■『ハーブ&ドロシー ~アートの森の小さな巨人』(2010)
監督:佐々木芽生(え!? 日本人が撮ったの?驚×5000
出演:ヴォーゲル夫妻(ハーバート(ハーブ)&ドロシー)ほか
▼trailer
コレクションの基準
1.お給料で買える値段
2.小さなアパートに収まるサイズ
元郵便局員のハーブと、元図書館司書のドロシーが出会って結婚し、美術館やギャラリー巡りをして集めた作品は数えきれないほど!
夫婦、親密なアーティスト、画商らのインタビュー、アートの鑑賞観、買い付ける基準なども勉強になるドキュメンタリー。
いつも手をつないで、会話やコミュニケーションを絶やさない
夫婦生活45年間の中で、一緒にいなかった日は数えるほどしかないって、スゴイ!
動物も大好きで、2人の間に子どもはいないが、猫、カメ、魚、鳥たちがたくさんいて、時々映るのも見逃せない
2人の審美眼も素晴らしいけど、シンプルで、ただ観て好きかどうかで選び、
金儲けのためではなく、純粋にコレクションしている姿を見ていると、芸術に対する見方も変わるのでは?
美術館は、高いお金を払って、静かに、行列をなして観る場所じゃなくて、
絵に限らずアートはすべて、上手い・下手じゃなく、もっと気軽で、自由で、身近なものなんだ。
▼story(ネタバレ注意
・2人の出逢い
H「ドロシーはインテリジェントに見えた」
D「キュートじゃなくて?」
・はじめはコレクターではなく、アーティストだった
ハーブは、芸大で美術を学び、自分で描いていた。
郵便局で仕分けの仕事をしていた頃は、美術について話せる相手がいなかったため、自分が美術が好きだということは一切話さなかった。
H「1980年に辞めたが、ボクがアートに興味があるとはみんな知らなかった」
ドロシーは、本が好きで図書館司書として働き、ハーブと知り合い、美術に興味を持ち、自分も描き始めた。
ハーブが昔描いた絵を4つ折りにして箱に入れてるってぞんざいすぎでは?驚
無名の若いアーティストの作品を集めるようになり、次第に壁に飾った自分の絵を外して、置き換えていった。
・ポップ、ミニマル、コンセプチュアル
当時、ポップアートはすでに高価だったため、集めるのは、ミニマル、コンセプチュアルに決めた。
理由は、”民衆のアート”だったことと、“部屋に入るから”
アーティストも、買い手の収入に応じて値段を決めてくれた。
ソーホーにはアーティストが多かった。次第にギャラリーも増えた。
2人は時に危険な地区にも平気で作品を観に行った。
「地下鉄、タクシーで持ち帰れないものは買わなかった」
・ハーブの見方
画家「ハーブは全部の作品を観たがる。アーティストの成長の変化を知りたいんだ」
月賦で支払ったり、支払いが遅れることもあり、支払えば、すぐまた次のを買うため借金もあった。
画家「ハーブはコレクターというよりキュレーターだった」
キュレーター:博物館・美術館などの、展覧会の企画・構成・運営などをつかさどる専門職。また、一般に、管理責任者。
撮影中にも、作品を買うと言い、「カメラは止めてくれ」と頼むハーブ。交渉内容は秘密
2人のことを「安値で買って、搾取している」という者もいた。
画商
毎晩のように仕事帰りに美術館、ギャラリー、アトリエを観て回った。
(下に落ちている“失敗作”まで「これをくれ」って!
