■『愛は降る星のかなたに』(1956)@GYAO!(3/16-3/31)
監督:斎藤武市
出演:森雅之、山根寿子、浅丘ルリ子、高田敏江、小園蓉子、香月美奈子、金子信雄 ほか
“太平洋戦争勃発直後、国民を震撼させたスパイ・ゾルゲ事件を最初に映画化した作品。”
GYAO!の映画カテゴリーを覗いたら、森雅之さんの主演作が目に入って小躍りした
以前、けっこう漁って、もうこれ以上レンタル屋では探せまいと諦めた作品もまだまだある(なにせ出演作が多いし
当時45歳。脂の乗った円熟味、大人の男性の魅力がほとばしっていて、見惚れるばかり(うっとり・・・
主人公の坂崎秀美=尾崎秀実さんほか、テーマの事件は実話を基にしているようだ。
リヒャルト・ゾルゲ
宮城与徳(洋画家)
西園寺公一
昭和研究会
娘の知叡は、他国で生まれたのか、両親を「父」「母」と呼んでいるのに違和感を感じた。
▼story(ネタバレ注意。政治・歴史に疎いので誤りがあればすみません
昭和16年秋。坂崎秀美は、警察官であり、友人でもあったアラキによってスパイ容疑で逮捕され、投獄された。
妻・栄子、娘・知叡は「売国奴」と罵られ、栄子の弟・冬樹、チエの教師・ウエムラはかばう。
仲人であり、弁護士・杉浦が、弁護人となるが、時代的に味方になれることはほとんどない。
エイコも妻でありながら面会も出来ず、「あの人が売国奴なんて、どうしても信じられないんです。本当の事を教えてください」と杉浦に頼む。
発端は、昭和11年に宮部と名乗る画家が訪ねてきたことからだと話し始める杉浦。
「絵を観て欲しい」と家に来るが、本当の目的は「ゾルゲがあなたに会いたい。私が連絡役になります」というものだった。
ゾ「もう一度、上海の時のように親しくしましょう」
チエが肺炎で「今夜が峠だ」って言われても、母エイコはやけに冷静なシーンに違和感あり。
青年将校がクーデターを起こした事件(2/26事件?)から、坂崎は「新しい日本をつくる」とゾルゲとの関係を深める。
新聞社を辞めて、研究所をもち、講演会や、記事を書いたりして華やかな人間関係を持つ。
円城寺からは政界への出馬も勧められるが断る。
ゾ「内閣の嘱託をなぜ断った?」
坂「次はぜったい戦争になります」
ゾルゲは小型無電を使って、あちこちから電波を飛ばして交信していたため、警察も解読できない。
「これは外人の仕業だ」
アラキはゾルゲや宮部にたどり着き、尾行捜査を始める。
坂崎の秘書・ヒミヨは外の様子を見て
「なんて恐ろしいんでしょう。こんなにズルズルと行進をして。日本はどうなるのかと思って・・・」
弁護士の回想話を聞きながら、
エイコ「やっぱりお金のためじゃなかったんですね。あなた、待っていてください。私も勉強して、きっとあなたに追いつきますから」
その日から夫婦は塀を隔てて、無数の手紙を交わすようになる
ようやく面会が許されたエイコ。
フユキが「兄の代わりに国力に尽くしたい」と兵に志願したことを告げる。
エイコ「義兄さんの分もやってきてね」(なんだか徴兵される涙もなく、あっさりしたシーンだったことにも違和感あり
坂「人間、深い叡智によってのみ進歩してゆくんだ。娘に知叡と名付けたのもそうだからね」
杉浦「年内に公判、傍聴は禁止でしょう。戦時中としては仕方ない。あとは静かに断罪を待つよりは・・・。
坂崎はスパイ容疑を自認しているし、情報が手に入りやすい立場で、赤軍にも登録されていた」
坂「日ソ開戦かね?」
円城寺「御前会議では、日米交渉がこれ以上進展しない場合、大戦準備にかかるという結論になった。ソ連を敵に回すのだけは避けたいだろう」
