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『大島弓子選集 15巻 綿の国星2』(朝日ソノラマ)

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■『大島弓子選集 15巻 綿の国星2』(朝日ソノラマ)

「大島弓子書籍リスト」さんも参照させていただきました/礼

大島弓子(作家別カテゴリー)

綿の国星だけを3冊一気読み。

『大島弓子選集 9巻 綿の国星』(朝日ソノラマ)


【収録作品】

●綿の国星9  八十八夜 1980年LaLa7月、8月号掲載


[あらすじ(ネタバレ注意)]
マンションに住んでいて、一度も外に出たことがないキャラウェイに出会ったチビ猫は、
興奮して、あらゆる自分が知ってることを教える。
家に連れていくと、母が調べてライラックのポイントの血統書つきだと分かる。



母は隣り町でライラックポイントを探しているという張り紙を見つけて飼い主に間違いないという。
連絡すると、ヒゲを剃るのも忘れて飛んでくる飼い主。

野良猫になる決心をしたキャラウェイだったが、飼い主が泣いているのを見て、帰ることにする。
亡くなった飼い主の妻から、「私がいなくなった後、主人をなぐさめてちょうだい」と頼まれていたから。

 



●綿の国星10 葡萄夜 1980年LaLa9月号掲載


[あらすじ(ネタバレ注意)]
最近亡くなった老婆の家に、化け猫が出たと近所で噂になり、レポーターまで駆けつける。
チビ猫は化け猫が見たくて毎日見張り、実際会ってみると、案外フツーだった。



名前はタマヤ。おばあさんを待って、銀行やらいつも行くところで待ってみたものの会えず。
おばあさんは、お気に入りの喫茶店にいて、タマヤに「さよなら」と伝えて消える。
タマヤはおばあさんのフリをしていたが、本当は2歳の若さだった。



●綿の国星11 Part10毛糸弦 1980年LaLa2月号掲載


[あらすじ(ネタバレ注意)]
美柑と飼い猫ニャーニャはいつも一緒に眠る。
「わたし、猫になりたいな」と言って、すっかり猫になりきる美柑に当惑する両親。

 

実は、ニャーニャは美柑に恋しているが、いつのまにか自分のほうが歳が上になってしまったことに戸惑っている。
ニャーニャは美柑に野良猫の生活を体験させつつ、止めさせるため、ゴミ箱のパンを食べて、死んだフリをする。
美柑は驚いて、自分ももうじき死ぬのだと覚悟して、遺書を書く。
でも、ニャーニャが騙したとわかって、観念して学校に戻る。

 

すると、1つ上の不良で有名な早川が見つめていて、美柑の一部始終を見ていたという。
教師は「君は見習うべき生徒なのだから、早川との付き合いは止めて、御両親の信用を裏切らないように」と忠告する。

夜、美柑の家にやって来た早川は職質され、思わずかばう美柑。
「おれさ、あんたの映画撮りたい。あんた、演技の素質あるよ。遺書だって面白い」

それから美柑の生活は一変。早川との距離が縮まり、恋していることが分かったニャーニャは、
いっそこのまま殺してしまったほうがラクかもしれないと思う。



しかし、ニャーニャと美柑を撮ったフィルムを見て、早川を許す。

「あと2、3年でおれが老衰しても、あの銀幕の中のオレと美柑はそのまま飛びはねているに違いない。
 美柑はオレの死んだ後も、オレを想い出すんだ」



●綿の国星12 夜は瞬膜の此方 1981年LaLa9月号掲載


[あらすじ(ネタバレ注意)]
父母が思い出の海に旅行に行くというので、ついてきてしまうチビ猫。
初めて見る海にとにかくたくさん驚く。



母がずぅっと憧れていたホテルに猫を連れてくると、慇懃な態度で断られる。

 

それなら、砂浜で一晩過ごしたほうがずっといいと寝そべる父母。

「昔から憧れてたホテルだろ。オレと知り合う前からさ」
「そう。だから今日はいっそう悲しかった」

母は、あの頃と比べて、2人の関係は海と蟹みたいなものかもしれないと思う。

チビ猫は、野良猫仲間に海のことを話して聞かせる。
大きな池なのに、噴水が1個もないということに驚く野良猫たち。


「海の休みの日だったんじゃないか?」という意見で落ち着くw


●綿の国星13 猫草 1982年LaLa1月号掲載


[あらすじ(ネタバレ注意)]
捨てられた男の子猫ビーは、猫捨ての家に戻る。原因は分かっていた。

 

飼い主の母に赤ちゃんが産まれて、義母は猫と一緒は危険だと猛反対したこと、
育児でヒステリックになっている母を助けようと、泣いている赤ちゃんをあやそうとして思わず爪をたて、血を出してしまったこと。
そして、父が何時間も運転して、ビーを森へ捨てたのだった。

家に戻ると、意味不明なことしか言わなかった赤ちゃんから「アソボ」と言われる。
ビーは外猫になり、いつか赤ちゃんが大きくなったら、一緒に原っぱへ行こうと思う。




●綿の国星14 かいかい 1982年LaLa2月号掲載


[あらすじ(ネタバレ注意)]
今度は時夫とみつあみのピクニックに勝手についてきたチビ猫。
またたくさんの冒険をしていたら、時夫たちとはぐれてしまった。
チビ猫は午前2時に自力で戻ってきて、時夫が置いていったマフラーには山犬がくるまっている夢を見る。

