過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part3からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。
■『中島みゆき/夜会 VOL.3 KAN・TAN』(1992)
スゴイのひと言。みゆきの歌はドラマだとは常々感じていたけど、これほどまで演劇的にマッチするとは、たいした役者だね。
とくに老婆の死の瞬間なんか迫真に満ちてて、始終目が離せない凝りまくった演出。
プロデュースはみゆき自身。きっと歌を書く時はこんな世界が頭の中でいつも描かれているんだね。
このシリーズぜひほかの作品も気になるところ。
27曲中初聴きもあるので、分かるものだけメモ。あとで調べよう。
♪トーキョー迷子(いい曲、覚えたい)、♪タクシー・ドライバー(懐かしい。『不思議の国のアリス』か。赤チェックのスカートが可愛い。
その次は長い髪がキレイ。♪ひとり上手 をこぶし入れまくりで歌う
そして長手袋を外して一転♪さよならの鐘(映画っぽい撮り方がカッコイイ)、次は寝起きパジャマ、
次は美空ひばりさんのファイナルコンサートって感じの羽飾りに赤いドレス。
これで♪黄色い犬 をよがりながら歌う珍しく?!セクシーなシーン、突然老婆になって♪傾斜、
ロウソクの火の間をのたうちまわり、叫びとともに真暗闇。赤ん坊の泣き声が響く。輪廻転生したのかな?
♪I love him 愛されるだけが幸せというのは子どもの頃の夢。返される愛はなくても・・・
感動のフィナーレ。そして正装して挨拶。観客がいたんだ。とっても静かだったからいないのかと思っちゃった。
客駅にも雪が降る、けど冷たく寂しいより温かさが残るラスト。
この時期にピッタリの夜会でした。ドラマの主題歌はじめ、また若いファン層も飲み込んで、どんどんふくらんでいくみゆきワールド。
サザン、ユーミンらとともに日本を背負ってたつ音楽会の巨匠って感じ。またCD聴きたい。
ほか注目のナンバーは、♪LA LA LA 、♪サーチライト、♪僕は青い鳥、♪ロンリーカナリア、
♪二隻の舟、♪殺してしまおう、♪萩野原、♪BGM、♪シュガー、♪雪
■『ハンテッド』(1995)
監督:J・F・ロートン 出演:クリストファー・ランバート、ジョン・ローン、夏木マリ、岡田真澄、ジョアン・チェン ほか
いつも外国監督が日本を描いた映画にはいいようのない恥ずかしい思いがするのはなぜか?
『ブラック・レイン』も高倉健ほか豪華キャストにも関わらず、相変わらず芸者遊びに寿司等の基本用語解説的だったし、
今作もマイクロチップ時代に忍者・・・わざとギャップを利用しているんだろうけど、やっぱりなんか時空のズレを感じる。
J.ローンの元気な姿を観れるのが唯一のポイント。
悪役アジア系が続いているようで、チェンとは『ラストエンペラー』以来の共演。
ドキッとするセミヌードシーンもあり。なんか違った役でも見たいな。
第1のズレ:日本のホテルのバーで真っ赤なスケスケドレス着ている女はいない。
第2のズレ:公園で太鼓を観る。
第3のズレ:岡田さんの濃さは日系じゃないよね。しかも暗号名が「あけぼの」「わかたか」。
第4のズレ:酔っ払いの刀造りから3週間剣術を習っただけでもうベテランと戦えるまでになってる。
第5のズレ:相手の雑魚を大勢殺すシーンは思いっきり吹き替え。ローンもけっこう日本語上手いんだけど。
第6のズレ:なんだか単に大人の殴り合いのケンカっぽくなっちゃう。
ただのアメリカ人ビジネスマンにヤラれるのは傷を負って不利だとはいえ変。
第7のズレ:ジョアンが殺された理由は、平凡中の平凡。男から逃げたため、愛人を殺すのにわざわざ忍者を呼ぶか?
ラストは刀造りの中途半端な笑いでストップモーションがかかる水戸黄門シリーズを思わせるエンディング。
外国映画を観て、外国人は「こりゃないだろ」って思うことはないのかな?
