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『新版・環境とリサイクル8 プラスチック』(小峰書店)

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『新版・環境とリサイクル8 プラスチック』(小峰書店)
半谷高久/監修 江尻京子/指導 本間正樹、大角修/文 菊池東太/写真

【ブログ内関連記事】
『新版 環境とリサイクル6 紙』(小峰書店)
『環境とリサイクル10 うめたて処分場』(小峰書店)


【内容抜粋メモ】

プラスチックの特長
・丈夫で、軽い。
・長い間、変質しにくい。
・いろいろな色をつけられる。
・いろいろな形に加工できる。
・大量に、安くつくれる。
・種類が多く、製品に適したプラスチックを選べる。


プラスチック製品の一例
食品用トレイ、洗剤などの容器、家電製品や自動車の部品、塗料、接着剤、建材などにも大量に使われている。


プラスチックの歴史
最初に作られたのは「セルロイド」。
1868年、アメリカの印刷工、ジョン・ハイアットは、ビリヤードの玉(当時は高価な象牙で作られていた)の材料を発明する懸賞のために、
食物繊維からつくる「ニトロセルロース」と、クスノキからとる「樟脳」を混ぜたのがきっかけ。しかし、燃えやすいのが欠点だった。

その後、20Cには、「ベークライト」他、さまざまなプラスチックが発明された。


プラスチック製品には添加物が混ざっていてリサイクルを難しくさせている
ものを再資源化するには、同じ種類のものを集める必要があるが、プラスチックは同じように見えて、種類が異なるのでやっかい。

<プラスチックに含まれる添加物>
可塑剤(やわらかさを出す)、安定剤、着色剤、発泡剤、参加棒材、難燃剤など。
これらには、カドミウム、鉛や、発がん性物質が疑われる物質もあり、
有害な成分が溶け出す原因となって再資源化を困難にしている。

<識別マーク>
 
いちばんよく見かけるのは1番の「ペット樹脂」。


ペット樹脂製などのプラスチック容器につけるために日本で考えられた

マークがついていない製品もたくさんある。
プラスチック製品は大量に輸入されているのに、共通のマークがないのも問題。

おもなプラスチック素材の種類と特徴


******************************プラスチックをつくる


岡山県倉敷市の水島コンビナート。日本最大の石油化学コンビナートで、製油所、化学工場、発電所、製鉄所等がある

「コンビナート」=ロシア語でパイプでつながった状態

プラスチックは、人工的につくった「高分子化合物」。
大量に使っているのは、石油からとりだした「ナフサ」という成分。
これを、いったん「ペレット」に整えて、これを溶かして加工用の原料となる。


ペレット

<化学製品ができるまで>
  

プラスチック製品のつくりかた


******************************発泡スチロールをつくる


発泡スチロール製品をつくる工場

発泡スチロールの材料は「ポリスチレン」というプラスチック。
いったん成形してしまうと、発泡スチロールは簡単には壊れないため、品物を入れるケースにたくさん利用される。

熱をさえぎる性質もあるため、クーラー・ボックス、家の断熱材など広く使われる。

発泡スチロールの特長は軽さ。なので、回収してリサイクルするには、運ぶのにかさばるわりに再生量が少ない。
埋め立てるにもかさばるのが難点→リサイクルしやすい紙製のケースにかわっているが、水や衝撃に強いため発泡スチロールの利用も多い。


******************************増え続けるプラスチック

プラスチックの生産量は1474万トン(2000年)。
1人あたりのプラスチック消費量は、1960年からこの40年間で約16倍に増えた。


この40年で「石油化学工業」が急成長したため


日本は世界第3位の消費国


もっとも生産量が多いのは「フィルム類」。
ポリ袋、食品用ラップ、ハウス栽培用のビニルなどに加工する。


<使い捨て製品が多いプラスチック>
・小さなパックで売る品物が増えた。
・トレイに入れ+食品用ラップで包み+ポリエチレンの買い物袋に入れる。


家庭から出るゴミの約50%は、容器・包みに使われたもので、もっとも多いのはトレイ、パック、買い物袋などのプラスチック製品。
ゴミになる量は、生産量の70~80%にあたる。

2000年には、約1000万トン/年のプラスチック廃棄物が出た。
このうち、リサイクルされたのは約50%。

 
未利用廃プラスチック503万トン/有効利用廃プラスチック494万トン


******************************処理に困るプラスチック

プラスチックごみは、燃やしても、埋め立てても問題が残る

焼却した場合
・燃やすと、紙や生ゴミより高温になり、焼却炉を傷める。
・不完全燃焼になると「クリンカ」(タール状の燃えにくい物質)が焼却炉にこびりつき効率を下げる。
・燃やすと「有毒ガス」「有害物質」が発生するため、「有毒ガス除去装置」が必要。
・高温に耐える炉に作り変えたが、今度は炉を高温に保つためにプラスチックが必要になってしまった

なかには、熱してもとけない種類がある。
 お椀等に使う「ABS樹脂」は、加熱するとかえって硬くなる性質(熱硬化性)を持っているため減容化できない。

燃やしにくい「塩化ビニル」
「塩化ビニル」=塩素60%+石油成分40%で合成したプラスチック
丈夫、軽い、変質しにくい長所があるので、水道管、雨どい、卵のパックなどに利用され、プラスチックの17%を占めている。
しかし、塩化ビニルを燃やすと「酸性雨」の原因になる「塩化水素ガス」「猛毒のダイオキシン類」が生まれることがある。

