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Channel: メランコリア
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notes and movies(1996.10〜 part1)

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過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
今回はオレンジ&水色のノートからご紹介。今回も感動満載な作品多々あり!

  

photo1:「宝島」の感想メモ。冒険ものにハマってた時期
photo2:家族でシンガポール&セントーサ島に行った時の記録
photo3:ものすごいキワモノだった「ニュー・ロヤル・バレエ・オブ・ヨーク日本公演」


若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


■『愛しすぎて』(1994)
監督:ブライアン・ギルバー 出演:ウィレム・デフォー ほか
なんだか異次元的で狐につままれたような感じ。T.S.エリオットの名だけ知ってる程度で観たせい?
結局ヴィヴの病名は何? ホルモン疾患? ホルモンバランスが崩れて頭痛、腹痛による精神不安定。
大腸カタルとも言ってたけど、腸の炎症で下痢、腹痛を伴うんだって。
今じゃなんでもないことがよく分からなかった時代じゃ不当な扱いを受けていたわけね。怖いな無知って。
でも死ぬまで病院から出さずに、それでも互いに想い合ってたってことはあり得るのかしら。
「君にそういう資格はない」て言われちゃそれまでだけど。

W.デフォーが珍しく静的、無機的な演技。彼から漂う狂気はカフカ系。
2人の共作ならヴィヴが不公平に思うのも当然。ちょっと気性が激しく、
率直なだけに描かれているけど、それで病気扱いはあんまりだ。
病気が治ったなら退院させればいいのに???
彼はずっと自伝的作品が出ることをひどく恐れていたらしい。そんなに恥ずかしいことかな。

「愛する者と結婚したのにいつも独りだ」
「詩は感情の吐露ではなく感情からの避難だ」って言葉には驚く。

生前に名声を得た貴重な存在なんだ。
25年間、人生でもっとも素晴らしいはずの時期を病とともに過ごすなんて悲痛。
この話は医学の遅れによる夫婦崩壊の話か?


■『ブルースカイ』(1994)

監督:トニー・リチャードソン 出演:ジェシカ・ラング、トミー・リー・ジョーンズ ほか
音楽:♪Baby, You've got what it takes/ブルック・ベントン&ダイナ・ワシントン
セクシーかつ演技派ベテラン2人の共演が見物。核実験による被爆犠牲者を出しながら
内部でもみ消し工作をする米軍というショッキングで政治的告発だけでなく、
奔放な女優志望の妻と、真面目な夫の愛も加え、ハリウッド流に柔らかくしていて娯楽性あり。
音楽、ファッションに'50〜'60の雰囲気が出てる。

「モテる君を見るのが好きだった。しかしこたえたよ。いつまで耐えられるか」
でもその自由なセクシュアリティを愛しているんだから、縄つけて飼うわけにはいかないよ。軍人の妻は大変だね。
1作ごとに新たな魅力爆発の2大スター。とくにトミーの快進撃はとどまることを知らない。これからも断然要チェック!


■『BODY of evidence』(1993)

監督:ユーリ・エデル 出演:マドンナ、ウィレム・デフォー、ジュリアン・ムーア ほか
マドンナは現代の愛の女神だ。男ばかりか同性をも魅惑するクールで危険な魔女の一方で、
女性性を解放し、実力とキャリアを兼ね備え、なおも前進するエネルギー。
彼女がリスペクトするマリリンもセックス・シンボルではあったが、結局男社会に踏み潰されてしまった。

現代のミューズはそうじゃない。映画ではあっけなく散り、“罪の報いを受ける”立場をとっても
マドンナは「エビータ」の主演で演技力も確立し、妊娠で母性も得て、より強く美しい存在に拡大していく。

最近ようやくロマンスものもいけるんだと分かったデフォーの「こいつは違うぞ」って魅力との共演、対決は興奮!
M.ディートリッヒを思わせる裁判劇の緊迫と弁護士との激しい関係のスリルはノンストップ。

マドンナの美しさと魔力は、魔女と女神の絶妙なバランスで、すぐに忘れることはできないよ。
歌ってダンスも完璧なんだから、これ以上のスーパースターはいるかな?
「マドンナグッズプレゼント」コーナーまであって、クイズが「デフォーが抱えていた動物は何?」には閉口したけど
今作の共演者は、デフォーがうらやましかっただろうね。


■『SHOOT THE MOON』(1981)

監督:アラン・パーカー 出演:アルバート・フィネイ、ダイアン、キートン、カレン・アレン、ピーター・ウェラー ほか
『ダウンタウン物語』が初作で次々と注目作を撮り続けるパーカー監督作品。
長年連れ添い会話もなくなった夫婦の溝、離婚問題、間に挟まれ影響を避けられない子どもたちのドラマを丁寧に描く。
ダニー・アイエロ風の夫は小説家。物書きだからこそ普通より敏感で繊細なとらえ方をしているのかも。
ダイアンは、前作の『Heaven』でかなりイメージ狂ったけど、やはり彼女が出る作品はテーマが面白い。
長女役、若いウェラーもイイ。

