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ベッリーニ歌劇『ノルマ』(全2幕)@パルマ王立劇場(2001)

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ベッリーニ歌劇『ノルマ』(全2幕)@パルマ王立劇場(2001)

 

台本:フェリーチェ・ロマーニ
演出:ロベルト・アンド
指揮:ファビオ・ビオンディ

出演:
ポリオーネ:ローマ帝国のガリア地方総督(テノール):シン・ヨン・フン
フラヴィオ:ポリオーネの友人(テノール):レオナルド・メラーニ
オロヴェーゾ:ドルイド教徒の長(バス):イルダール・アブドラザコフ
ノルマ:巫女の長で、オロヴェーゾの娘(ソプラノ):ジューン・アンダーソン
アダルジーザ:イルミンスルの神殿に仕える若き巫女(原曲ではソプラノで歌われたが、今日ではメゾソプラノが多い):ダニエラ・バルチェッローナ
クロティルデ:ノルマの侍女(ソプラノ):スヴェトラーナ・イグナトヴィチ



最初から最後まで、ずぅーーーーっと夜の森が舞台で、画が暗い・・・

ストーリー的には、敵国の男を愛してしまった『ロミジュリ』風。
卑弥呼のような存在のノルマが、預言者、女、母として苦悩する姿が心を打つ。


【ライナー抜粋メモ~松沢憲(音楽評論)】
ドルイド教徒たちの衣装には工夫がある。渦巻き模様は、ドルイド教徒(ケルト人)に特有の模様。
ノルマが鳴らすイルミンスルの楯にも刻まれている。



この映像で一番の注目なのは、ビオンディ指揮によるエウローパ・ガランテの演奏だ。
この団体は古楽器を使うオーケストラで、とくに木管の音色の温もりのある響きは特有の美しさ。
金管、とくにナチュラル・ホルンの音色は野趣あふれる味わいがある。

 


ビオンディは、バロック・ヴァイオリンの名手としても知られる指揮者/驚

第2幕第1場のノルマとアダルジーザの二重唱は、全曲中でもとくに美しいハイライトシーン。
ノルマ役のアンダーソンは、預言者、女、母として、その場面に応じた感情表現を強いられるこの至難な役に体当たりで挑んでいる。

当時、ミラノを中心とするロンバルディア地方はオーストリアの支配下にあり、
ローマ軍vsドルイド教という構図が、ハプスブルグ家vsイタリアという現実の政治的な枠組みを想起させる。

1831年のスカラ座における初演は、ベッリーニ自身によれば「ひどい失敗」だったが、回を重ねるごとに評判を呼び、知れ渡った。

「ドルイド教」
ガリア地方と呼ばれる北イタリア~フランス、ドイツ、ベルギー、オランダに及ぶ広範な地域、
イギリスに古くから分布していた先住民のケルト人の宗教。霊魂の不滅、輪廻転生を信じた多神教。
「ドルイド」とは「樫の木を知る者」という意味。
神々とヒトの間をとりもつドルイド(神官)の予言によって生贄や供物が施された。
ローマ時代に禁止となり、魔法使い視され、弾圧された歴史を持つ。


▼あらすじ
紀元前のガリア地方。
ドルイド教徒の長・オロヴェーゾと、血気盛んな戦士、村人らは神聖な樫の木のもとで儀式を行い、
ローマ軍との戦争開始の合図となる預言者・ノルマのお告げを今か今かと待つ。

 

そこにやって来た2人の男。敵国ローマの地方総督・ポリオーネと、友人フラヴィオ。
なんと、ポリオーネは、ノルマと夫婦で2人の子どももいるのに、
祭壇で祈りを捧げていた巫女・アダルジーザの美しさにひと目惚れして、ローマに連れていくのだと言う。

ドルイド教徒「異教徒たちを追い払え! ガリアの地を解放するために」
ポリオーネ「この森に火を放とう。祭壇を壊すんだ!」

 

ノルマが堂々と登場。
ドルイド教徒「ローマ人に剣を抜こう!」
ノルマ「それは敗北だ。まだ機は熟していない。死の書にはローマは自らの悪徳によって滅びると書いてあった。それまで待つのです。
    聖なるやどり木を刈り取ろう。聖なる女神(老木)よ。その清き姿を見せたまえ。儀式は終わりだ。
    (ローマの地方総督を私が罰することはできない! 世界を敵に回したとしても。彼は戻らないのだろうか!)」

 

アダルジーザが現れる。
(けっこう太め オペラの名歌手は太めってイメージがあるけど。
 上からの照明のせいで、せっかくのヒロインたちの彫りの深い顔に変な影が入っちゃってコワイ

彼女が必死に祈っているところへ、ポリオーネが現れる。
ポリオーネ「決して離さないぞ。ローマに来てくれ」

アダルジーザは、散々悩んだ末「参りますわ」「明日、同じ時間に」
「神に背いてもあなたに従います」「お前の神に挑もう!」

 

家に戻ったノルマは、侍女クロティルデに子どもたちを遠ざけるように言う。
「子どもたちを抱きしめられない。愛しているのに、憎んでもいる」(子どもの目の前で歌わなくても・・・
「ポリオーネがローマに戻るの。私を残して逃げるつもりかしら?」と心配でしかたない。