★燃やさないごみ


埋め立てた場合
・「錆びない」「腐らない」という利点のために長く土に残る。
・埋め立て処分場の寿命を縮める。
・細かく砕いて体積を減らす処理には施設の建設費・運営費がかかる。「減容化」


20年ほど前の埋立地。プラスチックごみはまだ残っている(東京都中央防波堤外側埋立処分場)


******************************市場でのリサイクル

市場、ショッピングセンター、レストラン街では、魚や野菜の発泡スチロールの箱が、毎日山のように不用品になる。
大田区の発泡スチロール処理工場では、発泡スチロール箱を溶かして、ハンガー、オモチャなどをつくっている。

土に混ぜると、水はけがよくなり、地面がやわらかくなるため、運動場の地盤づくりにも利用される。

 
減容機/1個10kgの固まりにして出荷する。1日に80~100個の固まりができる

固まると元の体積の約50/1となる。再生工場に運ぶ費用を減らすには、できるだけ減容化する必要がある。


******************************トレイのリサイクル

食品用トレイは集めやすいため、再資源化しやすい。
1997年、「容器包装リサイクル法」により、店や消費者も協力して回収することが定められ、回収ボックスが設置された。

<再資源化の順序>
1.白いトレイと着色されたトレイを分ける。
着色されたトレイは不純物が混ざっているため、再びトレイにはできない(野菜の模様とか要らないよね?
2.よく洗う
汚れが残ると、食品用トレイには再生できない。回収する際もよく洗うことが大切。
3.細かく砕く
4.よく洗って乾かす
5.熱で溶かす
6.ペレットに切り刻む
7.重さを量って袋に詰める


トレイの再生品。着色トレイからは、植木鉢などの「射出成形品」をつくる


******************************塩化ビニルのリサイクル

完全に燃やしても「塩化水素」という有毒ガスを出すため、処理でよく問題となるのは「塩化ビニル」。
「塩化ビニル」は、変質しにくく、保温性に優れているので、農家のハウス栽培用フィルム(ビニルハウス)として大量に使用されている。

群馬県経済連合会では「樹脂加工センター」をつくり、農業用フィルムを回収して、リサイクルしている。

 
農家では、不要フィルムを20kgくらいずつまとめて「樹脂加工センター」に集める/塩化ビニルの再生品

塩化ビニルにかぎらず、使用済みプラスチックは、不純物がまじり、変質したりしているため、元に戻せないことが多い。
 たとえ製品化しても、品質が落ち、値段も安くなる。
 なので、再生品をふたたび再資源化することは行われていない。
 プラスチック製品の再生は1度だけ。あとはゴミ処理するしかないのが現状。



******************************リサイクルの工夫

製鉄の原料に利用
固形燃料の原料にする→石油、ガスなどの燃料を節約できる
活性炭の原料にする試みもある

 
高炉で鉄をつくる/製鉄かす。セメントの原料、道路の舗装材料に利用する/炭素は製鉄の材料になる


******************************プラスチックの再資源化する場合の問題点

<油化>
回収したプラスチックを石油に戻すこと。

 
油化する工場/プラスチックからつくった石油

問題点
・トラックで油化工場に運ぶにも燃料がかかる
・油田から採掘した原油より高価になる


<再生ペレット>
・同じ種類のものを集めるのが大変。
・不純物を取り除くのが大変。
・再生品の使い道が限られている。


<燃料化>
プラスチックに含まれる炭素が鉄鋼の原料になる。
しかし、燃やすと猛毒のダイオキシン類を発生しやすい。


******************************地球を汚すプラスチック

日本近海から北太平洋にかけて24万kmを船で調査して発見した1万6000個の漂流物のうち、
60%以上がプラスチック製品だった。

ウミガメ、イルカ、海鳥の体内から、お菓子の袋、魚網などが発見されることも多い。

「環境ホルモン」と言われる化学物質が水や空気に混ざる理由も、
プラスチック製品の成分が原因と考えられている。
プラスチックゴミを処理する際に出る粉塵が大気に散り、環境に悪影響を与える心配もある。


生分解性プラスチックの開発


生分解性プラスチック製品。肥料にする生ゴミ用の袋、農業用シートに利用されている

・微生物によって分解されるプラスチックの研究。
・トウモロコシなどを原料としたプラスチック。
・農業用フィルム、釣り糸、魚網などに向いていると期待されている。

問題点
腐らない、変質しにくいという利点がなくなる。


製造者の責任
ゴミの多くは市町村が集めて処理している。その費用は税金で負担している。
製造者・販売者が責任を持つべきという声が高まってきた。

2000年、「容器包装リサイクル法」が適用。

製造者が持つ知識・技術を、最初からリサイクルしやすい製品をつくる努力に生かすことが重要。


リサイクルに関する団体のリンク先一例
クリーン・ジャパン・センター
日本産業廃棄物処理振興センター
日本プラスチック工業連盟
プラスチック処理促進協会
発泡スチロール再資源化協会
新潟プラスチック油化センター

編集協力:地人館


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