■『キャッツ ポッサムおじさんの実用猫百科』(河出書房新社)
T.S.エリオット/著 エドワード・ゴーリー/画 小山太一/訳
※「作家別」カテゴリーに追加しました。
図書館のオススメコーナーに置いてあるのを見つけた時は、ウソでしょ!?と二度見した
これまでストーリー&絵両方オリジナルのものは全部読んだけど、絵だけのも全部読んでみたくなった。
beco cafe mystery night vol.5 エドワード・ゴーリーの世界@西荻窪(2015.9.12)
上記のトークショーで「タイポグラフィー」の話を聞いて、表紙やらの手描き文字にも注目。
ゴーリーが絵だけ描いた本は少ない中、大好きな猫の話ってことで、
普段のブキミさは控えてw、猫をこよなく愛する者の1人として描いている。
ネズミに裁縫を教える猫って!ww
物語りも変わってるけど、他のゴーリー本を訳されている柴田元幸さんの技法を踏襲してか、
それとももともとのT.S.エリオットの原文を生かしてか、韻を踏むようなリズムのある翻訳も良いv
【内容抜粋メモ】
「猫の名付け」
掛け軸なんて、ゴーリーの東洋趣味がのぞく
にゃんこやわんこに名前をつけるほどワクワクするものはないよねえ!
「ガムビーばあさん」
普段はガムみたいに“ぺったり座れば動かない”猫だけど、
夜になると、ネズミの夜間学校で音楽、編み物、お裁縫、料理を教えてる!
ゴキブリにまで仕事を与えたから、
“愚連隊が今ではりりしい青年隊 目的意識にあふれて真面目”!!
「絶体絶命グラウルタイガー」
川船暮らしのタイガーは無法者の大暴君で、耳は片方ちぎれかけ、眼玉も1つだけといった様子。
タイガーの耳が欠けたのはシャムのせいで、互いは敵同士。
ある夜、タイガーがある奥方と恋を語っていた隙を狙って、
シャム軍団がなだれこみ、タイガーはとうとうテムズ河に沈み、その朗報にみな大喜びする。
「剽悍(ひょうかん)」すばしこく,しかも荒々しく強い・こと(さま)。
ゴーリーなら猫を死なせる話は書かないけどね。
「ラム・ラム・タガー」
“ラム・ラム・タガーは困り者
入れてやったら 出て行きたがる
出してやったら 入りたがる
したいようにしかしやしない
そういうもんさ しかたない!”
様子が目に見えるようなあるある話で可笑しいww
「ジェリクルたちの歌」
ジェリクル・ムーンの出る夜に踊る白黒模様のジェリクル・キャットたち。
「マンゴージェリーとランペルティーザー」
なんでもござれのアクロバットで、レストランの料理を盗んだりする2人組。
「デュートロノミー御大」
この話なんだか好き。“神代の生まれ”で、女房は99匹。
村をも繁栄させる伝説的な猫だけど、何気な~くそこら辺で寝てたりするw
“村の長老 しわがれ声で「こいつは・・・したり・・・もしやその・・・
いやまさか! ・・・違う・・・違わん・・・なんとまあ! たまげたもんだ!
わしゃかすみ目じゃが、それにしても、こりゃ御大じゃあるまいか!”
「ペキとポリクルの恐るべき戦い」
パグとポメの戦いなんだけど、絵はなんだか長髪の同じ犬種に見えるw
そこにのっそり現れたランパス・キャットが跳躍したら、“途端に犬どもみな退散”w
不倶戴天:ともにこの世に生きられない、また、生かしてはおけないと思うほど恨み・怒りの深いこと。また、その間柄。
「ミスター・ミストフェリーズ」
“世に並びない猫の魔術師 いくら見てても また騙される
こないだも シルクハッとの中から突然 子猫が7匹 みんな唖然”
「マキャヴィティ~ミステリー・キャット」
ミステリー好きなゴーリー色が出てる画
“ついた仇名が「足跡隠し」 現場へ急行してみても
マキャヴィティはもういない! 犯罪界のナポレオン!”
