■『神の左手悪魔の右手』(小学館文庫・全4巻) 楳図かずお著
TSUTAYAコミックレンタルで楳図さん発見。貴重な縁です/感謝
1巻目の冒頭から、少女が血みどろになるという、いきなりのスプラッターに一瞬たじろいだ
全4巻でも読みきりものなのか?と思いきや、
山の辺想くんという霊感の強い?男の子の悪夢というシリーズものだと気づいた。
ドラマでゆったら『ミディアム 霊能者アリソン・デュボア』か『ゴースト~天国からのささやき』系か。
元をたどると、少年が何気なく作っていた消しゴムからっていう/驚
最初は、ただただ迷惑な子ども、本人も恐怖におののくだけだけど、
子どもの純真さから「なんとか助けなければ!」と、子どもなりに知恵を働かせて、
世の中にはびこる闇をなんとかしてゆくっていう過程が興味深い。
ただそこは、ホラー。やっと解決したかと思えても、油断ならないラストに注目
1巻目の巻末に、荒俣宏さんのエッセイがあって、それも面白い。
水木サン、楳図さん、荒俣さんのオバケ屋敷って
それぞれの特徴が出ているとともに、楳図さんがトレードマークの赤白のシャツを着て、
会見では一変して真面目に環境汚染や社会問題などの話をされていたというエピソードが心に残った。
【エッセイ オバケ屋敷からの伝言 荒俣宏】
後楽園遊園地に3つのオバケ屋敷ができた。
コワイと評判の楳図かずお館、カワイイと人気の水木しげる館、ハイテクを使ったアラマタヒロシ館。
楳図さん曰く「一番怖いのはニンゲンですから、コワイおばけ屋敷は人間臭くないといけないんです」
楳図館では絶叫が響き渡っていた。
水木館は、古い萱葺き屋根の農家で、懐かしくて可愛い。
水木サン曰く「妖怪は友だちだからね。ワシも早く妖怪になりたい」
楳図かずおのマンガは、本質的に真面目な社会人でないと付き合えない作品群ではないか。
では、楳図かずおのルールとは何なのか?
つねに、怖がらせられる側が感じる恐怖、受け身の恐怖を描くことに徹することだ。
その証拠に、「女王蜘蛛の舌」に出てくる“蜘蛛”は、楳図さん自身が大嫌いな生きものなのである。
なるほど、わがハイテク妖怪屋敷よりも、もっと生々しい叫び声が上がるわけだ。
水木しげるの場合は、作者は妖怪と仲良くなってしまう。
日本のマンガ界にあって、真の意味における恐怖の創造主(クリエーター)は、
自身がいつも震え慄く側に属している楳図かずおをおいて、他に存在しないということになる。
***************************************
■1巻【錆びたハサミ】
大雨による川の増水で、担任が亡くなったから見に行こうという法子(イジワルでリーダー的存在)。
長女・山の辺泉はついていくが、弟の想もついてきてしまう。
増水によって、どこからか流れ着いた地下室から錆びたハサミを拾ってくる泉。
新しい担任は、一矢知樹というハンサムな教師だが、ハサミを見た途端に激しく変容する。
そして、泉は大量の泥、子どものオモチャ、白骨死体などを次々と吐き出す。
母は、30年前この辺で子どもたちの連続殺人があったことを思い出す。
想は、一矢が犯人だと思ったが、一矢の母から、一矢がたった一人の生き残りだと知る。
一矢の母を地下室に連れていくと、犯人の老婆と、老婆の産んだ奇形児がいた。
ミイラになっても怨念を抱く老婆に想は襲われ、この地下室が姉の体内に通じていると気づく!
■2巻【消えた消しゴム】
想は、消しゴムで守護霊「ぬーめらうーめら」と、ほかの悪魔と戦う「どんどろ」「でんでろ」「がんがろ」「べんべろ」を作る。
友だちが「人は死ぬと正体が現れるんだって。だからみどり先生を殺して正体を見ない?」と誘う。
みどり先生は死ぬが、いつまで見ても顔が変わらないので怖くなり、デパートが建てられる現場に埋めてしまう。
翌日、新しい先生が来ると思っていると、なんとみどり先生は生きていた!