今作は日本の生活のシミュレーション体験ができる部分もあるけど、
まだまだ'95といえども外国人の眼には“フシギの国ニッポン”て映るんだろうね。
ランバートも相変わらず寄り目がちでハンサムな魅力を発揮している。
■『欲望という名の電車』(1995)
監督:グレン・ジョーダン 出演:ジェシカ・ラング、アレック・ボールドウィン、ダイアン・レイン ほか
久々見応えある文芸作。ほとんどジェシカの迫真に満ちた独り舞台で、脇を固める役者がそろい、原作を丁寧に映画化。
ヴィヴィアン・リーの初作を観たのは随分前で、あまりブランチの過去の描写はなかった気がするが、
今作では上流階級の女が堕落するまで2時間一気に観客をとらえて離さない。
数ある見せ場の中でも、若くして結婚した白馬の王子がゲイで、
しかも突然銃で頭を吹き飛ばして自殺したのを見た過去を語るシーンは圧巻。
銃声にその時流れていた音楽が悪夢のようによみがえる。
「死の反対は欲望、そうでしょ?」
暗示的な花売りの老婆が死神の使いのようだ。
今じゃ少しはマシになったろうけど、昔、精神病院に入れられることは恥辱そのもので、人間以下の扱いだったろうね。
ラストはまるで生きながら棺に入っていくよう。
少女時代に何不自由なく育ったのが現実生活では、まるで傷つくだけの存在にしてしまったのだろう。
「見た目の美しさはうつろいやすもの。教養は年ごとに輝く」
「また暗闇に戻った。照らすのはキッチンのロウソクのみ」
原作をじっくり読みたくなる逸品。いつもながらジョン・グッドマンの熱演は特筆に価する。
■『夜会 VOL4 金環蝕』(1993)
監督:根岸吉太郎 出演:中島みゆき ほか
【収録曲】
♪C.Q.、♪砂の船、♪ほうせんか、♪歌をあなたに、♪エレーン、♪遠雷、♪冬を待つ季節、♪世迷い言
♪熱病、♪最悪、♪真直ぐな線、♪やまねこ、♪新曽根崎心中、♪EAST ASIA、♪二隻の舟、♪DIAMOND CAGE、♪泣かないでアマテラス
この夜会シリーズは毎年暮れに行われるみゆきのその年の総まとめのライフワークなんだね。
今年も凝りまくり日食によって起こる光の輪、説明では珍しくない現象だけど、最長17分でそれより長いものは158年後にしかないらしい。
「'93にも日本で見られる」て見たっけか?
その日食の夜に死んだ太古の日本“倭の国”の卑弥呼と現代の天文学者が結ばれる感動とファンタジーの世界。
ツートトツートトの無線音で始まる。昔ウチでもこの音は馴染みだったから懐かしい。
一面プラネタリウムといった感じの中にレトロで大きな望遠鏡のある絵は美しいのひと言。
今作はコーラスガール2人の出番が多い。レパートリー4曲丸々歌うし、寸劇までやってる。
♪EAST ASIA の盛り上がり方はすごい。みゆきさんはとっても美しい。モテるんじゃないかな?
♪泣かないでアマテラス は、今作のために書き下ろした曲らしい。メンバの紹介もシュール。
ロケ地でのフィルムと合わせて壮大な日本絵巻となっている。
日本にもこんなステキな歴史的ヒロインがいるのね。誰か映画化してくれないかな?
