■『黒蜥蜴』@新国立劇場 中劇場(ネタバレ注意)(2015年4月4日 (土) ~2015年4月19日 (日) )
原作:江戸川乱歩
脚本:三島由紀夫
演出・美術・衣裳・主演:美輪明宏
出演:美輪明宏、木村彰吾、中島歩、團遥香、白川和子、原金太郎、江上真悟、城月美穂、高森ゆり子 ほか
「心の世界では、あなたが泥棒で わたしが探偵だった。
だって、あなたは私の心を盗んだのだから。」
【ブログ内関連記事】
・映画『黒蜥蜴』(1968)
・『江戸川乱歩生誕100周年記念作品 黒蜥蜴』
美輪さんのワイフワークとも言え、演出・美術・衣裳・主演もされて、今回の公演がラストと聞いて、
これは、なにがなんでも観なければ!と宝くじを当てるつもりでチケとりして、なんとかゲット!
新国立劇場は初かな? 初台でF氏と待ち合わせ。
14:30~の公演で、1階14列50番台は、ちょうど全体も見渡せていい席だった→座席表
客層はやっぱり女性が多い。40~70代くらい。
そうなると心配になるのは、まずトイレの位置と数
みんな、入ってすぐのところに行くから、すでに長蛇の列
でも、チケットで入って2階?の端のほうが数が多いとのことで移動(早くゆって欲しい
まず、目を惹くのは、階段を上がる両側に飾られた、これまで公演で使われたと思われる衣装の数々
それから、美輪さんの人脈の広さ、経歴の長さが窺える、著名人からの豪華な花束の群れ
物販には、美輪さんのCD、DVD、著作のほかにも「ミワちゃん」Tシャツまである/驚笑
謎の手づくり人形たち(計3体
昔、映画も一度観て、江戸川乱歩は、「少年探偵シリーズ」が大好きだから、そっちでは読んだことがある。
大人向けはドロドロした内容なのでは?と、ちょっと心配だったんだけど、
所々ユーモアも交えて、ミステリー、探偵と盗賊のロマンスに重きが置かれていて、安心して?堪能できた。
休憩が途中2回入るから3回に分けてある。舞台セットとしては、
1.ホテル室内、2.宝石商・岩瀬庄兵衛のキッチン、3.波止場、4.船内、5.黒蜥蜴のアジト。
セットが変わる際は、会場が暗くなり、オーケストラの演奏に浸る
▼あらすじ(ネタバレ注意
ホテルの一室で談笑する緑川夫人と、宝石商・岩瀬庄兵衛の令嬢、早苗。
お見合いで大阪まで来たが、実は早苗には、近頃、不気味な誘拐予告状がたびたび届いていたため、
目に入れても痛くないほど可愛がっている庄兵衛は夜も眠れず、警察沙汰にも出来ずに、
名探偵として有名な明智小五郎に警護を任せていた。
お見合い相手に幻滅していた早苗に、緑川夫人は、「あなたにふさわしい相手を紹介してあげる。
ちょうど隣りの部屋にいらっしゃるから」と雨宮潤一を紹介すると、2人はひと目見て惹かれ合う。
「雨宮さんが持つ世にも素晴らしい人形を見せてあげる」と隣りの部屋に誘い、早苗をトランクに入れてさらう緑川夫人の部下。
緑川夫人こそ、脅迫状を送った黒蜥蜴だった。
緑川夫人は、早苗の衣装を着て父を呼び、「具合が悪いから先に寝るわ」とベッドに寝たフリをして、
父が睡眠薬で寝たのを見計らって、隣室で男装して逃げる。
その後、「12時ちょうどに娘さんをいただきにあがる」と予告状が来たため、明智が部屋で見張っていると、
何食わぬ顔で緑川夫人が入ってきて「私も心配だから」と見張りに付き合う。
時間つぶしに始めたトランプで
「私が負けたら身に付けている宝石を全部あげましょう。
その代わり、あなたが負けたら探偵という職業を捨てるという賭けをしましょう」と言い出す緑川夫人。
勝負が明智に傾いた時、12時が過ぎ、早苗を確認すると、頭だけの人形にすり替えられていた。
激怒する岩瀬氏、平然としている明智、勝利に酔う緑川夫人。
明智は、部下に尾行させ、見事、早苗を救い、緑川夫人こそ黒蜥蜴だと皆に明かす。