事務所で仕事をしているところにヒミヨが夜食を持ってくる。
坂「こんな時間じゃ誤解を招くね」
ヒ「私も(お酒を)頂こうかしら」
坂「お母さんに叱られてもいいならね」
ヒ「私、もう子どもじゃありません!」
そりゃ森さんが上司なら、不倫でも、スパイでも、どこまでもついていきますとも
坂崎は胃潰瘍で血を吐いて倒れる。
見舞いに来たヒミヨに「この音楽会に行って、隣りの外人にコレを渡してくれ」
と円城寺から借りた御前会議の資料を渡すよう頼む。
ゾルゲは踊って喜び、すぐにソ連に打電する。「日本の国力はもって4年」
そこに、ゾルゲと恋人関係にあったバーのウエイトレス・カズエがやって来る。
カ「私、知ってるのよ!」
ゾ「外人を見たらスパイと思え。それは島国根性です」
「あなたに撃たれて死ぬなら本望です」とカズエに銃を渡すが、カズエは泣き崩れる。
その後、カズエがガス自殺した記事が載る。
アラキはカズエの部屋を捜索すると、坂崎宅にあった同じ絵を見つける。「あいつだ!」
ミヤベを逮捕し、ひどい拷問をする
坂崎は事務所に復帰し、ヒヨミは身を案じるが、
坂「近江内閣もどうなるか。戦争か、平和か。今は個人の幸福に酔っていられる時じゃないんだよ」
ついに坂崎とゾルゲは逮捕される。
ゾ「私は歴史を書き換えた誇りがある」
フユキが義足になって戦地から帰ってきた。チエは軍需工場で働いている。
エイコ「南方はどう?」
フユキ「どうもこうも、肉弾攻撃しか手がないんだから。義兄さんの言っていたことも今なら分かります」
エイコ「じゃあ、あなたは運がよかったほうね」
エイコが面会に行くと「今日はゆっくり話してくるといい」と言われる。
フユキがすっかり気落ちしていることを告げると、坂崎「誰かいい人はいないかな?」
エイコは、チエの教師だったウエムラ先生がいいとすすめる。
坂「2人で満州に行ったらいい。ボクは死んだら、無心論者だから墓など必要ない。
庭に埋めて、桜の木でも植えてもらえばこの上ないよ。いや、梅がいい。
厳しい風雪に耐えて咲くところがいいじゃないか」
チエとフユキも来ているが、チエ「よすわ。父が泣くと可哀想だもの」
ウエムラとフユキは結婚し、満州に旅立つ。
その後、すぐ杉浦から坂崎が処刑されたことを知らされるエイコ。
ヒミヨが1人で晴れ着を着て「先生のもとへ行く」と遺書を残して自殺したと聞き、
チエ「父に殉死したのよ」
エイコ「やめて! これ以上、私耐えられないんです!」
遺骨を庭に埋めていると、坂崎からの手紙が届く
チエ「地獄からの最後のお手紙よ。父の手紙を本にしない?
父がなぜこんな茨の道を選んだのか、世の中の人に知ってもらいたいじゃないの」
杉浦「肉親の愛情こそ、人間感情の源だ。きっと人の心を打つでしょう」
その日から、母と娘は大量の手紙から原稿をおこす。
ソ連軍が満州国に侵攻したというニュースが入る。
円城寺らが来て、フユキと妻も亡くなったと告げる。
「国境付近の人たちは、老若男女、みな戦死しました」
「フユキは坂崎の言葉を信じて・・・」
「代わりに土を持ってきました」
「あなた! 私はこれから何を信じて生きていけばいいの!?」
本が発売され、サインするエイコ。
チエ「ベストセラーうけあいよ! 母、ブランコに乗っていきましょう!
明るい顔になりましょうよ。いつまでも過ぎ去ったことを考えてもはじまらないわ」
エイコ「私は父を愛していた。カラッポにして努めて、一度は父の世界に届いたのよ」
チエ「母が信じたまんまを信じてあげればいいじゃないの」
出版祝いに父の大好きなお酒で乾杯し、父にもあげようと、梅の木にかける(あんなにアルコールかけて大丈夫?
