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『家族ゲーム』(1983)

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『家族ゲーム』(1983)
原作:本間洋平 監督・脚本:森田芳光
出演:松田優作、伊丹十三、由紀さおり、宮川一朗太、辻田順一、戸川純、阿木燿子 ほか

「家中がピリピリ鳴ってて、すごくウルサイんだ!」

trailer

実は、去年クドカンがやってる番組『眠いいね』の予録を今ごろ観て、ゲストに由紀さおりさんが出て、
なにかのキッカケで今作での優作さんが「とても変わったことをする人だった」と言っていたのを聞いて、急に観たくなって借りてみた。

もしや、昔観てるかも?とブログを検索したらなかったからセーフv
優作さんの魅力に圧倒されて、他の作品も観たくなった。
それにしても、がんで39歳で亡くなるなんて、運命はなんて数奇なんだろうか。

ウィキを見ると、今作はこれまで何度もドラマ化されてきたんだな/驚
去年の神木隆之介くんver.も観てみたかった。どっちかといえば、弟役のほうが似合いそうだけど。

森田さんは、この頃からすでに子どもたちの教育や取り巻く環境が十分狂ってるってことを撮っててスゴイ。
当時流行ってた「金属バット殺人」が、今じゃ「うつ」に代わっただけで、
現代劇にしても、まったく違和感がないだろう。根底は、まったく何も変わっていないのだから。

家族を養うため」に一流企業で働く父親+それを支える母親
一流企業に入るために、一流大学に入る
一流大学に入るために、一流高校に入る
一流高校に入るために、一流中学に入る
一流中学に入るために、一流小学校に入る
一流小学校に入るために、一流幼稚園に入る。
その連鎖で家族が歪み、社会が歪み、世界が歪む。

次男の茂之くんは見事な絵を描いている。もしかしたら、画家になったり、
大好きなジェットコースターの設計士になったりする可能性もあるだろう。
それでも、みんなはなぜか無意識に横並びになって、学力社会、成果主義に猛進して、それで幸せは掴めただろうか?


▼story(ネタバレ注意
風変わりな父、平凡な主婦の母は、高校受験を控えているのに成績がクラスで下から6番目の次男・茂之を心配して、
それほど頭のいい大学とは言えない大学に7年もいる吉本を雇い、

「茂之は“問題児”でね。今までの家庭教師も何人も辞めている。成績を上げてくれたら、給料を上げよう
「それはテストの点数ですか、偏差値ですか?」
「クラスの順位が1つ上がったら、1万円ずつあげよう
父親は、優秀な長男・慎一と茂之をいつも比較してばかりいる。

学校では、テストの点数が低かった順から読み上げて用紙を返し、みんながバカにして笑う。
クラスメイトの土屋は、いつも取り巻きと一緒に茂之をイジメている。

吉本がやって来た初日。ノートに書き取りをやらせると、全部のページに「夕暮れ」と書いて、殴られ、鼻血が出る

 

母「あのコ、ほんとは頭が良いと思うんですよ。ジェットコースターの本なんか1回読んで全部暗記したんですから」
(それって、「アスペルガー症候群」では

一方、慎一は学校を休みがちになり、家では寝てばかりいる。
クラスメイトの美栄子に恋をして、何度も家を訪ねる。

悩んだ母は、父に漏らす。
「子どもたち2人のために、私たちがなんでこんな犠牲を払わなきゃならないのかしら? もっと遅くに産めばよかった」


 

母は、同じ団地の女性(純ちゃん/驚)に声をかけて、家に招くと、深刻な悩みを相談される。
「私、ここに引っ越してから話しかけられたの初めてなんです。この団地、水商売の人多いじゃないですか?」
あまりに座り位置が近いから「この状態は辛いので、ちょっと位置を変えてもいいですか?」て

悩みは、夫の父の介護をしていて、先が短いのだが、
「もし亡くなったら、どうやって下に降ろすんですか?! エレベーターに棺おけなんて乗らないじゃないですか!」

そこに息子がケンカして帰ってきたから、「話は後で」と帰そうとすると怒って、
「自分の家のことだけじゃなくて、もっと人の家のことも心配してくださいよ!」(団地の人間関係の希薄さだね・・・

吉本の暴力的な教え方で、だんだん成績が上がる茂之。
「成績が上がると嫌がるヤツがいるから面白いんですよ

吉本に恋人のことを聞いて「その人と結婚するんですか?」と言われて、急に無言でハンカチを出して額をぬぐうシーンはサイコー

土屋は頭のイイ「西武高校」を目指しているため、茂之は敢えて1ランク下の「神宮高校」に入ると言い張る。
父は「西武高校」に行かせたいため、母を叱る。
「やっぱりお前じゃダメなんだよ、甘やかして。オレが言ったらバット殺人になるんだよ。だから代わりにやらせてんだろ!」

 

慎一「オレ、大学なんか行かないかもしれないよ。やりたい事がいろいろあるんだ。それは大学に行かなくたってできる事なんだよ」
父「お前が大学行かなかったら、父さんと母さんはどうするんだよ」
慎一「どうにかなるんじゃない? あんたら夫婦じゃない」

どんどん会話が険悪になり、食卓がカオスになっていく様は今作の見どころ。優作さん、マヨネーズをビームみたく出してるし/爆

慎一「西武高だって辞めたっていいと思ってるんだ」
父「西武高は国立大に行くためなんだぞ!」
慎一「そんな事言ってるからバット殺人が起きるんだよ」

 

音楽もなく、これまでの争い事のセリフが流れて、不穏なヘリの音が響き渡る。
とにかく食べるシーンが多くて、時々、声が消える演出があったりして今観てもとても斬新。

 

吉本「顔はいいんですよ、ボクは」てw
優作さんの独特なキャラが龍平くんにしっかり受け継がれているのが分かって、なんだか嬉しくなった。






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