹の伝説
ウンガオ:アニオカのことを思い出してごらん お前の妹なのだよ
昔、このあたりは角の黒いサイがおさめていた
精霊は命令が果たされないと、部落に罰を与える
ウンガオの妻は双子を産み、女の子は美しく、男の子はサイだった
キクユー族は一角獣の子どもを飢え死にするにまかせたが
メスのサイが乳を与え、妹は兄に肉を与えた
兄:どうして僕は獣なのだろう
昔からの風習で猟をしてはいけない時期になり
飢えた兄は暗闇から出たいと妹に切願する
妹は兄を連れて太陽のもとに出ると、兄は妹と知らずに角で突き殺す
こうなる運命を知っていた妹は、その体が大きな木になる

兄が「アニオク」と叫ぶと、こだまは「アニオカ」と答える
アニオクは姿を消したが、また木に戻るという予言がある
●城にもどって
リュカはウンガオを説得し、妹とともに必ず戻ると約束して
コルブェット艦に乗り故郷へ帰る

モルドオは航海中に死んだ
その後、海上で貿易や戦闘をして尊敬を得て
マリ・アンジュと結婚し、幸福に暮らした
■訳者あとがき

ルネ・ギヨ
1900年フランス生まれ
フランス児童文学を代表する作家
25年間アフリカで暮らした
動物文学の第一人者
50歳で作家になった
『象の王子・サマ』ほか
本作の特徴
1.想像力の豊かさ
小説は「ウソによって真実を伝えるもの」と言われる
2.心理小説
3.独得な詩的表現と描写