チエは父の声を真似して「母がそんなじゃ、チエが可哀想じゃないか。仲良くやれよ。2人きりの親子だからな」
チエ「あ、流れ星! あれ、きっと父よ。自分だけしたいことして、スーーっと消えちゃうんだからズルイ」
チエ「明日からこういう風にサインしない?」
監督:斎藤武市
出演:森雅之、山根寿子、浅丘ルリ子、高田敏江、小園蓉子、香月美奈子、金子信雄 ほか
“太平洋戦争勃発直後、国民を震撼させたスパイ・ゾルゲ事件を最初に映画化した作品。”
GYAO!の映画カテゴリーを覗いたら、森雅之さんの主演作が目に入って小躍りした
以前、けっこう漁って、もうこれ以上レンタル屋では探せまいと諦めた作品もまだまだある(なにせ出演作が多いし
当時45歳。脂の乗った円熟味、大人の男性の魅力がほとばしっていて、見惚れるばかり(うっとり・・・
主人公の坂崎秀美=尾崎秀実さんほか、テーマの事件は実話を基にしているようだ。
リヒャルト・ゾルゲ
宮城与徳(洋画家)
西園寺公一
昭和研究会
娘の知叡は、他国で生まれたのか、両親を「父」「母」と呼んでいるのに違和感を感じた。
▼story(ネタバレ注意。政治・歴史に疎いので誤りがあればすみません
昭和16年秋。坂崎秀美は、警察官であり、友人でもあったアラキによってスパイ容疑で逮捕され、投獄された。
妻・栄子、娘・知叡は「売国奴」と罵られ、栄子の弟・冬樹、チエの教師・ウエムラはかばう。
仲人であり、弁護士・杉浦が、弁護人となるが、時代的に味方になれることはほとんどない。
エイコも妻でありながら面会も出来ず、「あの人が売国奴なんて、どうしても信じられないんです。本当の事を教えてください」と杉浦に頼む。
発端は、昭和11年に宮部と名乗る画家が訪ねてきたことからだと話し始める杉浦。
「絵を観て欲しい」と家に来るが、本当の目的は「ゾルゲがあなたに会いたい。私が連絡役になります」というものだった。
ゾ「もう一度、上海の時のように親しくしましょう」
チエが肺炎で「今夜が峠だ」って言われても、母エイコはやけに冷静なシーンに違和感あり。
青年将校がクーデターを起こした事件(2/26事件?)から、坂崎は「新しい日本をつくる」とゾルゲとの関係を深める。
新聞社を辞めて、研究所をもち、講演会や、記事を書いたりして華やかな人間関係を持つ。
円城寺からは政界への出馬も勧められるが断る。
ゾ「内閣の嘱託をなぜ断った?」
坂「次はぜったい戦争になります」
ゾルゲは小型無電を使って、あちこちから電波を飛ばして交信していたため、警察も解読できない。
「これは外人の仕業だ」
アラキはゾルゲや宮部にたどり着き、尾行捜査を始める。
坂崎の秘書・ヒミヨは外の様子を見て
「なんて恐ろしいんでしょう。こんなにズルズルと行進をして。日本はどうなるのかと思って・・・」
弁護士の回想話を聞きながら、
エイコ「やっぱりお金のためじゃなかったんですね。あなた、待っていてください。私も勉強して、きっとあなたに追いつきますから」
その日から夫婦は塀を隔てて、無数の手紙を交わすようになる
ようやく面会が許されたエイコ。
フユキが「兄の代わりに国力に尽くしたい」と兵に志願したことを告げる。
エイコ「義兄さんの分もやってきてね」(なんだか徴兵される涙もなく、あっさりしたシーンだったことにも違和感あり
坂「人間、深い叡智によってのみ進歩してゆくんだ。娘に知叡と名付けたのもそうだからね」
杉浦「年内に公判、傍聴は禁止でしょう。戦時中としては仕方ない。あとは静かに断罪を待つよりは・・・。
坂崎はスパイ容疑を自認しているし、情報が手に入りやすい立場で、赤軍にも登録されていた」
坂「日ソ開戦かね?」
円城寺「御前会議では、日米交渉がこれ以上進展しない場合、大戦準備にかかるという結論になった。ソ連を敵に回すのだけは避けたいだろう」
事務所で仕事をしているところにヒミヨが夜食を持ってくる。
