過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part1からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。
■『ブラック・レインボウ』(1990)
監督・脚本:マイク・ホッジ 出演:ロザンヌ・アークエット、トム・ハルス ほか
始めと終わりを飾るゴスペルと刺激的なタンバリンのリズムがイイ
近年じゃあまりお目にかかれなくなったオカルトサスペンスの秀作。現実と死の世界の境界が交じり合う『X-FILES』系。
アークエットが妖しげな魅力。『アフター・アワーズ』を思わせる役所。
彼女は死の世界に足を踏み入れ、そこに同化してしまったのか? いまだ信じない人も多い死後の世界はあるのか?
確かに不慮の死で肉親を失った人には、その人が何の苦しみもなく幸せに天国にいると聞けば安心するという効果はある。
「未知の世界を知ることができるのは神のみ」濃密な映像と早い展開で見応えあり。
彼女が見える未知の映像もフラシュバックで見せてくれたらいいのに『デッド・ゾーン』みたいに。
■『イナゴの日』(1974)
原作:ナサニエル・ウエスト 監督:ジョン・シュレンジャー
出演:ドナルド・サザーランド、カレン・ブラック・ウィリアム・アザートン ほか
今回借りた10本はなかなか特選ばかり。『ミスター・グッドバーを探して』で注目したW.アザートンがこんな大作の主役張ってたなんて。
最初ウスノロな役で、ラストにやはり美味しいところをもってくサザランドと、寄り目っぽい美女カレンの豪華キャスト。
タイトルは、イナゴが満月に群れて飛ぶごとく、ハリウッドスターに群がり、正気を失う群衆を意味してか?
重いテーマにサッチモの軽快なJEEPERS CREEPERS が空虚に響く。同監督の他作品もチェックしたい。
「ときどき全てを破壊したくなるんです、神よ」
興奮した人々は彼をまつりあげて運んでゆく。まるで処刑場に連れていかれるキリストのように。
狂った群衆がまるで自ら描いた壁画の眼のない叫んだ顔に見えて、突然サイコホラー化する。
とても観念的。美術監督が「僕らは紙芝居の裏方みたいだ。時々空しくなるよ」と言いながら
勝ち得た屋敷は気に入り「妻はオマケだ」。それを羨ましそうに見るトッド。こうゆう細かいシーンもイイ。
昔ほどスターが天上の人みたいに崇められなくなったけど、ハリウッド“映画の都”はまだ健在。
■『怪物の花嫁』(1955)
製作・監督・原案:エド・ウッド 出演:ベラ・ルゴシ、トー・ジョンソン ほか
映画のサイテーさって予算の大小じゃなくて、のめりこめる話と絵があるかどうかじゃないかな?
確かにタコの造り物は思いっきりバレバレだけど、この当時のB級ホラーにはこの程度のは結構ある。
それより、怪物もの、バイセクシャルもの、目の付け所がイイし、俳優も大ベテランほか揃っているのに
パンチがないのが落ち度かも。おかげで途中思い切り寝ちゃったから、仕切りなおし。
いかにも鼻にかけた向こう見ず、でも結局男に頼る'50タイプのヒロイン。
入り口で口ゲンカする金髪はエドの愛人で、この2人本当にライバル同士だったんじゃなかったっけ?