■『蒼い記憶』(1995)
監督:スティーブン・ソダーバーグ 出演:ピーター・ギャラガー ほか
案外シンプルなストーリー。邦題といい、ジャケットの雰囲気や、深層心理って言葉に、
もうちょっとヒネった展開を期待してた。ま、どんでん返し続きではあるけど。
ギャンブルをやめられない人の狂気の描き方はリアルでゾッとさせる。
前ヒット作と同様、ギャラガーを起用。サンプラスに似てるんだよね。
描いたような眉毛が印象的な完璧美形。緑や青シートを貼ったような色の使い分けは面白い。
宝くじに、フットボール、当たる時もあるけど、外れることのほうがよっぽど多い賭け事。
それにハマるのって病気に近いね。結婚したら苦労は目に見えてる。
アルコール中毒やドラッグ中毒と同じ。妙に親密な母親役がとってもあやしかったから
親子関係に重大な秘密でもあったらもっと面白かったかも。どのキャラクターも怪しいけど。
トミー役の俳優の危険度も高い。緊張感がピリリと効いた作品。ヒロインも美人。
■『夜会』(1990)
出演:中島みゆき ほか
【収録曲】
♪二隻の船、♪彼女によろしく、♪ミルク32、♪流浪の詩、♪窓ガラス、♪うそつきが好きよ
♪元気ですか、♪クレンジングクリーム、♪月の赤ん坊、♪断崖 親愛なる者へ
♪孤独の肖像、♪強がりはよせヨ、♪北の国の習い、♪ショウ・タイム、♪Maybe、♪ふたりは
これが初回? 副題もついてないし。セットがまだシンプルで、構成もしかり。
コンサートと舞台のあいのこって感じ。みゆきがセリフを言う、このスタートから始まって、
この間の卑弥呼や、最新版は二重人格らしいけど、テーマをもって、大掛かりになり、
みゆき自身もフリを覚えたりして努力してるのが段階を追って分かる貴重な記録。
カチっとした黒いパンツスーツでヘッドフォンをつけた♪ショウ・タイム はカッコイイ。
客の拍手もちゃんと入ってるし、帰る静かな姿も丁寧に撮ってある。
アルフィが3人生ギターで歌ってたのをヒントにした♪窓ガラス でのギター弾き語りも披露。
最初はこーゆーフォークソングだったんだもんね。
それがヴィジュアルの工夫を重ねて、新たな一歩を踏み出してから、毎年どんどん進化してゆく、それはとどまることを知らない。
まだまだ未開発の余力を残していると期待させるみゆきのステージパフォーマンス、次回作も楽しみに待ちたい。
■『THE CREAM OF ERIC CLAPTON』
出演:THE YARDBIRDS, THE CREAM ほか
【収録曲】
♪LOUISE、♪CROSSROADS、♪I FEEL FREE、♪SUNSHINE ON YOUR LOVE、♪STRANGE BREW、♪WHITE ROOM
♪BADGE、♪WORRIED LIFE BLUES、♪LAYLA、♪KNOCKING ON HEAVEN'S DOOR、♪COCAINE、♪I SHOT THE SHERIFF
♪WONDERFUL TONIGHT、♪FOREVERMAN、♪TEARING US APART、♪BEHIND THE MASK AND HOLLY MOTHER
【内容抜粋メモ】
THE YARDBIRDS:
思いっきりブラックを意識した曲作り。モノクロ。髪も短くて若い!
THE CREAM:
サイケロック。彼が尊敬しているジミヘンに近い音。淡々としたボーカルは今と同じ。すごい速弾きのソロ。
♪I FEEL FREE
クリクリパーマにしちゃって、派手な服なんだろうけど、まだモノクロ。どうやら口パク。皆やりにくそう。
ファンがイッちゃってる。目を髪で隠して本人はいたってクールに弾いている。
リードボーカルのギターにはマスコットがブラブラ。
♪WHITE ROOM
グレーのTシャツがシンプル。髪はスティーブ・ビショップ風。世のギター愛好者の夢なんだろうね。
♪レイラ
うって変わって野外スタジアム。満席は圧倒。このドラムスのノリがイイ。
スタジアムにデカいモニター! 後ろなんて見えないもんね。
♪Knocking on Heaven's Door
レゲエver。美女2人コーラスに囲まれてる。この歌は誰が歌っても名曲。
♪Cocaine
♪I shot the Sherif
明るいアレンジ。椰子の木バックに南国風。いかついブラックベースプレイヤーがイイ。
♪Tearing us part
ティナ・ターナーと共演! 彼女は時の流れを知らないね。
♪?
このメロディ思いっきりYMOだ! クラプトンにプレイされるなんてスゴイ!