バスタブで歌う思い出の曲、ビートルズのタイトルなんだっけ? 前から知ってたこの曲、こんなに悲しい歌詞だったのね。
コートで流れるバーズの♪I can't tell you why も効いてる。使い方でこんなにリアルに聴こえるなんて驚き。

「もう愛してないの?」「時が変えてしまうのよ。ドアに最初に入る時2人でも、後になってどちらかが先になるだけのこと」
「あなたは私を子どもから1人前の女にしてくれた。愛が何かを教えてくれたわ」

愛し合ってるけれども生活に疲れてシワくちゃになってしまう気持ち。
子どもを愛していて、望みを最後まで捨てなかった2人はまだチャンスがあるかも。
浮気とやきもちで、もう一度焼けぼっくいに火がつくこともあるし。
ラスト、うちのめされた夫は年老いた熊に見える。歳をとるって難しいね。


■ジャン・コクトー・コレクション『恐るべき子供たち』(1949)

原作:ジャン・コクトー 製作・監督:ジャン・ピエール・メルヴィル
出演:コール・ステファーヌ、エドウアール・デルミット、ジャン・コクトー(ナレーション) ほか
詩人とは苦しみ悩む人種のことをいうのかな。時には楽しく喜ぶこともあるだろうに。
フランス映画を観ていると(大抵恋愛悲劇で)人生が重荷で、ハリウッド映画のアクションものとまた別の意味で人命が軽く感じられる。
多才なアーティスト、コクトーの詩集を買ったことで気づいた今作。
コインの裏と表のように結ばれた姉弟の愛憎ドラマは、緊迫感に張り詰めていて破滅に突き進むと知ってて魅了される。

「私が唾を吐かれるドラマの結末なんて許せない。完璧にやり遂げるわ」

声が響く出口のないホールの一角に作られた中国風の部屋。金持ちでたくさんの部屋を持ってるってとっても淋しいのね。
シャム双生児のような姉弟。いつかは離れる運命なのに、それに逆らってしまう。
「罪の手を水道で洗い流した」
別の作品に息子を愛しすぎた母の悲劇の話『恐るべき親たち』がある。こーゆー愛憎劇を得意としてたわけね。


■『花嫁のパパ2』(1995)
監督:チャールズ・シャイヤー 出演:スティーヴ・マーティン、マーティン・ショート ほか
♪Give me the simple life, On the sunny side of the street/Steve Tyreil
宣伝のために一緒に来日したS.マーティンとM.ショートが再共演のタイトルもズバリ「パート2」。
孫と自分の子の誕生日が同じだなんて摩訶不思議なことをコミカルなだけでなく、前作同様ホロっと泣かす絶妙な構成。

スティーブ曰く「ちょっと裕福でステキな家庭という理想がウケたのでは?」

ガタついてローンがやっと終わった家を1日でまたローンを組んで10万ドルで買うなんて考えただけでゾッとするのに
あんましお金の心配はしてないから、やっぱり中の上くらい余裕のあるウチなのね。
娘と妻を心から愛する心配性で苦労性なパパをマーティンがあったかく演じている。
髪を染めた姿はすごいハンサム。コメディアンとしてはトレードマークの白髪(銀髪)は必須だけど。
妙なマタニティダンスは笑う。

ボストンに立つ娘夫婦とのお別れシーンもイイ。
ベイビー妹へのプレゼントに父とやったバスケのミニボール「最初のシュートを覚えているよ」
この少女期を思い返すシーンが前作同様泣けるんだなあ。そしてベイビーにも「姉さんに教えたすべてのトリックを教えよう」
迷う夜に「入ったらいい父になれる、入れよ!」とシュートするところもイイ。
産むほうも大変だけど、主夫の時代のパパも大変。
「子どもらのため、親心子知らずといってもね」微妙な親心がストレートに描かれて好感度、共感度大のヒットシリーズ。
これまでのこと、これからのことを思い悩んで「I'm tired」ともらすセリフも効いてる。


■『欲望の華』(1994)
監督:アンナ・マリア・タトー 出演:ウィレム・デフォー、レナ・オリン ほか
タイトルからして色っぽい。「官能文学」なんてジャンルがあるとは知らなかった。ハーレークインロマンスみたいなものかな。
『蜘蛛女』ではとんでもなく力強い悪女役でG.オールドマンと戦ったオリンが180度転換して
中世の公爵夫人となって、女好きのクセ者作家扮するデフォーと共演。
恋のさやあての演技が見物。女監督の演出が活きてる。

「なぜ最初の告白の時に受け入れてくれなかったのか?」「私に恋してほしかったから」
この辺が女の微妙な恋心。苦労して手に入れたものは、手軽だったものより貴重に思えるって心理。
彼が牢屋の中で書いた小説そのままに演じ、導いたってわけ。