映画『エド・ウッド』と重ねて観ると面白い。しかしあの男優、本人とそっくり。
ルゴシの見せ場のスピーチ
「昔は天才と言われたが人造人間研究で狂人扱いだ。故郷などない。追われ、さげすまれて、獣のように生きてきた。
ジャングルこそ私の故郷だ。世界を支配するのだ。ア、ア、ア、ア」この笑い方、セサミのカウントそのもの
大ダコや、ワニに襲われそうになるシーンもスゴイ別撮り。もうちょっと超人らしさが欲しい。
これが1年かかって撮り上げたらしい。予算を使い果たしたり、いろいろたてこんだのよね。
タコの造り物を他から盗んだり。撮りようによっちゃ、このタコも本当のモンスターになるんだもんね。
他のアンゴラセーターをモチーフにした自伝的作品とかも見たい気がする。
ハリウッドの何十億円もかけたセットにも飽きて、こうゆう作品も楽しめるほどファンも余裕ができたってことだね。
■『鏡』(1975)
監督・脚本:アンドレイ・タルコフスキー 出演:マルガリータ・テレホク、オレーグ・ヤンコフスキー ほか
相変わらず話の展開は難解だが、子どもの頃の記憶がテーマか? 映像がとにかく美しい。
モノクロとカラーでロシアの大自然を撮り上げた夢と現実が融合(とけあ)ってなんとも懐かしい感じ。
確かタルコフスキーを研究した本があったな。もっと深く理解したい。
草原が波の如く風に吹かれるシーンは絶景。時間経過が分からない。
戦争で親子が離される記録フィルム。子どもの表情が悲しい。
赤ん坊が眠りから覚めるシーンは微笑んでしまう。目覚めたとたん満面の笑みで、まさに神からの贈り物。奇跡だ
主演のテレホワが美しい。作品中、子どもがめくる中世の絵とダブるように。
「人の体は独房のようだ 角膜を抜けて飛べ 天空へ 氷の車輪の上 小鳥の馬車の上に聞こえるは 7つの海の歌
魂に肉体なければ 思考する力も 意思も 文字もない 解けない謎のようだ
誰も踊らぬ広場で 踊りかえってきたのは誰? もう一つの魂を夢に見る 燃えながら 希望に向かって走り去る
酒の如く 燃え 影もなく 地上を去ってゆく 記念にリラの花束を机に残して
子等よ悲しむな 胴の輪を廻して遊べ わずか聞こえる足音 陽気に乾いた音を」
■『ピエラ 愛の遍歴』(1983)
監督:マルコ・フェレーリ 出演:マルチェロ・マストロヤンニ ほか
マストロヤンニがおさえた演技で脇を固めている。彼もいろんな映画に出てるね。
ソフトな近親相姦というか、奔放な女の挫折を描いている。
女優2人が本当の母娘みたくソックリで熱演。
裸になって抱き合う母娘。よくいえば心から分かり合えてる母娘ってことだね。
娘はとかく母に憧れ、嫉妬する複雑なものだから。母も娘を愛する反面、若さに嫉妬する。まさに心理学の世界。
ラストのワイドに広がる静かで白い波のシーンがキレイ。
ピエラ役の女優もメイクによってだいぶ印象が代わるけど、イタリアらしくないクールビューティだし。
これを母娘で観てたらちょっとキツい(母は10分も見ないでまたうたた寝してたけど
■『マージョリーの告白』(1992)
監督:カール・ライナー 出演:カースティ・アレイ、ビル・プルマン ほか
ま、こんなB級ラヴコメディもたまにはあるわな。『ベイビー・トーク』シリーズで顔が売れた女優が主演。
彼女の過剰な演技は、コミカルでちょっと大柄なルックスは魅力的だけど話が邦題そのまんま。
■『BLOOD SIMPLE』(1987)
監督:ジョエル・コーエン 出演:ジョン・ゲッツ、フランシス・マクドナルド ほか
なんか観た気がしないでもないんだけど、ヒッチコックの名文句といい、この血生臭い撮り方といい、コーエン兄弟。
確かに一人殺すのもハリウッド調のBANG!で終わるのとは訳が違う。
It's the same old song をBGMに、よくある話だけど実際どれほど苦しみに満ちたものか描いている。
殺人にはいつも女がからんでるってのが基本的。男女関係のもつれによる殺人事件は年間、割合でそうとう占めてるよね。
そこに大金とくれば完璧。夜の暗いシーンが多くて湿っぽいリアルで胸の悪くなる作品リストベスト10に入る。
■『アーバン・ハーベスト』(1994)