歌詞まで英語で。このアレンジはイイ! サイコーな盛り上がりのライヴ。
これ1本で大体の彼の歩みが読める。偉大なギタリスト、そしてシンガーソングライターとして
同業者からも、バンドメンバからも一歩置かれているのが周囲の尊敬のまなざしからよく分かる。
今まで敢えて避けてきてたギタリスト部門だけど、クラプトンなら聴きやすそう。
アルバムの数にしてもダントツ多いからね。どれから手をつけていいかわかんない。
まずは予備知識にビデオから。20年、30年にわたって、そしてこれからも第一線で活躍する、まさにグレイトアーティストの一人。
■『ソフィ・マルソーの三銃士』(1994)
監督:ベルトラン・タヴェルニエ 出演:ソフィ・マルソー、フィリップ・ノワレ ほか
日本のチャンバラや時代劇と同じだね。ソフィが美しいだけでなく剣で闘える強いヒロインなのがカッコイイ。
事前に「三銃士」を読んでたら、それぞれ個性あるキャラクターのその後を見る楽しさも加わるだろう。完全娯楽作品。
階段やベランダ、屋上と場所を移動しながら見事な立ち回りはクライマックスの見せ場で迫力充分!
フランス映画の死に方はあくまでも叙情的。敵も倒してめでたし、めでたし・・・ってこれ革命前の話だよね?
貴族や王室が安泰でも市民が貧しいままじゃ、あんまりハッピーエンドとは言えないな。
ラストは登場人物による自己紹介に挨拶と舞台っぽい。
あくまでチャンバラアクションが見所でソフィのロマンスシーンはちょっとだけ。
今じゃ当たり前の女性のパンツ姿が昔はとんでもないことだったのね。
大きな白襟にロングブーツ、豊かな長い髪、中世劇にもピタっとハマるソフィの稀なる美しさ。
ロケ地がどこか入り組んだ細い路地、階段の多いレンガ造り、
ファッションも背景もタイムトリップしたような世界がもう1つの見せどころ。
■『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ』(1976)
監督・脚本・音楽:セルジュ・ゲンズブール 出演:ジェーン・バーキン、ジェラール・ドパルデュー、ミッシェル・ブラン ほか
こりゃ完璧に日活ポルノ系のノリでしょう。予告編もそうだし。夫婦になる前かわかんないけど、
妻を同性愛者との過激シーンに出そうって感覚は理解し難い。
無限の神秘な美しき妖精バーキンだから可能ってこともあるけど。
相手役はアンディとファクトリー仲間も映画に誘うこと確実の美形。素朴な音楽が手づくり感覚な'70の雰囲気出してる。
クシャクシャの短い髪にあっさりしたタンクトップ+ジーンズのジェーンにはゲイも見とれるよなあ!
ドパルデューもいろいろやってるねえ。ついていけないブッ飛びようw
裸のまま「本気じゃなかったの」とよろめき出て、そのままコテッとその場に倒れた絵になるラスト。
なんだか「パタリロ」のバンコランとマライヒの修羅場を思い出しちゃった。
今となってはエイズが猛威をふるって、とてもこーゆーストレートなゲイ描写は描けない。
でもたくさんの愛の形があるし、仏映はそれを描き続けるのは間違いない。これからも究めてちょーだいな。
■『鯨の中のジョナ』(1993)
原作:"Childhood"by Jona Oberski 監督:ロバート・ファエンツァ
出演:ジャン・ユーグ・アングラード、ジュリエット・オーブリー ほか
私たちにはいつまでも忘れてはならない悲痛な歴史があり、後世に残さなければならない義務がある。
ドイツだけでなく、英・米・ロ、もちろん日本もそれぞれ思い出したくないが
実際起こったとも信じがたい悲痛な歴史が。
今作はそんな第1の犠牲者、無垢な少年の目から見た証言のひとつ。
世界中には無数の証言と悲惨なドラマがあることだろう。
国境の戦いとはなんとバカバカしく空虚なものか!