黒蜥蜴は銃で照明を撃って、その場は逃げ去る。
それから半月もの間、早苗は屋敷の中に軟禁状態となり、周囲はあらゆる武道の達人や、使用人で固めて警戒する岩瀬。
しかし、娘の気晴らしに買った家具のうち、大きなソファの中に早苗は詰め込まれてさらわれてしまう。
黒蜥蜴は、危険な陸路を避け、自分が所有する船でアジトへと向かう。
部下の間で「船内に幽霊が出る」と噂を聞いて笑うが、早苗が急に元気を出したことで、
明智が船内のソファに隠れていることに気づく黒蜥蜴。
部下にソファを縛るよう命じ、いったん人を遠ざけ、最後の会話を交わす。
そこには、これまで誰にも心を開かなかった黒蜥蜴の熱い想いがほとばしっていた。
そして、ソファは部下によって夜の海に投げ込まれる
唯一、その列に加わらなかったせむし男に対し、「お前だけは私を分かってくれる」と爬虫類の称号と宝石を与える
アジトには、黒蜥蜴がこれまで集めてきた絵画や宝石類が集められた美術館があり、
早苗に「ここで最もお気に入りを見せましょう!」と美しい蝋人形を見せる。
それは、黒蜥蜴が連れてきた美男美女をそのまま人形に細工したもので、早苗もその中に加えるという。
昔、貧乏で自殺をしようとしていたところを救われ、奴隷となってから、黒蜥蜴を愛し続けてきた雨宮潤一は、
早苗を好きになったそぶりを見せて黒蜥蜴に嫉妬心を抱かせようとして失敗し、同じ牢屋に入れられるが、
「早苗と一緒に男女2人の蝋人形にするわ」と聞いて、歓喜する。
早苗は雨宮の心が自分にないことを悲しむが、自分が実は身代わりなのだと明かす。
再び現れた黒蜥蜴は、真っ白い衣装で舞い、部下とともに人形作りにとりかかろうとするが、
せむし男に変装していた明智が現れ、大勢の警察が取り囲んで黒蜥蜴の部下を全員逮捕する。
黒蜥蜴は、明智が生きていたことを心底喜びつつ、自ら毒を飲む。
早苗はその後結婚し、岩瀬家は繁栄したが、「本当の宝石はこの世から消えてしまった!」と嘆く明智。
***************
幾度もアンコールの拍手があふれて、私もスタンディングオベーションで賞賛した
江戸川乱歩の倒錯した愛情、難解な長ゼリフの中に、究極の美を求める女盗賊と
犯罪心理に心奪われた天才探偵とのスリルある駆け引きが詰め込まれていて、言葉1つ1つを味わった。
蝋人形がどの様に表現されるか、舞台の当初から気になっていたけれども、洞窟の中のおどろおどろしい雰囲気が出ていてよかった。
明智の変装は、大体いつも浮浪者が多いからバレバレなんだけどね
江戸川乱歩作品には、ソファに隠れているのがバレて炎に包まれるシーンが幾度も使われているのがフシギ。
美輪さんが真っ白い衣装で舞うシーンでは、♪ハチャトゥリアンの曲「仮面舞踏会」が使われて、
真央ちゃんのあの名演技まで思い起こされて、ビックリ。
今回の見どころの1つは、雨宮役として、『花子とアン』の蓮さまの駆け落ち相手を演じた中島歩さんが出演していること。
今作でも実らない愛に身を焦がす青年役を演じていた。
昭和のノスタルジーも残しつつ、明智が「資料はFAXで送ってくれ」と言ったりして、
さすがに現代の設定に変えてある部分もあったな。
イギリス紳士のシャーロック・ホームズ(もちろんジェレミー・ブレット主演で!)や、
アガサ・クリスティ作品のエルキュール・ポアロ、日本では他に金田一耕助さんもいるけど、
明智小五郎というキャラクターには、格別な魅力を感じる(でも、結婚してるんだよね
美輪さんは本作をこれまで一体何度演じてきたのだろうか?
その時の年齢、相手役ごと、それぞれに違った魅力があったに違いない。
9月に延長公演決定/祝×5000
2015年9月 東京芸術劇場 プレイハウス
公演詳細は4月下旬発表予定!