原作:スティーヴン・キング 監督:ジェイムズ・J.R.ヒコックス
出演:ダニエル・クレニー、ロン・メレンデス ほか
こちらもグチャグチャ系。映画化3度目らしい。1作から観ないと続きものなのかも。
クリアな映像で意表を突く死に方のSFXがスゴイ。S.キングのちょい出演はあったの?分かんなかった。
自然破壊、その他悪の源は大人だ!って定義で、19歳以下を統率して他を抹殺していく。
いい人まで殺さなくてもいいのに。ラストはモンスターになって、逃げ方がウルトラマンのノリ。
合唱団の歌のBGMは'70代サイコホラーがよみがえった感じで好き。
まだまだシリーズは続きそう。
■『メフィストの誘い』(1995)
監督:マノエル・デ・オリベイラ 出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジョン・マルコビッチ ほか
とっても宗教的、観念的、哲学的。いまだ魅力が衰えるところを知らないドヌーヴとマルコビッチの共演ならそうならざるを得ない。
ヨーロッパの雰囲気漂う「ファウスト」は有名だよね。こうして抜粋を聞くとなんかおもしろそう。
思想のお話と考えればそう難しくないかも。純粋さの追求。
「思想は言葉遊びで無意味だ。ジョークは好きだ。悪魔を騙せる」
「あなたを強く愛する反面、時々とても憎くなる」
「それは最も強い愛情の形だ」
英語のセリフは作品をオカルト映画にするけど、フランス語になると文芸作品になるから不思議。
なんか音楽の効果音がわざとらしく使われているのが気にかかるけど。
■『溝の中の月』(1983)
原作:デヴィッド・クーディス 監督:ジャン・ジャック・ベネックス
出演:ナスターシャ・キンスキー、ジェラール・ドパルデュー、ヴィクトリア・アブリル ほか
もう午前1時。でも観てよかった。ドパルデューはたくさんのイイ作品に恵まれて、イイ演技してるね。
アラン・ドロンのマスクとは大違いだけど、若い美しさがある。キンスキーとの豪華共演。
象徴的な役が多いんだよね。存在そのものが全てを語るから彼女は。
「別世界へ出よ」の看板が窓から何度も見えるのが幻想的。
今この瞬間にも起こっていそうなレイプ事件にも、忘れられない肉親らがいる。港での仕事は危険みたいね。
最下層の暮らしがリアルに描かれる。満月やモノクロに赤い血だけが浮かぶシーン等、幻想的イメージが美しい。
悲しい脚本。全体的に冷たい青と黒い暗闇を基調にした美しい映像があふれてる。
part1からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。
■『ブラック・レインボウ』(1990)
監督・脚本:マイク・ホッジ 出演:ロザンヌ・アークエット、トム・ハルス ほか
始めと終わりを飾るゴスペルと刺激的なタンバリンのリズムがイイ
近年じゃあまりお目にかかれなくなったオカルトサスペンスの秀作。現実と死の世界の境界が交じり合う『X-FILES』系。
アークエットが妖しげな魅力。『アフター・アワーズ』を思わせる役所。
彼女は死の世界に足を踏み入れ、そこに同化してしまったのか? いまだ信じない人も多い死後の世界はあるのか?
確かに不慮の死で肉親を失った人には、その人が何の苦しみもなく幸せに天国にいると聞けば安心するという効果はある。
「未知の世界を知ることができるのは神のみ」濃密な映像と早い展開で見応えあり。
彼女が見える未知の映像もフラシュバックで見せてくれたらいいのに『デッド・ゾーン』みたいに。
■『イナゴの日』(1974)
原作:ナサニエル・ウエスト 監督:ジョン・シュレンジャー
出演:ドナルド・サザーランド、カレン・ブラック・ウィリアム・アザートン ほか
今回借りた10本はなかなか特選ばかり。『ミスター・グッドバーを探して』で注目したW.アザートンがこんな大作の主役張ってたなんて。
最初ウスノロな役で、ラストにやはり美味しいところをもってくサザランドと、寄り目っぽい美女カレンの豪華キャスト。
タイトルは、イナゴが満月に群れて飛ぶごとく、ハリウッドスターに群がり、正気を失う群衆を意味してか?