「誰も恨んではいけない。いつも悲しい時も空を見て明るく生きるのよ」
彼は科学者となり、今もアムステルダムにいるそうだ。
こうして辛い過去を思い出し、公表するには勇気とよほどの決心が必要だったと思う。
ヒトの中に存在する善と悪。使い方によって悪魔にも天使にもなれることを痛感させられる名作。
part3からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。
■『中島みゆき/夜会 VOL.3 KAN・TAN』(1992)
スゴイのひと言。みゆきの歌はドラマだとは常々感じていたけど、これほどまで演劇的にマッチするとは、たいした役者だね。
とくに老婆の死の瞬間なんか迫真に満ちてて、始終目が離せない凝りまくった演出。
プロデュースはみゆき自身。きっと歌を書く時はこんな世界が頭の中でいつも描かれているんだね。
このシリーズぜひほかの作品も気になるところ。
27曲中初聴きもあるので、分かるものだけメモ。あとで調べよう。
♪トーキョー迷子(いい曲、覚えたい)、♪タクシー・ドライバー(懐かしい。『不思議の国のアリス』か。赤チェックのスカートが可愛い。
その次は長い髪がキレイ。♪ひとり上手 をこぶし入れまくりで歌う
そして長手袋を外して一転♪さよならの鐘(映画っぽい撮り方がカッコイイ)、次は寝起きパジャマ、
次は美空ひばりさんのファイナルコンサートって感じの羽飾りに赤いドレス。
これで♪黄色い犬 をよがりながら歌う珍しく?!セクシーなシーン、突然老婆になって♪傾斜、
ロウソクの火の間をのたうちまわり、叫びとともに真暗闇。赤ん坊の泣き声が響く。輪廻転生したのかな?
♪I love him 愛されるだけが幸せというのは子どもの頃の夢。返される愛はなくても・・・
感動のフィナーレ。そして正装して挨拶。観客がいたんだ。とっても静かだったからいないのかと思っちゃった。
客駅にも雪が降る、けど冷たく寂しいより温かさが残るラスト。
この時期にピッタリの夜会でした。ドラマの主題歌はじめ、また若いファン層も飲み込んで、どんどんふくらんでいくみゆきワールド。
サザン、ユーミンらとともに日本を背負ってたつ音楽会の巨匠って感じ。またCD聴きたい。
ほか注目のナンバーは、♪LA LA LA 、♪サーチライト、♪僕は青い鳥、♪ロンリーカナリア、
♪二隻の舟、♪殺してしまおう、♪萩野原、♪BGM、♪シュガー、♪雪
■『ハンテッド』(1995)
監督:J・F・ロートン 出演:クリストファー・ランバート、ジョン・ローン、夏木マリ、岡田真澄、ジョアン・チェン ほか
いつも外国監督が日本を描いた映画にはいいようのない恥ずかしい思いがするのはなぜか?
『ブラック・レイン』も高倉健ほか豪華キャストにも関わらず、相変わらず芸者遊びに寿司等の基本用語解説的だったし、
今作もマイクロチップ時代に忍者・・・わざとギャップを利用しているんだろうけど、やっぱりなんか時空のズレを感じる。
J.ローンの元気な姿を観れるのが唯一のポイント。
悪役アジア系が続いているようで、チェンとは『ラストエンペラー』以来の共演。
ドキッとするセミヌードシーンもあり。なんか違った役でも見たいな。
第1のズレ:日本のホテルのバーで真っ赤なスケスケドレス着ている女はいない。
第2のズレ:公園で太鼓を観る。
第3のズレ:岡田さんの濃さは日系じゃないよね。しかも暗号名が「あけぼの」「わかたか」。
第4のズレ:酔っ払いの刀造りから3週間剣術を習っただけでもうベテランと戦えるまでになってる。
第5のズレ:相手の雑魚を大勢殺すシーンは思いっきり吹き替え。ローンもけっこう日本語上手いんだけど。
第6のズレ:なんだか単に大人の殴り合いのケンカっぽくなっちゃう。
ただのアメリカ人ビジネスマンにヤラれるのは傷を負って不利だとはいえ変。
第7のズレ:ジョアンが殺された理由は、平凡中の平凡。男から逃げたため、愛人を殺すのにわざわざ忍者を呼ぶか?
ラストは刀造りの中途半端な笑いでストップモーションがかかる水戸黄門シリーズを思わせるエンディング。
外国映画を観て、外国人は「こりゃないだろ」って思うことはないのかな?
