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『銀河鉄道の夜(画本宮沢賢治) 』

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『銀河鉄道の夜(画本宮沢賢治) 』
宮沢賢治/著 小林敏也/版画 1984年第1刷発行 用紙/親和紙業

以前、クリニックの本棚にあったのを見つけて、ずっと読みたいと思っていたが、
近所の図書館になかったので、ちょっと遠出して借りてきた。

賢治作品の中で私が一番好きな『銀河鉄道の夜』を絵本化した本はいくつかあるけれども、
小林敏也さんの版画が本当に魅力的で素晴らしい
藤城さんの作品と並べて飾っておきたいくらいだ。

小林敏也

【ブログ内関連記事】
画本宮沢賢治シリーズは結構読んでたんだな。

『かしわばやしの夜』(パロル舎)
『雪わたり』(パロル舎)
『やまなし』作・宮澤賢治 画・小林敏也 パロル舎
『蛙の消滅』 宮沢賢治/著 小林 敏也/画 パロル舎

その他、絵本ナビより参照。
私の好きなパロル舎だけじゃなく、好学社ってところでもけっこう出してるんだ。


「この画本では原作を現代かなづかいに改め、ルビを付しております」とあるけど、
賢治の一番の魅力である旧かなづかいにほぼ近い形なのも嬉しい。

漢字の表記が今と随分違っていたり、途中の原稿抜けに、何度も推敲を重ねた苦労やこだわりを感じたり、
言葉のひとつひとつを噛み締めながら、久々始めから終わりまで、版画とともに銀河鉄道を堪能できた

あらすじは、もう知られているので、ここでは、私が好きなセリフを中心に紹介したい。


【内容抜粋メモ】


「ではみなさんは、そういうふうに川だと云いわれたり、
 乳の流れたあとだと云われたりしていた、このぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか。」



「よう、虫めがね君、お早う。」と云いますと、近くの四五人の人たちが声もたてずこっちも向かずに冷くわらいました。



「ケンタウルス、露をふらせ。」と叫んで走ったり、青いマグネシヤの花火を燃したりして、たのしそうに遊んでいるのでした。



「ジョバンニ、らっこの上着が来るよ。」さっきのザネリがまた叫びました。



その中にはたくさんの旅人が、苹果を剥いたり、わらったり、いろいろな風にしていると考えますと、
ジョバンニは、もう何とも云えずかなしくなって、また眼をそらに挙げました。



「この地図はどこで買ったの。黒曜石でできてるねえ。」ジョバンニが云いました。
「銀河ステーションで、もらったんだ。君もらわなかったの。」



「おや、あの河原は月夜だろうか。」
「月夜でないよ。銀河だから光るんだよ。」


「おっかさんは、ぼくをゆるして下さるだろうか。」
「きみのおっかさんは、なんにもひどいことないじゃないの。」
「ぼくわからない。けれども、誰だって、ほんとうにいいことをしたら、いちばん幸なんだねえ。
 だから、おっかさんは、ぼくをゆるして下さると思う。」



白い十字架がたって、それはもう凍った北極の雲で鋳たといったらいいか、
すきっとした金いろの円光をいただいて、しずかに永久に立っているのでした。



「ぼくらからみると、ここは厚い立派な地層で、百二十万年ぐらい前にできたという証拠もいろいろあがるけれども、
 ぼくらとちがったやつからみてもやっぱりこんな地層に見えるかどうか、あるいは風か水やがらんとした空かに見えやしないかということなのだ。」


 
「わたしぁ、べらぼうめ、そんな苦情は、おれのとこへ持って来たって仕方がねえや、
 ばさばさのマントを着て脚と口との途方もなく細い大将へやれって、斯云ってやりましたがね、はっは。」



「ああせいせいした。どうもからだに恰度合うほど稼いでいるくらい、いいことはありませんな。」




「なにがしあわせかわからないです。ほんとうにどんなつらいことでも、それがただしいみちを進む中でのできごとなら
 峠の上りも下りも、みんなほんとうの幸福に近づく一あしずつですから。」

「ああそうです。ただいちばんのさいわいに至るために いろいろのかなしみもみんなおぼしめしです。」


 
「この辺ではもちろん農業はいたしますけれども 大ていひとりでにいいものができるような約束になって居ります。」



「あら、インデアンですよ。インデアンですよ。ごらんなさい。」




「ああ、わたしはいままでいくつのものの命をとったかわからない、
 そしてその私がこんどいたちにとられようとしたときは、あんなに一生けん命にげた。
 それでもとうとうこんなになってしまった。

 ああなんにもあてにならない。
 どうしてわたしはわたしのからだをだまっていたちに呉れてやらなかったろう。
 そしたらいたちも一日生きのびたろうに。

 どうか神さま。私の心をごらん下さい。
 こんなにむなしく命をすてず どうかこの次には、まことのみんなの幸いのために私のからだをおつかい下さい。」




「厭だい。僕もう少し汽車へ乗ってから行くんだい。」
「だけどあたしたちもうここで降りなけぁいけないのよ。ここ天上へ行くとこなんだから。」




「ジョバンニ、カムパネルラが川へはいったよ。」
「ああすぐみんな来た。カムパネルラのお父さんも来た。けれども見附からないんだ。ザネリはうちへ連れられてった。」



「ジョバンニさん。あした放課後、みなさんとうちへ遊びに来てくださいね。」




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