重いテーマにサッチモの軽快なJEEPERS CREEPERS が空虚に響く。同監督の他作品もチェックしたい。
「ときどき全てを破壊したくなるんです、神よ」
興奮した人々は彼をまつりあげて運んでゆく。まるで処刑場に連れていかれるキリストのように。
狂った群衆がまるで自ら描いた壁画の眼のない叫んだ顔に見えて、突然サイコホラー化する。
とても観念的。美術監督が「僕らは紙芝居の裏方みたいだ。時々空しくなるよ」と言いながら
勝ち得た屋敷は気に入り「妻はオマケだ」。それを羨ましそうに見るトッド。こうゆう細かいシーンもイイ。
昔ほどスターが天上の人みたいに崇められなくなったけど、ハリウッド“映画の都”はまだ健在。
■『怪物の花嫁』(1955)
製作・監督・原案:エド・ウッド 出演:ベラ・ルゴシ、トー・ジョンソン ほか
映画のサイテーさって予算の大小じゃなくて、のめりこめる話と絵があるかどうかじゃないかな?
確かにタコの造り物は思いっきりバレバレだけど、この当時のB級ホラーにはこの程度のは結構ある。
それより、怪物もの、バイセクシャルもの、目の付け所がイイし、俳優も大ベテランほか揃っているのに
パンチがないのが落ち度かも。おかげで途中思い切り寝ちゃったから、仕切りなおし。
いかにも鼻にかけた向こう見ず、でも結局男に頼る'50タイプのヒロイン。
入り口で口ゲンカする金髪はエドの愛人で、この2人本当にライバル同士だったんじゃなかったっけ?
映画『エド・ウッド』と重ねて観ると面白い。しかしあの男優、本人とそっくり。
ルゴシの見せ場のスピーチ
「昔は天才と言われたが人造人間研究で狂人扱いだ。故郷などない。追われ、さげすまれて、獣のように生きてきた。
ジャングルこそ私の故郷だ。世界を支配するのだ。ア、ア、ア、ア」この笑い方、セサミのカウントそのもの
大ダコや、ワニに襲われそうになるシーンもスゴイ別撮り。もうちょっと超人らしさが欲しい。
これが1年かかって撮り上げたらしい。予算を使い果たしたり、いろいろたてこんだのよね。
タコの造り物を他から盗んだり。撮りようによっちゃ、このタコも本当のモンスターになるんだもんね。
他のアンゴラセーターをモチーフにした自伝的作品とかも見たい気がする。
ハリウッドの何十億円もかけたセットにも飽きて、こうゆう作品も楽しめるほどファンも余裕ができたってことだね。
■『鏡』(1975)
監督・脚本:アンドレイ・タルコフスキー 出演:マルガリータ・テレホク、オレーグ・ヤンコフスキー ほか
相変わらず話の展開は難解だが、子どもの頃の記憶がテーマか? 映像がとにかく美しい。
モノクロとカラーでロシアの大自然を撮り上げた夢と現実が融合(とけあ)ってなんとも懐かしい感じ。
確かタルコフスキーを研究した本があったな。もっと深く理解したい。
草原が波の如く風に吹かれるシーンは絶景。時間経過が分からない。
戦争で親子が離される記録フィルム。子どもの表情が悲しい。
赤ん坊が眠りから覚めるシーンは微笑んでしまう。目覚めたとたん満面の笑みで、まさに神からの贈り物。奇跡だ
主演のテレホワが美しい。作品中、子どもがめくる中世の絵とダブるように。
「人の体は独房のようだ 角膜を抜けて飛べ 天空へ 氷の車輪の上 小鳥の馬車の上に聞こえるは 7つの海の歌
魂に肉体なければ 思考する力も 意思も 文字もない 解けない謎のようだ
誰も踊らぬ広場で 踊りかえってきたのは誰? もう一つの魂を夢に見る 燃えながら 希望に向かって走り去る
酒の如く 燃え 影もなく 地上を去ってゆく 記念にリラの花束を机に残して
子等よ悲しむな 胴の輪を廻して遊べ わずか聞こえる足音 陽気に乾いた音を」
■『ピエラ 愛の遍歴』(1983)
監督:マルコ・フェレーリ 出演:マルチェロ・マストロヤンニ ほか
マストロヤンニがおさえた演技で脇を固めている。彼もいろんな映画に出てるね。
ソフトな近親相姦というか、奔放な女の挫折を描いている。
女優2人が本当の母娘みたくソックリで熱演。
裸になって抱き合う母娘。よくいえば心から分かり合えてる母娘ってことだね。