その日から、あの日一緒だった友だちが次々と消えてゆく。
【女王蜘蛛の舌】
想の父は医師だが、その後輩・高品が友人・小玉のペンションに行くというので想と泉も行くことになった。
高品が心配していた通り、小玉はすっかりやつれていた。
虫捕りをしようと歩き回り、想は豪華な屋敷を見つけ、美女と蜘蛛を見て、小玉さんはあの美女に殺されそうになっていると言い出す。
その夜、無数の蜘蛛がペンションに来て、想は1匹の蜘蛛を捕まえるが秘密にしておく。
翌日、屋敷の女主人が瀕死なので診て欲しいと使用人に言われ、高品、想、泉が行ってみると
女主人の舌から大量の血が流れていた。使用人は想が捕えた蜘蛛のことを執拗に聞き返せと襲いかかってくる。
■3巻【黒い絵本】
父はコンビニでバイトをしながら、足の不自由な娘・もものために、毎日のように絵本を描いてあげている。
それは、父が殺した人々の実話が基だとは知らず、ももはもっと描いてくれとせがむ。
「今度は、ももが大好きなケーキの出てくる話だよ」と言って、山小屋に迷い込んだ登山者に山ほどのケーキを食べさせて殺す父。
その話を早く聞きたくて、ももはベッドから這い出て、冷蔵庫にある登山者の首を見てしまう。
そこに、ももが監禁・虐待されているのではないかと疑う教育委員会の女性が訪ねてきて、
恐ろしい絵本を見てしまい、殺人事件のニュースの犯人ではないかと勘付く。
【影亡者】
泉の友だちのみよ子は、パートで働く母の代わりに家事をして、祖父の介護、赤ん坊の世話までしている。
とても地味で、おとなしいが、大スター・兵藤タケルには会ってみたいと告白する。
その帰り道、老婆を助け、結局、想の父のいる病院で亡くなるが、
老婆はかつての銀幕の大スター・大森世津子だったと分かり驚く。
(大森世津子の設定が、もろ原節子さんなのが可笑しいw
「大森世津子って、高根美也子とか八重草香とかと同年配でしょ?」て泉のセリフにも昭和感がw
想は、病院でたくさんの守護霊を見て、患者が回復するか、死期が近いことが分かるようになる。
しかし、大森世津子の遺体だけには霊がいなくて、代わりに周囲に霊のバラバラ死体があって驚く。
泉はみよ子が心配になり見に行くと、想はみよ子に巨大な化け物霊がとりついているのを見てしまう。
みよ子は、おつかいに行くつもりが、いつの間にか化粧をして原宿に来てしまい、スカウトされる。
想は、みよ子を助けようとして、みよ子の先祖霊・三郎太にとりつかれ、顔が2つになってしまう。
■4巻【影亡者】
泉は、霊媒師・香月細子に弟を助けて欲しいと依頼するが、
細子は家に近づいただけで霊力に負けてしまう。「左手は、神の左手といって鎮める力があるはずなのに」
細子は、三郎太のために、みよ子の位牌を持ってくるよう泉に言う。
みよ子の家に近づくと今度は細子の右手が破れる。「攻撃の右手が!」
想は眠ったままで、三郎太が話す。「みよ子は影亡者に乗っ取られてしまった」
細子「師匠にお願いするしかないが、今は物部村で呪詛の行の最中だ」と言う。
泉「守護霊がいなくなるとどうなるの?」
細子「よくやたら怪我ばかりする人がいるでしょう。そういう人はたいて後ろにどなたもついていない場合が多いの」
泉は細子に言われた霊が映るカメラでみよ子を見てみると、巨大な影亡者を見てしまう
みよ子は、メイクも髪型も変えて見違えるように変身し、新人スターとしてデビューし、またたく間にお茶の間のアイドルになる。
みんなはいつのまにか、物部村に着き、細子の師匠・小谷が呼び寄せていたことを知る。
「みよ子を助けるには兵藤タケルしかいない。でも、タケルにはこどもの大群がついているのです!」(この辺が楳図さんらしいな
兵藤タケルがサプライズ出演する番組に出るみよ子
「わたしはヌーメラウーメラ!! この世のもとなり! もとはうたえり、神の左手、悪魔の右手、あの世の者、消えよ!」
