■『みぢかなくらしと地方行政7 写真でわかる小学生の社会科見学 福祉施設』(リブリオ出版)
羽豆成二/監修
みぢかだけど、案外知らないことを児童書で勉強するシリーズ。
今回は、地元の長野の「特別養護老人ホーム アザレアンさなだ」が紹介されていて、
「高齢者福祉」について取り上げている。
私の両親も高齢になって、いろいろ知らないことがあって勉強になった。
それにしても、こんなにいたせり尽くせりな施設ばかりじゃないだろうし、
どのくらい費用がかかるのか、税金などでどれだけ補助を受けているかも気になった。
【内容抜粋メモ】
【2025年には国民の4人に1人がお年寄り】
福祉といっても「児童福祉」「身体障害者福祉」などいろいろある中、今回は「高齢者福祉」を取り上げる。
「老人福祉法」という法律に基づいて設置された「特別養護老人ホーム」について、
「アザレアンさなだ」のさまざまな取り組みを紹介する。
「アザレアンさなだ」
●四季折々の行事
年に1度「敬老の日」に文化祭が行われ、地元の人も多数参加して、屋台が出たり、
入居者によるお芝居が熱演されたりする。
●宮島渡施設長さんにインタビュー~大切にしていることは3つ
1.快適さ
それまでの生活感を尊重して、職員のほうが合わせていく。
落とすと危ないからとプラスチック容器にするのではなく、慣れた瀬戸物の食器にするなど
2.その人らしさを支える
家にいるように、その人らしく過ごしていただく。
3.便利さ
1日中寮母さんが近くにいて、1日3食用意される。定期的にお風呂にも入れる。
スタッフは40人くらい。朝9時~午後4時までの2交代制。
Q:「福祉」とは?
体に障害がある、困っている人を助けるというイメージが強いが、
「その人らしく活き活きと生きる」ことだと思っている。
「お座敷(擬似家庭療法の部屋)」
日中だけ来て、ゲームなどをして過ごすお年寄りもいる/それぞれの部屋には暖簾があり、目印となっている
施設に入ることで、それまでの人との関係が途切れてしまう+与えられるだけの「受け身」が増える。
この部屋では、認知症のお年寄り6人でグループをつくり、一般家庭を再現し、各自で役割をもってもらう。
【職員の仕事内容】
●こまめな打ち合わせで入居者の健康管理
会議風景/部屋の入り口には、個人別の郵便受けがある
勤務の交代時は「○○さんがお腹を壊しているから、おかゆにしてね」など報告する会議がある。
・総括主任の黒岩さんにインタビュー
私はおばあちゃん子でした。それと、小さい頃から看護婦みたいな仕事がしたい夢もあって、応募しました。
職員は、体力ではお年寄りの世話ができるが、精神面などで逆にお年寄りに助けていただくこともあります。
●衛生管理も重要な仕事
入居者は約50人。洗濯物は毎日かなりの量になる
●食事は1人ずつの好みに合わせて
献立表/食事を間違えないよう、お膳には名札が付いている
厨房には7人の職員がいて、交代制で、毎日4~5人が食事をつくっている。
栄養士が1カ月分の献立表をつくる。
おもに主食は、食べたいものを変更できる。例:そば、うどん、カレーなど
食堂のテーブルは、クロスがあるものないもの、高さなどを自由に選べる。
作業が終わった職員は、お年寄りといっしょに混ざって食べるようになり、意見を交わす機会にもなっている
●お風呂
「浴室」と「特別浴室」がある。どちらも週2回。希望があれば増やせる。
「浴室」には、温泉がひかれていて、専用の車椅子で入れるよう傾斜がついている。
「特別浴室」は、関節が曲がりにくい方が利用する。
【グループで生活する部屋】
施設内には、台所や家具のある部屋がある。
平日の午前10時~午後7時まで、6人のグループが共同生活をしている。
【民家を改造した「大庭の家」】
施設からクルマで約5分のところにある「大庭の家」は、老夫婦が引っ越して空き家になった民家を借りた。
庭で花や野菜を育てている
自分の役割を果たして、仲間の役に立つことは、はりあい、喜びにつながる
【真田町の「老人福祉センター」】
アザレアンから歩いて3分にある
地元の60歳以上のお年寄りが気軽に利用できる施設。温泉のお風呂も無料
火曜以外の平日は「ふれあいバス」が無料で送り迎えする。
右写真は「機能訓練室」手前に「全身マッサージ器」がある
【真田町の「希望の家」】
「老人福祉センター」の近くに、障害者と、60歳以上が利用できる「希望の家」がある。
手づくりの木工品を創る作業場で、定員10名ほどの福祉施設。販売もしている。
********************************
●東京都福祉機器総合センター@飯田橋
(あら、“平成14年3月末で廃止されました”って 本書は平成16年(2004)第4刷なのに???
