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『ムーミン谷のクリスマス もみの木』(講談社)

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『ムーミン谷のクリスマス もみの木』(講談社)
トーベ・ヤンソン/文・絵 山室静/訳

毎年、この時季恒例のクリスマス本シリーズ
「ムーミン童話全集全9巻」はすべて読んだけど、これだけは読んでいなかった!
(「notes and movies」カテゴリーに【読書感想メモ】としてタイトルのみあり

それにネットで探してもヒットしないのはなぜ???
初版は1993年で、それほど古くはないのに。
ということは、ムーミンファンとしては掘り出し物だったということだv


▼あらすじ(ネタバレ注意



冬は毎年10月頃から2~3ヶ月冬眠してしまうムーミン一家。
だけど、この年は、ヘムルの1人がなぜかムーミン一家をたたき起こす。

寝ぼけて「もう春になったの?」というムーミンに、
「クリスマスが来るから忙しいんだ!」と言って行ってしまうヘムル。

クリスマスを知らないムーミン一家は、「きっとまた、洪水になったんだよ」と外に出ると一面の雪に驚く。

パパ「これは白い卵かねえ?」

今度はヘムルのおばさんが「暗くならないうちに、もみの木をとってきたほうがいいですよ」と言って行ってしまう。

なにか悪いことから守ってくれるのかもしれないと、とりあえず用意するけど、パパはどんな災難が起ころうとも、
自分の家のもみの木は1本も伐るまいと、代わりにガフサの家から伐ってくる


ママは、とりあえず緊急事態に備えて、救命帯や、パパの古ぼけた鉄砲などを用意する(
小さい“はい虫”が寒そうにしていたので、家に招いて紅茶を淹れてあげる



そのはい虫は「もみの木をキレイなもので飾るの」と恥ずかしそうに言って行ってしまう。

そこで、みんなは、もみの木を庭のはずれに持っていき、誰もが自分の持ってる一番キレイなもので飾る。
スノークのお嬢さんは貝がらの首飾り
パパはずっと昔にママへの贈り物にした赤い布のバラを木のてっぺんに留めた(感動


ヘムルのおばさんはさらに「クリスマスのごちそうがいる」と言って忙しそうに行ってしまう。
「クリスマスのごちそうだって? その人は食べるの?」

ママは、午後中かかって、ジュース、ヨーグルト、たまご酒などを用意した。

「あなた、クリスマスって、お腹を空かしてるでしょうか」
「たぶん、わしよりひどくはなかろうな」

小さい動物というものは、自然の大きい力に対しては、いつだって、とてもとても素直でなくてはいけませんからね。
(こういうところにヤンソンさんのメッセージを感じる


谷間の窓にロウソクが灯されているのを見て、みんなはありたけのロウソクを集めて、木の周りに並べて火をつけた。


ヘムルさんは「クリスマスがやってくるたびに、プレゼントの数がだんだん増えていくんだ」とも言う。

パパは一番上等な擬餌針を選び「クリスマスさま」と箱に書いて置いた(ある意味、正しい宛名だね
ママは、ムーミン谷で唯一色のついた本、ムーミントロールは内緒のものを入れたため、誰にも話さなかった。


さっきのはい虫が、親類や、友だちを残らず連れてやってきた。「クリスマス、おめでと」

「見てもいい? あんたはとっても素晴らしいもみの木を持ってるのね」

彼らがうっとりと見つめ、どんどん驚きと憧れが強くなる様子を見ていたママは、
「ねえ、あなただってお分かりでしょ・・・」と囁いた。

「構うもんか。もしクリスマスが怒ったら、家に入って戸を閉めちまえばいいんだ」と言って、
パパは「これみんな、君たちにやるよ」と言うと、はい虫たちは最初、耳が信じられなかった。
まだ、自分たちのクリスマスを持ったことがなかったから。



はい虫は

「ただ、あのてっぺんに星があるといいんだがなあ」
「そうでしょうか。考えさえ正しけりゃ、あってもなくてもたいして違いはないんじゃないですか」




盛んに働いたママは眠くなったと言って、一家は春までもうひと眠りするために応接間に戻る。



クリスマスは、ツリーやプレゼントを買うために駆けずり回ったり、ごちそうを並べて食べることでもなくて、
自分が本来持っている良心を、他者に分け与えることを思い出す日なのだと、
ヤンソンさんは言いたかったんじゃないなかなあ。


Merry Christmas to you all.


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