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ヴェルディ歌劇『仮面舞踏会』(全3幕)@ザルツブルク音楽祭(1990)

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ヴェルディ歌劇『仮面舞踏会』(全3幕)@ザルツブルク音楽祭(1990)
真央ちゃんのプログラムで使ったやつかと思ったら同じ名前だけど違った

仮面舞踏会 (ハチャトゥリアン)

台本:アントーニオ・ソンマ
演出:ジョン・シュレジンジャー
指揮:サー・ゲオルグ・ショルティ

 

監督:ジョン・シュレジンジャー
映画監督兼演出家。俳優として出発。映画の代表作には『真夜中のカウボーイ』がある。

出演:
スウェーデン国王 グスターヴォ3世(テノール):プラシド・ドミンゴ
レナート(アンカーストレム伯爵)(バリトン):レオ・ヌッチ
その妻アメーリア(ソプラノ):ジョセフィン・バーストウ
黒人の女占い師ウルリカ(メゾ・ソプラノ):フローレンス・クイヴァー

小姓オスカル(ソプラノ):スミ・ジョー
水夫シルヴァーノ(バリトン)
陰謀者リビング(バス)
共謀者トム(バス)
判事(テノール)
アメリアの召使(テノール)

 


【ライナー抜粋メモ~岸純信(オペラ研究家)】
1989年夏、ザルツブルク音楽祭のわずか11日前にこの世を去ったカラヤン。あまりに突然の死だった。
『仮面舞踏会』の指揮を誰が務めるのか危惧する中、サー・ゲオルグ・ショルティが指揮台に立った。

彼がザルツブルクから緊急の電話を受けたのは、カラヤン逝去当夜だという。
ショルティは過去7年間、この演目に接していなかったが、夏の休暇から、ザルツブルクに飛んだ。
「リハーサルの最中に、スコアを勉強し直したよ」と、後日、この大家は率直に語っている。

オーケストラボックスに君臨するというカリスマ的な雰囲気より、舞台全体を後押しする強い駆動力を感じる。
この収録映像は、初日の年ではなく、翌年の再演時だが、カーテンンコールで一礼し、
すぐソリスト陣を呼び寄せる老匠の仕草に大指揮者の余裕が見てとれる。

『仮面舞踏会』の魅力
この劇場の巨大空間を支配するには、大掛かりな舞台装置があるほうが効果的だろう。

1630年にイングランドから清教徒が入植したのがボストンの始まり。
仮面舞踏会という華美な催しなど、そのような歴史を背負う町にはふさわしくにイベントなのだ。
宮殿の巨大な階段、処刑場にぶらさがる白骨、レナート邸に掛かるとてつもない大きさの肖像画など、随所に具象的なアイデアが目立つ。

実在のグスタフ三世も楽しんだという有名なドロットイングホルム宮殿の模様もそのまま再現される。
グスターヴォ3世を演じるドミンゴは、堂々たる体躯で、伸びやかなパッセージが活きる。

スコア上のト書きでは「刺して」と指定された場面だが、レナート役のヌッチの強張った表情を見ていると、
忠実にも添う銃撃という手段でなくてはならないと思える。

そして、韓国が誇るスミ・ジョーは、同じ東洋人として、彼女の成功を心から嬉しく思うとともに、
その才を見抜いたカラヤンの慧眼にも改めて敬意を表したい(最初、日本人かと思った

19C中葉から世界のオペラ界を牽引し続けた大作曲家ヴェルディ。
信頼厚き仕事仲間だった台本家カンマラーノの死後に新しく見つけた協力者として、ソンマの詩才を高く評価していた。

国王暗殺という結末が検閲側の拒絶反応を引き起こすことは、2人とも予想済みだったが、
1830年のフランスは、先王シャルル10世の締め付け体制の反動で誕生したルイ・フィリップ王政のもとで、
開放感に富む世相があり、検閲も緩やかだった。