「財団法人東京都福祉保健財団」(平成21年4月1日~
全国一の規模を誇り、車イスをはじめ、福祉機器が約1200点展示されている。
専門スタッフへの相談、「体験コーナー」もある。
【車イスの体験】
自走式/車輪の脇に手でつかむ輪があり、これを回して移動する
介助式/リクライニング式
・車イスは、坂道、段差、やわらかい地面が苦手
傾斜6度(都内の坂の平均斜度)と、10度の坂道を自走式で実際体験してみる「体験コーナー」。
フカフカの絨毯、道の端が傾斜している「片流れ」の路面も、低いほうに流れて進みづらいと分かった。
【お年寄りの体を体験】
「筋力低下」を体験するために、両腕に各750g、両足に1kgの重りをつけ、1kgのチョッキを着る。
高音域が聞こえにくい耳栓、ぼやけて見えるメガネ、関節を固定するサポーター、つかみにくい手袋もはめて、日常の動作を体験する。
段数の少ない階段でも降りる時に恐怖感がある/ドアノブで一番開けやすいのは一番左
【使いやすい食事用具の体験】
とっての大きなスープカップ
「住宅関連・食事・調理用品コーナー」では、お年寄りや障害者が住みやすい家づくりの機器が展示されていた。
(以前読んだ『ユニバーサルデザインってなに?』(あかね書房)にも通じそう
【福祉機器を使ってお母さんをお風呂に入れる体験】
日本人はお風呂が大好きで、体ごとお湯につかりたいという人が多い
そこで開発されたのが、水圧を利用した「入浴用リフト」。
お世話する人が1人で操作して、安全にお風呂に入れる。
【その他のコミュニケーション機器】
息を吐いたり吸ったりすることで、パネルの項目から希望することを選んで指示を出せる
ベッドの角度を変えたり、テレビを見たり、電話をかけたりが1人でできると、
コミュニケーションや、情報収集の可能性が大きく広がる。
・センター所長にインタビュー
センターでは、上手な福祉機器の選び方、使い方、購入方法などの助言も受けられます。
私は、「~がしたい」「できる」「支え合う」ということが福祉の基本にあると思っています。
新たに「こうしたい」ことが分かれば、メーカーに相談して、作る試みもしていきたい。
羽豆成二/監修
みぢかだけど、案外知らないことを児童書で勉強するシリーズ。
今回は、地元の長野の「特別養護老人ホーム アザレアンさなだ」が紹介されていて、
「高齢者福祉」について取り上げている。
私の両親も高齢になって、いろいろ知らないことがあって勉強になった。
それにしても、こんなにいたせり尽くせりな施設ばかりじゃないだろうし、
どのくらい費用がかかるのか、税金などでどれだけ補助を受けているかも気になった。
【内容抜粋メモ】
【2025年には国民の4人に1人がお年寄り】
福祉といっても「児童福祉」「身体障害者福祉」などいろいろある中、今回は「高齢者福祉」を取り上げる。
「老人福祉法」という法律に基づいて設置された「特別養護老人ホーム」について、
「アザレアンさなだ」のさまざまな取り組みを紹介する。
「アザレアンさなだ」
●四季折々の行事
年に1度「敬老の日」に文化祭が行われ、地元の人も多数参加して、屋台が出たり、
入居者によるお芝居が熱演されたりする。
●宮島渡施設長さんにインタビュー~大切にしていることは3つ
1.快適さ
それまでの生活感を尊重して、職員のほうが合わせていく。
落とすと危ないからとプラスチック容器にするのではなく、慣れた瀬戸物の食器にするなど
2.その人らしさを支える
家にいるように、その人らしく過ごしていただく。
3.便利さ
1日中寮母さんが近くにいて、1日3食用意される。定期的にお風呂にも入れる。
スタッフは40人くらい。朝9時~午後4時までの2交代制。
Q:「福祉」とは?
