■『妖鬼妃伝』(白泉社)
美内すずえ/著
美内すずえさんの代表作といえば『ガラスの仮面』だけれども、
学生の頃、ホラーマンガばかり読んでいた頃に買った単行本の今作が忘れられない(本棚が、ダークな表紙で黒っぽかったw
もう一度読みたいと思い続けて、数十年ぶりに改めて読んでも、当時の記憶とさほど変わらなかった。
デパートにバッグを忘れて取りに行ったまま帰らなくなる親友の顔、
まるで生きているかのような古い人形たちの視線を感じるヒロイン、などなど。
他にも2作入った「美内すずえ傑作選」の第1巻。
▼あらすじ(ネタバレ注意
妖鬼妃伝
つばさは、親友ターコが母の誕プレを買うのに付き合って、2人で電車を乗り間違えてしまう。
地下鉄につながっている帝国堂デパートに入り、買い物を済ませ、帰るつもりが上に行くエレベーターに乗ってしまい、
「日本人形展」が開催されていて、見ることに。
しかし、飾られているのは、不気味な人形ばかりで2人はすぐ出てしまう。
ターコはバッグを忘れてきたから、「入り口で待ってて」と言って別れて、それきり帰ってこなかった。
ターコは、なにかの事件に巻き込まれたとして警察が調査を始めて間もなく死体で発見される。
なぜか、髪をひと房切り取られ、洋服はズタズタに切り裂かれていたという。
納得できないツバサは、友だちのクミとともに調べはじめる。
当日もホームにいた盲目の青年・九曜と、お付きの倉本に聞くと、
九曜は霊能力があり、ここの地下鉄に強い霊気を感じて調べているという。
ツバサとクミは、閉店後のデパート内を逃げ回りながら、店員らが怪しい会話をしているのを聞く。
妖鬼妃の千年祭が近づいているから、有名な人形師・陶雲も呼んで宴がある、というもの。
まるでタイムトリップしたような着物姿の大勢が乗った地下鉄は、あるはずのない宮之内駅に停まる。
そこには永遠子という美少女もいた。
2人は地下牢獄を見て、これまで行方不明になった工事人らの白骨を発見する。
妖鬼妃は、この世に生まれて千年。病気のため2歳で身動きもできず、口もきけない代わりに特殊な能力を操ってきた。
その話を九曜にすると、九曜家は代々、妖鬼妃を滅ぼすために戦い、青年が最後の1人なのだという。
永遠子は社長令嬢で、宴にいた者らもデパートの従業員として混ざっていると分かる。
2人は、いろいろ調べていることが知れて、トーコのように電車に轢かれそうになったところを九曜に救われる。
クミは人形を見て驚き、車と接触して脚を骨折する。
帝国堂デパートで1日だけ開催される陶雲の人形展に来て、罠にかかる九曜とツバサ。
妖鬼妃と九曜は再会して、捕まってしまう。そこには人形にされたターコもいた。
祭りにいる人々は皆、人形に魂を移して長い時を生きながらえていたのだった。
九曜の指示で倉本が人形に火をつけ、パニックとなり、九曜らはギリギリで脱出する。
白い影法師
1クラス40人の女子高に転校してきたスズコは、1つだけ空いた席があるにも関わらず、別の席に座るように言われる。
視力が弱いため、空いた席に座らせてもらうと、6時間目が近づくほど具合が悪くなるスズコ。
クラスメイトから事情を聞くと、以前からあの席に座ると同じような異変が起こるのだという。
霊力があるというテルコとスズコでコックリさんをやり、同年齢のサヨコという霊が降りてきて
地縛霊としてスズコにとり憑こうとしていることが分かる。
サヨコは、病弱な上、父が悪徳業者で、被害に遭った友人らから無視され、いつも1人ぼっちだった。
そこに転入生・千草が来て、知らずに仲良くなったが、活発な千草には他に友だちが出来て、
独占欲の強いサヨコから離れていった。
ムリをして運動などしたサヨコは6時間目、席で亡くなった。
テルコは心霊写真を撮って証拠として教師につきつけて、除霊してもらおうと言うが、