実在のスウェーデン国王グスターヴォ3世が暗殺されたのは1792年。
実行犯は宮廷人の一人だったが、彼は暗殺の動機も、共犯者の名も黙したまま処刑されたという。
また、王はデンマークの王女と結婚し、2子がいるが、王が同性愛者だという噂もあった。

検閲が厳しかった当時のイタリアでは、高位の男女が互いに不倫関係に陥るなど言語道断
ナポリの検閲側は、7点の変更箇所を挙げてきた。
その後、1858年、ナポレオン三世の暗殺未遂が世情を騒がせたことから、検閲が一層かたくなになり、ソンマとヴェルディも大いに苦しんだ。


『仮面舞踏会』の特質
1.原作がフランスオペラの台本であること。
2.ヴェルディが先輩作曲家マイヤーベーアから強い影響を受けていること。

演劇面では、見せ場として、第3幕の後半でレナート邸宅から舞踏会場への場景へと大転換が行われる。
このようなスペクタクルもグランドオペラでは必須の項目とされ、本作もその趣向を受け継いでいる。


追。
とっても残念だったのは、ディスクの映像が乱れまくって、2幕目がほぼ観れなかったこと。
添付のあらすじを観て、ちょこちょこと映る数箇所の場面の雰囲気だけでガマンした



▼あらすじ(ネタバレ注意

【第1幕】
 
セットも豪華で美しい

グスターヴォ3世の宮殿。皆、忙しく働きながら、王を待っている。
左端では、グスターヴォ3世に兄を殺された弟リビングらが復讐の機会をうかがっている。

 

グスターヴォ3世登場(すごい巨体!
「嘆願書を読もう! 市民の望みを聞くことが私の役目なのだから!」

そして、近々催される仮面舞踏会の出席者リストの中に、アメーリアの名があって内心大喜びする。
アメーリアは、腹心の部下レナートの妻ながら、長年の想いを抱き続けている。



そんなことは知らないレナートは、「王の暗殺を企てる者がおります」と忠告するが、
王「名を知りたくない。名を知れば罰さなければならない。そうしたくはない」



そこに判事が来て、ウルリカというジプシー女の追放を!と頼む。「邪悪な預言を言っております」
陽気な小姓オスカルは「私は彼女を弁護します。彼女は恋を占うのです。悪魔(ルシフェル)の力を借りて!」

王は「皆で猟師に変装して会いに行こうじゃないか、楽しいぞ。今日の3時に神託の岩屋へ集まろう!」
陰謀者「これはチャンスかもしれない」



 
魔術で病人を治しているウルリカ。患者の女性がコワい・・・『エクソシスト』?

水夫シルヴァーノは「オレは全然報われていない」と訴え、「もうすぐ金と地位が手に入る」と預言するウルリカ。
それを聞いた王は、シルヴァーノの服に金を入れ、シルヴァーノは「占いは当たった!」と大喜びする。



そこにアメーリアが秘密にお告げが聞きたいとやって来て、ウルリカは人払いをする。
王は驚いて、影に潜み聞いていると、アメーリアは王への愛に苦しんでいると聞いて、再び驚く。

ウルリカ「消し去ることができるでしょう。でも、その薬草は、飲む人自らが摘まなければならない。
西の暗い野辺で、人々が恐れる所にある。そこは処刑の地なのです」

王「可哀想に。私も行くぞ」

王は身分を隠して、猟師のフリで「私の未来を教えてくれ」と尋ねる。
手相を見たウルリカの顔色は変わり「不幸な方だ。あなたはもうすぐ死ぬ。友人の手によって!」



王「冗談にきまってる。皆の信じやすさに笑わずにはいられない。誰が殺人者だ?」
ウルリカ「これから最初に握手をした者があなたを殺す」

そこに現れたのは、王の身を案じるレナートで、王は安心して身分を明かし、皆は大喜びして王の徳を讃える。

 
(ここで一度カーテンコールに応える。オケもいったんはけるんだね


【第2幕】
 

激しい演奏から始まったけど、映像が乱れっぱなしで、どうしようもない
とにかく処刑場に来て、薬草を探すアメーリアのもとに王が現れ、長年の想いを伝え合う。

そこにレナートが来て「陰謀者が来ます、早くお逃げください!」
王「アメーリアを残して逃げはしない」と言うが、結局は押し切られる。「王の命は、民の命なのです!」

そこで王はレナートに頼む。
「このご婦人を送ってやってほしい。ヴェールをしたまま、何も話しかけず。門に着いたら、君は反対側に行ってくれ」
(門って自宅の門じゃないよね?