異能:人よりすぐれた才能。一風変わった独特な能力。異才。
「ガス 劇場猫」
かつては“劇壇の寵児”で、シェイクスピアも演じていたガス。
おごられ酒で、かつての偉業を滔々と語る。
“燃えさかる家から子どもを救出”w
「バストファー・ジョーンズ シティボーイ・キャット」
肥満体のジョーンズは、かなりの美食家。
“猫の世界のボー・ブランメル 誰でも一声かけられたい
あのでぶ猫の口ぐせは「これが生きるということさ」”
「スキンブルシャンクス 鉄道猫」
発車寸前の「夜行郵便列車(ナイト・メール)」にスキンブルがまだ来ないため、“乗客みんなが半狂乱”
“スキンブルとは すっきり言えば 寝台急行の列車長”(! 仕事の完璧っぷりがすごい
「猫とジッコンになる方法」(それは知りたい!
“まず 思い出してもらいたい 「猫は犬ではありません」”w
“ここでまた 思い出してもらいたい 「犬は犬 猫は猫」”w
“猫について 世上よく聞く教訓は「こっちから話しかけてはなりません」
だからじっくり根気よく それがジッコンになる法則”(なるほど
「モーガン爺さんの自己紹介」
海賊だったモーガンは、今じゃ出版社の前でのんびり。
【訳者あとがき抜粋メモ】
T.S.エリオットは20Cの英語圏を代表する詩人・批評家。
最も有名な詩は『荒地』。
『荒地』の背景には、第一次世界大戦~欧州を戦場とした、近代兵器による最初の総力戦~によって
西欧の精神的風土が荒廃の危機に瀕したという事実がある。
本書の「ライト・ヴァース(ユーモラスな軽い詩)」は、
知り合いの子どもたちを楽しませるためのお遊びだったかもしれないが、
言葉を操る技の巧みさは抜群で、ゴーリーの挿絵は、これ以上の組み合わせはない。
子どもたちが読むには悲しすぎるとして収録しなかった「グリザベラ グラマー・キャット」は、
年老いた娼婦猫がさまよう街路で、『荒地』と地続きなのかもしれない。
この詩は8行分の断片が残っていて、2人目の妻・ヴァレリーがミュージカル『CATS』のスタッフに示したことで、
主要なキャラクターとなった。
トッテナム・コートの汚れた街路
彼女が巡る場所はいろいろ
ライジング・サンからフレンド・アット・ハンド
パブからパブへ不毛の行路(ノー・マンズ・ランド)
郵便配達 頭かきかき溜息ついて
「世間はあれを 生きた猫とは思うまいて
誰も知るまい あの猫こそは
グラマー・キャットのグリザベラとは!」
T.S.エリオット/著 エドワード・ゴーリー/画 小山太一/訳
※「作家別」カテゴリーに追加しました。
図書館のオススメコーナーに置いてあるのを見つけた時は、ウソでしょ!?と二度見した
これまでストーリー&絵両方オリジナルのものは全部読んだけど、絵だけのも全部読んでみたくなった。
beco cafe mystery night vol.5 エドワード・ゴーリーの世界@西荻窪(2015.9.12)
上記のトークショーで「タイポグラフィー」の話を聞いて、表紙やらの手描き文字にも注目。
ゴーリーが絵だけ描いた本は少ない中、大好きな猫の話ってことで、
普段のブキミさは控えてw、猫をこよなく愛する者の1人として描いている。
ネズミに裁縫を教える猫って!ww
物語りも変わってるけど、他のゴーリー本を訳されている柴田元幸さんの技法を踏襲してか、
それとももともとのT.S.エリオットの原文を生かしてか、韻を踏むようなリズムのある翻訳も良いv
【内容抜粋メモ】
「猫の名付け」
掛け軸なんて、ゴーリーの東洋趣味がのぞく
にゃんこやわんこに名前をつけるほどワクワクするものはないよねえ!
「ガムビーばあさん」
普段はガムみたいに“ぺったり座れば動かない”猫だけど、
夜になると、ネズミの夜間学校で音楽、編み物、お裁縫、料理を教えてる!
ゴキブリにまで仕事を与えたから、
“愚連隊が今ではりりしい青年隊 目的意識にあふれて真面目”!!
「絶体絶命グラウルタイガー」
川船暮らしのタイガーは無法者の大暴君で、耳は片方ちぎれかけ、眼玉も1つだけといった様子。
タイガーの耳が欠けたのはシャムのせいで、互いは敵同士。
ある夜、タイガーがある奥方と恋を語っていた隙を狙って、
シャム軍団がなだれこみ、タイガーはとうとうテムズ河に沈み、その朗報にみな大喜びする。
「剽悍(ひょうかん)」すばしこく,しかも荒々しく強い・こと(さま)。
ゴーリーなら猫を死なせる話は書かないけどね。
「ラム・ラム・タガー」
“ラム・ラム・タガーは困り者
入れてやったら 出て行きたがる
出してやったら 入りたがる
したいようにしかしやしない
そういうもんさ しかたない!”