追。
演劇を観に行くともらう恒例のチラシ。入り口でもどっさりもらったけど、チケットを見せてからも同じくらいの量をもらった
「椿姫」「こうもり」他、本格的なオペラもいつかちゃんと観てみたいなあ
ショップは小さくて、なぜか可愛いテディベアみたいなクマさんのキャラクターグッズがいろいろあった
外は朝から雨。帰りはさらに本降り
18時過ぎて、小腹が空いたから、喫茶店でロールケーキセットを注文。雰囲気のあるキレイなお店でした~。
原作:江戸川乱歩
脚本:三島由紀夫
演出・美術・衣裳・主演:美輪明宏
出演:美輪明宏、木村彰吾、中島歩、團遥香、白川和子、原金太郎、江上真悟、城月美穂、高森ゆり子 ほか
「心の世界では、あなたが泥棒で わたしが探偵だった。
だって、あなたは私の心を盗んだのだから。」
【ブログ内関連記事】
・映画『黒蜥蜴』(1968)
・『江戸川乱歩生誕100周年記念作品 黒蜥蜴』
美輪さんのワイフワークとも言え、演出・美術・衣裳・主演もされて、今回の公演がラストと聞いて、
これは、なにがなんでも観なければ!と宝くじを当てるつもりでチケとりして、なんとかゲット!
新国立劇場は初かな? 初台でF氏と待ち合わせ。
14:30~の公演で、1階14列50番台は、ちょうど全体も見渡せていい席だった→座席表
客層はやっぱり女性が多い。40~70代くらい。
そうなると心配になるのは、まずトイレの位置と数
みんな、入ってすぐのところに行くから、すでに長蛇の列
でも、チケットで入って2階?の端のほうが数が多いとのことで移動(早くゆって欲しい
まず、目を惹くのは、階段を上がる両側に飾られた、これまで公演で使われたと思われる衣装の数々
それから、美輪さんの人脈の広さ、経歴の長さが窺える、著名人からの豪華な花束の群れ
物販には、美輪さんのCD、DVD、著作のほかにも「ミワちゃん」Tシャツまである/驚笑
謎の手づくり人形たち(計3体
昔、映画も一度観て、江戸川乱歩は、「少年探偵シリーズ」が大好きだから、そっちでは読んだことがある。
大人向けはドロドロした内容なのでは?と、ちょっと心配だったんだけど、
所々ユーモアも交えて、ミステリー、探偵と盗賊のロマンスに重きが置かれていて、安心して?堪能できた。
休憩が途中2回入るから3回に分けてある。舞台セットとしては、
1.ホテル室内、2.宝石商・岩瀬庄兵衛のキッチン、3.波止場、4.船内、5.黒蜥蜴のアジト。
セットが変わる際は、会場が暗くなり、オーケストラの演奏に浸る
▼あらすじ(ネタバレ注意
ホテルの一室で談笑する緑川夫人と、宝石商・岩瀬庄兵衛の令嬢、早苗。
お見合いで大阪まで来たが、実は早苗には、近頃、不気味な誘拐予告状がたびたび届いていたため、
目に入れても痛くないほど可愛がっている庄兵衛は夜も眠れず、警察沙汰にも出来ずに、
名探偵として有名な明智小五郎に警護を任せていた。
お見合い相手に幻滅していた早苗に、緑川夫人は、「あなたにふさわしい相手を紹介してあげる。
ちょうど隣りの部屋にいらっしゃるから」と雨宮潤一を紹介すると、2人はひと目見て惹かれ合う。
「雨宮さんが持つ世にも素晴らしい人形を見せてあげる」と隣りの部屋に誘い、早苗をトランクに入れてさらう緑川夫人の部下。
緑川夫人こそ、脅迫状を送った黒蜥蜴だった。
緑川夫人は、早苗の衣装を着て父を呼び、「具合が悪いから先に寝るわ」とベッドに寝たフリをして、
父が睡眠薬で寝たのを見計らって、隣室で男装して逃げる。
その後、「12時ちょうどに娘さんをいただきにあがる」と予告状が来たため、明智が部屋で見張っていると、
何食わぬ顔で緑川夫人が入ってきて「私も心配だから」と見張りに付き合う。
時間つぶしに始めたトランプで
「私が負けたら身に付けている宝石を全部あげましょう。
その代わり、あなたが負けたら探偵という職業を捨てるという賭けをしましょう」と言い出す緑川夫人。
勝負が明智に傾いた時、12時が過ぎ、早苗を確認すると、頭だけの人形にすり替えられていた。
激怒する岩瀬氏、平然としている明智、勝利に酔う緑川夫人。
明智は、部下に尾行させ、見事、早苗を救い、緑川夫人こそ黒蜥蜴だと皆に明かす。
黒蜥蜴は銃で照明を撃って、その場は逃げ去る。