体に障害がある、困っている人を助けるというイメージが強いが、
「その人らしく活き活きと生きる」ことだと思っている。
「お座敷(擬似家庭療法の部屋)」
日中だけ来て、ゲームなどをして過ごすお年寄りもいる/それぞれの部屋には暖簾があり、目印となっている
施設に入ることで、それまでの人との関係が途切れてしまう+与えられるだけの「受け身」が増える。
この部屋では、認知症のお年寄り6人でグループをつくり、一般家庭を再現し、各自で役割をもってもらう。
【職員の仕事内容】
●こまめな打ち合わせで入居者の健康管理
会議風景/部屋の入り口には、個人別の郵便受けがある
勤務の交代時は「○○さんがお腹を壊しているから、おかゆにしてね」など報告する会議がある。
・総括主任の黒岩さんにインタビュー
私はおばあちゃん子でした。それと、小さい頃から看護婦みたいな仕事がしたい夢もあって、応募しました。
職員は、体力ではお年寄りの世話ができるが、精神面などで逆にお年寄りに助けていただくこともあります。
●衛生管理も重要な仕事
入居者は約50人。洗濯物は毎日かなりの量になる
●食事は1人ずつの好みに合わせて
献立表/食事を間違えないよう、お膳には名札が付いている
厨房には7人の職員がいて、交代制で、毎日4~5人が食事をつくっている。
栄養士が1カ月分の献立表をつくる。
おもに主食は、食べたいものを変更できる。例:そば、うどん、カレーなど
食堂のテーブルは、クロスがあるものないもの、高さなどを自由に選べる。
作業が終わった職員は、お年寄りといっしょに混ざって食べるようになり、意見を交わす機会にもなっている
●お風呂
「浴室」と「特別浴室」がある。どちらも週2回。希望があれば増やせる。
「浴室」には、温泉がひかれていて、専用の車椅子で入れるよう傾斜がついている。
「特別浴室」は、関節が曲がりにくい方が利用する。
【グループで生活する部屋】
施設内には、台所や家具のある部屋がある。
平日の午前10時~午後7時まで、6人のグループが共同生活をしている。
【民家を改造した「大庭の家」】
施設からクルマで約5分のところにある「大庭の家」は、老夫婦が引っ越して空き家になった民家を借りた。
庭で花や野菜を育てている
自分の役割を果たして、仲間の役に立つことは、はりあい、喜びにつながる
【真田町の「老人福祉センター」】
アザレアンから歩いて3分にある
地元の60歳以上のお年寄りが気軽に利用できる施設。温泉のお風呂も無料
火曜以外の平日は「ふれあいバス」が無料で送り迎えする。
右写真は「機能訓練室」手前に「全身マッサージ器」がある
【真田町の「希望の家」】
「老人福祉センター」の近くに、障害者と、60歳以上が利用できる「希望の家」がある。
手づくりの木工品を創る作業場で、定員10名ほどの福祉施設。販売もしている。
********************************
●東京都福祉機器総合センター@飯田橋
(あら、“平成14年3月末で廃止されました”って 本書は平成16年(2004)第4刷なのに???
「財団法人東京都福祉保健財団」(平成21年4月1日~
全国一の規模を誇り、車イスをはじめ、福祉機器が約1200点展示されている。
専門スタッフへの相談、「体験コーナー」もある。
【車イスの体験】
自走式/車輪の脇に手でつかむ輪があり、これを回して移動する
介助式/リクライニング式
・車イスは、坂道、段差、やわらかい地面が苦手
傾斜6度(都内の坂の平均斜度)と、10度の坂道を自走式で実際体験してみる「体験コーナー」。
フカフカの絨毯、道の端が傾斜している「片流れ」の路面も、低いほうに流れて進みづらいと分かった。
【お年寄りの体を体験】
「筋力低下」を体験するために、両腕に各750g、両足に1kgの重りをつけ、1kgのチョッキを着る。
高音域が聞こえにくい耳栓、ぼやけて見えるメガネ、関節を固定するサポーター、つかみにくい手袋もはめて、日常の動作を体験する。
段数の少ない階段でも降りる時に恐怖感がある/ドアノブで一番開けやすいのは一番左
【使いやすい食事用具の体験】
とっての大きなスープカップ
「住宅関連・食事・調理用品コーナー」では、お年寄りや障害者が住みやすい家づくりの機器が展示されていた。
(以前読んだ『ユニバーサルデザインってなに?』(あかね書房)にも通じそう
【福祉機器を使ってお母さんをお風呂に入れる体験】
日本人はお風呂が大好きで、体ごとお湯につかりたいという人が多い
そこで開発されたのが、水圧を利用した「入浴用リフト」。
お世話する人が1人で操作して、安全にお風呂に入れる。
【その他のコミュニケーション機器】
息を吐いたり吸ったりすることで、パネルの項目から希望することを選んで指示を出せる
ベッドの角度を変えたり、テレビを見たり、電話をかけたりが1人でできると、
コミュニケーションや、情報収集の可能性が大きく広がる。
・センター所長にインタビュー
センターでは、上手な福祉機器の選び方、使い方、購入方法などの助言も受けられます。
私は、「~がしたい」「できる」「支え合う」ということが福祉の基本にあると思っています。
新たに「こうしたい」ことが分かれば、メーカーに相談して、作る試みもしていきたい。