甘い言葉を連発で交わす2人をグルグル回るカメラワークが効果的。こーゆーセリフって日本人じゃ到底ムリなリップサービス。
しかし散々浮気に悩まされた後に恋したのはやっぱり女好き。「誠実であれ」と望むほうが間違っていると思うんだけど。
それにこれだけ遊んでたら、この貴族たち、中絶や避妊はどうしてたのかな
あくまで「官能小説」だから、その後の生活臭いリアリティは別なのか。
戦士みたいなコルセットや、ロウソクのシャンデリア、楔で脚を砕く拷問の話もキョーレツ。中世の雰囲気よく出てる。
デフォーのほうがオリンより肌が白くて、金髪を光らせて妖艶だからフシギ。


■『女房の殺し方教えます』(1964)
監督:リチャード・クワイン 出演:ジャック・レモン、ヴィルナ・リージ ほか
こーゆーレモンの魅力がたっぷり楽しめるコメディの初期作品がヴィデオになってるなら、もっともっと紹介してほしい。
多作出演しててあるはず。今作は洋書にも載ってて観たいと思ってた!
でもこのビデオデッキのオンボロには参った。声が出なくて、やっと出たと思ったら映像が出ない!
サウンドと映像を別々で観るなんてアリ!? 修理しなきゃ・・・

レモン十八番の巻き込まれ型災難コメディ。いつもフツーの男を完璧に演じて、代弁者なんだよね。
彼の困り果てた様子が私たちの笑いと楽しさになる。
ヒーローの劇画的カッコいいクールさとのギャップも楽しい。
シリアス演技もいけるけど、ファンにはやっぱこーゆードタバタコメディのレモンをもっとずっと見ていたい。
でもあのボテボテのお腹は本物。イタリア人じゃないけど、女優系の美人な奥さんがいるし、
美味しいものを食べてこの主人公と変わらない生活状況だったんじゃないかしら?

とっても危なくて忠実な執事役の役者もいい味出してる。
'60代にこんな男尊女卑を愁い、告発する作品が撮られているなんてやっぱりアメリカってかなり進んでる。
かなり偏った意見て気がしないでもないけど、レディーファーストの英米では窮屈な思いでストレスたまってるのかな?


■『夜ごとの夢』(1991)

監督:ジュゼッペ・トルナトーレ 出演:フィリップ・ノワレ ほか
●1話 青い犬 監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
なんだかこれと似たのを観た既視感がある。主演はノワレ?あったかい物語り。

●2話 特別な日曜日 監督:ジュゼッペ・ベルトルッチ
いろんなドラマがあるね。「一緒に入れないドア」がフシギ。

●3話 炎の雪 監督:M.T.ジョルダー
これまたフシギ。怪談か?と思いきや、入ってくる雪の明かりのシーンは胸打つ美しさ。

ジャン・ユーグ・アングラードのバイク兄ちゃんに言われ小鳥を放したが帰ってこず、
「ウソつき」と云うと、鳥でいっぱいの小屋に置いていかれるフシギな話が全編をつないでいる。
あんなところに子どもを置きっぱなしにするなんて何考えてるの?

それぞれ巨匠といえども約30分の中にこれだけ深いドラマを見せて感動させるのに策を練ったことだろう。
夢の中の話のような独特な雰囲気。原題は第2話からきてるんだけど邦題が上手い。
色っぽいシーンもあるけど、イタリアの活気に満ちた恋愛ものとは反対。
現代イタリア映画は叙情にあふれてる。それぞれのキャラクターが全話に出る工夫も面白い。


■『デッドマン』(1995)

監督:ジム・ジャームッシュ 出演:ジョニー・デップ、ジョン・ハート、イギー・ポップ ほか
さすがジャームッシュ。やってくれるとうならせる、まさに映像詩。
モノクロにニール・ヤングのギターのうなり、荒くれ者の最終地点の如き地でのインディアンとの魂の旅。
どこからこんな構想が浮かぶのか? またキャスティングがたまらない。クセ者がクセ者役で出てくる。

ボートを追ってくる馬と、それを見つめる毛皮を着たデップの絵も美しいが、
なんといっても撃ち殺された子鹿のかたわらに眠る主人公の絵が心を打つ。
子鹿は首の弾痕がなければまるでそこが最も寝心地のいい楽園のごとく横たわっている。
同じように横たわるブレイクが川に運ばれてゆく場所もやはりそういう場所なのだろう。

最初の言葉「死人と旅をするものではない」
インディアンが「誰がお前を殺したんだ?」「オレは死んでいない」

本人が気づいていないだけで、私たちはどうやら死人とともにさまよっていたのかも知れない。
インドでは死体を河へ流し、魂の国へ還す風習があったらしいが、彼も多少意識があったにせよ還されたんだ。
現代医学は臨死状態からも蘇生させるけどね。ちなみに戸田奈っちゃんの訳。

It is preferable not to travel with a dead man. Henri Michaux


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