それから半月もの間、早苗は屋敷の中に軟禁状態となり、周囲はあらゆる武道の達人や、使用人で固めて警戒する岩瀬。
しかし、娘の気晴らしに買った家具のうち、大きなソファの中に早苗は詰め込まれてさらわれてしまう。
黒蜥蜴は、危険な陸路を避け、自分が所有する船でアジトへと向かう。
部下の間で「船内に幽霊が出る」と噂を聞いて笑うが、早苗が急に元気を出したことで、
明智が船内のソファに隠れていることに気づく黒蜥蜴。
部下にソファを縛るよう命じ、いったん人を遠ざけ、最後の会話を交わす。
そこには、これまで誰にも心を開かなかった黒蜥蜴の熱い想いがほとばしっていた。
そして、ソファは部下によって夜の海に投げ込まれる
唯一、その列に加わらなかったせむし男に対し、「お前だけは私を分かってくれる」と爬虫類の称号と宝石を与える
アジトには、黒蜥蜴がこれまで集めてきた絵画や宝石類が集められた美術館があり、
早苗に「ここで最もお気に入りを見せましょう!」と美しい蝋人形を見せる。
それは、黒蜥蜴が連れてきた美男美女をそのまま人形に細工したもので、早苗もその中に加えるという。
昔、貧乏で自殺をしようとしていたところを救われ、奴隷となってから、黒蜥蜴を愛し続けてきた雨宮潤一は、
早苗を好きになったそぶりを見せて黒蜥蜴に嫉妬心を抱かせようとして失敗し、同じ牢屋に入れられるが、
「早苗と一緒に男女2人の蝋人形にするわ」と聞いて、歓喜する。
早苗は雨宮の心が自分にないことを悲しむが、自分が実は身代わりなのだと明かす。
再び現れた黒蜥蜴は、真っ白い衣装で舞い、部下とともに人形作りにとりかかろうとするが、
せむし男に変装していた明智が現れ、大勢の警察が取り囲んで黒蜥蜴の部下を全員逮捕する。
黒蜥蜴は、明智が生きていたことを心底喜びつつ、自ら毒を飲む。
早苗はその後結婚し、岩瀬家は繁栄したが、「本当の宝石はこの世から消えてしまった!」と嘆く明智。
***************
幾度もアンコールの拍手があふれて、私もスタンディングオベーションで賞賛した
江戸川乱歩の倒錯した愛情、難解な長ゼリフの中に、究極の美を求める女盗賊と
犯罪心理に心奪われた天才探偵とのスリルある駆け引きが詰め込まれていて、言葉1つ1つを味わった。
蝋人形がどの様に表現されるか、舞台の当初から気になっていたけれども、洞窟の中のおどろおどろしい雰囲気が出ていてよかった。
明智の変装は、大体いつも浮浪者が多いからバレバレなんだけどね
江戸川乱歩作品には、ソファに隠れているのがバレて炎に包まれるシーンが幾度も使われているのがフシギ。
美輪さんが真っ白い衣装で舞うシーンでは、♪ハチャトゥリアンの曲「仮面舞踏会」が使われて、
真央ちゃんのあの名演技まで思い起こされて、ビックリ。
今回の見どころの1つは、雨宮役として、『花子とアン』の蓮さまの駆け落ち相手を演じた中島歩さんが出演していること。
今作でも実らない愛に身を焦がす青年役を演じていた。
昭和のノスタルジーも残しつつ、明智が「資料はFAXで送ってくれ」と言ったりして、
さすがに現代の設定に変えてある部分もあったな。
イギリス紳士のシャーロック・ホームズ(もちろんジェレミー・ブレット主演で!)や、
アガサ・クリスティ作品のエルキュール・ポアロ、日本では他に金田一耕助さんもいるけど、
明智小五郎というキャラクターには、格別な魅力を感じる(でも、結婚してるんだよね
美輪さんは本作をこれまで一体何度演じてきたのだろうか?
その時の年齢、相手役ごと、それぞれに違った魅力があったに違いない。
9月に延長公演決定/祝×5000
2015年9月 東京芸術劇場 プレイハウス
公演詳細は4月下旬発表予定!
追。
演劇を観に行くともらう恒例のチラシ。入り口でもどっさりもらったけど、チケットを見せてからも同じくらいの量をもらった
「椿姫」「こうもり」他、本格的なオペラもいつかちゃんと観てみたいなあ
ショップは小さくて、なぜか可愛いテディベアみたいなクマさんのキャラクターグッズがいろいろあった
外は朝から雨。帰りはさらに本降り
18時過ぎて、小腹が空いたから、喫茶店でロールケーキセットを注文。雰囲気のあるキレイなお店でした~。