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『ありがとうシンシア 介助犬シンちゃんのおはなし』(講談社)

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『ありがとうシンシア 介助犬シンちゃんのおはなし』(講談社)
小田哲明/写真 山本由花/文

こないだスーパーに入った時、
「他のお客様に対してご迷惑になるので盲導犬は入店お断りしています」て貼り紙を見つけて、
日本の盲導犬に対する意識の低さに哀しくなった。

本書は、その盲導犬より、さらに認知度がまだまだ低い介助犬のお話。
1999年の発行だから、その後状況が変わったことも考えられる。


【内容抜粋メモ】

 

バイクの事故で胸から下と、片腕が不自由な木村さん。
もともとは寂しさを癒してくれるペットとして飼い始めたラブラドールのシンシア。
介助犬の活動を知って感動して手紙を書いた奥さんに
「シンシアも素質があればなれますよ」と言われて、訓練を受けてみようと思った。

1歳になって難しい訓練を開始して、5ヶ月後に晴れて介助犬になったシンシアだったが、
普段から密に接していた奥さんには慣れていても、お父さんの言うことは最初聞いてくれなかったという
それから、木村さんは体調が悪くても、シンシアを散歩に連れていったり、ブラシをかけたりしてコミュニケーションをはかった。

ある日、クツを履こうとして床に落としてしまい、「シンシア、テイク クツ」とコマンドを出しても無視していたシンシア。
でも何度も心をこめて言ったら、本当に困っていることが通じたのか持ってきてくれた。

介助犬に手伝ってもらう時は、動作を英語、モノの名前を日本語で言う。

介助犬になるには、約8ヶ月〜1年間かかる。

法律で認められている盲導犬と違い、介助犬はまだ知られていないため、
ペットと同じに思われてお店に入れないことも多い

1998年介助犬を広めようとする「日本介助犬アカデミー」の大会が開催され、
木村さんも講演を依頼されていたため、鉄道会社に申し込み、シンシアが大人しく電車に乗っている様子を見てもらった。
その様子を見て、シンシアは電車に乗ることが認められたが、すべての介助犬が認められているわけではないという。

木村さんらのそうした地道な活動によって、たくさんの新聞やテレビでも取材され、国会でも介助犬がとりあげられるようになった。


<シンちゃんの仕事>
  
新聞をとる/電話器をとる/冷蔵庫からもってくる

 
ドアを開ける/エレベーターのボタンを押す

 
スーパーでは商品をとって膝の上に置く。レジは買ったものをちゃんと受け取ってくれる。


【“介助犬にであったら”高柳友子さんによるあとがき抜粋メモ】
盲導犬が日本に誕生したのは40年以上前。今では830頭以上が活躍している。
一方、介助犬は日本では育成が始まったばかりで、全国でも10頭ほどしかいない。

シンシアのようにモノを拾ったり、押したりという動作を手伝うよう訓練された犬もいるし、
杖のように飼い主を支えたり、歩くのを助ける役目をする犬もいる。

まだ介助犬を訓練する資格や方法が盲導犬ほど決められていないために
店の人に「犬をおいて入ってください」と言われることもまだ多い。
「介助犬は障害者の体の一部だ」ということを知ってほしい。

盲導犬同様に黙って犬をなでたりするのはダメ。ひと声かけること。


【“シンシアとくらして”木村佳友さんによるあとがき抜粋メモ】
介助犬がいない頃は、車イスから落ちたまま、妻が帰るまで床に転がったままということもあった。
「この先自分の人生にはいいことなんか何もない」と考えていた。
でも、シンシアと出会い外出する機会が増え、多くの人と接することで、性格が前向きになった。
木村さんは、在宅勤務でコンピュータプログラマーとして働き、日本介助犬アカデミーの理事として普及活動をしている。

日本介助犬協会

  


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