何も知らずに婦人の手をとって逃げようとするレナートだったが、陰謀者らが追いつき、王ではなくレナートだと知って失望する。
「せめて、その女神のお顔をおがみたいものだ」

ヴェールが落ちると、妻だと知って驚くレナート。


【第3幕】
 

レナート邸でモメる夫婦。(だから子どもの目の前でこんな修羅場見せるのはよくないって
レナート「お前は死ぬのだ。姦婦め!」

自分は純真なままだと訴えるが聞く耳持たずで、「最後のお願いです。せめてたった1人の息子をこの胸に抱くことをお許しください。
父の手にかかって死ぬ母を、あの子は癒やしてくれるでしょう」と息子のもとに行くことを許される。



レナート「彼女ではない。この恥辱を償うのは!」(邸宅のど真ん中に飾ってある王を指差す。あんなにデカい絵って!
妻との思い出を語って、意外と愛妻家だったのね。忠誠心も嫉妬心には敵わないか。

陰謀者リビングと共謀者トムを家に呼び入れる。

レナート「暗殺計画に私も参加したい。私も君たちの仲間だ。息子を人質にしてもいい」
3人は復讐を誓い合うが、誰が実行するかでモメる。

レナート「彼を殺すのは私にやらせてくれ」
リビングは兄を殺された積年の恨みがあるから、オレがやるという。

 

そこで、レナートは3人の名を書いた紙を冑?に入れて、妻に1枚選ばせる。
それがなにを意味するか分かっていて、慄きながら引いたのは、夫の名だった。



そこに明るくオスカルらが入ってきて、仮面舞踏会の招待状を持ってくる。「妻とともに参りましょう」

(ここでもカーテンコール



グスターヴォ3世邸。
グスターヴォ3世は、その後の成り行きを知らないまま、レナートにアメーリアの故郷へ夫婦で戻るよう書いて、一人苦悩する。
「しかし、もう一度会える予感がする。それが我らの愛の最後の時のように」

オスカル「見知らぬ女性からです」と持って来たメモには、王の命が狙われていると書かれていたが、
王はひたすらアメーリアとの再会を待ち望む。

 
(ここですごい舞台の大転換! 本のページをめくるよう/驚 でも、肝心の踊るシーンはないのね



レナートはオスカルに王の居場所をしつこく尋ねるが「陛下はおやすみになられています。場所は秘密です」
「陛下の衣装だけでも教えてくれ。伝えなければならないことがあるのだ」

オスカルはすっかり酔っ払いながらも「私だけが知っている秘密です」となかなか答えない。
レナートはなかば強引に聞き出すと、「黒のマントにピンク色のリボンです」



アメーリアは王に警告して逃げてくれと懇願するが、
王「あなたの清らかな愛は、死よりも強いのだ。あなたには生きて欲しい。故郷へ行ってくれ。さらばだ」

 

3人の陰謀者が近づき、レナートは恨みを込めて至近距離から王を2度撃つ。
会場には叫び声が上がり、レナートはすぐに捕われる。

 

王「彼を放してやれ。彼女は潔白だ。私は君の妻を愛したが、純潔を汚しはしなかった」

新しい赴任地を書いた紙を渡され、呆然とするレナートは、自分の罪を悔やむ。

王「私の許しを、皆が受けるように。さらば祖国よ。愛する子どもらよ。永遠に」
(たとえ、王の許しを得て、田舎に行っても、夫婦関係は相当気まずいね・・・


 

 

 





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