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TSUTAYAコミックレンタルで楳図さん発見。貴重な縁です/感謝
1巻目の冒頭から、少女が血みどろになるという、いきなりのスプラッターに一瞬たじろいだ
全4巻でも読みきりものなのか?と思いきや、
山の辺想くんという霊感の強い?男の子の悪夢というシリーズものだと気づいた。
ドラマでゆったら『ミディアム 霊能者アリソン・デュボア』か『ゴースト~天国からのささやき』系か。
元をたどると、少年が何気なく作っていた消しゴムからっていう/驚
最初は、ただただ迷惑な子ども、本人も恐怖におののくだけだけど、
子どもの純真さから「なんとか助けなければ!」と、子どもなりに知恵を働かせて、
世の中にはびこる闇をなんとかしてゆくっていう過程が興味深い。
ただそこは、ホラー。やっと解決したかと思えても、油断ならないラストに注目
1巻目の巻末に、荒俣宏さんのエッセイがあって、それも面白い。
水木サン、楳図さん、荒俣さんのオバケ屋敷って
それぞれの特徴が出ているとともに、楳図さんがトレードマークの赤白のシャツを着て、
会見では一変して真面目に環境汚染や社会問題などの話をされていたというエピソードが心に残った。
【エッセイ オバケ屋敷からの伝言 荒俣宏】
後楽園遊園地に3つのオバケ屋敷ができた。
コワイと評判の楳図かずお館、カワイイと人気の水木しげる館、ハイテクを使ったアラマタヒロシ館。
楳図さん曰く「一番怖いのはニンゲンですから、コワイおばけ屋敷は人間臭くないといけないんです」
楳図館では絶叫が響き渡っていた。
水木館は、古い萱葺き屋根の農家で、懐かしくて可愛い。
水木サン曰く「妖怪は友だちだからね。ワシも早く妖怪になりたい」
楳図かずおのマンガは、本質的に真面目な社会人でないと付き合えない作品群ではないか。
では、楳図かずおのルールとは何なのか?
つねに、怖がらせられる側が感じる恐怖、受け身の恐怖を描くことに徹することだ。
その証拠に、「女王蜘蛛の舌」に出てくる“蜘蛛”は、楳図さん自身が大嫌いな生きものなのである。
なるほど、わがハイテク妖怪屋敷よりも、もっと生々しい叫び声が上がるわけだ。
水木しげるの場合は、作者は妖怪と仲良くなってしまう。
日本のマンガ界にあって、真の意味における恐怖の創造主(クリエーター)は、
自身がいつも震え慄く側に属している楳図かずおをおいて、他に存在しないということになる。
***************************************
■1巻【錆びたハサミ】
大雨による川の増水で、担任が亡くなったから見に行こうという法子(イジワルでリーダー的存在)。
長女・山の辺泉はついていくが、弟の想もついてきてしまう。
増水によって、どこからか流れ着いた地下室から錆びたハサミを拾ってくる泉。
新しい担任は、一矢知樹というハンサムな教師だが、ハサミを見た途端に激しく変容する。
そして、泉は大量の泥、子どものオモチャ、白骨死体などを次々と吐き出す。
母は、30年前この辺で子どもたちの連続殺人があったことを思い出す。
想は、一矢が犯人だと思ったが、一矢の母から、一矢がたった一人の生き残りだと知る。
一矢の母を地下室に連れていくと、犯人の老婆と、老婆の産んだ奇形児がいた。
ミイラになっても怨念を抱く老婆に想は襲われ、この地下室が姉の体内に通じていると気づく!
■2巻【消えた消しゴム】
想は、消しゴムで守護霊「ぬーめらうーめら」と、ほかの悪魔と戦う「どんどろ」「でんでろ」「がんがろ」「べんべろ」を作る。
友だちが「人は死ぬと正体が現れるんだって。だからみどり先生を殺して正体を見ない?」と誘う。
みどり先生は死ぬが、いつまで見ても顔が変わらないので怖くなり、デパートが建てられる現場に埋めてしまう。
翌日、新しい先生が来ると思っていると、なんとみどり先生は生きていた!
