■『ダーシェンカ 小犬の生活』(新潮社)
カレル・チャペック/著 伴田良輔/監訳
図書館巡りで見つけた1冊。
ページの下にパラパラ漫画があって、子犬のおしりがヨチヨチ歩きで遠ざかる様子が描かれているのが可愛い
素朴でやわらかな線で、子犬の瞬間の表情、動きがよくとらえられている。
文章も想像力豊かで、読みながら思わず笑顔になる。
【内容抜粋メモ】
ワイヤヘアード・テリアの母犬イリスから産まれた雌犬ダーシェンカは、はじめは小さい尻尾、小さい足で、
母犬の後ろ足から前足まで行くのに半日かかり、途中で3回おっぱいをもらい、2回昼寝をする始末。
まだ目も開けられない頃と、ちょっと目が開けられた頃w
自然の声に後押しされて、歩き方を練習する。
「よくおぼえておくんだ、ダーシェンカ。シッポのことは気にしなくていい。勝手にあとをついてくるからね」w
あっという間に成長したダーシェンカ。
まず覚えたのは「走ること」。ギャロップからハイジャンプなどが陸上選手並み!
次は「かじること」。ズボン、ブラシ、なんでも鼻先にきたものはかじりつくし、元型が分からないほど!
著者は、これまで齧られたモノの総額を見積もっている
お客さんのズボンでもお構いなし!
客は内心「こいつめ、どっかへ行っちまえ!」と思うものの、なんとか笑顔をつくり、
自分は保証付きの犬好きで、とくにズボンにぶらさがられたりするとたまりませんね、などと飼い主に言う
3番目は「綱引き」。人間の家にはスポーツマンシップを養うのに役立つものがいろいろ揃っている。
ネズミ捕りが得意な犬であるテリア(そーなんだ驚)の血を引いている彼女は、
著者が大事にしている庭の花壇の土を掘り返し、ネズミをかきだす練習をする。
そして5年後。
母のイリスもダーシェンカにすっかり毛をむしられ、ご飯を取られてボロボロになってしまい、
著者家族も少々うんざりしてしまい、ある日突然よそにもらわれていく/驚
幸せにね、ダーシェンカ。いい子でいるんだよ。
とっても静かに、平穏が戻った我が家。
だが、突然、家は死んだように静まり返ってしまった。この雰囲気は何なのだろう。
家族はお互い目を合わさないようにしている。
部屋のあちこちをのぞいてみるが、そこには何もいやしない。
小さなおしっこのあとすらないのだ・・・。
犬小屋では毛をむしられぐったりしたイリスが目をしばたたかせ、声をころしてすすり泣いている。
【チャペックのアルバム】
チャペックは東ボヘミア地方で生まれた。
兄ヨゼフとは双子のように仲が良かった。
『ダーシェンカ』出版から2年後、女優のオルガと結婚。
趣味は園芸。のちにダーシェンカに荒らされる庭の手入れに毎日いそしんだ。
【監訳者のあとがきメモ】
ヨーロッパの古い犬の絵はがきには、フォックステリアが多く、当時の人気ペットだとわかる。
子どもがいなかったチャペックにとってダーシェンカを描く視点は父のよう。
他の本では兄が挿絵を描いているが、この絵本だけはカレル自身が描いている。
ダーシェンカが庭で遊んでいた頃、ファシズムがチェコに迫り、兄弟はペンと絵筆で抵抗。
『ダーシェンカ』出版からわずか5年後、チャペックは病気で他界する。
チェコがナチスに占領されたのは、その翌年。
ヨゼフはゲシュタポに連行され、1945年、解放直前に収容所で死亡した。
国民作家チャペックの遺骨は、画家ミュシャらチェコの芸術家たちとともに埋葬されている。
ヨゼフの遺骨はないが、同じ墓地に墓碑銘が建てられている。
マサリク
チェコスロバキアの政治家・哲学者。チェコ民族独立運動を指導。
第一次大戦後、チェコスロバキア共和国初代大統領(在任1918〜1935)に就任、建国の父とよばれた。
カレル・チャペック/著 伴田良輔/監訳
図書館巡りで見つけた1冊。
ページの下にパラパラ漫画があって、子犬のおしりがヨチヨチ歩きで遠ざかる様子が描かれているのが可愛い
素朴でやわらかな線で、子犬の瞬間の表情、動きがよくとらえられている。
文章も想像力豊かで、読みながら思わず笑顔になる。
【内容抜粋メモ】
ワイヤヘアード・テリアの母犬イリスから産まれた雌犬ダーシェンカは、はじめは小さい尻尾、小さい足で、
母犬の後ろ足から前足まで行くのに半日かかり、途中で3回おっぱいをもらい、2回昼寝をする始末。
まだ目も開けられない頃と、ちょっと目が開けられた頃w
自然の声に後押しされて、歩き方を練習する。
「よくおぼえておくんだ、ダーシェンカ。シッポのことは気にしなくていい。勝手にあとをついてくるからね」w
あっという間に成長したダーシェンカ。
まず覚えたのは「走ること」。ギャロップからハイジャンプなどが陸上選手並み!