原因不明の火事で写真は燃え、テルコも入院してしまう。
テルコの知人の霊能力者の力を借りて、もう一度あの席に6時間目まで座って、戦えと言われるスズコ。
金縛りになり、工事中のクレーンが窓を割って、ちょうどスズコを襲うが寸前で助かる。
みどりの炎
キャロルは、5年前、恋人アントンと駆け落ちした姉イザベラに会うため、夏休みに親にウソをついて砂漠の真ん中にある町に行く。
町に着くと、皆から白い目で見られ、姉はすっかり痩せこけていた。
アントンも、その妹のセルマも冷たい。そして、わずかな隙間からどんどん砂漠の砂が入り込んでくる。
姉の息子・トマスに町を案内してもらい、病院で歌う老婆が土の上に寝かされ、体温は15度、水ばかり飲まされているのを見る。
教会で、町一番の富豪の息子ハロルドを見かける。セルマは他の女の子同様、ハロルドに夢中だが、
ハロルドは、ひと目でキャロルが気に入り、2人をパーティに誘う。
そこでも大量の砂が建物内にドッと押し寄せてくる。
まだこの辺は森に守られているから埋もれていないが、「黄色い悪魔」と人々が呼ぶ巨大な砂嵐は町を埋め尽くさんばかり。
アントンは、森の神聖な木に挿し木して、皆に分け、植樹する案を出す。
キャロルは思わず木を折ってしまい、そこから血が出ていることに気づく。
姉はそれを隠すため、自分の手を切って、自分の血だとアントンに言って誤魔化す。
その日から姉は、老婆と同じ病気となり、水ばかり欲しがり、ついに亡くなる。
お墓参りも禁じられ、ハロルドに協力してもらって、一人、森へ行くと、木と化した姉を発見する。
この森は、人間植物でできていて、それを仕切っているのがソロモン。
ソロモンはキャロルを気に入り、よそ者なため一族には加えられないが、根の下に埋めて一体化するという。
そこにこれまでにない規模の砂嵐が来て、ハロルドはその隙にキャロルを町から遠くへと運ぶ。
ハロルドは砂の中で亡くなるが、キャロルとトマスは助かる。
美内すずえ/著
美内すずえさんの代表作といえば『ガラスの仮面』だけれども、
学生の頃、ホラーマンガばかり読んでいた頃に買った単行本の今作が忘れられない(本棚が、ダークな表紙で黒っぽかったw
もう一度読みたいと思い続けて、数十年ぶりに改めて読んでも、当時の記憶とさほど変わらなかった。
デパートにバッグを忘れて取りに行ったまま帰らなくなる親友の顔、
まるで生きているかのような古い人形たちの視線を感じるヒロイン、などなど。
他にも2作入った「美内すずえ傑作選」の第1巻。
▼あらすじ(ネタバレ注意
妖鬼妃伝
つばさは、親友ターコが母の誕プレを買うのに付き合って、2人で電車を乗り間違えてしまう。
地下鉄につながっている帝国堂デパートに入り、買い物を済ませ、帰るつもりが上に行くエレベーターに乗ってしまい、
「日本人形展」が開催されていて、見ることに。
しかし、飾られているのは、不気味な人形ばかりで2人はすぐ出てしまう。
ターコはバッグを忘れてきたから、「入り口で待ってて」と言って別れて、それきり帰ってこなかった。
ターコは、なにかの事件に巻き込まれたとして警察が調査を始めて間もなく死体で発見される。
なぜか、髪をひと房切り取られ、洋服はズタズタに切り裂かれていたという。
納得できないツバサは、友だちのクミとともに調べはじめる。
当日もホームにいた盲目の青年・九曜と、お付きの倉本に聞くと、
九曜は霊能力があり、ここの地下鉄に強い霊気を感じて調べているという。
ツバサとクミは、閉店後のデパート内を逃げ回りながら、店員らが怪しい会話をしているのを聞く。
妖鬼妃の千年祭が近づいているから、有名な人形師・陶雲も呼んで宴がある、というもの。
まるでタイムトリップしたような着物姿の大勢が乗った地下鉄は、あるはずのない宮之内駅に停まる。
そこには永遠子という美少女もいた。