今作は日本の生活のシミュレーション体験ができる部分もあるけど、
まだまだ'95といえども外国人の眼には“フシギの国ニッポン”て映るんだろうね。
ランバートも相変わらず寄り目がちでハンサムな魅力を発揮している。
■『欲望という名の電車』(1995)
監督:グレン・ジョーダン 出演:ジェシカ・ラング、アレック・ボールドウィン、ダイアン・レイン ほか
久々見応えある文芸作。ほとんどジェシカの迫真に満ちた独り舞台で、脇を固める役者がそろい、原作を丁寧に映画化。
ヴィヴィアン・リーの初作を観たのは随分前で、あまりブランチの過去の描写はなかった気がするが、
今作では上流階級の女が堕落するまで2時間一気に観客をとらえて離さない。
数ある見せ場の中でも、若くして結婚した白馬の王子がゲイで、
しかも突然銃で頭を吹き飛ばして自殺したのを見た過去を語るシーンは圧巻。
銃声にその時流れていた音楽が悪夢のようによみがえる。
「死の反対は欲望、そうでしょ?」
暗示的な花売りの老婆が死神の使いのようだ。
今じゃ少しはマシになったろうけど、昔、精神病院に入れられることは恥辱そのもので、人間以下の扱いだったろうね。
ラストはまるで生きながら棺に入っていくよう。
少女時代に何不自由なく育ったのが現実生活では、まるで傷つくだけの存在にしてしまったのだろう。
「見た目の美しさはうつろいやすもの。教養は年ごとに輝く」
「また暗闇に戻った。照らすのはキッチンのロウソクのみ」
原作をじっくり読みたくなる逸品。いつもながらジョン・グッドマンの熱演は特筆に価する。
■『夜会 VOL4 金環蝕』(1993)
監督:根岸吉太郎 出演:中島みゆき ほか
【収録曲】
♪C.Q.、♪砂の船、♪ほうせんか、♪歌をあなたに、♪エレーン、♪遠雷、♪冬を待つ季節、♪世迷い言
♪熱病、♪最悪、♪真直ぐな線、♪やまねこ、♪新曽根崎心中、♪EAST ASIA、♪二隻の舟、♪DIAMOND CAGE、♪泣かないでアマテラス
この夜会シリーズは毎年暮れに行われるみゆきのその年の総まとめのライフワークなんだね。
今年も凝りまくり日食によって起こる光の輪、説明では珍しくない現象だけど、最長17分でそれより長いものは158年後にしかないらしい。
「'93にも日本で見られる」て見たっけか?
その日食の夜に死んだ太古の日本“倭の国”の卑弥呼と現代の天文学者が結ばれる感動とファンタジーの世界。
ツートトツートトの無線音で始まる。昔ウチでもこの音は馴染みだったから懐かしい。
一面プラネタリウムといった感じの中にレトロで大きな望遠鏡のある絵は美しいのひと言。
今作はコーラスガール2人の出番が多い。レパートリー4曲丸々歌うし、寸劇までやってる。
♪EAST ASIA の盛り上がり方はすごい。みゆきさんはとっても美しい。モテるんじゃないかな?
♪泣かないでアマテラス は、今作のために書き下ろした曲らしい。メンバの紹介もシュール。
ロケ地でのフィルムと合わせて壮大な日本絵巻となっている。
日本にもこんなステキな歴史的ヒロインがいるのね。誰か映画化してくれないかな?