・コンセプチュアルアートは背後にある思想が重要。未完成でもよい
クリストの作品は高かったが、忙しい2人は、ヴォーゲル夫妻が猫好きということを知り、
「キャットシッターをしてくれたら、作品をタダで譲る」と約束。
「ハプニングアートね」「ハプニングで、イベントで、アートだな」
壁に直接、色鉛筆で描かれた作品もある。「文字そのものもアートだ」
H「アイデアは浮かんでも、実際に行動するのは難しい」
D「アートは視覚的に好きかどうか」(うん、そう思う
「ハーブはすぐ飛びつくけど、ドロシーはとても慎重。作品の見方にもそれがよく現れている」
「見たことが目から直接、魂に届くんだ。脳を通らずにね」
・ヴォーゲル夫妻のコレクションショーを開催して、脚光を浴びた
画家「ハーブは、アーティストの本質を知っているんだ」
D「本も、芝居も好きな私にとってNYはいい街」
・作品は絶対に売らない
D「80年代、アート市場が「バブル化」し、作品の値段が信じられないほど高騰したけれども、
私たちは、作品を売らないから影響がなかった」
H「金儲けはしない。でも、そうする人たちを批判もしない。アーティストも生活していなきゃならないからね」
画家「2人は制作過程をシェアしたがる。離れていても定期的に長電話して、“制作状況はどうだい?”と話す。家族みたいな存在」
・コレクションの行方について
作品の多くは布がかぶせてあるため理由を聞くと、
H「照明から守るため。私たちが死んだ後は美術館に渡すつもりだから、色あせ、傷に気をつけているの」
(全作品のアーティスト名をすぐ言えるのもスゴイ!
画家「ベッドの下にもどんどん作品を押し込んでいくから、ベッドがどんどん高くなっていくんだw
あの集め方の貪欲さは、まるでアルコホリックのようだった」
画商
D「ナショナル・ギャラリーに救われたわ」
2人のコレクションは、ほうぼうの美術館から買い取り・保管の誘いがあったが、どこもしっくりこなかった。
・ナショナル・ギャラリーへの大移動
“多くの物をあちこちに置くのは、他の多くの物を、あちこちに置く場所を確保するためだ”
NG担当者「もし火災が起きたら!? 水槽から水が溢れたら!? 譲ってもらえないかと言ったら、
どの美術館も欲しがっているけれども、どこか気に入らないと言っていた」
D「ナショナル・ギャラリーがいいのは、コレクションを決して売却しないと規約にあるから。永久保存される。祖国に還元したかったの」
H「作品も子どもも、いい環境に恵まれることが、いちばん幸せなんだ」
しかし、当初の見積もりをはるかに超える、大型トラック5台分、何週間もかかるとんでもない大移動劇となった!
「普通のトラックじゃない、家一軒の引越し用トラックだ。あの狭い家のどこにこんなに入っていたのか!?」
NG「まだ公式発表はせず、内密に運んだ。永久保存に値するか検討が必要だから。
もし、ダメなら全部戻すことになる! 生きた心地がしなかった」
D「ナショナル・ギャラリーに保管され、2人が有名になると、作品が次々と送られてきた。
ナショナル・ギャラリーに飾られることを期待して。でもすべて送り返した。
ナショナル・ギャラリー、CBSにまで送られるようになった」
D「とても寂しいけれど、今では年2回ほど、ナショナル・ギャラリーで色々見せてもらう」
NG「いくらか謝礼を渡すべきだと思った。思わぬ病気になった時の経済的な安定のために。
でも、2人はそのお金で作品を買い足しはじめたんだw」(だと思った! それがコレクターだよね
H「たくさん集めれば、アーティストの成長や、作風の変化が分かる。
たとえ最初から理解できなくても、理解できるように努力し、ずっと見守り続けること」
D「楽しいからよ。楽しくなくなったらやめるの」
パソコンも自分に必要な機能を的確に伝えて、自分で買って使いこなすおばあちゃん、カッケー
画家「They're very pure people.」
エンドロールには、2人が買った作品がカウントされ、今作の公開時点で、その数「4782」
DVD特典のメニュー画面もアート風でステキ。
続編『ハーブアンドドロシー ふたりからのおくりもの』(2012)もぜひ観たい。
初作のほうを知らずに、続編のこのアドカードを観て、劇場で観たいと思いつつ、日が過ぎちゃったんだよね。
監督:佐々木芽生(え!? 日本人が撮ったの?驚×5000
出演:ヴォーゲル夫妻(ハーバート(ハーブ)&ドロシー)ほか
▼trailer
コレクションの基準
1.お給料で買える値段
2.小さなアパートに収まるサイズ
元郵便局員のハーブと、元図書館司書のドロシーが出会って結婚し、美術館やギャラリー巡りをして集めた作品は数えきれないほど!