坂「こんな時間じゃ誤解を招くね」
ヒ「私も(お酒を)頂こうかしら」
坂「お母さんに叱られてもいいならね」
ヒ「私、もう子どもじゃありません!」
そりゃ森さんが上司なら、不倫でも、スパイでも、どこまでもついていきますとも
坂崎は胃潰瘍で血を吐いて倒れる。
見舞いに来たヒミヨに「この音楽会に行って、隣りの外人にコレを渡してくれ」
と円城寺から借りた御前会議の資料を渡すよう頼む。
ゾルゲは踊って喜び、すぐにソ連に打電する。「日本の国力はもって4年」
そこに、ゾルゲと恋人関係にあったバーのウエイトレス・カズエがやって来る。
カ「私、知ってるのよ!」
ゾ「外人を見たらスパイと思え。それは島国根性です」
「あなたに撃たれて死ぬなら本望です」とカズエに銃を渡すが、カズエは泣き崩れる。
その後、カズエがガス自殺した記事が載る。
アラキはカズエの部屋を捜索すると、坂崎宅にあった同じ絵を見つける。「あいつだ!」
ミヤベを逮捕し、ひどい拷問をする
坂崎は事務所に復帰し、ヒヨミは身を案じるが、
坂「近江内閣もどうなるか。戦争か、平和か。今は個人の幸福に酔っていられる時じゃないんだよ」
ついに坂崎とゾルゲは逮捕される。
ゾ「私は歴史を書き換えた誇りがある」
フユキが義足になって戦地から帰ってきた。チエは軍需工場で働いている。
エイコ「南方はどう?」
フユキ「どうもこうも、肉弾攻撃しか手がないんだから。義兄さんの言っていたことも今なら分かります」
エイコ「じゃあ、あなたは運がよかったほうね」
エイコが面会に行くと「今日はゆっくり話してくるといい」と言われる。
フユキがすっかり気落ちしていることを告げると、坂崎「誰かいい人はいないかな?」
エイコは、チエの教師だったウエムラ先生がいいとすすめる。
坂「2人で満州に行ったらいい。ボクは死んだら、無心論者だから墓など必要ない。
庭に埋めて、桜の木でも植えてもらえばこの上ないよ。いや、梅がいい。
厳しい風雪に耐えて咲くところがいいじゃないか」
チエとフユキも来ているが、チエ「よすわ。父が泣くと可哀想だもの」
ウエムラとフユキは結婚し、満州に旅立つ。
その後、すぐ杉浦から坂崎が処刑されたことを知らされるエイコ。
ヒミヨが1人で晴れ着を着て「先生のもとへ行く」と遺書を残して自殺したと聞き、
チエ「父に殉死したのよ」
エイコ「やめて! これ以上、私耐えられないんです!」
遺骨を庭に埋めていると、坂崎からの手紙が届く
チエ「地獄からの最後のお手紙よ。父の手紙を本にしない?
父がなぜこんな茨の道を選んだのか、世の中の人に知ってもらいたいじゃないの」
杉浦「肉親の愛情こそ、人間感情の源だ。きっと人の心を打つでしょう」
その日から、母と娘は大量の手紙から原稿をおこす。
ソ連軍が満州国に侵攻したというニュースが入る。
円城寺らが来て、フユキと妻も亡くなったと告げる。
「国境付近の人たちは、老若男女、みな戦死しました」
「フユキは坂崎の言葉を信じて・・・」
「代わりに土を持ってきました」
「あなた! 私はこれから何を信じて生きていけばいいの!?」
本が発売され、サインするエイコ。
チエ「ベストセラーうけあいよ! 母、ブランコに乗っていきましょう!
明るい顔になりましょうよ。いつまでも過ぎ去ったことを考えてもはじまらないわ」
エイコ「私は父を愛していた。カラッポにして努めて、一度は父の世界に届いたのよ」
チエ「母が信じたまんまを信じてあげればいいじゃないの」
出版祝いに父の大好きなお酒で乾杯し、父にもあげようと、梅の木にかける(あんなにアルコールかけて大丈夫?
チエは父の声を真似して「母がそんなじゃ、チエが可哀想じゃないか。仲良くやれよ。2人きりの親子だからな」
チエ「あ、流れ星! あれ、きっと父よ。自分だけしたいことして、スーーっと消えちゃうんだからズルイ」
チエ「明日からこういう風にサインしない?」