その日から、あの日一緒だった友だちが次々と消えてゆく。
【女王蜘蛛の舌】
想の父は医師だが、その後輩・高品が友人・小玉のペンションに行くというので想と泉も行くことになった。
高品が心配していた通り、小玉はすっかりやつれていた。
虫捕りをしようと歩き回り、想は豪華な屋敷を見つけ、美女と蜘蛛を見て、小玉さんはあの美女に殺されそうになっていると言い出す。
その夜、無数の蜘蛛がペンションに来て、想は1匹の蜘蛛を捕まえるが秘密にしておく。
翌日、屋敷の女主人が瀕死なので診て欲しいと使用人に言われ、高品、想、泉が行ってみると
女主人の舌から大量の血が流れていた。使用人は想が捕えた蜘蛛のことを執拗に聞き返せと襲いかかってくる。
■3巻【黒い絵本】
父はコンビニでバイトをしながら、足の不自由な娘・もものために、毎日のように絵本を描いてあげている。
それは、父が殺した人々の実話が基だとは知らず、ももはもっと描いてくれとせがむ。
「今度は、ももが大好きなケーキの出てくる話だよ」と言って、山小屋に迷い込んだ登山者に山ほどのケーキを食べさせて殺す父。
その話を早く聞きたくて、ももはベッドから這い出て、冷蔵庫にある登山者の首を見てしまう。
そこに、ももが監禁・虐待されているのではないかと疑う教育委員会の女性が訪ねてきて、
恐ろしい絵本を見てしまい、殺人事件のニュースの犯人ではないかと勘付く。
【影亡者】
泉の友だちのみよ子は、パートで働く母の代わりに家事をして、祖父の介護、赤ん坊の世話までしている。
とても地味で、おとなしいが、大スター・兵藤タケルには会ってみたいと告白する。
その帰り道、老婆を助け、結局、想の父のいる病院で亡くなるが、
老婆はかつての銀幕の大スター・大森世津子だったと分かり驚く。
(大森世津子の設定が、もろ原節子さんなのが可笑しいw
「大森世津子って、高根美也子とか八重草香とかと同年配でしょ?」て泉のセリフにも昭和感がw
想は、病院でたくさんの守護霊を見て、患者が回復するか、死期が近いことが分かるようになる。
しかし、大森世津子の遺体だけには霊がいなくて、代わりに周囲に霊のバラバラ死体があって驚く。
泉はみよ子が心配になり見に行くと、想はみよ子に巨大な化け物霊がとりついているのを見てしまう。
みよ子は、おつかいに行くつもりが、いつの間にか化粧をして原宿に来てしまい、スカウトされる。
想は、みよ子を助けようとして、みよ子の先祖霊・三郎太にとりつかれ、顔が2つになってしまう。
■4巻【影亡者】
泉は、霊媒師・香月細子に弟を助けて欲しいと依頼するが、
細子は家に近づいただけで霊力に負けてしまう。「左手は、神の左手といって鎮める力があるはずなのに」
細子は、三郎太のために、みよ子の位牌を持ってくるよう泉に言う。
みよ子の家に近づくと今度は細子の右手が破れる。「攻撃の右手が!」
想は眠ったままで、三郎太が話す。「みよ子は影亡者に乗っ取られてしまった」
細子「師匠にお願いするしかないが、今は物部村で呪詛の行の最中だ」と言う。
泉「守護霊がいなくなるとどうなるの?」
細子「よくやたら怪我ばかりする人がいるでしょう。そういう人はたいて後ろにどなたもついていない場合が多いの」
泉は細子に言われた霊が映るカメラでみよ子を見てみると、巨大な影亡者を見てしまう
みよ子は、メイクも髪型も変えて見違えるように変身し、新人スターとしてデビューし、またたく間にお茶の間のアイドルになる。
みんなはいつのまにか、物部村に着き、細子の師匠・小谷が呼び寄せていたことを知る。
「みよ子を助けるには兵藤タケルしかいない。でも、タケルにはこどもの大群がついているのです!」(この辺が楳図さんらしいな
兵藤タケルがサプライズ出演する番組に出るみよ子
「わたしはヌーメラウーメラ!! この世のもとなり! もとはうたえり、神の左手、悪魔の右手、あの世の者、消えよ!」
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