夫婦、親密なアーティスト、画商らのインタビュー、アートの鑑賞観、買い付ける基準なども勉強になるドキュメンタリー。
いつも手をつないで、会話やコミュニケーションを絶やさない
夫婦生活45年間の中で、一緒にいなかった日は数えるほどしかないって、スゴイ!
動物も大好きで、2人の間に子どもはいないが、猫、カメ、魚、鳥たちがたくさんいて、時々映るのも見逃せない
2人の審美眼も素晴らしいけど、シンプルで、ただ観て好きかどうかで選び、
金儲けのためではなく、純粋にコレクションしている姿を見ていると、芸術に対する見方も変わるのでは?
美術館は、高いお金を払って、静かに、行列をなして観る場所じゃなくて、
絵に限らずアートはすべて、上手い・下手じゃなく、もっと気軽で、自由で、身近なものなんだ。
▼story(ネタバレ注意
・2人の出逢い
H「ドロシーはインテリジェントに見えた」
D「キュートじゃなくて?」
・はじめはコレクターではなく、アーティストだった
ハーブは、芸大で美術を学び、自分で描いていた。
郵便局で仕分けの仕事をしていた頃は、美術について話せる相手がいなかったため、自分が美術が好きだということは一切話さなかった。
H「1980年に辞めたが、ボクがアートに興味があるとはみんな知らなかった」
ドロシーは、本が好きで図書館司書として働き、ハーブと知り合い、美術に興味を持ち、自分も描き始めた。
ハーブが昔描いた絵を4つ折りにして箱に入れてるってぞんざいすぎでは?驚
無名の若いアーティストの作品を集めるようになり、次第に壁に飾った自分の絵を外して、置き換えていった。
・ポップ、ミニマル、コンセプチュアル
当時、ポップアートはすでに高価だったため、集めるのは、ミニマル、コンセプチュアルに決めた。
理由は、”民衆のアート”だったことと、“部屋に入るから”
アーティストも、買い手の収入に応じて値段を決めてくれた。
ソーホーにはアーティストが多かった。次第にギャラリーも増えた。
2人は時に危険な地区にも平気で作品を観に行った。
「地下鉄、タクシーで持ち帰れないものは買わなかった」
・ハーブの見方
画家「ハーブは全部の作品を観たがる。アーティストの成長の変化を知りたいんだ」
月賦で支払ったり、支払いが遅れることもあり、支払えば、すぐまた次のを買うため借金もあった。
画家「ハーブはコレクターというよりキュレーターだった」
キュレーター:博物館・美術館などの、展覧会の企画・構成・運営などをつかさどる専門職。また、一般に、管理責任者。
撮影中にも、作品を買うと言い、「カメラは止めてくれ」と頼むハーブ。交渉内容は秘密
2人のことを「安値で買って、搾取している」という者もいた。
画商
毎晩のように仕事帰りに美術館、ギャラリー、アトリエを観て回った。
(下に落ちている“失敗作”まで「これをくれ」って!