次は「かじること」。ズボン、ブラシ、なんでも鼻先にきたものはかじりつくし、元型が分からないほど!
著者は、これまで齧られたモノの総額を見積もっている
お客さんのズボンでもお構いなし!
客は内心「こいつめ、どっかへ行っちまえ!」と思うものの、なんとか笑顔をつくり、
自分は保証付きの犬好きで、とくにズボンにぶらさがられたりするとたまりませんね、などと飼い主に言う
3番目は「綱引き」。人間の家にはスポーツマンシップを養うのに役立つものがいろいろ揃っている。
ネズミ捕りが得意な犬であるテリア(そーなんだ驚)の血を引いている彼女は、
著者が大事にしている庭の花壇の土を掘り返し、ネズミをかきだす練習をする。
そして5年後。
母のイリスもダーシェンカにすっかり毛をむしられ、ご飯を取られてボロボロになってしまい、
著者家族も少々うんざりしてしまい、ある日突然よそにもらわれていく/驚
幸せにね、ダーシェンカ。いい子でいるんだよ。
とっても静かに、平穏が戻った我が家。
だが、突然、家は死んだように静まり返ってしまった。この雰囲気は何なのだろう。
家族はお互い目を合わさないようにしている。
部屋のあちこちをのぞいてみるが、そこには何もいやしない。
小さなおしっこのあとすらないのだ・・・。
犬小屋では毛をむしられぐったりしたイリスが目をしばたたかせ、声をころしてすすり泣いている。
【チャペックのアルバム】
チャペックは東ボヘミア地方で生まれた。
兄ヨゼフとは双子のように仲が良かった。
『ダーシェンカ』出版から2年後、女優のオルガと結婚。
趣味は園芸。のちにダーシェンカに荒らされる庭の手入れに毎日いそしんだ。
【監訳者のあとがきメモ】
ヨーロッパの古い犬の絵はがきには、フォックステリアが多く、当時の人気ペットだとわかる。
子どもがいなかったチャペックにとってダーシェンカを描く視点は父のよう。
他の本では兄が挿絵を描いているが、この絵本だけはカレル自身が描いている。
ダーシェンカが庭で遊んでいた頃、ファシズムがチェコに迫り、兄弟はペンと絵筆で抵抗。
『ダーシェンカ』出版からわずか5年後、チャペックは病気で他界する。
チェコがナチスに占領されたのは、その翌年。
ヨゼフはゲシュタポに連行され、1945年、解放直前に収容所で死亡した。
国民作家チャペックの遺骨は、画家ミュシャらチェコの芸術家たちとともに埋葬されている。
ヨゼフの遺骨はないが、同じ墓地に墓碑銘が建てられている。
マサリク
チェコスロバキアの政治家・哲学者。チェコ民族独立運動を指導。
第一次大戦後、チェコスロバキア共和国初代大統領(在任1918〜1935)に就任、建国の父とよばれた。