様子が目に見えるようなあるある話で可笑しいww
「ジェリクルたちの歌」
ジェリクル・ムーンの出る夜に踊る白黒模様のジェリクル・キャットたち。
「マンゴージェリーとランペルティーザー」
なんでもござれのアクロバットで、レストランの料理を盗んだりする2人組。
「デュートロノミー御大」
この話なんだか好き。“神代の生まれ”で、女房は99匹。
村をも繁栄させる伝説的な猫だけど、何気な~くそこら辺で寝てたりするw
“村の長老 しわがれ声で「こいつは・・・したり・・・もしやその・・・
いやまさか! ・・・違う・・・違わん・・・なんとまあ! たまげたもんだ!
わしゃかすみ目じゃが、それにしても、こりゃ御大じゃあるまいか!”
「ペキとポリクルの恐るべき戦い」
パグとポメの戦いなんだけど、絵はなんだか長髪の同じ犬種に見えるw
そこにのっそり現れたランパス・キャットが跳躍したら、“途端に犬どもみな退散”w
不倶戴天:ともにこの世に生きられない、また、生かしてはおけないと思うほど恨み・怒りの深いこと。また、その間柄。
「ミスター・ミストフェリーズ」
“世に並びない猫の魔術師 いくら見てても また騙される
こないだも シルクハッとの中から突然 子猫が7匹 みんな唖然”
「マキャヴィティ~ミステリー・キャット」
ミステリー好きなゴーリー色が出てる画
“ついた仇名が「足跡隠し」 現場へ急行してみても
マキャヴィティはもういない! 犯罪界のナポレオン!”
異能:人よりすぐれた才能。一風変わった独特な能力。異才。
「ガス 劇場猫」
かつては“劇壇の寵児”で、シェイクスピアも演じていたガス。
おごられ酒で、かつての偉業を滔々と語る。
“燃えさかる家から子どもを救出”w
「バストファー・ジョーンズ シティボーイ・キャット」
肥満体のジョーンズは、かなりの美食家。
“猫の世界のボー・ブランメル 誰でも一声かけられたい
あのでぶ猫の口ぐせは「これが生きるということさ」”
「スキンブルシャンクス 鉄道猫」
発車寸前の「夜行郵便列車(ナイト・メール)」にスキンブルがまだ来ないため、“乗客みんなが半狂乱”
“スキンブルとは すっきり言えば 寝台急行の列車長”(! 仕事の完璧っぷりがすごい
「猫とジッコンになる方法」(それは知りたい!
“まず 思い出してもらいたい 「猫は犬ではありません」”w
“ここでまた 思い出してもらいたい 「犬は犬 猫は猫」”w
“猫について 世上よく聞く教訓は「こっちから話しかけてはなりません」
だからじっくり根気よく それがジッコンになる法則”(なるほど
「モーガン爺さんの自己紹介」
海賊だったモーガンは、今じゃ出版社の前でのんびり。
【訳者あとがき抜粋メモ】
T.S.エリオットは20Cの英語圏を代表する詩人・批評家。
最も有名な詩は『荒地』。
『荒地』の背景には、第一次世界大戦~欧州を戦場とした、近代兵器による最初の総力戦~によって
西欧の精神的風土が荒廃の危機に瀕したという事実がある。
本書の「ライト・ヴァース(ユーモラスな軽い詩)」は、
知り合いの子どもたちを楽しませるためのお遊びだったかもしれないが、
言葉を操る技の巧みさは抜群で、ゴーリーの挿絵は、これ以上の組み合わせはない。
子どもたちが読むには悲しすぎるとして収録しなかった「グリザベラ グラマー・キャット」は、
年老いた娼婦猫がさまよう街路で、『荒地』と地続きなのかもしれない。
この詩は8行分の断片が残っていて、2人目の妻・ヴァレリーがミュージカル『CATS』のスタッフに示したことで、
主要なキャラクターとなった。
トッテナム・コートの汚れた街路
彼女が巡る場所はいろいろ
ライジング・サンからフレンド・アット・ハンド
パブからパブへ不毛の行路(ノー・マンズ・ランド)
郵便配達 頭かきかき溜息ついて
「世間はあれを 生きた猫とは思うまいて
誰も知るまい あの猫こそは
グラマー・キャットのグリザベラとは!」