 


●綿の国星15 ド・シー 1982年LaLa5月号掲載


[あらすじ(ネタバレ注意)]
ブチ猫のお母さんが、また6匹の子猫を産んだ。
ほぼもらい手が決まっているが、チビ猫は「このコをくれない? お母さんがもう1匹欲しいっていってた」
とウソをついて、可愛い子猫を自分で育てようと奮闘し、自分にもボッチ(乳房)があることに気付いて驚く。
子猫には「℃」の「ド・シー」と名付ける。



チビ猫が目を離している時に、母の高校以来の友人が遊びに来て、
「なんだか可愛くなったから、私、もらっていいかしら?」と子猫を引き取っていく。

それを聞いて、チビ猫は、近所の野良猫が「須和野家は、子猫をまた貸しして遊ぶんだって」と噂したり、
そんなことをしたら、ボッチがガスタンクみたいに大きくなって一生動けなくなると想像したり、
ド・シーママが様子を見に来て、猫ジステンパーで死んだことにしたら、
また野良猫らに「須和野の奥さんて冷酷ね」と噂されたりする想像をして、泣きながらド・シーママに謝りに行く。

ド・シーママは「やさいいヒトならいいの。どこかにもらわれていっても」と優しい。



●綿の国星16 ペーパーサンド 1982年LaLa10月号掲載


[あらすじ(ネタバレ注意)]


老いた野良猫は、いつか家猫になる夢を諦めずに拾われるのを毎日待っている。
「ペーパーサンド」という猫砂が、まるで宝石みたいなんだと聞いて、見たくてたまらなくなるチビ猫。

外に出たことのない子猫ホリーと出会って、「ペーパーサンドを少し分けて」と頼むと、
外でトイレをするのが珍しくて、窓からチビ猫と一緒に出てしまうホリー。



原っぱの砂をいくら掘っても底につかないことに興奮するホリー。
でも、飼い主が気付いて、夜中に大声でホリーを呼ぶ声を聞いて、
「わたし、あんな風に大声で名前呼ばれるの初めてだ。大人になったら、また底見つけに来るよ」と言って帰る。



チビ猫は、老猫に「ペーパーサンド」をあげると、「こりゃあ宝石というより・・・」
と言って、幸福の種のように地面にまくのだった。





●綿の国星17 チャコールグレー 1983年LaLa2月号掲載


[あらすじ(ネタバレ注意)]


ある日、突然サラリーマンの胸に窓から野良猫が飛び込んで来た。
貧乏なサラリーマンは、暖房もない部屋で、布団にくるまっていると、
野良猫は端っこに入り、毎回、雪の結晶のような白い砂だけを残して、気付くと去っている。

やってくるごとに、だんだん位置が上がってきて、気付くと顔が隣りにある。
男は、心変わりして去って行った恋人を思い出す。



男は野良猫の普段の生活が気になって、会社を休んで、あとを尾けてみると、
別の家で猫なで声を出して、ゴハンをもらっていることが分かってガックリ。
その夜は、猫が来ても家に入れなかったら、それきり来なくなってしまった。

 

ささみを買ったり、中納言行平の詩の下の句を書いて、その上に猫の食器をふせておくと
猫が帰ってくるというおまじないもやってみたが戻らなかった。

「たちわかれ いなばの山のみねにおふる まつとしきかば いまかへりこむ」

猫が帰ってきたと思ったら、元カノだった。恋人とはずっと前に別れたのだという。2人は寄りを戻す。
雪の結晶のような白い砂だと思っていたのは、のみの卵だと後で知る。

「どこか気に入った所があって、充分に生活してれば、それでいいんです」



●綿の国星18 晴れたら金の鈴 1983年LaLa10月号掲載


[あらすじ(ネタバレ注意)]
母が書いた小説を雑誌に応募したら佳作となり、次回作も書いてくれと言われて舞い上がる母。
「それなら明日から逆になろう! 君は原稿に立ち向かう、僕は家事に専念する」と言い出す父。
しかし、父の家事っぷりは最悪。



そこに小説家希望で、父の大ファンだという若い女の子がやって来る。
父は内弟子はとらないというので、母は家事バイトとして雇うが、家事は父以下だった。

銭湯に行く途中で風呂を沸かすのを忘れたと言って、「それならウチのお風呂に入って」とすすめる母。
そこに時夫が知らずに入って、激怒。それでもケロっと忘れる女の子(迷惑千万だねぇ・・・
帰りに痴漢に遭ったから、泊りこみにさせてくれと言ったり。



母はなにかを決心し、あと5日かかるものを一晩でムリして書き上げる。
書き上げてから、女の子に家事をみっちり仕込むつもりが、
仕事が終わったのならいる意味がないと出て行ってしまったという。

チビ猫は、女の子がくれるといっていた「金の鈴」の話を近所猫に毎日言いふらしてウンザリさせる。


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