■『蒼い記憶』(1995)
監督:スティーブン・ソダーバーグ 出演:ピーター・ギャラガー ほか
案外シンプルなストーリー。邦題といい、ジャケットの雰囲気や、深層心理って言葉に、
もうちょっとヒネった展開を期待してた。ま、どんでん返し続きではあるけど。
ギャンブルをやめられない人の狂気の描き方はリアルでゾッとさせる。
前ヒット作と同様、ギャラガーを起用。サンプラスに似てるんだよね。
描いたような眉毛が印象的な完璧美形。緑や青シートを貼ったような色の使い分けは面白い。
宝くじに、フットボール、当たる時もあるけど、外れることのほうがよっぽど多い賭け事。
それにハマるのって病気に近いね。結婚したら苦労は目に見えてる。
アルコール中毒やドラッグ中毒と同じ。妙に親密な母親役がとってもあやしかったから
親子関係に重大な秘密でもあったらもっと面白かったかも。どのキャラクターも怪しいけど。
トミー役の俳優の危険度も高い。緊張感がピリリと効いた作品。ヒロインも美人。
■『夜会』(1990)
出演:中島みゆき ほか
【収録曲】
♪二隻の船、♪彼女によろしく、♪ミルク32、♪流浪の詩、♪窓ガラス、♪うそつきが好きよ
♪元気ですか、♪クレンジングクリーム、♪月の赤ん坊、♪断崖 親愛なる者へ
♪孤独の肖像、♪強がりはよせヨ、♪北の国の習い、♪ショウ・タイム、♪Maybe、♪ふたりは
これが初回? 副題もついてないし。セットがまだシンプルで、構成もしかり。
コンサートと舞台のあいのこって感じ。みゆきがセリフを言う、このスタートから始まって、
この間の卑弥呼や、最新版は二重人格らしいけど、テーマをもって、大掛かりになり、
みゆき自身もフリを覚えたりして努力してるのが段階を追って分かる貴重な記録。
カチっとした黒いパンツスーツでヘッドフォンをつけた♪ショウ・タイム はカッコイイ。
客の拍手もちゃんと入ってるし、帰る静かな姿も丁寧に撮ってある。
アルフィが3人生ギターで歌ってたのをヒントにした♪窓ガラス でのギター弾き語りも披露。
最初はこーゆーフォークソングだったんだもんね。
それがヴィジュアルの工夫を重ねて、新たな一歩を踏み出してから、毎年どんどん進化してゆく、それはとどまることを知らない。
まだまだ未開発の余力を残していると期待させるみゆきのステージパフォーマンス、次回作も楽しみに待ちたい。
■『THE CREAM OF ERIC CLAPTON』
出演:THE YARDBIRDS, THE CREAM ほか
【収録曲】
♪LOUISE、♪CROSSROADS、♪I FEEL FREE、♪SUNSHINE ON YOUR LOVE、♪STRANGE BREW、♪WHITE ROOM
♪BADGE、♪WORRIED LIFE BLUES、♪LAYLA、♪KNOCKING ON HEAVEN'S DOOR、♪COCAINE、♪I SHOT THE SHERIFF
♪WONDERFUL TONIGHT、♪FOREVERMAN、♪TEARING US APART、♪BEHIND THE MASK AND HOLLY MOTHER
【内容抜粋メモ】
THE YARDBIRDS:
思いっきりブラックを意識した曲作り。モノクロ。髪も短くて若い!
THE CREAM:
サイケロック。彼が尊敬しているジミヘンに近い音。淡々としたボーカルは今と同じ。すごい速弾きのソロ。
♪I FEEL FREE
クリクリパーマにしちゃって、派手な服なんだろうけど、まだモノクロ。どうやら口パク。皆やりにくそう。
ファンがイッちゃってる。目を髪で隠して本人はいたってクールに弾いている。
リードボーカルのギターにはマスコットがブラブラ。
♪WHITE ROOM
グレーのTシャツがシンプル。髪はスティーブ・ビショップ風。世のギター愛好者の夢なんだろうね。
♪レイラ
うって変わって野外スタジアム。満席は圧倒。このドラムスのノリがイイ。
スタジアムにデカいモニター! 後ろなんて見えないもんね。
♪Knocking on Heaven's Door
レゲエver。美女2人コーラスに囲まれてる。この歌は誰が歌っても名曲。
♪Cocaine
♪I shot the Sherif
明るいアレンジ。椰子の木バックに南国風。いかついブラックベースプレイヤーがイイ。
♪Tearing us part
ティナ・ターナーと共演! 彼女は時の流れを知らないね。
♪?
このメロディ思いっきりYMOだ! クラプトンにプレイされるなんてスゴイ!