2人は地下牢獄を見て、これまで行方不明になった工事人らの白骨を発見する。
妖鬼妃は、この世に生まれて千年。病気のため2歳で身動きもできず、口もきけない代わりに特殊な能力を操ってきた。
その話を九曜にすると、九曜家は代々、妖鬼妃を滅ぼすために戦い、青年が最後の1人なのだという。
永遠子は社長令嬢で、宴にいた者らもデパートの従業員として混ざっていると分かる。
2人は、いろいろ調べていることが知れて、トーコのように電車に轢かれそうになったところを九曜に救われる。
クミは人形を見て驚き、車と接触して脚を骨折する。
帝国堂デパートで1日だけ開催される陶雲の人形展に来て、罠にかかる九曜とツバサ。
妖鬼妃と九曜は再会して、捕まってしまう。そこには人形にされたターコもいた。
祭りにいる人々は皆、人形に魂を移して長い時を生きながらえていたのだった。
九曜の指示で倉本が人形に火をつけ、パニックとなり、九曜らはギリギリで脱出する。
白い影法師
1クラス40人の女子高に転校してきたスズコは、1つだけ空いた席があるにも関わらず、別の席に座るように言われる。
視力が弱いため、空いた席に座らせてもらうと、6時間目が近づくほど具合が悪くなるスズコ。
クラスメイトから事情を聞くと、以前からあの席に座ると同じような異変が起こるのだという。
霊力があるというテルコとスズコでコックリさんをやり、同年齢のサヨコという霊が降りてきて
地縛霊としてスズコにとり憑こうとしていることが分かる。
サヨコは、病弱な上、父が悪徳業者で、被害に遭った友人らから無視され、いつも1人ぼっちだった。
そこに転入生・千草が来て、知らずに仲良くなったが、活発な千草には他に友だちが出来て、
独占欲の強いサヨコから離れていった。
ムリをして運動などしたサヨコは6時間目、席で亡くなった。
テルコは心霊写真を撮って証拠として教師につきつけて、除霊してもらおうと言うが、
原因不明の火事で写真は燃え、テルコも入院してしまう。
テルコの知人の霊能力者の力を借りて、もう一度あの席に6時間目まで座って、戦えと言われるスズコ。
金縛りになり、工事中のクレーンが窓を割って、ちょうどスズコを襲うが寸前で助かる。
みどりの炎
キャロルは、5年前、恋人アントンと駆け落ちした姉イザベラに会うため、夏休みに親にウソをついて砂漠の真ん中にある町に行く。
町に着くと、皆から白い目で見られ、姉はすっかり痩せこけていた。
アントンも、その妹のセルマも冷たい。そして、わずかな隙間からどんどん砂漠の砂が入り込んでくる。
姉の息子・トマスに町を案内してもらい、病院で歌う老婆が土の上に寝かされ、体温は15度、水ばかり飲まされているのを見る。
教会で、町一番の富豪の息子ハロルドを見かける。セルマは他の女の子同様、ハロルドに夢中だが、
ハロルドは、ひと目でキャロルが気に入り、2人をパーティに誘う。
そこでも大量の砂が建物内にドッと押し寄せてくる。
まだこの辺は森に守られているから埋もれていないが、「黄色い悪魔」と人々が呼ぶ巨大な砂嵐は町を埋め尽くさんばかり。
アントンは、森の神聖な木に挿し木して、皆に分け、植樹する案を出す。
キャロルは思わず木を折ってしまい、そこから血が出ていることに気づく。
姉はそれを隠すため、自分の手を切って、自分の血だとアントンに言って誤魔化す。
その日から姉は、老婆と同じ病気となり、水ばかり欲しがり、ついに亡くなる。
お墓参りも禁じられ、ハロルドに協力してもらって、一人、森へ行くと、木と化した姉を発見する。
この森は、人間植物でできていて、それを仕切っているのがソロモン。
ソロモンはキャロルを気に入り、よそ者なため一族には加えられないが、根の下に埋めて一体化するという。
そこにこれまでにない規模の砂嵐が来て、ハロルドはその隙にキャロルを町から遠くへと運ぶ。
ハロルドは砂の中で亡くなるが、キャロルとトマスは助かる。