そこにアダルジーザが来て、身も裂けるばかりの想いを打ち明ける

「彼の美しさに目を奪われて、祖国を捨てるのです」
「私もそうだった」

「どうか私をお赦しください」
「赦します。ともに涙しましょう」
(2人の息の合ったソプラノが美しい

救われたアダルジーザだったが、ノルマから相手の名前を聞かれて、それがポリオーネと分かり、凍てつくノルマ。
そこにポリオーネが現れる(なんと間の悪い

 

ノルマ「娘に罪はない。悪いのはお前、子どもたちに、自分に、私の怒りにおののけばよい!
    私を欺いたように、この男はお前の心も裏切るのだ」

アダルジーザは、ポリオーネとノルマの関係を知って、ノルマに同情するが、ポリオーネは諦めない。

ノルマ「ならば行け。運命に従え。不幸の愛に喜びはないだろう」

アダルジーザは、ポリオーネもかばって「死んで、この方をお返しします」

****************


ナイフを持って、寝ている2人の子どもたちを殺そうとするノルマ

「私はローマには行けない。この子たちが虐待されるだろう」
(よく一家心中の事件があるけど、死ぬ決心をしたとしても、家族を道連れにするのはおかしいよ

ノルマも改心する。「この子どもたちにどんな罪が? 悔い改めて、私が死のう」とナイフを隠し、
クロティルデにアダルジーザを呼んできてほしいと頼む。



「話を聞いて、私の頼みごとを聞いて欲しい。お前にこの子らを託したい。ローマのあの男のもとへ。私は彼を赦して死のう。
 この子らをどうか支え、守ってほしい。お前のせいで捨てられた私の大きな苦しみを分かってほしい」

アダルジーザ「あの人のところに行って、その言葉を伝えたら、きっと愛を取り戻せるでしょう。
       あの方を取り戻してください。この子らを憐れんで、自分のことはどうなさろうと・・・」と死を留まらせる。

ノルマ「彼はお前を愛している」
アダルジーザ「今は好意しか感じていません。私は姿を消します」
ノルマ「私はふたたび友を得た!」

****************

まだ森に残って怒りをくすぶらせているドルイド教徒ら。「今は静かに時を待つんだ。大きな戦果を上げるため」
オロヴェーゾ「地方総督が交代する。ノルマのココロは分からない。今は解散するのだ。その日は来る。それまで従順を装おう」



一方、ノルマは、ポリオーネが自分の元に帰ってくると信じて待っている。
しかし、クロティルデは「アダルジーザが哀願してもダメでした」と告げる。

ノルマ「ローマの血を流そう、奔流のように!」


イルミンスルの楯の合図が鳴ったので、戦士らが集まってくる

 

ノルマ「戦いだ! 皆殺しだ!」
急に態度が変わった預言者に訝りながらも、「生贄は誰だ!?」「それは私が決める!」

そこに再びクロティルデが来て「神殿がローマ人に汚されました」「まさか、あの人では?」
忍び込んでいたのは、やはりポリオーネ。

 

オロヴェーゾ「一体、誰がお前を導き入れたのだ?」
ノルマ「復讐は私がやる(ああ、できない。今さら憐れむのか?)陰謀を企んだ巫女は誰か聞きたい」
ポリオーネ「それは聞かずに、私を殺せ」

ノルマは皆に「しばし外してほしい」と頼む。
「アダルジーザと別れることを誓ったら、命を助けよう。私も二度とお前には会わない」
「イヤだ。すぐに殺せ」

ノルマは2人の子どもを手にかけようとしたことを打ち明ける。

「それは酷い・・・父親だけを殺せ」
「ローマ人も、アダルジーザも殺される。火あぶりだ」
「彼女は助けてやってくれ」
「あの娘をお前によって殺してやる。私と同じ不幸を味わうのだ!」と祭祀らを呼ぶ。

ノルマ「新しい生贄を捧げよう。1人の巫女が祖国を裏切ったのだ。火刑台の用意を!
    (何の罪もない娘に自分の罪を負わせるのか?)」

誰が生贄かと問われ、ノルマは「それは私なのだ!」と宣言する。戦士にショックが広がる。
「なんと恐ろしいことだ。花の冠は外され、代わりに黒いヴェールが被せられる」

ポリオーネ「信じてはいけない!」
ノルマ「最期の時にやっと分かった。別れようとしてもムリなことを。あなたは私と共にある。
    運命や神よりも強い愛。火刑台でも、地の底でもあなたと共にある」

ポリオーネ「気づくのが遅かった。気高い女よ。
      いっそう激しい愛がよみがえった。一緒に死のう。死ぬ前に私を憎まないでくれ。赦しておくれ」

 
ノルマは父であるオロヴェーゾに唯一のお願いだとすがりつく

ノルマ「私は母なのです。子どもを野蛮人から守ってやってください! これ以上はなにも望みません」
オロヴェーゾ「これはお告げだ。畏れ多い神も罪を与えない」
父は子どもたちを守ると誓い、ノルマを赦す。



ここで終わり!? 2人は結局火あぶりなんだ。
人間を目の前で生きたまま燃やすって、それこそ野蛮極まりない・・・恐×∞

 

 




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