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ひとり"命"の庭に遊ぶ~画家・熊谷守一の世界~@日曜美術館

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ひとり"命"の庭に遊ぶ~画家・熊谷守一の世界~@日曜美術館

「私は好きで絵を描いているのではないんです。
 絵を描くより遊んでいるのが、いちばん楽しいんです。
 石ころひとつ見ていても全く飽きることがありません。」

【ブログ内関連記事】
ハローワーク×熊谷守一美術館
これまで2度ほど訪れた美術館。喫茶店も併設していて、アットホームな雰囲気。

ゲストにデザイン活動家のナガオカケンメイさんをスタジオに迎えてトークも深かった。

仙人のような熊谷さん。その経歴はあまり知らなかったけど、さまざまな過程を経てのあのシンプルさなんだなあ!
まだまだ観てない作品がたくさんあった。一度、広い会場で一気に観てみたい。


【内容抜粋メモ】
 
池袋の家



 

 

「未来の絵って感じしますね。デザイン業界の色の使い方にすごく似ている。
 自然を描いているのに、感情をそぎ落とす感じ」(ナガオカ)

キャンバスの代わりに、タテ×ヨコ30~40cmの小さな板を使っている。

ナガオカ「もっと大きな絵だと思ってた。そこからもうマジックなんですね」

 

家にはいつも猫がいて、雨戸や障子に穴を開け、自由に出入りできるようにしていた。

生まれつき目の見えない三毛猫は、とくに可愛がっていた。
 



 


モリカズは、70で病を得て、外出しなくなった。
庭にむしろを敷いて、花や虫などを見ていた。



「蟻は、必ず左脚から歩き出す。ひと通りしかないのです」(著書より

 

「ただ歩くなら、ものの2分とかからない範囲ですが、草や虫や土や色々なものを見ながら周ると、
 毎日周ったって、毎日様子が違いますから」

 

夜になると、日課のように「学校へ行く」と言ってアトリエにこもった。
描いても、描けなくても1~2時間いる。
寒い時期は「冬眠」と称して描かなかったw



唯一の趣味は囲碁。相手は妻。いつも負けていて、画商から「あれは豆まきだ」と言われていた。




昆虫行動学の第一人者・矢島さんは、アゲハチョウの羽の色の違いに注目した。

 
「ふつうは両方とも同じ色だが、これは黒とグレー。羽の色を変えたのは、動きを表しているのでは?」




 

「言葉のない絵本のよう」

「今の人たちはモノを買わない。モノがあふれているのが幸せという時代は確実に過ぎている。
 じゃあ、モノとどう向き合うのかと皆悩んでいる。
 シンプルなモリカズさんの絵は、大切なメッセージに気づきなさいよと言っている気がする」(ナガオカ)




右端はモリカズ。中央は長男。
戦後、21歳の長女を結核で亡くした。この絵は8年かけて描いたと言われる。



「社会通念からすると、焼き場なんて!と感じるが、
 生きることと死ぬことという巨大なテーマを目に見える形にしようとした」


●経歴
20歳で東京の西洋美術学校に入学。首席で卒業した。
 


この自画像は、大きな展覧会に入選し、モリカズは将来を有望されていた

母が亡くなり、故郷の岐阜に戻り、木材運びなどの仕事をして、
35歳で再び上京するまでほとんど絵は描いていなかった。
42歳で結婚。4人の子どもをもうけるが、絵はなかなか描けない。

 


「あの頃はとても売る絵は描けなかったのです」(著書より

本当に描きたいと思わなければ描かないため、友人の援助、妻の質屋通いなどで苦しい生活。
子どもが熱を出しても医者にもかかれずにいた日々。

次男がわずか2歳で肺炎で亡くなる。
思わず筆をとり夢中で描いていたが「描いている自分がイヤになって途中で止めた」




●大きな転機となった日本画との出会い
 
珍しく襖絵を描いた

「日本画としては独特。心象を描いているのではないか」(関地)

50歳で日本画を始める。油絵も始めて、太い輪郭線もこの頃に表れるようになる。

 

「線で描くことで、モノの存在を表せることを感じとったのではないか」

その画風を完成させたのが「やきばのかえり」。

「世界中の人が見てすぐ分かる風景と、心情。どこまで余分なものを省けるか。
 線を引くということは、こっちとこっちをハッキリさせること。
 背景と自分を切り離したいという気持ちがあったのかもしれない」

 


モリカズが大事にしていた、なんの変哲もない石が資料館に保管されている。

 

 


次女・カヤさんは、画家になった。

パンクだなあ! 父を「モリ」と呼ぶ(ここは、ぶくろの美術館では?

「モリはお天気より雨が好きだった。お天気だと空が覆われた感じがすると言っていた」




隙間から漏れる太陽光をじぃーーーっと見つめて、描いたのが「日輪」。

 

「物事の在り様の豊かさ。大事なものはそのまま、そこらにある」

「モリは、具象画家だから、具象を突き詰めて(日輪の絵は)ああなった。太陽が沈むと、自分も死んでゆくと言っていた」


90歳。最晩年の作品。自画像とも呼べる。



「立ち止まって地面を見るなんていう、子どもの頃の感動を生きる原点に置きなさい、というメッセージにも見える」




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