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『ハニーが盲導犬になるまで』(国土社)

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『ハニーが盲導犬になるまで』(国土社)
キャロライン・アーノルド/文 リチャード・ヘウェット/写真 常陸宮妃華子/訳

盲導犬は都内でもときどき見かけることがある。電車のホームもちゃんと飼い主さんを誘導して
エスカレーターや改札も通る様子を見るとたのもしいし、お仕事姿もやっぱり可愛くて何度も見てしまう
そんな盲導犬がどんな風に訓練されて、飼い主さんのもとでお手伝いをするようになるのか、
本書は写真と文章で、実際訓練を受けて、引き取られるまでが紹介されている。

翻訳は日本動物福祉協会名誉総裁を務める常陸宮妃華子さま。


【内容抜粋メモ】

ケンネル(犬舎)にいるゴールデンレトリバーのハニーが主人公。
ゴールデンレトリバー、ラブラドール、ジャーマン・シェパードは、
利口で人と一緒に楽しく働くので盲導犬に向いている。主に純血種。

訓練所には、寮があり、目が不自由な人たちが盲導犬とどう暮らすか学ぶ。



子犬は約1ヵ月半、お母さん犬と過ごす。
ケンネルの調理場から監視カメラで母子を見守る。



生後約3ヶ月間、1週間に1度、注意力や学習意欲のテストがある。
金網を張った床を歩いたり、鏡に映る自分を見てどう反応するか見たりなどのテストがある。
用心深すぎたり、怖がる犬はよい盲導犬になれない。
獣医さんとスタッフが、病気の予防接種をしたりして、盲導犬訓練所の犬の世話をする。


生後3ヶ月になるとパピーウォーカーに預けられる。
子犬を育てるのは「4−H」のメンバ。ハニーが1歳3ヶ月になるまで責任をもって世話をする。

「4−H」田舎に住む子供たちに家庭や農場や社会生活の中で実習をさせる教育プログラムのこと。

1ヶ月に1回、子犬クラブに行って子犬の生活について学んだりする。
ハニーに簡単な命令を教えなくてはならない。
仕事や学校に行く時はハニーもいっしょに連れていくことで人社会に慣れさせるのが目的。


緑色のジャケットは、見習いの盲導犬のしるし


あっという間に月日は過ぎて、訓練所に戻って、正式な訓練がはじまる。
健康状態をチェックし、腰の骨のレントゲンも撮る(正しく歩くのに支障がないかどうか
基準に外れれば一般家庭にもらわれる。その時パピーウォーカーが最初にもらう権利がある。
盲導犬になれるのは、候補のわずか半分くらい/驚

とくに性格のいい子は「繁殖犬」になるコもいる。
繁殖期や出産時以外は一般家庭で暮らす。
盲導犬になるコは避妊手術を受ける。


検査に合格したハニーは、訓練士のテリーさんに会った。
「うまくいけば、5〜6ヶ月で盲導犬になれるよ」
最初は「おすわり」「待て」など基本的な命令から毎日何時間か訓練する。

テリーさんたちは、いちどに10頭〜15頭の世話をする。
1日3回、大きな囲いに出されて自由に運動する。ほかの動物たちとも仲良くなる訓練でもある。


リードをつけた訓練は2〜3週間。次は「ハーネス」でのトレーニング開始。
盲導犬は命令なしでは行きたいところが分からない。



訓練の最後は、テリーさんは目隠しをしてハニーと歩く。万一に備えて付き添いの訓練士がつく。
アメリカでは、視覚障害者と認定された16歳以上なら、希望すればだれでも盲導犬を申し込める。


面接で盲導犬と暮らせると認められた人たちが、訓練所にやってくる。
1クラスは16人。約1ヶ月の訓練中は寄宿舎で1部屋に2人ずつ暮らす。

訓練にやってきたアンさんは、最初テリーさんが犬役になって、盲導犬への話しかけ方などを学ぶ。
アンさんは、4日目にテリーさんが選んだハニーと出会った。
それぞれの必要性、希望、性格のマッチングを考慮して組み合わせられる。
生徒は犬とともに働くだけでなく、犬の世話の仕方も学ぶ。

 

講義を聞いたり、バスに乗って町にも出かける。
最初は近くから、徐々に道順も複雑になり、障害物をよけたり、エレベータに乗ったり、階段の昇り降りも学ぶ。

もっとも大切な技術は、安全に道を横断できるか。
ハニーには信号は分からない。ススメの合図があっても、車がきたら横断をやめる。これを「知的な不従順」という。



人と犬のペアは約1ヶ月で厳しい訓練を終え、卒業式は毎月第4土曜日に行われる。
アンのもとにパピーウォーカーのアミーもやって来た。
式が終わるとアンはハニーを家に連れて帰る。

盲導犬の卒業生は、いろんな種類の仕事に就いている。
弁護士、ソーシャルワーカー、新聞記者、ピアノの調律士などなど・・・
多くの盲導犬は、およそ10歳になるまで働く。その後はペットとして飼われたり、パピーウォーカーに引き取られる。


盲導犬についての注意点
・仕事中はハーネスをつけているので、可愛くても飼い主に断りなく触ってはいけない。
・お菓子をあげたりしない。
・ハーネスには絶対に触らない。
・むやみに怖がったり、追い払わない。


【あとがき抜粋メモ】
日本には8つの協会があり、盲導犬の育成・普及をしているが、たくさんの協力・お金がかかるため、850頭しかいない。

日本は、盲導犬も少ないが、希望する人も他国より少ない。知らないのが原因。
日本では18歳以上の全盲、それに近く、社会に参加する意志がある人ならだれでも申し込める。
その後、面接で、犬を大事にでき、共同訓練に耐えられる人が名簿に載り、順番待ちとなる。
法律でどこでも入ったり、乗り物に乗ったりできるのに、拒否されることがある。


【日本の盲導犬・実働数】
全国でもっとも多い順に、東京(67)、北海道(66)、大阪府(48)、埼玉県(44)、神奈川県(38)・・・
ちなみに長野は27。少ないな。




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