・コンセプチュアルアートは背後にある思想が重要。未完成でもよい
クリストの作品は高かったが、忙しい2人は、ヴォーゲル夫妻が猫好きということを知り、
「キャットシッターをしてくれたら、作品をタダで譲る」と約束。
「ハプニングアートね」「ハプニングで、イベントで、アートだな」
壁に直接、色鉛筆で描かれた作品もある。「文字そのものもアートだ」
H「アイデアは浮かんでも、実際に行動するのは難しい」
D「アートは視覚的に好きかどうか」(うん、そう思う
「ハーブはすぐ飛びつくけど、ドロシーはとても慎重。作品の見方にもそれがよく現れている」
「見たことが目から直接、魂に届くんだ。脳を通らずにね」
・ヴォーゲル夫妻のコレクションショーを開催して、脚光を浴びた
画家「ハーブは、アーティストの本質を知っているんだ」
D「本も、芝居も好きな私にとってNYはいい街」
・作品は絶対に売らない
D「80年代、アート市場が「バブル化」し、作品の値段が信じられないほど高騰したけれども、
私たちは、作品を売らないから影響がなかった」
H「金儲けはしない。でも、そうする人たちを批判もしない。アーティストも生活していなきゃならないからね」
画家「2人は制作過程をシェアしたがる。離れていても定期的に長電話して、“制作状況はどうだい?”と話す。家族みたいな存在」
・コレクションの行方について
作品の多くは布がかぶせてあるため理由を聞くと、
H「照明から守るため。私たちが死んだ後は美術館に渡すつもりだから、色あせ、傷に気をつけているの」
(全作品のアーティスト名をすぐ言えるのもスゴイ!
画家「ベッドの下にもどんどん作品を押し込んでいくから、ベッドがどんどん高くなっていくんだw
あの集め方の貪欲さは、まるでアルコホリックのようだった」
画商
D「ナショナル・ギャラリーに救われたわ」
2人のコレクションは、ほうぼうの美術館から買い取り・保管の誘いがあったが、どこもしっくりこなかった。
・ナショナル・ギャラリーへの大移動
“多くの物をあちこちに置くのは、他の多くの物を、あちこちに置く場所を確保するためだ”
NG担当者「もし火災が起きたら!? 水槽から水が溢れたら!? 譲ってもらえないかと言ったら、
どの美術館も欲しがっているけれども、どこか気に入らないと言っていた」
D「ナショナル・ギャラリーがいいのは、コレクションを決して売却しないと規約にあるから。永久保存される。祖国に還元したかったの」
H「作品も子どもも、いい環境に恵まれることが、いちばん幸せなんだ」
しかし、当初の見積もりをはるかに超える、大型トラック5台分、何週間もかかるとんでもない大移動劇となった!
「普通のトラックじゃない、家一軒の引越し用トラックだ。あの狭い家のどこにこんなに入っていたのか!?」
NG「まだ公式発表はせず、内密に運んだ。永久保存に値するか検討が必要だから。
もし、ダメなら全部戻すことになる! 生きた心地がしなかった」
D「ナショナル・ギャラリーに保管され、2人が有名になると、作品が次々と送られてきた。
ナショナル・ギャラリーに飾られることを期待して。でもすべて送り返した。
ナショナル・ギャラリー、CBSにまで送られるようになった」
D「とても寂しいけれど、今では年2回ほど、ナショナル・ギャラリーで色々見せてもらう」
NG「いくらか謝礼を渡すべきだと思った。思わぬ病気になった時の経済的な安定のために。
でも、2人はそのお金で作品を買い足しはじめたんだw」(だと思った! それがコレクターだよね
H「たくさん集めれば、アーティストの成長や、作風の変化が分かる。
たとえ最初から理解できなくても、理解できるように努力し、ずっと見守り続けること」
D「楽しいからよ。楽しくなくなったらやめるの」
パソコンも自分に必要な機能を的確に伝えて、自分で買って使いこなすおばあちゃん、カッケー
画家「They're very pure people.」
エンドロールには、2人が買った作品がカウントされ、今作の公開時点で、その数「4782」
DVD特典のメニュー画面もアート風でステキ。
続編『ハーブアンドドロシー ふたりからのおくりもの』(2012)もぜひ観たい。
初作のほうを知らずに、続編のこのアドカードを観て、劇場で観たいと思いつつ、日が過ぎちゃったんだよね。