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『エリック』(河出書房新社)

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『エリック』(河出書房新社)
ショーン・タン/著 岸本佐知子/訳

本書は、『遠い町から来た話』に収録された「エリック」の単行本化。

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▼あらすじ(ネタバレ注意


ある日、交換留学生エリックがやって来る。
部屋をキレイに整えておいたが、なぜかエリックは台所の戸棚の中で眠るのだった。

「きっとお国柄ね」と母さんが言った。
「いいんじゃないの、本人がそれでいいんなら」

少年は、外国のお客さんが来たら、いっぱいいろんなものを見せてあげて、教えてあげることを夢みていたが、
エリックが聞く質問は、期待していたものとちょっと違っていて、

「さあ、わかんないよ」とか
「どうしてって、どうしてもだよ」

としか答えられず、なんだかひどく役立たずになった気分になった。

いろんな場所に連れていくのも楽しみにしていたが、
エリックは、どこへ行っても興味を持つものは、地面に落ちている小っちゃなもののほうだった。

 

ある朝早く、エリックは突然いってしまった。“ごきげんよう”とひと言言い残して。



ぼくらは、ああでもない、こうでもないと思いめぐらした。

なにか怒っていたのかな?
この家にいて、楽しかったんだろうか?

その後、台所の戸棚の中に“あれ”を見つけた。
それからは、新しくお客さんが来るたび、ぼくらは真っ先にこれを見せる。







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