娘はとかく母に憧れ、嫉妬する複雑なものだから。母も娘を愛する反面、若さに嫉妬する。まさに心理学の世界。
ラストのワイドに広がる静かで白い波のシーンがキレイ。
ピエラ役の女優もメイクによってだいぶ印象が代わるけど、イタリアらしくないクールビューティだし。
これを母娘で観てたらちょっとキツい(母は10分も見ないでまたうたた寝してたけど
■『マージョリーの告白』(1992)
監督:カール・ライナー 出演:カースティ・アレイ、ビル・プルマン ほか
ま、こんなB級ラヴコメディもたまにはあるわな。『ベイビー・トーク』シリーズで顔が売れた女優が主演。
彼女の過剰な演技は、コミカルでちょっと大柄なルックスは魅力的だけど話が邦題そのまんま。
■『BLOOD SIMPLE』(1987)
監督:ジョエル・コーエン 出演:ジョン・ゲッツ、フランシス・マクドナルド ほか
なんか観た気がしないでもないんだけど、ヒッチコックの名文句といい、この血生臭い撮り方といい、コーエン兄弟。
確かに一人殺すのもハリウッド調のBANG!で終わるのとは訳が違う。
It's the same old song をBGMに、よくある話だけど実際どれほど苦しみに満ちたものか描いている。
殺人にはいつも女がからんでるってのが基本的。男女関係のもつれによる殺人事件は年間、割合でそうとう占めてるよね。
そこに大金とくれば完璧。夜の暗いシーンが多くて湿っぽいリアルで胸の悪くなる作品リストベスト10に入る。
■『アーバン・ハーベスト』(1994)
原作:スティーヴン・キング 監督:ジェイムズ・J.R.ヒコックス
出演:ダニエル・クレニー、ロン・メレンデス ほか
こちらもグチャグチャ系。映画化3度目らしい。1作から観ないと続きものなのかも。
クリアな映像で意表を突く死に方のSFXがスゴイ。S.キングのちょい出演はあったの?分かんなかった。
自然破壊、その他悪の源は大人だ!って定義で、19歳以下を統率して他を抹殺していく。
いい人まで殺さなくてもいいのに。ラストはモンスターになって、逃げ方がウルトラマンのノリ。
合唱団の歌のBGMは'70代サイコホラーがよみがえった感じで好き。
まだまだシリーズは続きそう。
■『メフィストの誘い』(1995)
監督:マノエル・デ・オリベイラ 出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジョン・マルコビッチ ほか
とっても宗教的、観念的、哲学的。いまだ魅力が衰えるところを知らないドヌーヴとマルコビッチの共演ならそうならざるを得ない。
ヨーロッパの雰囲気漂う「ファウスト」は有名だよね。こうして抜粋を聞くとなんかおもしろそう。
思想のお話と考えればそう難しくないかも。純粋さの追求。
「思想は言葉遊びで無意味だ。ジョークは好きだ。悪魔を騙せる」
「あなたを強く愛する反面、時々とても憎くなる」
「それは最も強い愛情の形だ」
英語のセリフは作品をオカルト映画にするけど、フランス語になると文芸作品になるから不思議。
なんか音楽の効果音がわざとらしく使われているのが気にかかるけど。
■『溝の中の月』(1983)
原作:デヴィッド・クーディス 監督:ジャン・ジャック・ベネックス
出演:ナスターシャ・キンスキー、ジェラール・ドパルデュー、ヴィクトリア・アブリル ほか
もう午前1時。でも観てよかった。ドパルデューはたくさんのイイ作品に恵まれて、イイ演技してるね。
アラン・ドロンのマスクとは大違いだけど、若い美しさがある。キンスキーとの豪華共演。
象徴的な役が多いんだよね。存在そのものが全てを語るから彼女は。
「別世界へ出よ」の看板が窓から何度も見えるのが幻想的。
今この瞬間にも起こっていそうなレイプ事件にも、忘れられない肉親らがいる。港での仕事は危険みたいね。
最下層の暮らしがリアルに描かれる。満月やモノクロに赤い血だけが浮かぶシーン等、幻想的イメージが美しい。
悲しい脚本。全体的に冷たい青と黒い暗闇を基調にした美しい映像があふれてる。