■『遠い声 遠い部屋』 Other Voices, Other Rooms(1948年)
トルーマン・カポーティ著
▼あらすじ(ネタバレ注意
主人公・ジョエルは、母が死に、叔母エレンの元に引き取られたが、
ある日、父エドワード・サンソムから引き取るとの一報が届いて、
一人で山中の田舎村、ヌーン・シティを訪れる。
ランディングの家で、父の今の妻ミス・エイミイと、従兄弟のランドルフ、双子の姉妹、
黒人のミズーリと、その父で長老のジーザス・フィーヴァーらに会うが、
誰一人として彼の父のことは話したがらない。
会ってみると、父は植物人間同様で寝たきり状態。
唯一言えるのは「ありがとう」「ぼうや」「ボール」「ダメだ」くらいで、
わずかな意思表示として赤いテニスボールを落とすのみだった。
やがてランドルフは真相を語る。
昔、彼はドローリスという女性と住んでいて拳闘家ペペ・アルヴァトレスと、
そのマネージャー、エド・サンソムに引き合わされ、なぜかペペに恋してしまう。
しかし、4月のある日、ペペもドローリスも彼の元から消え去ってしまい、
混乱したままエドを撃ってしまい、今の状態にしてしまったことを。
ジーザスは死に、ミズーリは村を離れる決心をして出てゆくが、
白人3人と黒人1人にレイプされて帰ってくる。
友人になった双子の妹アイダヴェルは、サーカス団の小人の女性のところに行ってしまった。
エレン叔母が迎えに来てくれたのに、ランドルフが少年を連れ出し、
隠遁者リトル・サンシャインのところに出かけた後だった。
皆が過去を振り返り、泥沼の中に毎年数インチずつ沈でいる家を出て、
少年は突然だしぬけに「さ、今だ」と言って、自分の足で歩き始める決心をする。
一度、後に残してきた自らの少年の姿、脱皮した後に残された古い抜け殻を懐かしく振り返ってから。
*********************************
「我々が一番して欲しいと思っているのは、ただしっかりと抱きとめてもらい
“みんな、そのうちきっとよくなりますからね”って言ってもらうことなんだ」
素晴らしい評価を受けた古典作品の例にもれず、今作もひどく難解で、
半分読むのに2、3日かかって、もう半分読もうと神経を集中させるのがひどく困難だった。
でも、これを書いた当時、カポーティはまだ23歳と知って驚いた。
以前にそれを知っていたら、もっとすんなりと、この錯乱と、フェリーニ映画のような混沌と、
青春の不安定さと、孤独と、思い違いを、もっと理解することができたのに。
トルーマン・カポーティ著
▼あらすじ(ネタバレ注意
主人公・ジョエルは、母が死に、叔母エレンの元に引き取られたが、
ある日、父エドワード・サンソムから引き取るとの一報が届いて、
一人で山中の田舎村、ヌーン・シティを訪れる。
ランディングの家で、父の今の妻ミス・エイミイと、従兄弟のランドルフ、双子の姉妹、
黒人のミズーリと、その父で長老のジーザス・フィーヴァーらに会うが、
誰一人として彼の父のことは話したがらない。
会ってみると、父は植物人間同様で寝たきり状態。
唯一言えるのは「ありがとう」「ぼうや」「ボール」「ダメだ」くらいで、
わずかな意思表示として赤いテニスボールを落とすのみだった。
やがてランドルフは真相を語る。
昔、彼はドローリスという女性と住んでいて拳闘家ペペ・アルヴァトレスと、
そのマネージャー、エド・サンソムに引き合わされ、なぜかペペに恋してしまう。
しかし、4月のある日、ペペもドローリスも彼の元から消え去ってしまい、
混乱したままエドを撃ってしまい、今の状態にしてしまったことを。
ジーザスは死に、ミズーリは村を離れる決心をして出てゆくが、
白人3人と黒人1人にレイプされて帰ってくる。
友人になった双子の妹アイダヴェルは、サーカス団の小人の女性のところに行ってしまった。
エレン叔母が迎えに来てくれたのに、ランドルフが少年を連れ出し、
隠遁者リトル・サンシャインのところに出かけた後だった。
皆が過去を振り返り、泥沼の中に毎年数インチずつ沈でいる家を出て、
少年は突然だしぬけに「さ、今だ」と言って、自分の足で歩き始める決心をする。
一度、後に残してきた自らの少年の姿、脱皮した後に残された古い抜け殻を懐かしく振り返ってから。
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「我々が一番して欲しいと思っているのは、ただしっかりと抱きとめてもらい
“みんな、そのうちきっとよくなりますからね”って言ってもらうことなんだ」
素晴らしい評価を受けた古典作品の例にもれず、今作もひどく難解で、
半分読むのに2、3日かかって、もう半分読もうと神経を集中させるのがひどく困難だった。
でも、これを書いた当時、カポーティはまだ23歳と知って驚いた。
以前にそれを知っていたら、もっとすんなりと、この錯乱と、フェリーニ映画のような混沌と、
青春の不安定さと、孤独と、思い違いを、もっと理解することができたのに。