歌詞まで英語で。このアレンジはイイ! サイコーな盛り上がりのライヴ。
これ1本で大体の彼の歩みが読める。偉大なギタリスト、そしてシンガーソングライターとして
同業者からも、バンドメンバからも一歩置かれているのが周囲の尊敬のまなざしからよく分かる。
今まで敢えて避けてきてたギタリスト部門だけど、クラプトンなら聴きやすそう。
アルバムの数にしてもダントツ多いからね。どれから手をつけていいかわかんない。
まずは予備知識にビデオから。20年、30年にわたって、そしてこれからも第一線で活躍する、まさにグレイトアーティストの一人。
■『ソフィ・マルソーの三銃士』(1994)
監督:ベルトラン・タヴェルニエ 出演:ソフィ・マルソー、フィリップ・ノワレ ほか
日本のチャンバラや時代劇と同じだね。ソフィが美しいだけでなく剣で闘える強いヒロインなのがカッコイイ。
事前に「三銃士」を読んでたら、それぞれ個性あるキャラクターのその後を見る楽しさも加わるだろう。完全娯楽作品。
階段やベランダ、屋上と場所を移動しながら見事な立ち回りはクライマックスの見せ場で迫力充分!
フランス映画の死に方はあくまでも叙情的。敵も倒してめでたし、めでたし・・・ってこれ革命前の話だよね?
貴族や王室が安泰でも市民が貧しいままじゃ、あんまりハッピーエンドとは言えないな。
ラストは登場人物による自己紹介に挨拶と舞台っぽい。
あくまでチャンバラアクションが見所でソフィのロマンスシーンはちょっとだけ。
今じゃ当たり前の女性のパンツ姿が昔はとんでもないことだったのね。
大きな白襟にロングブーツ、豊かな長い髪、中世劇にもピタっとハマるソフィの稀なる美しさ。
ロケ地がどこか入り組んだ細い路地、階段の多いレンガ造り、
ファッションも背景もタイムトリップしたような世界がもう1つの見せどころ。
■『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ』(1976)
監督・脚本・音楽:セルジュ・ゲンズブール 出演:ジェーン・バーキン、ジェラール・ドパルデュー、ミッシェル・ブラン ほか
こりゃ完璧に日活ポルノ系のノリでしょう。予告編もそうだし。夫婦になる前かわかんないけど、
妻を同性愛者との過激シーンに出そうって感覚は理解し難い。
無限の神秘な美しき妖精バーキンだから可能ってこともあるけど。
相手役はアンディとファクトリー仲間も映画に誘うこと確実の美形。素朴な音楽が手づくり感覚な'70の雰囲気出してる。
クシャクシャの短い髪にあっさりしたタンクトップ+ジーンズのジェーンにはゲイも見とれるよなあ!
ドパルデューもいろいろやってるねえ。ついていけないブッ飛びようw
裸のまま「本気じゃなかったの」とよろめき出て、そのままコテッとその場に倒れた絵になるラスト。
なんだか「パタリロ」のバンコランとマライヒの修羅場を思い出しちゃった。
今となってはエイズが猛威をふるって、とてもこーゆーストレートなゲイ描写は描けない。
でもたくさんの愛の形があるし、仏映はそれを描き続けるのは間違いない。これからも究めてちょーだいな。
■『鯨の中のジョナ』(1993)
原作:"Childhood"by Jona Oberski 監督:ロバート・ファエンツァ
出演:ジャン・ユーグ・アングラード、ジュリエット・オーブリー ほか
私たちにはいつまでも忘れてはならない悲痛な歴史があり、後世に残さなければならない義務がある。
ドイツだけでなく、英・米・ロ、もちろん日本もそれぞれ思い出したくないが
実際起こったとも信じがたい悲痛な歴史が。
今作はそんな第1の犠牲者、無垢な少年の目から見た証言のひとつ。
世界中には無数の証言と悲惨なドラマがあることだろう。
国境の戦いとはなんとバカバカしく空虚なものか!
「誰も恨んではいけない。いつも悲しい時も空を見て明るく生きるのよ」
彼は科学者となり、今もアムステルダムにいるそうだ。
こうして辛い過去を思い出し、公表するには勇気とよほどの決心が必要だったと思う。
ヒトの中に存在する善と悪。使い方によって悪魔にも天使にもなれることを痛感させられる名作。